アトリエデフは、人と森が健やかにつながる暮らしをつくる会社。
手がける家は、日本の山を守るためにすべて国産材を使用。熟練の大工さんが手刻みという技術で材木を加工し、間伐材からできた木質繊維の断熱材で家を包みます。
手を入れたら、何世代にもわたって住み継いでいける。取りこわしても、再度利用して使いつづけ、最後は土に還っていく。

その思想は、家の中だけでなく敷地全体へと広がっていきます。
雨は地下のタンクに溜めて、畑や庭の水やり、トイレの排水などに使う。生活排水は、砂利や棲みつく微生物のちからで浄化された後、ビオトープに流れ生物の生きる水となる。
そんな自然のめぐりを実践しながら、お客さんへ暮らしを提案する「暮らしアドバイザー」と「設計スタッフ」を募集します。
本社は長野県上田市。八ヶ岳の麓にも拠点があり、御代田(みよた)町でも新拠点を準備中。今回採用される暮らしアドバイザーは、新拠点での勤務になる可能性もあるとのこと。
どちらの職種も経験は問いません。生きること、暮らすこと、それを仕事にすることに素直で、工夫しながら愉しめる人に来てほしいです。
山梨との県境、標高900mから1500mほどに位置する長野県原村。
小淵沢駅から車で20分ほどのところに、アトリエデフの八ヶ岳営業所がある。
もともと藪だった場所。それを代表の大井さん夫妻が伐採するところから始めた。
林のなかにポツポツと小屋が点在して集落のよう。霧雨も相まって、人の手と自然の境界線が曖昧な雰囲気。

「小屋は営業や設計など、それぞれの部署の作業場なんです。すぐ隣にはモデルハウスもありますよ」
「その真ん中に積み重なっているのは薪で。これで一年分くらいかな。毎年春には、木こりさんと一緒に近くの森を全社員で協力して間伐するんです。運んできた薪を割るのは、新入社員のはじめの仕事になります」
案内してくれたのは、専務の戎谷(えびすたに)さん。

「あ、もうそろそろお昼です。かまどご飯、よかったら食べていってください」
アトリエデフでは、週に3日お昼はみんなで一緒に食卓を囲む。
それぞれの部署の小屋から、スタッフのみなさんが事務所へわらわらと集まってくる。
料理は暮らしアドバイザーをメインに、手の空いた人で担当している。今日は、インターンシップに参加している学生さんがご飯を炊いてくれた。
大皿に盛られた野菜のチャプチェとポテトサラダに、ご飯とお味噌汁。熱々なうちに、いただきます。

「味噌も大豆を育てるところから手づくりしているんですよ。ここで1日分の野菜を摂取してる気がしますね」
隣に座ったスタッフさんが教えてくれる。たわいのない会話が自然と弾み、仕事の話は出てこない。大きなテーブルをみんなで囲んで食事。活気ある空間にいると、元気が湧いてくる。

「いつもより黙っていたり、元気がなさそうだったり。一緒に過ごすと、その人が今どういう状態か伝わってくる。変化に気づいてフォローし合える、そういう時間にもなっていると思います」と、戎谷さん。
「デフのお客さんはファミリー層も多いです。モデルハウスや事務所を案内して、こうやって一緒にご飯を食べることもあって。そういうとき、普通子どもって飽きてすぐに帰りたがりますよね。でも、デフに来ると全然ぐずらないんですよ。自分の家みたいにくつろげる、独特の雰囲気があるんだと思いますね」
手がける家にどんな素材を使っているか、説明することも大事。でもやっぱり住んでみないとわからないこともある。そのためアトリエデフでは、モデルハウスに宿泊可能。体験を通して、家の空気感を味わったり、暮らしをイメージしたりできるようにしている。

デフが大切にしているのは、自然と循環するような家づくりと人の暮らし。家に使う素材だけでなく、畑で野菜を育ててみる、生ごみはコンポストで堆肥に返還するなど、自然との繋がりや巡りがある暮らし方を提案している。
「無理に押し付けることはしません。取り入れられる範囲で楽しんでもらう。そうやって少しずつ環境負荷を減らしていく。できることから始めよう、ということは大切にしていますね」
戎谷さんも、働くうちに自然と暮らしの繋がりを実感したひとり。
「15年くらい前、土壁やたたき土間を取り入れた家をつくったことがあって。数年後に施主さんから依頼を受けて一部をこわしたとき、出てきたのは土だけでした。畑に撒けば終わり。何もゴミが出ないじゃん、って感動したんですよ」

アトリエデフの家づくりは、自然素材の優しさや心地よさだけでなく、こわした後の循環や未来のことまで見渡してつくられている。その軸がブレないから、お客さんとのコミュニケーションもスムーズに進んでいく。
「デフの考え方に共感して来てくださる方でも、暮らしやすさを考えて『システムキッチンを入れられますか?』と迷われることもあるんです。でも、デフだからできませんってお伝えすると、『ですよね!』って3秒で納得してくれるんです」
その代わり、水に強い桜の無垢材などを使い、職人がオリジナルのキッチンをつくる。暮らしアドバイザーは、そうした自然の循環を大切にする家づくりをお客さんに伝え、設計スタッフが図面へ落としていく。
これから加わる人も、そんな価値観にうなずける人だといい。
「デフでこういうことがやりたいと、イメージを持っていてほしいですね。たとえば会社の畑を使ってイベントを企画してもいいし、設計なら自分の好きな建築の要素をデフ流にアレンジして盛り込むのもいい」
「僕ら自身、自然と循環する暮らしは大事にしているけれど、そのうえでその価値をどう広げていくか。自分で道筋をつくっていける人なら、やりがいがあって楽しい場所だと思います」
入社3年目の暮らしアドバイザー髙島さんは、業界未経験で加わった人。
「もともと家づくりに興味があったわけではなくて。でも、建てるなら絶対にデフのような自然素材の家であるべきだと思ったんです。家に使われている素材から罪悪感なく自信を持って提案できるのが、すごく心地いいんですよね」

大学では外国語学部に在籍。海外への関心はあったものの、たまたま受講した授業をきっかけに、日本の農業や地方の暮らしに目が向くようになった。
「長期休暇で、農家さんの手伝いで住み込みをしたとき、なんでも手づくりして自分の力で生きている姿がすごくかっこよく見えて。生きる力を身につけたいと、卒業後は全国の農家さんを巡ってお手伝いをしていました」
けれど、場所を転々とする暮らしでは、その土地の季節のめぐりや暮らしを十分に知ることはできなかった。
どこかに腰を据えて暮らしてみたい。そんなとき、アトリエデフに出会う。
「かまどでご飯を炊いたり、薪割りや草刈りをしたり。デフで体験して身につけた知識や暮らしの工夫が、そのまま施主さんへの提案につながる。暮らすことと働くことが地続きになっているのが魅力だと思います」
暮らしアドバイザーの仕事は、モデルハウスの案内や見学会・季節の手仕事ワークショップの企画・運営、SNSでの発信、 HPや広報物の制作・管理。そして引き渡し後の暮らしまで長く伴走していくこと。

「丁寧な暮らしをするのが仕事、というイメージはちょっと違うかもしれません」と、髙島さん。
「パソコン仕事や細かい事務作業も多くて、マルチタスクなんです。最初はどのタスクから手をつけるべきか、頭の整理やスケジュール管理が大変でしたね」
たとえば、見学予約や施主からの問い合わせメールを返したり、雑誌広告の出稿に向けて外部のデザイナーや編集者とやり取りをしたり。引き渡しまでの式事の準備や、イベントの準備も並行して進めていくことになる。

スケジュール管理の大変さもあるけれど、さまざまな場面で施主と関わるポジションでもある。だからこそ家を引き渡した後も関係性が続いていく。
「デフに来られる施主さんは9割以上が移住者です。だから家づくりだけじゃなく、ここでの生活全般のサポーターみたいな感じなんです。『軽トラ借りられますか?』って連絡が来たり、用事のついでに遊びに行ってご飯をごちそうになったり(笑)」
「施主さんに草刈り機や耕運機の使い方、薪割りを教えたこともあります。暮らして数年後にはご自身で田畑を耕されていて。遊びに行くと逆に教えてもらうことも多いんですよ」
最後に話を聞いたのは、設計スタッフの髙橋さん。新卒でアトリエデフに入社し今年で10年目になる。
「暮らしアドバイザーが最初にデフの理念や自然素材の思想をしっかり伝えてくれているので、施主さんとのミスマッチが起きにくいんですよね。だから設計も自由度が高く、自分のやってみたい提案を盛り込めるのが楽しいです」

「当時は正直、住宅業界に強いこだわりがあったわけではありませんでした。でも、どうせ家を建てるなら環境にいいものを扱いたいと思って出会ったのがデフだったんです。入社して自然素材の家づくりを知っていくうちに、自分自身の暮らしや価値観も変わっていきました」
最初の1年ほどは先輩のサポートに入り、図面制作や申請業務などの実務を学びつつ、イベントの手伝いや日常のかまどご飯づくりにも参加。
部署の垣根を越えて暮らしの原点を体感していくことで、自然と提案の引き出しが増えていった。
たとえば、壁の色付けでも化学塗料は使わない。顔料を自分たちで混ぜ合わせて色をつくり、左官屋さんに何度もサンプルを塗ってもらいながら、施主と一緒に理想の色を探していくこともある。
「職人さんとのやり取りも多くなって、時間もかかりますし、大変。でも、引き渡した後にお客さんに喜んでもらえると、すべてが報われますね」
「ご入居後に遊びに行くと、お子さんが無垢の木や漆喰の壁に描いた落書きもあったりして。住みこなされていく家を見るのも、楽しみなんです」

髙橋さんは、2度の産休・育休を経て復職し、3年前にアトリエデフで自宅を建てた。
「子育てをしながら働くなかで、子どもの健康や安心安全な暮らしへの共感がさらに深まりました。自信を持って本当にいいものを提案できることが、10年間ずっと変わらない私の誇りです」
アトリエデフはいま、長野・御代田で、2027年に向けて新たな新拠点を準備中。
薪割りや土いじりなど自ら手仕事を楽しむ八ヶ岳営業所とは少し角度を変え、自分で手をかけすぎずとも、環境に配慮した暮らしが楽しめるスタイルを提案していくという。
その背景を戎谷さんが話してくれました。
「デフの家づくりを、もう少し世に広く届けられたらと思っていて。自分たちのやれる範囲で価値を高めて、ちゃんとみんなに還元したいよねって」
「数年前、売り上げは伸びていてもみんなが疲れていた時期があったんです。でも、それじゃ誰も幸せになれないですよね。休むときはしっかり休むし、しっかりとした収入もある。いい仕事をするのに、大切なことだと思うんです」

自分たちの手で暮らしをつくり、自然の循環のなかで生きていく。
自分らしく健やかに生きて働く。そしてその価値を、世の中の人と分かち合いたい。そう願う人に、届いてほしいです。
(2026/09/11 取材 大津恵理子)


