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正直に、あたらしく
伊豆で
心地よさをつくる

いまから60万年前、遠くの海にあった火山島が本州に衝突して誕生したのが伊豆半島。

火山活動がもたらした温泉が湧き、独自の景観は「ユネスコ世界ジオパーク」にも認定されています。

1961年の鉄道開通にはじまり、不動産や温泉事業、そのほかあらゆる面で、このまちの暮らしを支えているのが、伊豆急コミュニティーです。

今、転機を迎えていることの1つが不動産事業。

募集しているのは、これまで伊豆高原で生活してきた人、これから暮らしていく人に関わる不動産の営業担当。そして、自分たちにできることを考え開拓していく商品企画を担う人。

不動産や建築に関わった経験があるに越したことはないものの、違う業界での経験を活かすこともできそうです。

これまでの積み重ねを大切にしつつ、これからのあり方を考え、あたらしい風を吹かせていく。

変化していくことを楽しみ、一緒に進んでいける仲間を探しています。



東京から小田原、熱海を通り抜けて向かったのは、伊豆高原。

道路沿いには見慣れたスーパーやホームセンターがあって、生活しやすそうな印象を受ける。

一方、伊豆高原駅のロータリーでは、海を眺める人、足湯に浸かる人、わいわいと観光バスに乗り込む人たちの姿。

日常と非日常がすぐそばにあるのは、観光地であり、別荘も多いこの土地ならではの雰囲気かもしれない。

駅のロータリーの一角にあるのが、伊豆急コミュニティーの事務所。

取材前のご挨拶に名刺を差し出すと、相手のポケットからは名刺でなく、バウムクーヘンが出てきておどろいた。

「あーすみません、間違えちゃった。って、これをやるために、今日、ジャケット着てきたんですよ!弊社が運営している土産物店の『Zushu KIYOTAYA』伊豆高原店で販売しているんです。ぜひお帰りの際にお立ち寄りください」

うれしそうに話すのは、常務執行役員の深津さん。

思わずこちらも笑ってしまい、緊張がほぐれる。

親会社の東急でさまざまな仕事を経験してきたという深津さん。

伊豆急コミュニティーに配属されたのは、1年ほど前のこと。

「数年前に伊豆急コミュニティーの人たちと一緒に仕事をしたことがあり、小学生の夏休みは毎年のように家族で伊東に旅行に来ていたので。もしかしたら、縁がつながっていたのかもしれませんね」

伊豆急行が開通した1961年にはじまった不動産事業。

鉄道を敷設し、土地を開拓して住宅や別荘などの分譲地を販売するところから、水道やガス、観光や宿泊、保険、温泉の供給など。暮らしを支える事業を多岐に渡って担ってきた。

近年では、別荘や二拠点居住、セカンドライフの移住を考えている人からの問い合わせが続いている。

「これまでは、事業を守る、維持継続を目的にしていたようなところがあります。少子化や高齢化などが進むなかで、私たちの時代に新しい流れをつくらなければと考えているんです」

探しているのは、事業の核の1つである、不動産の仲介や売買を進める営業担当。

そして、あらたな不動産事業のサービスをつくる企画担当。

たとえば、あまり使われていない土地や物件を活用することで移住者を増やすような企画や仕組みを考える。今ここで暮らしている人たちと、なにかはじめることもできるかもしれない。

どんな方向に向かって、なにをしていくのか。

伊豆地域がよりよくなるために、自分たちができることを、一緒に模索していきたい。

「これまでの考え方だけを大切にして、これからの未来を考えてしまったらダメ。って思うんです。決まっていることのなかで働くより、最初から関わるのを面白がってくれる人とチームをつくっていきたいですね」

「もちろん生みの苦しみも出てくるかもしれない。失敗もあるかもしれない。だけど、それをチャンスに活かしていけばいいんです。どんどんチャレンジして、突き抜けていくことで、可能性が見えてくるはずですから」



次に話を聞いたのは、事業企画課の加藤さん。

「ちょうど運営しているヴィラの清掃が終わるころなので、見に行きましょうか」と、見晴らしのいいヴィラへ連れて行ってもらう。

大学を卒業したあと、やりたいことが決まらずカナダに向かったという加藤さん。

「就労ビザを発行してくれるバーがあると聞いて向かってみると、待っていたのは中華料理屋の厨房での仕事でした。まともに包丁を握ったことがなかったものの、真剣に向き合ったら、1年ほどでたのしくなってきて」

「やりたいことや夢みたいなものって、経験の先にあるんだろうなって感じたというか。やってみたらおもしろいことって、たくさんあるのかもしれないなって。なにをやっても生きていけるし、天職になり得るなって思っています」

たくましくなって帰国した加藤さんが入社したのが、地元にあった伊豆急行。

この15年間で、駅員や車掌、インバウンドに向けた営業、資産活用に経営管理など、出向を含め7回もの異動を経験。

どの部署でも、自分なりにたのしさを見つけて働いてきた。

伊豆急コミュニティーにやってきたのは1年前のこと。

配属された事業企画課では、空き地を活用してつくる1棟貸しヴィラの企画が、最終段階に入っていたところだった。

「無人型のプライベートヴィラをつくることは決まっていたものの、具体的な設計やサービスの形は固まっていない状態でした。この規模の新規事業に投資をすることが、会社としてもなかなかないチャレンジだったんです」

コンセプトに据えたのが、温泉をたのしむ施設にすること。

温泉のあるテラスとリビングの間を大きな窓にして、つながっているような空間にすることで、1棟貸しならではの時間を提案できると考えていた。

「すごくいいと思っていても、なかなか社内での合意がとれなくて。イメージを言語化して伝えることが、うまくできていなかったんです。自分たちの意思決定が滞ることで、建築会社など、関係する方々にも迷惑をかけてしまって」

早く進めないといけないことはわかっていても、ここだけは諦められない。

頭を抱えていたとき、助け舟を出してくれたのが、デザイナーとしてプロジェクトに参加していた外部パートナーの方。

コンセプトが視覚でわかる絵を起こしてもらったことで、ぐいっとプロジェクトが進みだした。

「外部の方々ともお仕事ができて、本当にいい経験をさせてもらったなと思います。新規事業で正解がないなかで、絶対に諦めたくないのはどこなのか、意思を持って進んでいくことは、今後も大切にしていきたいですね」

試行錯誤を経て完成した1棟貸しのヴィラ「CHILLYU」は好評で、人気の宿になっているそう。

事業企画課では、今後も土地や物件をどう活用していくのか、自分たちにできることを考えていくことになる。

伊豆急コミュニティーがこれからつくっていくのは、どんな場所なんだろう。

「そこでどういう時間を過ごしてほしいかってことが、根底のコンセプトになるんじゃないかと僕は思っています。やりたいことを持ち込むというよりも、周りの環境や住んでいる方々も含めて、ここになにができたらいいだろうかって都度考えていけるといいんじゃないかなって」



最後に紹介するのは、不動産の営業担当をしている佐々木さん。

名刺を受け取るとき、ネイルがパキッとしたスイカ柄になっていることに気づく。

「これをきっかけに会話が弾むこともあって。お客さまとの話の9割は、世間話なんですよ」

地元は伊豆高原駅から20分の漁師町。

学生時代に東京で暮らし、卒業後は伊豆に戻ってきた。

「人と話すのが好きだったので、旅行案内所で働きたいですって入社したんです。そうしたら不動産関連の部署に配属されて、土地建物取引の本をポンっと渡されました。まったくの未経験からはじまって、ずっと不動産部門で働いています」

持ち前の負けず嫌いを発揮して、宅建の資格を取得し、自分でできることを増やしてきたという佐々木さん。

自宅や別荘を販売したいという問い合わせに対応して査定を行い、金額を提示。売却の希望があれば契約を交わし、間取り図をつくったり、写真を撮影して不動産サイトに掲載して買い手を探す。

希望通りの価格で売れればよいけれど、なかなか動かない場合には価格を下げる提案をすることもある。

「交渉するときには、今でも胸がキュッとします。大切な財産に関わる話なので、どれだけやっても慣れてはいけないなって思うんです」

物件を売りたい人と話すのも、買うことを検討している人と会うのも営業の仕事。

別荘を探している人もいれば、あたらしく暮らす場所を求めて訪ねてくる人もいる。

まずはじっくり話を聞いて、場合によっては「この辺りではないほうがいいかもしれない」と伝えることもある。

「お客さまの背中をポンと押すお手伝いをするのが仕事です。うそはつかずに、いかに気持ちよく買ってもらえるか。自分がいいと思うものを売りたいし、後悔してほしくないじゃないですか」

この日は、しばらく使っていなかった物件の区画を確認するため、手入れされていない庭に分け入って、クモの巣まみれになったと笑う佐々木さん。

仕事をするなかで好きな時間について訊ねると、たくさんのお客さんの顔が浮かんでいる様子。

「以前住宅を購入いただいた方と、よくバス停でお会いして。『あなたがここにいると安心する』って言っていただいたこともありました。その方が80代後半になって、お家を買い取りさせていただいたんです」

「買っていただくのは1度きりですが、何年、何十年とお付き合いが続いた先で、その物件を売るタイミングでご連絡いただける。『君が担当でよかった』って言ってもらえたときには、営業として認められたんだなと、本当にうれしくなります」

お客さんといつ、どんな会話をしたのかは、いつも手帳に書いて持ち歩いているそう。

はじめて暮らすまちに佐々木さんのような顔なじみがいることは、安心感にもつながっているはず。

「自分がこうしてもらったらうれしいなってことを、相手にしたくなってしまう。おせっかいが過ぎることもあるんですけどね。それが私の基本なんです」

取材をしていたつもりが、いつのまにか話題は、オススメのごはん屋さんのことに。

話の流れで運動不足だと伝えると、簡単にできるストレッチまで教えてくれた。

大切にしてきた事業を継続しつつ、今までやっていなかったことに挑戦していく。

これまでとは違う発想をして、仕事の仕方を変えていくのは、そう簡単なことではないかもしれません。

一緒に、いい風をつくりだせるかもしれない。

そんな予感がしたら、ぜひ、会いに行ってみてください。

(2026/8/21 取材 中嶋希実)

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