コラム

2013年、大切にしたい言葉たち

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明けましておめでとうございます。日本仕事百貨のナカムラケンタです。

2013年もたくさんの人たちに会い、いろいろな生き方・働き方があることを知りました。そんな中で印象的だったものを紹介します。

建築をあきらめないために、建築家をあきらめた(東京R不動産/林厚見)

東京R不動産の林さんに出会ったのはもう8年くらい前だと思う。2013年で10周年を迎えた東京R不動産も、当時はまだ3年目。けれども知っている人は多く、すでに大人気サイトになっていた。たまたまパーティーで一緒になって意気投合して以来、日本仕事百貨の立ち上げから日々のアドバイスまで、林さんには本当にお世話になっている。

なぜ僕が林さんに相談に乗ってもらうかと言えば、共感できるところが多いからだ。たとえば、建築学科を卒業したのにも関わらず建築家になっていないことなど。ほかにもいろいろなところで「自分と同じだ!」と勝手に思うところがあった。

そんな林さんをお呼びしてシゴトヒトフォーラムを開いた。毎年奈良県立図書情報館で行われているもので、2014年も3月7日(金)8日(土)9日(日)に開催予定。ぼくは3月8日を企画しているところでテーマは「背伸びしないヒト」なのでお楽しみに。

さてさて。2013年に林さんをお呼びしたフォーラムのテーマは「あきらめたヒト」だった。ほかにも日光珈琲の風間さんや北欧、暮らしの道具店の青木さんをゲストに呼んで、「あきらめる」ということについてトークを進める。

その中で出たのが林さんの建築をあきらめないために、建築家をあきらめたという言葉だった。

次に進むときには何かをあきらめないと進めないことが多い。でも今までやってきたことを否定したくないから、前に進めなくなってしまうこともある。そうやって動けないでいると、結局は「今」や「未来」を失ってしまうことになるかもしれない。あきらめるということはとても大変なことだけれども、あきらめないということだって、いろいろなものを失うことになる。

一番価値のあることは、そこに何があるかということよりも、そこにどんな人が集まるか。(NPO法人グリーンバレー/大南信也)

いい場所をつくろうとしたときに、コンセプトとかデザインとか、そういったことも大切だけれども、何よりも大切なことはそこにいる「人」だと思う。

プロデューサーやデザイナーがまちづくりなどに関わって、そのままハコや仕組みをつくったとしても、いなくなったらストップしてしまうかもしれない。けれどもそこに「人」がいる限りは、スピードはゆっくりだとしてもちゃんと続いていく。

四国神山はまさにそんな場所だと思います。まず覚悟を持った人たちがいる。だからこそ20年以上かけて、今では多くの人たちが集まる場所になったのだと思います。

一番価値のあることは、そこに何があるかということよりも、そこにどんな人が集まるかは四国神山のグリーンバレーの大南さんの言葉です。まさに人が集まってきているからこそ、魅力的な場所になっているんだと思います。

鹿屋市の地域おこし協力隊の取材でも、市民活動推進課の原田課長に「仕事の楽しいことは?」と聞いたところ、こんな言葉が返ってきました。

「一概には言えないんでしょうけど、そこに『人がいる』ということですよね。」

三浦展さんがリトルトーキョーにいらっしゃったときにもこんな質問をされたことがあります。

「都市とは何か?」

悩んで考えて出した言葉は「人と人との関わり」というもの。これに対して、三浦さんには「正解」と言っていただけました。

まず人がいる。そしてその人たちがつながっている場所は魅力的なことが多いように思います。いい場所にするには、まずは核になるような人に出会うこと。そしてその人をきっかけにして、つながりをつくっていくことなんだと思う。

三重県の南、紀北町という小さな街でデザイン事務所をやっているディーグリーンの東さんは、デザインの仕事をしつつ、地域が元気になることを考えて動いています。

そんな東さんは「地域で生き残るか、地域が生き残るか。大事なのは後者ですよ」と言っています。自分だけが生き残るだけではなく、ちゃんとつながることが大切なんだと思う。そうしたら地域がよくなるだろうし、自分もうれしい。

どうせやるんだったら高いレベルで仕事した方が気持ちいんですよ。(ラ・ボンヌ・ヌーベル/佐々木隆行)

これは京橋のレストラン、ラ・ボンヌ・ヌーベルの佐々木さんの言葉です。求人で取材したときに聞いた言葉です。

あともう一つ。

狂気にも似た一途な想いを胸に抱いて生きろ(鷹匠/松原英俊)

こちらは鷹匠の松原さんの言葉です。こちらも去年の奈良でのシゴトヒトフォーラムのものでした。シゴトヒトフォーラムはシゴトヒト文庫にまとめているので、ぜひ読んでください。

どうせやるなら「高いレベル」で「狂気にも似た一途な想い」をもって働きたいです。

ほかにもたくさんの素敵な言葉をいただきました。ありがとうございました。今年もみなさん、どうぞよろしくお願いします。