株式会社ニューマルジャパン
本社:神奈川県鎌倉市
従業員数:3人
事業内容:アプリ開発を中心とするUXデザイン、お茶とアンダーウェアを展開する自社プロダクト事業
アプリ開発を中心に、UXデザインを手がける株式会社ニューマルジャパン。お茶のサブスクリプションサービス「Nice Tea Meet You」をはじめ、プロダクト事業も展開しています。
そのサテライトオフィスは若草山を望み、町家のまちなみがつづく奈良市紀寺町にあります。
代表の藤井さんは、大学卒業後、国内家電メーカーにデザイナーとして就職。アメリカ・ポートランドのデザインファームでも働いてきた。
その後、株式会社ニューマルジャパンとして独立。UXデザインを中心に、顧客設定からアプリ開発までを一貫して手がけていく。
大企業やスタートアップ企業がもつユニークな技術との出会いが、ニューマルジャパンの世界を広げていく。やがて、モノづくりに近い仕事を志すように。
自社事業としてお茶の試飲・サブスク定期便サービス「Nice Tea Meet You」を立ち上げ。2023年7月には、東京・馬喰町に「Tea + Gallery by Nice Tea Meet You」もオープン。
プロダクト事業としては、アンダーウェアブランド「LOOPWARE」も展開。奈良県産の貝ボタンを使用し、製造も関西で行っている。
藤井さんが、奈良市へサテライトオフィスをかまえたのは2024年のこと。
「きっかけは、関西のお客さんから『お茶に関する事業のパートナーになってほしい』と誘ってもらったことです。いつか東京以外に拠点をかまえたいとは考えつつ、具体的な候補地は決めていないタイミングでした」
オフィス開設に向けて、物件探しがはじまる。
せっかく地方に拠点をかまえるのだから、その土地になじむ空間がいい。不動産仲介サイトで賃貸物件を検索するものの、思い描く物件は見つからない。
そこで古民家というキーワードで調べていき、この物件と出会った。
町家の風情を活かしつつ、机とテーブルのライフスタイルを取り入れやすい。これまで集めてきた家具とも絶妙に調和する。床暖房が設置されているから、一年を通じて快適に暮らせる。そんな「現代の町家暮らし」があった。
さっそく内見を行うと、想像以上。予算は超えていたけれど、ここを起点にビジネスが広がる予感があった。
「自分たちの滞在拠点、商品撮影を行うスタジオ、お茶のワークショップを開く会場。それらをこまごま借りることを考えたら、ここで一通りできそう。それに、今回のインタビューのようなつながりも生まれていますし」
収納がたくさんあることも、商品在庫を管理する上ではうれしいポイントだった。
東京以外の拠点を考える上で、もともと奈良を候補に挙げていなかった藤井さん。
第一候補は京都。現地を歩くと、想像以上に観光客が多い。その環境に引っぱられて、プロダクト事業をインバウンド向けに展開してしまいそうな予感があった。
そこで訪ねたのが奈良だった。奈良公園を歩いたとき、自身のイメージとぴったり重なった。
「オーバーツーリズム以前の京都がありました。なんだか、計り知れないものを感じたんですね」
「もっと自然豊かなエリアに住むことも考えたんですが、ひきこもってしまってもいけない。特にお茶に関しては、大都市圏のお客さまが多い。イベント出展に関しても東京をはじめ、関東が中心。その接点は保っておきたくて。奈良市はちょうどよかったんです」
主な移動手段は自転車。渋滞の心配もなく、ならまちや近鉄奈良駅周辺にはちょうどよい。最近は奈良の陶芸である赤膚焼の窯元へ出かけた。奈良は靴下の産地でもある。いろいろと巡ってみたい。
結びに、藤井さんがデザインを志したきっかけを紹介します。
「高校生のとき、地元佐賀で空港建設の計画が持ち上がりました。そこで美術の先生が話したんです。『空港は福岡に任せ、空港行きの鉄道をつくるのはどうだろう?』『そうして、人の生活を描く仕事がデザインです』って。それが原点です」
これからニューマルジャパンはどのように人の生活を描くのか。とても楽しみです。
(2024/10/30 取材 大越はじめ 撮影 奥田しゅんじ)