株式会社ウダツは、あと10年をひと区切りとして、これからの働き方を全員で考え始めています。
10月に行われた合宿に、私たちシゴトヒトも参加し、代表の宮島さんから、ひと区切りをつける決断の背景や思いを聞きました。
その内容は前編でお届けしています。
宮島さんの話を聞いたあとは、2人1組で感想や質問を共有し合う時間。
ひと通り話し終えてからは、全員で感想や質問を持ち寄って、議論を深めていきました。
後編は、社員からの問いに対して、宮島さんが一つずつ返していく時間の記録です。
ウダツでは求人も募集しています。興味を持ったら、ぜひご応募ください。
ケンタ:
いろいろな投げかけが出ましたが、宮島さんがまず話したいものはありますか。
宮島:
「ウダツの営業として期待している役割とは?」という問いがありましたね。
僕の理想はApple Storeの接客なんです。
いかに使いやすくて優れているかを伝えるだけでなく、他社商品と比較して劣っている点も同時に語ります。特典やキャンペーンで急かすことはしない。
接客を受けたお客さんは、暮らしの中でApple製品を使っているイメージが明確になったら自ら勝手にほしくなっちゃう、みたいな。
ウダツの営業は、見学にきた人へのヒアリングから始まります。
その人の趣味、物の量、家事の進め方などの情報から、物件を買ったあと、ここでの暮らしをはっきりと想起できるように客観的で正確な説明をするだけ、という接客を目指しています。
良さを伝えながらも、押し付けることはしない。必要な人に適切な情報がきちんと届けば、あとから買いたいですって言ってもらえる。
そんな営業が理想だなって思います。
ケンタ:
なるほど。いいものなら押し付けなくても売れていく。
宮島:
そうですね。だから商品への愛着と顧客目線での理解が大切。あとは、お客さんからの感謝や満足の声が、自分の喜びにつながっていたらベストかな。
ケンタ:
続けて、「これからの10年をどのように過ごしていくといいと思いますか」という問いについて考えていきましょうか。
ある人は「10年後は55歳だ」っておっしゃっていましたね。だんだんと転職できる年齢は上がってきているものの、55歳での転職は本人にとっての負担は大きいかもしれません。
宮島:
もし僕が同じ立場だったら、できるだけ早めに退職して次を探すっていう可能性が高いなって思うんです。だから退職という選択肢もやむなしというか。その人にとって良い選択を選んでほしいです。
ケンタ:
そうですよね。ただ、そうなると10年より早い段階で転職しちゃいますよね。
10年後に辞めるというメッセージだけだと、10年続かないんじゃないかとも思うんですよ。その後も続く見通しがあれば、はじめて10年は続けることができるのかな。
ケンタ:
10年後もウダツで働きたいと思っているときはどうすればいいでしょうか。
宮島:
もし多くの人が10年後もウダツで働きたいと思ってくれているのであれば、5年目くらいから事業承継に向けて真剣に動き出します。継承候補の投資家の合格点を100点中70点くらいに下げてでも、お願いするかもしれません。
僕はできたらこれからの10年はここにいるメンバー全員で、あるいは案件が増えたぶんだけ新しく採用するメンバーでやっていきたいと思っているんです。
ケンタ:
そういう気持ちがあるんですね。
宮島:
あります。ただ、一人ひとりの人生を考えたときに「10年でスパッと辞めるのでそこから転職を考えてね」というのは都合が良すぎるので、5年目くらいで転職するのがベストだと考える人がいれば、それは尊重したいんです。自分でもきっと同じ選択をするはずだから。
ケンタ:
じゃあ、それぞれの人を尊重するというか、一人ひとりの人生を拘束したくないからこそ、これまでのような言い方になっているけど、働き続けてくれるのはうれしいんですね。
宮島さん:
うれしいですね。
ケンタ:
うれしいのですね!それは初めて聞いた言葉でした。宮島さんは前提として、それぞれが自立した方がいいだろうっていう価値観なんですかね。
宮島:
そうです。
ケンタ:
なんて言うかな。迷惑はかけられないという気持ちがあるから「やむなし」という伝え方をしたけれど。働き続けてくれる、引き継いでくれるのはうれしいっていうのは、同じ経営者として、なるほどなって思いました。
ケンタ:
今年初めて、数値目標が設定されたんですよね。
「お互いの仕事が見えてない部分もあるので、仕事の内容を共有しながら業務効率を上げていきたい」という声もありました。
宮島さんの頭の中には具体的な道筋があっても、メンバーには見えていないということもあるかもしれません。ここはどう考えていますか。
宮島:
これから丁寧に共有していかないとな、と思っています。
売上を増やすためには、つくっていく物件数を増やす必要があります。そのためには採用を進めたり、外部の協力者を増やしたりしないといけないので、そこからですね。
ケンタ:
ちなみに数値目標を設定した理由ってなんでしたっけ。
宮島:
まずは再来年までに社員の平均年収を1000万円にしたい。その2年後までには全員に1000万円以上を支払いたいというのが理由です。
さっきの話に戻りますけど、10年後に会社がなくなってしまうのであれば、早く転職しようと思うのは当然で。
ただ、ウダツで10年働くと転職するよりも報酬がすごく良いという状況をつくって、10年間でどれくらいお金が貯まるのかわかれば、貯まったお金が次のステップに役立つと思うんです。
「税前利益の何パーセントをボーナスファンドにする」ということもメンバーに約束しています。今年も6月に約束したボーナスを支払うことができました。
売上が倍になれば一人ひとりに支払える報酬が上がることは明確なので、そのための数値目標です。
ケンタ:
みんなの年収を上げたいってことなんですね。「自分はウダツが好きだけど、そこまでガツガツ働きたくない」っていう人がいたらどうしますか。
宮島:
その場合は、その人の業務量を減らして新しい人を採用するんだと思います。たとえば、結婚して子どもが生まれてフルで働けないとか、それぞれの環境の変化もありますし。
ケンタ:
仮に、全員が「1000万円はもらわなくていいからほどほどに働きたい」という考え方だったらどうしますか。
宮島:
もしそうだったら方針は変えるかもしれないですね。これまでと変わらない量の案件を対応していくスタイルに戻すかもしれない。
ケンタ:
うんうん。そこはこれから話していきたいですね。
ケンタ:
あとは70歳以降の過ごし方についても質問がありました。イメージがつかないとおっしゃっていましたが、あえて挙げてみるとしたらどんなことをしたいですか。
宮島:
うーん、たぶん違う仕事を始めるかな。
ケンタ:
始めちゃうんですね。
宮島:
きっと働きたいんでしょうね。ほかにやることないし(笑)
ケンタ:
たとえば、なんだろうな。畑仕事をしたいって言ったら「なるほどな」と思うんですけど、別の不動産会社をつくっちゃうんですか。
宮島:
いや、ラーメン屋とか居酒屋とかをやりたい。
一同:(笑)
宮島:
最後に勤めた会社からの退職金を元手に、レストランやりたいなと思ったんですよね。それで、飲食開業希望の人を集めたスクールに1年間通って本気でやろうとしたんです。
でも、飲食業界の内情を知るほど、うまくいかなかった場合のリスクが大きいことがわかって。
飲食をやるとしても、自分の得意な不動産を軌道に乗せてからにしようって思い直しました。
たまに、自分の心がゆさぶられるような飲食店に出会うことがあるんです。
たとえば、溜池山王に大福屋さんがあって。
その大福屋さんはおじいちゃんの代から、みたらし団子と塩大福だけ。ジャージを着て、親子三世代で、朝6時台から餅をついて餡を詰めてるんです。
それを黙々と60年続けている。こんなに大きくて、絶妙な塩加減と上品な餡がたっぷり入って210円で、昼前には毎日完売。
地元の人や近所のOLからこよなく愛されてるんですよ。
そういうお店を見ると、その職人気質や長く続けることのすばらしさに、「なんかちょっと負けたな」「すごいな、尊いな」って感じます。
ケンタ:
これ、僕の個人的な意見なんですけど。
集合住宅の大家さんになるのはどうですか?たとえば、若い人に安く貸すみたいなこともいいなって思いました。
管理人さんや業務員さんみたいなポジションって大福屋さんに近いかもしれないと思って。
宮島:
それはいいかもしれないなあ。シェアハウスの管理人とかやってみたい。
ケンタ:
気に入った若者にしか安く貸さない。宮島さんが大家で、物件の管理はウダツが行うとか。
宮島:
それはやりたいね。だって、自分が見込んだ若者10人が1つの建物に集まっているんでしょ?そいつら同士も話し合うはずだろうし、そういうのはいいね。
ケンタ:
自然豊かな場所に主たる拠点があるけど、週1回くらいはその集合住宅で生活してもいいかもしれないですね。
宮島:
いいんですか、泊まっちゃって(笑)。
ケンタ:
持続できる収益性が確保できればいいんじゃないですかね(笑)。
ケンタ:
さて、そろそろ終わりの時間が近づいてきましたが、最後に伝えたいことはありますか。
宮島:
この時間を通して、これからの10年をどうするのか考えるきっかけになったという印象はみんな持ってくれたと思います。
5年後にいなくなられたら寂しいし、いてもらったほうが良いに決まっているんだけど、そのときはなんとかするので大丈夫です。
もしかしたら人が減ることによって目標を下方修正しなきゃいけないかもしれないし、新しく人を採用できればそのままいけるかもしれない。
30〜40代からの10年をウダツで働くのか、別の道に進むのか真剣に考えて、ベストな選択してほしいなって、みんなの感想を聞いてほんとに思いました。
宮島さんの話を聞いたあとは、それぞれが紙に感想を書く時間をつくりました。それを全員で読み合って、コメントを書くワークをもって2日間の合宿は終了。
「これからの10年、その先の10年を考えなければいけない時なんだと、改めて実感しました」
このような声が、社員のみなさんから多くあがりました。
これからは一人ひとりがどうしたいか考え、選択していくことになるのだと思います。
宮島さんの感想には、「その人にとって最良の選択ができるように、10年間の関わり方を工夫し努力するようにふるまいます」と書かれていました。
これからも日本仕事百貨では、ウダツの今後を追っていきます。
対話を積み重ねていった先で、10年後のウダツはどうなっているのでしょうか。
株式会社ウダツでは新しいメンバーを募集しています。これからのウダツで働く経験は、自分自身の生き方や働き方をより深く考える機会にもなるはずです。
興味がある方はぜひご応募ください。
2025/10/11取材
聞き手 ナカムラケンタ
編集・撮影 長島遼大
デザイン 浦川彰太