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建築卒って、コンテクストを大切にするんです。神経質なくらい。
そのまま訳すと「文脈」とか「脈絡」みたいな意味。たとえば、周辺環境の形態や歴史、風土を観察し、そこから設計していくということ。
たとえば、「いいな」と思ったシャツがあっても、他の服とのコーディネートを考えたり、将来の自分の変化まで予測することに近いかもしれません。
なぜ建築学生はそんなにコンテクストを読むのか。それはめちゃくちゃ指導されるからです。そのため、いつしか当たり前になり、気がつけばすっかり身体が覚えて忘れられなくなってしまう。
さらにコンテクストを追求していくと、必然的に建築という領域からはみ出してしまいます。なぜなら世界は建築以外にも広がっているから。
考えれば考えるほど、ビジネスやエンジニアリング、インターネット、ソーシャルというように、広がっていってしまう。
だから建築卒だけど建築にとどまっていない人たちは、よりコンテクスト重視なんじゃないかと思うわけです。
建築卒の太刀川さんも、きっと自然に世界が広がっていき、世界をつなげるデザインをしてきたんじゃないか。
同じく建築卒の僕も、文章を書くときもプロジェクトを立ち上げるときも、ついついコンテクストを考えてしまいます。全体と部分の関係を考えて、なめらかにつくりたい。
太刀川さんの10の中にも、きっとコンテクストがあるんじゃないかと思います。それは顕在化していない部分もあるはず。
何度も読んだ本、心に残る旅、転機となった仕事、大好きな場所。
映画、店、言葉、音楽、建築、デザイン、学校、失敗、人。
どんな10が出てくるでしょう?
今夜は10人が聞いたら、10のコンテクストを発見できるような時間にしたいです。
宝物を発見するように、コンテクストを見つけてください。そして感想や質問などシェアいただけるとうれしいです。
(配信後記)
配信が終わったあとに、印象に残ったことを書きます。理想は直後に、酔っ払ったらまた後日に。
太刀川 英輔(たちかわ・えいすけ)
NOSIGNER代表。デザインストラテジスト。慶應義塾大学特別招聘准教授。ソーシャルデザインで美しい未来をつくる(デザインの社会実装)発想の仕組みを解明し変革者を増やす(デザインの知の構造化)この2つの目標を実現するため、次世代エネルギー・地域活性・伝統産業・科学コミュニケーションなど、SDGsに代表される分野で多くのデザインプロジェクトをマルチセクターの共創によって実現。プロダクト・グラフィック・建築・空間・発明の領域を越境するデザイナーとして活動する。グッドデザイン賞金賞(日本)アジアデザイン賞大賞(香港)など100以上の国際賞を受賞し、またグッドデザイン賞・DIA Award(中国设计智造大奖)・WAF(世界建築フォーラム)など多くの国際賞の審査委員を歴任する。主な仕事にOLIVE・東京防災(東京都)・山本山・横浜DeNAベイスターズ・YOXO(横浜市)・MOZILLA FACTORY・aeru・越前漆(鯖江市)など。また、デザインや発明の仕組みを生物の進化から学ぶ「進化思考」を提唱し、デザイン教育者として日本の大企業・行政・社会起業家のセクターの中に変革者を育成している。
ナカムラ ケンタ(なかむら・けんた)
生きるように働く人の求人サイト「日本仕事百貨」代表。シゴトヒト文庫ディレクター、グッドデザイン賞審査員、IFFTインテリアライフスタイルリビングディレクターなど歴任。東京・清澄白河「リトルトーキョー」「しごとバー」監修。誰もが映画を上映できる仕組み「popcorn」共同代表。著書『生きるように働く(ミシマ社)』。2020年には事業承継プロジェクト「BIZIONARY」スタート。