イベント


自分のくつひも結び直す
みやぎ暮らし
はじめの一歩DAY

「『実はこんな暮らしがしたい』『新しいことをしてみたい』。そんな一人ひとりの思いが動き出す一日になれたら」

真ん中でそう話すのは、宮城県庁の渡邉さん。

11月21日に東京で開催される「みやぎ暮らし はじめの一歩DAY」の参加者を募集します。

渡邉さんは小学6年生のとき、地元である気仙沼市で東日本大震災を経験。地域のためになる仕事をしようと、県庁へ。2025年には「みやぎ移住・交流フェア」を担当した。

「県内35市町村の担当者さんはほんとうに一生懸命まちのことを伝えようとしていて。宮城出身のわたし自身にとっても、魅力を再発見するきっかけになりました」

一方で「移住・交流フェア」というタイトルには、どこか重さも感じる。まずは気軽に会場へ来てほしい。そこで「みやぎ暮らし はじめの一歩DAY」へとイベントタイトルをリニューアルすることに。

「宮城から集まるまち、仕事、人との出会いから、自分の“くつひも”を結び直し、はじめの一歩を踏み出す。そんな一人ひとりの思いが動き出す一日になれたらうれしいです」 

イベントに先がけて、出展する2社を訪ねることに。東京駅から東北新幹線に乗り、90分で仙台駅に到着した。

ここで、イベントを受託するふるさと回帰・移住交流推進機構の浅野さん、佐藤さんと合流。普通列車に乗り換えて、大崎市に向かう。

左に座る佐藤さんは秋田県出身で「宮城は東北の東京なんです」と教えてくれた。

「秋田も、大学で進んだ北海道も面積が大きいから、宮城はコンパクトに感じます。仙台から1時間で塩釜も、石巻も、白石にも行ける。それが私は楽しくて」

佐藤さんは、2026年8月にセンターへ転職したばかり。前職は、新卒で入庁した宮城県の松島町役場。2025年に行われた「みやぎ移住・交流フェア」には出展者として参加した。

一方の浅野さんは、2025年にふるさと回帰移住交流推進機構に入職、今回のイベントは、はじめてメイン担当として企画書の作成から携わっている。

「このイベントを通して見える宮城は、皆さんそれぞれ魅力に気づいていて、地元愛や地域に誇りを持っていらっしゃる印象が私はあります」

「今年度は8、9、10月と宮城に来ています。繰り返し訪れるなかで、地元・岡山県との重なりも感じて、宮城暮らしはいいなと思いはじめているところです」

やがて電車は、古川駅に到着した。東北新幹線も走るこの駅で宮城県庁の渡邉さんと合流。ここから車で20分ほどで、株式会社一ノ蔵へ到着する。

日本酒の年間生産量はおよそ8000石。全国でトップ20に入る規模でありながら、4階建ての蔵では、甑(こしき)での蒸米、箱麹法による麹造りなど、人の五感をたよりに手づくりの酒造りが行われている。

「宮城県内の4つの蔵が合併した1973年創業の新しい酒蔵で、一ノ蔵の「一」は、ナンバーワンではなくオンリーワンを意味しています」と話すのは、一ノ蔵の髙橋さん。蔵人を経て、現在は総務を担当している。

「この建物には水道が通っていません。全部松沢水系の地下水なんです」

大崎市松山地区に酒蔵を建てたのは、おいしい酒造りに欠かせない水と米に恵まれているから。大崎市は、2017年には世界農業遺産「大崎耕土」にも認定された米どころ。

一ノ蔵では、原料米の98%以上に宮城県産米を使用している。宮城の米を買って酒にするだけではなく、農業をつうじた地域づくりと酒造りをつなげている。

地元農家と「松山町酒米研究会」を立ち上げ、地域との連携にも力を入れている。また自社で一貫して、田植えから稲刈り、酒質設計、醸造まで関わる「イチからはじめるイチノクラ」という取り組みも行う。

「一ノ蔵の特徴は、手づくりにあります。とくに米麹づくりは、丸2日間夜通し作業をおこない、特に積み替えや温度調節は、深夜から朝にかけて2時間おきに行います。手間も人件費もかかるので、全国的に機械化が進んでいます」

120名がはたらいており、そのうち日本酒の製造を行う蔵人(くらびと)は30人。一ノ蔵という全国ブランドに惹かれて、県外からやってくる人も。全員が未経験からのスタートだという。

手づくりは職人の勘や経験が反映される世界。時間をかけて自分の感覚を磨く身体性のある仕事に誇りを感じている。

「たとえば蒸し米の温度調整。温度計では1点しか測れないため、瞬時に温度調整の判断をすることができない。そこで蔵人は自身の感覚を研ぎ澄まし、手で温度を測ります。それから米の浸漬時間。その日の気温や湿度によっても変わりますが、吸水状態は目視で確認します。蔵人自身がセンサーになって、調整するのがおもしろいところです」

髙橋さんは地元の人かと思いきや、東京出身の移住者。新卒で入社して23年目で、移住後に結婚して家も購入。けれど、もともと宮城にはあまり縁がなかったという。

「移住前は『仙台って宮城?』ぐらいの理解度でしたが、意外と自分には合っていたなと。なにより東京でマンションを購入して、暮らすイメージが持てなかったんです。田んぼがあって、水がきれいで、日本酒に合う魚があるところがいいなって思う。来てみてすごくよかったな」


採用についても積極的に取り組んでおり、2025年度は新卒・中途合わせて9名を採用。一人前の蔵人をめざすキャリアも、酒造りを支えるキャリアも選択肢はいろいろ。

今回のフェアにはどんな思いで参加するのだろう。

「採用しにいくというよりは、この記事を読んでくれた人と話してみたい。すぐには就職や移住につながらなくていいから、はじめの一歩をどうぞ」

古川駅へ戻り、帰りは東北新幹線に乗る。仙台駅へは12分で着いた。2社目は、仙台駅から徒歩15分のビル6階にある株式会社ワイヤードビーンズ。

県庁の渡邉さんが自身で見つけた企業だ。

「『宮城 IT UIJ』で検索して、ヒットしたのがワイヤードビーンズさんでした。東北本社で、グローバルに活動するIT企業を探していたんです。ぜひ出展いただきたい!と思いました」

代表の三輪さんが、親の体調不良をきっかけにUターンして2009年に創業。デジタルソリューション事業とものづくり事業の2本柱で展開している。

約50名の社員のうち、40%がUIJターンで、その一人である秋田出身の越前さんに話を聞いた。

東京のIT業界で10年間働いたのち、2022年に転職した。

「きっかけは家探しでした。妻は青森県出身で、2人とも家といえば戸建てのイメージ。マンションという選択肢はありませんでした。とはいえ東京の家はすごく高くてちっちゃい。そこで転職活動をはじめました」

スポーツメーカー、コスメ、アパレル…。だれもが聞いたことのある日本のナショナルブランドからグローバル企業まで。ブランドサイトを、宮城本社でつくるのがワイヤードビーンズだった。

「東京の二次請けではないことに驚いたんです。仕事をあきらめなくていいんだ、とうれしくて」

生活はどう変わったのだろう。

「東京時代の電車通勤時間は50分でした。板橋から品川へ通勤して。品川駅の港南口から数えきれない人が歩いてビルに吸い込まれていく。その一人だったわけです。一方の仙台市はコンパクトシティ。オフィス周辺は都市感がありつつ、家のあたりはもう自然で落ち着いてゆったりしていて。ちなみに電車通勤時間は15分です」


会社の規模も変わった。

「入ってみて思ったのは、自分が影響できるんだなということ。数万人が勤める企業だと、自分一人の影響力は限られます。でも今の会社だったら、自分が動かせないこともない。そこはチャレンジしたくて」 

むしろ転職したことで、インプットは増えた。セールスフォースのパートナーとして行うデジタルソリューション事業。つぎつぎリリースされる新機能をグローバルの最先端で捉えていくことも勉強。

かと思えば、ローカルの足元はまだまだ紙文化が根強い。そうしたなかで、地元企業のDX支援にも取り組む。

そんなワイヤードビーンズには、もう一つの顔がある。それは、グッドデザイン賞を受賞した「生涯を添い遂げるマグ」「生涯を添い遂げるグラス」を展開する自社事業だ。商品の企画から出荷・販売といったマーケティング全般や事業運営において、自社でもセールスフォースを活用している。みずから実践している経験があるからこそ、お客さんへの提案も地に足がつく。

ちなみにAIについてはどう考えているのだろう。

「リスクでありチャンスでもあります。そうしたなかで、わたしたちの仕事には『共感』が大切だと考えているんです。お客さまの事業に伴走し、言葉にできていない潜在的な困りごとを受け取り、提案していける共感力です」

担当する3人は、宮城県内でたくさんの人と出会い、ともに準備を進めている。

最後に、3人の言葉を紹介します。

「一人ひとりの 『こんな暮らしがしたい』『新しい挑戦をしてみたい』という思いに寄り添いたい。移住という選択肢のなかった人が、思いがけない一歩を踏み出すことがあります。『宮城ってどんなところかな』『どんな人が働いているんだろう』という小さな好奇心が、もう十分立派な第一歩。みなさんの『はじめの一歩』を応援する準備はバッチリ整っていますので、ぜひ楽しみにしていてください!」

(2026/10/08,09 取材 大越元)

【イベント概要】
みやぎ暮らし はじめの一歩DAY
・日時 2026年11月21日(土) 11:00~16:00
・会場 東京交通会館12階 ダイヤモンドホール(東京都千代田区有楽町2-10-1)
・参加費 無料
・事前登録制(※当日参加も可能ですが、事前にご登録いただくとスムーズにご入場いただけます)
・入退場自由

【申込方法】
下記ボタンよりお申し込みください。
https://app.spot-recorder.jp/910356_miyagi-iju2026/regist/

イベントページから申し込む