波佐見のまちについて

今回の舞台となる波佐見町は、どんなまちなのか。長崎在住の編集者で、今回のプログラムにも帯同する中川がご紹介します。

波佐見町の人口は約1万4千人。長崎県内では唯一、海に面していないまちです。

そもそも、なのですが、長崎県には大村湾と呼ばれる大きな湾があることを知っていますか? ぼくは引っ越してくるまで、まったく知りませんでした。

よければ地図を開いて見てみてください。長崎、結構変わった形をしているんです。

雲仙・普賢岳のある島原半島が突き出ていたり、壱岐・対馬や五島列島などの離島がたくさんあったり。そのなかで海に面していないというのがどれほど特殊なことか、なんとなく想像していただけるはずです。

もうひとつ、波佐見町にないのが鉄道です。車さえあれば、博多まで1時間半もかからずに行くことができるのですが、公共交通だと電車やバスを乗り継いで、2時間以上かけて向かうことになります。

長崎空港からだと、車で50分ほど。波佐見町で暮らしていくことを考えるなら、車は必須と言っていいかもしれません。

一方で、温泉やお茶で有名な佐賀県嬉野市、同じく焼き物の産地である佐賀県有田市や伊万里市などにも近く、お隣の佐世保市まで行けば離島へのフェリーも多く出ているため、車さえあればいろんな楽しみ方ができるまち、とも捉えられます。

さて、そんなまちを車で走っていてよく見かけるのが、やはり焼き物関連の会社の看板です。人里離れたところにぽつりぽつりと佇むお店や工場もあれば、5メートルごとに「〇〇陶器」の文字が見えるような、密集した地域もあります。

「中尾山」と呼ばれるエリアには、世界最大といわれる登り窯跡も残っています。急な坂道にショップや民家、工場の煙突がずらりと並ぶ様子は圧巻です。

土地が産業を支え、産業が文化やまちの景観を形づくるんだなあ。波佐見を訪ねるたびに、そんなことを思います。

焼き物の会社が、観光客や地元の人たちに向けた場をつくる事例も増えています。

波佐見において、その先駆けとなったのが「西の原」。かつて産地内で1、2を争う規模だった窯元の跡地を活用して、カフェレストランや生活用品店、器のショップやボルダリング場など、さまざまなお店が集まっているエリアです。

また、焼き物の商社・マルヒロがつくった「HIROPPA」は、公園とショップが一体となった施設。休日には家族連れでくつろぐ人たちの姿をよく見かけます。

GWの陶器市は多くの人で賑わいますし、それ以外の季節にも焼き物のお祭りやマルシェ、昭和初期に建てられた講堂での音楽ライブなど、イベントがよく開催されているのも印象的です。

聞くところによると、波佐見の人は昔からお祭り好きなのだそう。新たな催しだけでなく、地元のお祭りや人形浄瑠璃の文化も代々受け継がれています。

地元での暮らしを、自分たちで楽しくする。そんなスタンスの人が多いので、きっと暮らしていくなかでも、いろんな楽しみを見つけられると思います。

個人的な視点から、波佐見のまちをご紹介してきました。

波佐見町や波佐見焼の歴史に関しては、下記サイトで詳しく書かれています。関心のある方は読んでみてください。

波佐見町歴史文化交流館
焼き物のほか、農業や伝統芸能など、地域としての成り立ちがさまざまな角度から綴られています。
波佐見焼振興会
波佐見焼の歴史や工程について、わかりやすく紹介しています。
Hasami Life
西海陶器株式会社が運営するまちのメディアです。そのなかでも、まちのことを紹介している読みもののリンクをはっています。

 

また、1/9(火)の19:00から、波佐見焼振興会の事務局次長・山下さんをゲストに迎えたしごとバーを開催します。

参加にあたって気になることがあれば、直接いろいろと聞いてみてください。

イベントの詳細は近日公開予定です。

もちろん、実際に現地を訪ねてわかることも、たくさんあると思います。現地でお会いできることを楽しみにしています。