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「コットンやリネンの自然素材からつくられたNATURA(ナチューラ)が好きですね。落ち着いた風合いに、生地感。触れば触るほど愛着がわいてきます。」「ここ、色が違うのわかります?プリーツになってるんですよ。」
スタッフの方に好きな商品をたずねると、とめどなく話が続きます。
一番のファンは、ここで働く人たち自身かもしれません。
クリエーションバウマン(以下、バウマン)は、スイスに本社を置くファブリックメーカーです。
フリードリッヒ・バウマンが創業したのは、いまから128年前のこと。
やみくもに規模を追求するのではなく、自分たちが美しいと思うモノを届けてきました。
従業員数は全世界で約300人弱。現在では、ヨーロッパを中心に世界40カ国に届けられる生地は、いまもスイスでつくられています。
グローバル企業というよりは、世界中に小さなローカルが点在している。そんなイメージかも知れません。
バウマンには、生地に魅せられたスタッフたちが集ってきます。
今回は、日本法人で働く人を募集します。
クリエーションバウマンジャパンは、オーダーカーテンにはじまり、生地やクッション、小物といったインテリアファブリックを販売しています。
テキスタイルに関わりたい。ファブリックが好き。インテリアコーディネートに興味がある。そんな方は、まずは読んでみてください。
モノに一番近い商品部の仕事です。
訪ねたのは、東京五反田の東京デザインセンターにある本社兼ショールーム。
東京デザインセンターには、家具・カーテンから照明まで、さまざまなインテリアブランドが入居しています。
取材に訪れるのは2度目。前回から大きくレイアウトが変わったショールーム。
商品部マネージャーの樋口さんが案内してくれました。
バウマンのものづくりに対する姿勢が伝わってくるのは、少量多品種の商品ラインナップ。
その数は600種類、6,000色に及びます。
「種類を絞って大量生産した方がコストは安くなるし、在庫管理や販売の面からも効率がいい。もちろん効率性を考え、生産プロセスも日々革新しています。ただ、本当にお客さんに届けたいものがつくれなくては本末転倒ですよね。バウマンは小ロットでも美しいものを届けていきたいんです。」
美しさはバウマンの大切なキーワードの一つ。
ここで、eLumino(エルミノ)という生地を紹介してもらう。
「カーテンにLEDが埋め込まれています。スイスでの産学連携により誕生した商品なんです。バウマンにおける美しさの基準は、時代性と伝統の両方を追求することです。」
よく見ると、電線がていねいに刺繍で編み込まれ、一つの模様をなしている。
美しさは、確かな技術力に裏付けられていました。
バウマンは吸音、遮光、防炎といった機能を備えつつ、デザイン性のあるカーテンを世の中に発信してきたブランド。詳しくは前回の記事も読んでいただきたい。
ここで、樋口さんが働くまでの経緯をたずねてみる。
以前は住宅メーカーで働いていたそうだ。もともと関心を持っていたインテリアにより近づきたいと思い、バウマンに転職しました。
「自信を持って好きだと言えるモノを扱いたかったんです。インテリアコーディネーターの勉強をしつつ、色んなファブリックメーカーを回りサンプルを集めるなかで、バウマンが群を抜いてきれいだったんです。色一つをとっても、繊細な中間色まで取り揃えられていました。」
そして関われば関わるほど、愛着が増していく。
「10年が経ついまも、飽きませんね。毎年春と秋に新商品がリリースされます。先秋はCHIC&CLASSY、今春はHEALTH CAREがテーマです。自分の好みも変化しますし、はじめは『どうかな?』と思った生地も、カーテンにすることでよさに気づくときもあります。」
バウマンの魅力を聞いたところで、商品部の仕事についてうかがう。
今回募集する人は、アルバイトとして働きはじめる。将来的には社員採用も考えているそう。
樋口さんは「商品に関わるすべてのことが商品部の仕事なんです」と話します。
主な仕事の一つはサンプルの手配。
バウマンの主なお客さんは、ハウスメーカーや百貨店、インテリアデザインの会社といった法人。いただいたオーダーを基に、生地サンプルを発送します。
ショールームの裏側に位置する本社オフィス。その壁面にはサンプルの入った棚が並びます。
オーダーは一日に数十件。テキパキとサンプルを集め、パンフレットとともに出荷していきます。
「生地サンプルは仕事の要なんです。一見作業になりがちですが、一番モノに触れることのできる仕事です。テキスタイルやファブリック好きには面白いと思いますよ。とにかくたくさんの種類があります。素材もリネンにコットン、シルク… ほんとうに一つ一つ表情が違います。覚えることは他の仕事にもつながるんです。」
サンプルを発送したお客さんから正式なオーダーをいただくと、スイス本社に発注。
納品は、生地として行うことも、カーテンを仕立てることもあります。
発注後は、納品までの管理を行います。
「一つは納期管理ですね。空輸便で送られてくる商品は、天候不良で遅れることもあります。それから、日本で気をつけているのは品質です。本社から世界一厳しいと言われるように、品質に対するリクエストが高いんです。」
ヨーロッパでは問題にならない小さな傷やほつれも、日本では指摘を受けることがある。
スイスに在庫はあっても、その厳しい基準を満たす分量を確保することができない。あるいは、日本へ到着後に縫製工場で傷が見つかる。
そういったトラブルもある。
「価格は決して安くありませんが、お客さんは『これがいい』と選んでくださいます。バウマンのモノづくりに対する期待の裏返しともいえるのではないでしょうか。」
スイスでつくられた生地を、日本仕様に合わせていく。その点において、商品部の仕事は、翻訳家のようなものかもしれない。
お客さんが知りたいと思うことに応えていく。営業のサポートも仕事です。
「たとえば機能面です。日本の高層マンションや公共機関に設置するカーテンには、遮熱性が必要となるので、専門機関に審査依頼を行います。また、カーテンをどのようにクリーニングしたらよいか。自分たちで確かめることもあります。」
必要に応じて、スイス本社や縫製工場との打ち合わせも行う。
「新商品を最初に受け取るのは商品部なんです。サンプルと仕様書だけで商品の全てはわからないので、本社に問い合わせることもあります。それから工場で、生地に合わせた縫製方法を打ち合わせたり、納品したお客さんからの指摘を伝えることもありますよ。」
樋口さんは、今週からスイスへ出張だそう。
「新商品リリースに向けた打ち合わせを行ってきます。最初から行けるわけではありませんが、スイスで糸の撚り方から、染め、織り方までを見学するファクトリーツアーや、世界中から社員が集まって研修を行う機会もあります。」
続いて話を聞いたのは、管理部と商品部を兼任する松下さん。これから働く人の上司にもあたる。
前職はコンサルティング会社の管理部。
「インテリア業界で働くことは全然考えていなかったんですよ。たまたまHPでMiniという商品を見かけて。いいなと思ったのが、転職のきっかけです。」
経理から採用まで幅広く見られている松下さん。
自宅のカーテンはすべてバウマンにしているそうだ。
「窓のカーテンに限らず、パネルカーテンとして間仕切りにも用いています。カーテン一つで部屋は変わるんですよ。」
松下さんは、こんな人に来てほしいと話す。
「発注など地道な仕事が中心ですが、同時に自分で新しいことにも取り組んでいってほしい。そういう人のほうが楽しめると思います。」
「何よりわたし自身が、決められたことだけをこなすのが苦手なんです(笑)。身近なところから、色々はじめていけるとよいと思います。」
自由な発想は、仕事の幅を広げるのかもしれない。
あるとき、バッグデザイナーのお客さんがバウマンの生地でバッグをつくった。
松下さんは、その方にスタッフ用のバッグをオーダーしたという。
「生地の魅力は、ショールームで実際に触れていただかないとなかなか伝わりません。そこで、社員がそれぞれ好きな生地でつくったバッグを持ち歩いて『どこのブランドですか?』『うちの生地なんですよ』。そんな会話が生まれたらと思うんです。」
生地の用途はカーテンに限らない。
「つくりがしっかりしているので、色々な用途に活かせるんですよ。スツールカバーにもできますし、稀にですが服を仕立てる方もいらっしゃいます。」
もちろん、カーテンとしての可能性もまだまだ広がる。
「あるショップの展示では、写真家さんの写真をプリントしました。そうした新しいスタイルの提案も考えられるでしょう。」
最後に松下さんはこう話してくれた。
「はじめてスイス本社に行ったとき、腑に落ちるものがあったんです。ほんとうにスイスの片田舎なんですよ。そこで、顔の見える人たちがつくった生地が日本に届き、わたしたちがお客さんに伝えていく。扱うことに、価値と誇りが感じられる仕事だと思います。」
話を終えて帰ろうとすると、営業部のみなさんがショールームのレイアウトを打ち合わせていました。
「レースとカーテンの組み合わせはどう?」「カーテンを止めるタッセルの位置はもう少し高い方がいいんじゃない?」
その一人、高橋さんが前回の取材で話してくれた言葉を紹介します。
「入社6年目のいまでも、新しい案件を担当する度に、わからないことがたくさん出てくるんです。家の広さや、家具、床材の色といった環境、そして好みは人それぞれ。それまでの経験が全然通用せず『えっ?』と驚くようなことに出会うんです。カーテンって本当に奥が深いな、と日々感じています。」
働きながら生地に魅せられていく。そんな仕事がバウマンにはあるようです。一度ショールームを訪ねてみては、と思います。
(2014/12/15 大越はじめ)