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「自分の仕事が社会とつながっているって、普段なかなか意識しないかもしれない。けれどそう思える人が増えれば、日本は変わっていくと思うんです」コミュニケーションエナジー株式会社は、研修事業を行っている会社です。主に経営者を対象として、自分の会社で人材育成をするための考え方や場のつくりかたを提供しています。
今回募集するのは、実施される研修や受講生を支えるコーディネーター。
働くこと。それを単に生活するためのお金を稼ぐための方法にしてはやっぱりもったいない。お話を聞きながら、そんなことを考えていました。

「こんにちは」と挨拶すると、仕事中だというのにみなさんが笑顔で返してくれた。
最初にお話を伺うのは、はきはきと話してくれるのが印象的な湯ノ口さん。11年前にコミュニケーションエナジーを立ち上げた方です。
講師として人前に立つことも多く、ずっと声が枯れ気味なんだそう。
「社員のみなさんの成長を通して、いい商品やサービスをつくりながら、社会に貢献していく人材開発と経営のコンサルティングをしています」

「生まれる前に父親を交通事故で亡くしまして、母親が頑張って育ててくれました。家族の大切さや人間関係の難しさを感じながら、成長してきたように思います」

「車とバイクが好きで。日本人初のF1レーサー、中嶋悟という先生のレーシングスクールでお勉強させてもらいないながら。モナコに住めたらいいな、とか本気で思っていましたね」
順調にレーサーとしての道を歩き出したころ、お母さんがガンになったことを知らされる。ドクターからはレーサーを辞めることを勧められた。
「父親のことがありましたから。僕がレーサーをしていることで母親が心配してストレスになるんだって。大事な母親だったので、レーサーは辞めました。けれど、夢はなくなってしまった」
それまではレーサーとして活動するための資金を集めるため、アルバイトをしていた。けれど何のために働くのか、目標がなくなってしまった。

「中嶋悟先生はとても人柄のいい方なんです。トップレーサーって華やかなんだけれど先生はすごく地道で、努力をして社会に貢献していた」
「そんな中嶋先生を見ていて、リーダーとしての在り方を勉強したいと思うようになったんです」
いいレーサーになるためにたくさんの経営者に会える仕事を探し、大阪の北新地のラウンジで働くことになった。東京でいうと銀座のような、高級飲食店が並ぶ街。
「誰もが知っているような一流の経営者が出入りする場所でした。みなさんすごく紳士的で、偉そうぶっている人はいなかった。一流ってそういうことなんだなって」
「いくら知識や技術だけを勉強しても、最後は平常心でいることが必要。そこに来るみなさんは、人間を磨くために常に勉強をされていたんですよ」

若手経営者が集まって、中小企業の人材開発をするための会社をつくる話が立ち上がっていた。名立たる経営者が発起人として集まる中、24歳の湯ノ口さんはなにもわからないまま創業メンバーの1人として参画をすることになったそう。
「『教育会社ってどんなことするんですか』って聞いたら怒られました(笑)自分で考えてできなければ、誰のことも教育できないだろうって」
資金があったので立派な研修センターが建てられた。ビルはあるのに内容がないわけにはいかない。がむしゃらに働いたそうだ。
「最初はこわかったですよ。年上の経営者の前に立って講師をしたりしてね。でも出会う方々から、学び続けることが大事だということを学びました」
創業から走り続け、気が付くと社員は180人、12,000社もの会社が研修に参加するほどの規模になっていた。
「不思議なことに妻が病気になったんです。そのころ僕はほとんど家に帰っていなくて、家族と過ごす時間もほとんどなかった。創業時に声をかけてくれた方から、独立しなさいと言われたんです」
順調だった会社を背負うような立場だったので、迷うこともあった。けれど家族のため、そして辛くともそう言ってくれた恩師に背中を押され、独立の道に進んだ。

「会社の規模は小さいかもしれないけれど、本気で世の中のこと、人を幸せにすることを考えているので、みなさん猛烈に勉強していますよね。物事の原理原則、理論を学んでいただいて会社で実践していくんです」

1万人それぞれが会社に戻って、30人の社員と会社のこと、働き方、コミュニケーションの方法を一緒に考える。
「サラリーマン化している人が多いですよね。専務派か常務派か、なんて話ばかりしたり。所属する企業で自分の人生が決まるんかいって」
「そうではなくて、自分で人生を切り開くような気持ちのある方が増えていくと、組織も変わっていくと思います」
ただただお金をもらうために働いている社員から、働く意味を自分で見いだせる人が増えれば、それは日本を少しずつ変えていくことになる。
「1万人がそれぞれ30人、30万人からその周囲の人たちへ。健全な人間関係をつくれるようになれば、いい企業文化、いい地域の文化ができていく。そうしたらもっと治安がよくなりますよね。日本全体も」
湯ノ口さんが見ているのは目の前の受講生だけでなく、その先の社員、家族、そして日本社会全体だ。
「まずは自社で社員を育てていきましょうっていうことなんです。勉強しているけれど、それで満足して社員に伝えず、頭でっかちになってしまうことが多い。社長が自分の学びを伝えられなかったら、それは本当の学びじゃないよねって」
そう話してくれたのはコーディネーターの星野さん。1つ1つ、丁寧に話をしてくれる。

「同じツアーでも参加する人によって、楽しいときもあればそうでないときもありました。人の関係によってその場の雰囲気が変わるんだなって。会社や組織にも当てはめられる話だと思います」
面接のときに湯ノ口さんから言われた言葉が今も印象に残っている。
「僕は研修業がなくなってもいいと思っているって。びっくりしました。でも自分たちでコミュニケーションをとれる会社が増えれば、結果必要ではなくなるのかもしれない。それはいいことだっていう納得できました」
ここで思っていたことを正直に聞いてみる。
研修やセミナー、というとなんだか怪しく思われたりすることってありませんか。
「単純に言えば社会人でも勉強し続けることの一端を担っているだけなんです。自分で気が付かないとなにも変わらない、そのきっかけの1つですよね」
きっかけをつくる仕事。
「たとえば、研修のはじめに行うアイスブレイク。社長がいくら学んでいることをそのまま話しても伝わらないけれど、みんなが学べる場をつくる方法から学びましょうっていう研修です」
具体的にどんなことをしているんですか。
「仕事はなんでもです。うちは営業がいないので、ダイレクトメールを送ったり、リピートを広げる連絡をしたり。あとは実際の研修で使う資料の準備や受講生との連絡ですね。みなさんが無事に終了してくださるまでのサポートをしています」
多いときには1人で5本くらいのコースを担当する。それぞれに20人いる受講生からの問い合わせに対応する。プレゼンのやり方や課題のフォローなど、相手とコミュニケーションをしっかりとる必要があることもある。
なんだか大変そうですね。
「会社から、コーディネーターとしてこれをしなさい、って言われたことがないんです。研修で皆さんが学びを最大限に高められるようにしてくれればいい、自分がいいと思う範囲で関わればいいって。だから自分でちゃんと線を引きつつ、バランスを考えながら仕事ができていると思います」

会社自体、組織として大きくなりはじめたところ。人数が多いわけでもないから、お互いを知ることが信頼にもつながってくる。
「縁あって一緒に働くことになったみなさんと、いい会社をつくっているところです。たとえば親の介護が必要になる、というのも事前に会社がなんとなくわかっていれば、準備することもできる。一緒に働くって、一緒に生活することと遠くないんじゃないかな」
「自分の影響力を意識してほしいです。新入社員でも、ベテランでも、経験の有無も関係なく、どの人でもその場にいると影響がある。自分がいい社会を、いい日本をつくっていきたいと思いながら、一緒に仕事ができたらいいな。もちろん無理をして働け、というわけではなくて。お互い素直に接していきたいです」
湯ノ口さんも星野さんも、口をそろえて「家族のような会社です」と話してくれた。
その空気をつくっているのは、コーディネーターの幸代さんなんだろうな、と会ったときに感じた。実は湯ノ口さんをずっと支えてきた奥さまです。

今はまだ体制が整っていないけれど、今後はいろいろな働き方も考えていきたい。
「うちの経営理念は、人間の可能性の追求と生命の尊厳です。大げさに聞こえるかもしれないけれど、お互いにいい関係をつくっていきたいですね」

いい関係のきっかけをつくる仕事です。明るくて素直な人が似合う職場だと思います。
(2016/2/5 中嶋希実)