求人 NEW

与えられるのでなく
自分で見つける
500人の村に飛び込む

暮らす場所を変えてみたい。今の仕事や生き方を見つめ直したい。

でも、急に全てをやめる勇気はない。そんなときに紹介したい選択肢があります。

舞台は、山梨県丹波山村(たばやまむら)。人口およそ500人。面積の約97%を山林が占める、関東でいちばん小さな村です。「日本一のローラー滑り台」で知っている人もいるかもしれません。

そんな丹波山村で「大人の地域留学生」を募集します。

「大人の地域留学」とは、20代の若者を対象に、3ヶ月、もしくは1年単位で村で働きながら暮らす制度です。住まいも生活に必要な設備も用意されているので、身ひとつで飛び込める環境。

東京からも日帰りできる一方、日本百名山の山にも囲まれている丹波山村。温泉、狩猟や山の仕事、自然とともに暮らしがあります。

新しい環境に飛び込んでみたい人も、地域特有の伝統や文化に興味があって、経験してみたい人も。今いる環境から一歩踏み出すことで広がる世界があると思います。

 

新宿からJR中央線と青梅線に乗って西に向かうこと約1時間半。奥多摩駅からはバス1本で丹波山村へ到着する。

バス停を降りると、自然の冷気が身体に染み渡る。ところどころ雪が残っている。まず向かったのは、丹波山村役場。新庁舎に建て替えたばかりで、モダンな雰囲気。

2階には小さな図書スペースがあり、誰でも使えるデスクが置いてある。

ここで話を聞いたのは、村役場の舩木さん。丹波山村の出身で、大人の地域留学の担当をしている方。

「丹波山村は人口500人ほどの小さな村で、村役場の周辺が1つの大きな集落。おおよその方はこのあたりで暮らしていて、20分圏内でだいたいの家庭が回れるくらいなんです。1対1の関係性が深い村だと思います」

「僕自身、東京に進学をして。年々人口が減少している村の姿を目の当たりにして、地元に何か還元できないかと12年前に戻ってきました。当時は650人ぐらいでしたが、若者は今よりも少なかったですね」

もともと、2025年までに人口が380人まで減少するといわれていた丹波山村。

歯止めがかかっているのはどうしてだろう。

「2014年から地域おこし協力隊制度を導入して、これまでに約50名を受け入れてきました。卒業後に起業している方もいて、任期後も意欲的に村内で活動いただいています」

豊富な資源がある丹波山村。登山、釣り、キャンプなど、大自然のなかでアクティビティができたり、ジビエ、原木舞茸、川魚など山や川の幸が堪能できたり。

それらを活かして協力隊卒業生には、飲食店を開業する人、ジビエの捕獲から加工、販売まで行う人や、林業の会社を立ち上げて商品開発をする人もいる。そこに就職するために移住してくる人もいるほどだとか。

「東京との距離の近さもメリットだと思います。遊びにも行きやすいですし、都内から移住される方も多いですね」

「ありがたいことに移住者は増えているのですが、村の人口を見ると20代の割合はまだ少なくて、その層に村の魅力を知ってもらいたい。まずは、関係人口から増やしていこうと注目したのが、『大人の地域留学』の制度でした」

もともと島根県の隠岐島前地域ではじまった「大人の島留学」。主に20代の若者をターゲットに、年間約200人が島に滞在し働き暮らす制度。

現村長が以前から隠岐島前地域の海士町と交流があり、丹波山村でも展開しようと昨年から導入された。現在、初年度生としてやってきた4名が活動中。

今年度の大人の地域留学生は、2つの分野で働いている。仕事内容は、参画者の希望と村内の仕事をマッチングして決めていく。

ひとつは観光分野。宿泊施設の運営や観光イベントの企画・運営、村全体を使った体験型企画などを通して、丹波山村の魅力を発信。

もうひとつは関係人口を創出する分野。地域留学生や村に関わる人を増やすため、情報発信やイベント企画、コンテンツづくりを担っていく。

観光分野では、参加者もキャラクターとして入り込み、物語へ没入できる「マーダーミステリー」が開催されている。村全体が舞台となるのは、日本初なんだそう。

「まだ始まったばかりなので、村の中を横断的に活動していくと思います。新しく来る方自身に何かやってみたいことがあれば、仕事を広げていってもらえるとうれしいです」

「都会には選択肢が多いけれど、丹波山村は限られている。そのなかで、どう工夫していくか、そこを楽しめる人が向いていると思います」

 

次に話を聞いた成田さんは、まさに今あるものに目を向けて活動を広げている方。

留学生の初年度生として2025年11月に移住し、たばやま観光推進機構でツアーの企画などの担当をしている。

役場から歩いてすぐの場所にある「守屋邸」と呼ばれる立派な古民家。ここは大人の地域留学生のために用意されているシェアハウスで、女性が滞在するところ。

「よくこの大広間で留学生や協力隊、地域の方とご飯を食べたり飲んだりしていますよ。だいたい誰かが毎日『うち来ない?』って呼んでくれて、歩いてすぐ行けちゃう。人も村もそういう距離感が好きですね」

北海道出身で大学進学を機に上京した成田さん。新卒で経営コンサルティング会社に就職し、その後カンボジアで国際協力の仕事をしていた。

「カンボジアで生活していた村は電気も通っていない場所で。不便な部分もあったけど、暮らしを一つひとつ丁寧にしていて、生きる楽しさを感じていました。一方で、日本で働いている友人と話すと顔に疲れましたって書いてあるようで、心配になったんですよね」

海外で学んだ豊かさを日本で活かせないか。そんな思いを胸に帰国し、京都で観光業を学ぶことにした成田さん。

同時に、日本各地を巡りながら、自分が腰を据える場所を探していたそう。その旅の途中、隣村の小菅村について書かれた本を読み、丹波山村を知った。

「小菅村よりもっと小さな村があるんだ、と興味が湧いて。調べたら大人の地域留学生を募集していたんです。自然が豊かで東京からも来やすいし、最短3ヶ月から来られる気軽さも大きかったですね」

約2ヶ月過ごしていかがでしょう?

「ネットで調べても、ほとんど情報が出てこないような、暮らしの風景がおもしろいんです」

「たとえば、朝起きると、バンバンと狩猟している音が聞こえたり。地元の方にとっては当たり前のことも、私からみると魅力的ですね」

留学生としては約半年間活動予定。その後も村に残り続けたいそうで、長い視点から自分のやりたいことをイメージしている。

自分の興味を起点に観光資源を掘り起こし、村の観光推進機構でツアーの企画や体験の構想をしているところ。

「最近は、狩猟の見学をさせてもらいました。実際に獣道を歩くと、整備されている山道とは違った風景があることを知って。そういったことをツアーにしていきたいです」

「ただ、人口が少ないぶん受け入れ体制もまだ整っていない。ツアーをするとしても詳しい人を探すところから始める必要があって、手探りで進めています」

ほかにも、こんにゃくづくりをしている方がいること、採れるワサビや原木舞茸が立派なこと。取材のなかで、丹波山村についての話がどんどん出てくる。

「私にとって一番かっこいいと思う職業は、百姓なんです。昔の人って、お米も野菜も、服も家の修理も全部自分でやってきた。字の通り100のことができる人なんですよね」

「村にも百姓だなって思う方がたくさんいらっしゃる。その風習を絶やさずに、次の世代につないでいきたいと思っています」

移住して2ヶ月。すでに村への想いがあふれていますね。

「歩いていると『成田ちゃん元気かい』って声をかけてくれる。みなさんが気にかけてくれてやさしいのでお返ししたくなっちゃうんです。友だちや大事な人たちを連れてきたいと思える場所になりました」

卒業後には、空き家を使ったゲストハウスを構想中で、郷土料理を通じて、村の人と泊まりに来た人が交流できる場をつくりたいそう。

留学生卒業後は、地域おこし協力隊として活動する道もあるし、成田さんのようにやってみたいことがあれば、自分で仕事をつくっていくことも歓迎してくれる環境だと思う。

「1人で新しいことを進めるのはあまり得意じゃなくて。誰かと一緒に積み重ねていくことが好きなんです。切磋琢磨できる方が来てくれたらうれしいですね」

 

取材が落ち着いたころ、「この週末に『お松引き』という年に一度の村の大きなお祭りがあるんです。よかったら参加しませんか?」と、成田さんが誘ってくれた。

門松や正月飾りを集めてつくった「お松様」を大きな木ゾリに乗せ、綱で引き1年間の無病息災や家内安全を願うお祭り。日本の奇祭の一つなんだそう。

ところどころで、民家の2階からみかんが投げられるのもおもしろい。

このために村外から見物に来る人も多く、前日まで静かだった村が朝からたくさんの人たちと威勢のいい声で賑やかに。

熱気に包まれるなか、炊き出しのブースで売り子をしていたのが、成田さんと同じ留学生の藤原さん。

この日は村の商工会のお手伝いをしていた。

「僕って人見知りなんですけど、イベントとかお祭りは好きなんです」

東京の立川市出身。お父さんがサイクリング好きで、一緒に丹波山村まで来たことがあったそう。Instagramの広告で「大人の地域留学」を見て、昨年の10月に引っ越してきた。

「ずっと地元から出たことがなかったんです。旅行で離れても10日くらい。ここは自分のことを知らない人しかいないし、誰かに頼りきりではいられない環境で。自分自身、心機一転したい気持ちが湧いて飛び込んできました」

「みなさんすごくフレンドリーであったかいんですよ。村の方や現役の協力隊やOB・OGの方も、挨拶したら、お茶飲んできなよとか。安心しますね」

丹波山村の観光客むけ公式SNSの投稿を担当している藤原さん。業務時間外に週に1度、近所の旅館でアルバイトもしているそう。

「ほかにも村内に蕎麦屋さんがあって、たまたま話していたら蕎麦打ちを体験させてもらうことになって。ハマってしまいましたね」

「村の商店は1つだけですし、コンビニも30kmくらい離れてるけど、移動販売があったり東京に帰ったときに買える。困ることってあまりなくて。ここでしか味わえない郷土料理も、お裾分けでいただけるお野菜も好きですね」

藤原さんも成田さんも、好奇心の旺盛さとフットワークの軽さを感じる。

まずなんでもやってみることから、いろいろな仕事や活躍できる場所が生まれていきそう。

 

東京から近く、原風景が残っている丹波山村。

いわゆる娯楽と呼ぶものは少ない場所かもしれないけれど、毎日に発見がある場所。

都会で暮らすなかで誰かに与えられる楽しさより、自分で面白さを見つけるのが好きな人が楽しめる環境だと思います。

(2026/01/08 取材 大津恵理子)

問い合わせ・応募する

おすすめの記事