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土臭くて揺らいでいる
形あるものをつくるから
営業は静かなやつがいい

ありのままでいられる場所。

心も身体もほどけて、自由に動ける気がします。

木々も同じで、合った土地に根ざすとのびのび育つ。

だからこそ、地産木造の建築は風土に適して息をしているような住み心地になります。

素朴屋株式会社は、そんな自然の建物づくりを信念としています。

海から山へ、たった一人きりではじめました。山梨から東京、ベトナム、ドバイ、その先の世界へ活動を広げる建築集団として、気がつけば世界中に30人以上の仲間がいます。

今回募集するのは、東京オフィスの国内法人営業と設計、施工管理。

そのなかでも営業は、素朴屋の美しいものづくりを伝えていく仕事です。

自然素材や伝統技法に興味がある人、どんなことにも前向きにチャレンジできる人、外国語でのコミュニケーションを楽しめる人は、馴染む気がします。

 

雨のなか、山梨へ向かう。

湖にぽつぽつと落ちる雨粒をずっと見てしまう。

北杜市に着いたころには、晴れ間が見えて、富士山が顔を出す。

この日は月に一度、東京オフィスの人も山梨の本社に集まるという。

小学校の跡地に建てられた、広くて大きい平屋。前からずっとここにあるような佇まいで、落ち着く。

畳に座って作業する人も、縁側に机を出して打ち合わせする人もいる。

代表の今井さんは、一目でこの場所を気に入った。

「初めて来たときのこと、今でもよく覚えています。秋で、針葉樹がはらはら落葉して、遠くに富士山も見えて」

今井さんは、もともと海の男。高校生から海にまつわる学校に通い、卒業後は船に乗るつもりだった。

「大学で航海士の資格を取りました。水産庁に入ろうとしたら、同級生に『向いてなさそうだからやめとけ』と言われて。結局就職しませんでした」

趣味のバックパッカーで、アラスカやカナダ、アメリカの山を歩く。

ふと、これからは山に行こうと思い立つ。

「海はもう楽しんだなと。外国に住んでみたかったから、山の仕事でお金を貯めようと思って。林業会社でしばらく働きました」

「1年間、必死で働いたのにビザの申請で落とされたんですよ。あんま聞かないですけどね(笑)。しょうがないから観光ビザでカナダに行って、ログハウスの会社に3年いました」

結婚し、奥さんの出産を機に帰国。山梨の森林組合で、木こりとして間伐をする。

「森林組合のイベントがあって、会場設営ではじめて北杜市に来ました。唐松の葉っぱが落ちてくるようすが、カナダとすこし似ていて。ああ、ここいいな、すぐに引っ越そうと決めたんです」

働き口がなかったため、素朴屋と名乗り、自分にできる仕事を探す。木も切るし、草も刈る、ちいさな小屋なら建てられる。「雑用でもなんでもやります」と設計事務所や工務店に営業をかけた。

「2006年に創業し、2014年で法人化しました。そのころは社員1人で、2019年にようやく3人。従業員のために動くと、かえって伝わらず辞める人もいて。会社も俺もつまんないと否定されてるみたいで、がっくりしたなあ」

山梨で根を張る、東京に拡げる…。たくさんの選択肢を前にピンときたのが、海外展開。これまでの海外での経験も活かせると思った。

最初の拠点はベトナム。海外展開をしたら自然と外国人スタッフをはじめ、共感して長く働く仲間が増えた。

「うちの建築は、土臭くて揺らいでいる」と今井さんは語る。

たとえば、無垢材と自然素材でつくった住宅。

日本の伝統的な建築工法である石場建てで、炭化した杭を使った。そうすることで、土地とともに呼吸するような家になる。

一見すると、ゆったりとした雰囲気に感じるけれど、今井さんの話しぶりはテキパキしている。社内の雰囲気も、スピーディーに物事を判断していくことが求められるという。

「スピードはクオリティの一部。仕事において、パーフェクトなんてことはありえないから、適度でいい。スタッフは俺にビビらず発言するし、好きなように働いているんじゃないかな」

ほかにも、大工は3年ほどで一人前と言われる業界で、素朴屋では半年で棟梁を任せることも。

「若くて未熟な人も、責任のあるポジションに身を置けば意識が変わる。モチベーションも高くなるし、向上するスピードも速い。ここで働くなら、1年目から前のめりでガッツがある人のほうがうまくいくと思います」

建築の100年後を考える会社でいたい。

そのために、10年後は海外拠点を10ヶ所にしたい。点を増やし、点をつないでいく。新しいメンバーは、その点のひとつになると思う。

「営業は、静かなやつがいいですね。形あるものをつくっているので、本質的には多くを語る必要はないと思う。それでも話さなきゃいけないから、相手を食いつかせる余白を持っていてほしい」

 

愛らしい笑顔で「さっしー」と今井さんを呼ぶのは、取締役・東京オフィス所長のロイカさん。ベルギーで建築を学び、6年前に日本へやってきた。新しく入る人の上司にあたる。

「学校で日本の建築を教えてもらって、デザインが好みで自分に合うと思ったんです。初めて来たときは、お寺や神社の伝統的な建物も、現代の建築も見ました。デザインのセンスやスペースの考え方、まちのレイヤーも、全部おもしろかった」

すぐに日本で働きたかったけれど、大学院を卒業したばかり。設計の知識もまだなく、日本語も話せない。現実的ではないとカナダの建築事務所に入る。それでも、頭のどこかで日本で働く夢は消えなかった。

転機になったのは、コロナ禍のロックダウン。

「今より気分も状況も落ちることはないから、日本に行ってみようって決めたんです。ちょっとの勇気を持って、怖いけどチャレンジしました」

日本語学校に通いながら、仕事を探し始めた。参加した就職説明会で素朴屋を知ることになる。

インターンで訪れたとき、まず景色に感動した。

「畳で仕事して、富士山を見ながら設計する。ちょっと寒かったけど、薪ストーブのあたたかさも香りも初めての体験でした」

「みんな話しやすくて、雰囲気もアットホーム。ここなら新しいことをたくさん学べると感じて、入社を決めました」

山梨で設計士として働いたあと、取締役兼東京オフィスの所長に。今の仕事はマネジメント業務がメイン。

これまで、素朴屋には営業で専門の職種はなく、今井さんの職人ネットワークや紹介で仕事が生まれていた。

会社を育て、自分たちの力を試す意味でも、さらに仕事を広げていきたい。ここ半年で東京のメンバーは2人から6人に急増。

「人も増えて、チームで仕事をする意識が生まれたかな。みんな仲がいいから、話しやすい人だとうれしいですね。年代も20代から50代までいて、半分が外国人。多様性を楽しめるとさらにいいかもしれません」

これまで東京オフィスにいる人は設計や施工管理メンバーのみで、国内営業という明確な役割を担う人はいなかった。そのため、マニュアルも存在しない。指示を待たず、自分でまずやってみることが求められる。

「新しい人には、自分の味を見せてほしいです。営業は、ストーリーを売る仕事。素朴屋の名前をたくさん広げて、長くお付き合いができるお客さんを見つけてほしい。ホワイトキャンバスで仕事するのはむずかしいけど、大きなチャンスになると思う」

「私たちの建築や価値観のファンで長く勤めたい、ちょっとここで学んでみたい、ステップアップのために働きたい、動機はなんでもいいと思う。素朴屋で学んだことは、未来の場所で大きな自信と財産になるから」

 

東京オフィスで施工管理と営業を担当する片山さんは、一番身近で働く人になると思う。

頭の回転の速さは感じつつも、明るくなんでも受け止めてくれる方。

入社5ヶ月だと思えないくらい溶け込んでいる。「性格がおもしろくて、正直で、よく笑って話しやすい」と採用された。

片山さんの実家は工務店で、ゆくゆくは3代目を継ぐ。将来を見据えて、素朴屋の事業スタイルを学びたいと考えた。

「はじめは建築に興味がなく、中高は音楽科、大学は声楽とスペイン語を専攻していました。先輩から声をかけられて、仮設ブースの施工管理・営業みたいな形で展示会の通訳をすることになって。そのあと大手ゼネコンの現場管理をしたけど、せっかくなら語学を活かしたかったんです」

工務店や建築で英語ができる会社を探していたときに、素朴屋を見つけた。

「ロイカに面談してもらったとき、仕事の考え方や向き合い方、家づくりに感銘を受けて。私にできることがあるかもと思えました」

「実家を継いだら、建築をメインに宿泊業や飲食業で精神疾患を持つ人の社会復帰をお手伝いしたいという夢があるんです。素朴屋は山梨の本社前にベトナム料理屋を、東京オフィスの1階はお茶屋さんを経営していて、勉強になると感じたのも大きいです」

東京オフィスがあるのは、文京区の根津。神社や古民家など歴史ある建物が多く、下町情緒で地域の関係性も深い。

「120年つづいた家を改修で生き返らせるプロジェクトがありました。一つひとつ手刻みで、職人が想いを込めて家をつくり再生する。そこに施主さんが住んで、またつづいていく。古きよきつながりから家が生まれるなんて、ロマン感じません?」

片山さんの仕事内容は、施工管理として改修工事でカフェをつくったり、外国の方が日本で土地や家を買うお手伝いをしたり。営業としては、問い合わせ対応をしている。

新しく入る人は、片山さんとともに法人営業をしていく。

親和性のありそうな企業や設計事務所を調べてアポイントを取ったり、問い合わせをくれた企業にヒアリングや提案をしたり。資料や見積書の作成、契約の手続きもおこなう。

営業経験は必須だけれど、建築に興味があれば他ジャンルからでも大丈夫。

「まずはうちの雰囲気や働く環境、大工さんの手しごとを見てほしい。素朴屋、そしてここにいる自分かっこいい! って思えたら、お客さんに情熱を持って伝えられる。人って、感情じゃないと動かないじゃないですか」

代表の今井さんは静かな人がいいと話していた。片山さんの話を聞いて、きっとそこには、小さな声でも自分の意見や思いをはっきり持っていることが大事なんだ、というニュアンスも込められている気がする。

「バックグラウンドや考え方がちがっても、尊重し合える人。何がお客さんのためになるのか。どうやったらうちの魅力を伝えられるのか。いっしょに考えて動きつづけられたらうれしいです」

 

素朴屋で働くみなさんは、自然体でのびやか。それでも、幹のように一本通っている気がしました。

木にも、自分の想いにも、耳をすませる。

ひたむきに建築と向き合える仲間を待っています。

(2026/04/24 取材 久保泉)

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