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カフェとまちと水門と
モノもコトもつくっちゃう
変化をやめない鉄工所

「なんかね、“決めない”ことが大事だと思ってるんですよ。数年前の僕はまちづくりに興味もなかったし、カフェをやるなんて考えてもいなかったわけで」

取材が終わるころ、代表の乘冨さんがつぶやいたこと。

言葉の通り、この7年ほどで次々とアップデートを重ね、全国から注目を集める鉄工所があります。

いま「鉄工所」と聞いて興味ないな、と思った方。

もしあなたが「ものづくり」や「まちづくり」に興味があるなら、まずは読み進めてみてください。

乗富鉄工所は、福岡・柳川にある1948年創業の水門メーカー。

さまざまな形状の河川や水路にあわせて、オーダーメイドで水門を設計し、溶接や組み立てなどの製造、設置まで一貫して行っています。

近年はスマホで遠隔操作のできる水門の開発に加え、新規事業「ノリノリプロジェクト」としてキャンプ用品や家具の開発、フェスの開催など、新しい取り組みを次々としかけている会社です。

今回は、営業・マーケティングをはじめ、鉄工職人であるメタルクリエイター、調達・生産管理、設計、クオリティデザインと幅広く募集します。

知識や経験は、問いません。

どの職種で入っても、枠を飛び越え、自分の好きや得意を活かして働ける環境が、ここにはあります。

 

福岡の繁華街、天神から、特急で50分ほど。

西鉄柳川駅の改札を出ると、案内板に「川下り」の文字が見えた。

ここは「水郷柳川」として知られる観光地。まちの中に網目状にはりめぐらせられた水路を、どんこ舟でゆく川下りが有名だ。名物はうなぎ。

バスで約10分、歩いて数分ほどで、乗富鉄工所に到着。

会議室で待っていると、お昼休憩を終えたみなさんが一斉にやってきた。

まず話を聞いたのは、乗富鉄工所の3代目、乘冨賢蔵さん。みんなから「ケンゾーさん」と呼ばれている。

2024年に代表取締役となる前から、職人の給料アップや工程管理の見える化で会社を立て直し、新規事業の立ち上げなど挑戦を積み重ねてきた。会社が全国に知られる機会をつくりつづける、変革の人。

お話を聞くのは、2年ぶり。

最近は「川と人の共生」というテーマに取り組んでいるそう。

九州大学の先生と出会い、水門のまわりでうなぎが減少している研究結果を聞いて、水門が社会に与える影響を多方面から考えるようになった。

「柳川はすごく特殊な土地で。本来は生活に使える水が少ない土地に、水門をつくることで水を引き込み、暮らしが成り立ってきた物語があるんです」

「だからこそ、僕らは水門メーカーとして、柳川で川と人が共生できるモデルをつくれたらと考えています」

柳川の水門メーカーとして、どうあるべきか。

考えながら動き続けるうち、自然と柳川のまちづくり界隈の人たちとも関わるようになった。

「今年はさまざまなプロと協働して、古民家カフェをつくる計画があるんです。ただカフェを運営するのではなく、自社で建築もできるようにしていこうと考えていて」

カフェのテーマは、“環境”。

古民家のよさを活かしつつ、内側から鉄のフレームで支えることで安全面を補強。リノベーションによって人の流れを生みつつ、自然環境にもプラスになるあり方を考えているそう。

「まちづくりというとソフトだけを扱う会社が多いけど、僕らはハードとソフトのどちらもつくれる唯一無二の存在をめざしたい」

水門事業は続けつつ、職人の技能を建築などの別事業にも展開する。いろいろな側面から「水と人」に挑戦していく。

もうひとつ、最近の大きな変化が、2025年11月に始まった「未来投資型の人事制度」。

以前は上司が過去の実績を評価して昇給を決めていたけど、いまは社員一人ひとりに「次の1年で何をやりたいのか」目標を聞き、それに対して昇給という形で投資する仕組みに変わった。

部長、係長など役職も廃止され、みなフラットな立場に。

根っこには、「一人ひとりの特技を活かしてほしい」という思いがある。

「結局僕は、人の可能性を最大化したいんだなって。それぞれの得意を最大化することで、一人ひとりに、世界にいいインパクトを与えている実感を届けたいんです」

いまは全員が年に一度、「自分はこの会社で何をやりたいか」考える。

ドローンの資格をとって仕事に活かしたいとか、職人だけど営業もしてみたいとか、これまでなかったような目標も数々生まれている。

「『こうあらねば』という意識が強すぎる人は戸惑うかもしれない。自分が変わっていくことを楽しめる人に、来てほしいですね」

 

「やりたいこと」って、入社前からないとダメなのかな……。

そんな思いを転がしていたら、横にいた水門営業の德永さんが、「私、『やりたいこと』なんてなかったです」と笑顔で添えてくれる。

大学で経営学を学んでいた德永さんは、先生の薦めで乗富鉄工所のインターンに。

「はじめは、鉄工所なんて頑固な人が多そうと思っていたんです。でも前例のない挑戦を繰り返す乘冨さんと接するうち、この会社、おもしろっ!って。気づいたら入社して3年になります」

いまは、水門営業のおもしろさにはまっている。

役所などから依頼を受けて現場へ行き、工事の見積をして、入札に参加。受注したら工事の完了まで、施工管理を行う。工事がうまく進むよう、社内外の関係者の間に立ち、さまざまな調整もしていく。

1年から数年かかる工事を一つ終えるたび、「人として一段階レベルアップした感覚がある」と德永さん。

「まったく同じ現場はないので、毎回その現場にあわせた施工をしなきゃいけなくて。毎回、何かしら問題が発生するんですけど、いろんな人と話し合って解決していくなかで、必ず新しい気づきがあるんです」

「たくさんの人と関わって一つのものをつくるって、おもしろい。大変なこともあるけど、だからこそ完成したときの達成感は、すごいんですよ。『うわあ、できた!』って」

いまは人事の新制度を受け、やりたいことも思い描くように。

「今後は、全国の水門の受注もしていきたいです。そのために会議や書類などの無駄を省いて営業活動をもっと効率化して、一人ひとりの強みを活かせる組織づくりをしていきたい」

新しく入る人は、まだ知識がなくても大丈夫。最初は先輩と現場をまわり、一つひとつの工程を学んでいく。

「人と話すこと、関わることが好きな人が一番。大変なこともありますが、あきらめずに人とコミュニケーションをとれる人なら、それも含めてやりがいになるはずですよ」

 

「德永さんが営業してるの、本当向いてると思うんですよ。知らないところにもすっ、と入っていく度胸があって」

そう話すのは、昨年入社した外園さん。水門営業や、水門の自動化推進を担当している。

県庁で28年、土木技術職に携わり、経験を活かして社会に貢献したいと乗富鉄工所にやってきた。

週4日ここで働き、副業でキッチンカーもしているそう。

長年、水門の発注側から、さまざまな現場を見てきた外園さん。

「突発的な豪雨など、危険ななか水門操作に向かう高齢の方の姿を見てきて。遠隔操作ができればいいのにという思いは前からあったんです」

乗富鉄工所でも遠隔操作ができる水門を開発していたなか、ユーザー視点を持つ外園さんが入ったことで、導入からアフターフォローまで、より現場に沿った提案ができるようになった。

また外園さんと同じ昨年入社した人には、大学院に通いながら週4日勤務するエンジニアもいる。学術系をその人が、行政系を外園さんが円滑に調整することで、大学や国と連携する新プロジェクトも動き始めた。

働き方も、得意分野も、多様だなあ。

「あちこちで化学反応が起きて、予想もしなかった展開が待っている。そんな会社ですよ」

 

最後に話を聞いたのは、鉄工職人であるメタルクリエイター部の森さん。

前の取材で新卒1年目だった森さんは、3年目がもうすぐ終わるころ。

メタルクリエイターは、金属の加工、溶接、組立などを行って製品をつくり、現場で製品の据え付けも行う。森さんも一つひとつの工程を先輩に教わり、いまは自分で全工程を考えて仕事をする。

「0から10までを一貫して担当できることが、中小企業ならではのおもしろさ」

「『わあ、自分ってすごい! 床の隅に転がってた鋼材から、こんな製品を生み出せた』って。ゼロから自分の手でつくり上げる喜びを味わえたとき、ああ、ここに来てよかったなと思いますね」

自分の手でゼロからつくることに熱量のある人なら、未経験でも大丈夫。

「必要なのは、やる気一択です。スキルはなくていいから、未来への意欲があって、自分の可能性を信じられる人に来てほしい」

つくるのは、水門だけにとどまらない。

新規事業「ノリノリプロジェクト」では、デザイナーと協働で独創的なキャンプ用品を開発し、国際的なデザインアワードを数々受賞。家具や植物用品など、さまざまな新製品にも取り組む。

最近、公共事業の現場管理も任されるようになった森さんは、現場へ赴き、行政の人たちと話し合うことも増えた。

「なんか、人として一回りも二回りも大きくなった気がするんですよ。前は職人の世界のことしか考えてなかったのが、視野が一気に広がって」

そんななか新しい人事制度を受け、やりたいことは何か考え続けた。新しい分野の挑戦を選ぶ人も多いなかで、森さんがたどりついたのは、既存の水門事業の意義を深堀りするおもしろさ。

「水門は、暮らしに必要だから残ってきたもの。それをどう変化させていくかが、私たち世代に問われていると気づいたんです。ケンゾーさんが言う、水と川の共生の話に興味があって。私はそこをがんばりたい」

「人事改革のおかげですね、ありがたいですよ。やりたいことを考えていなかった私たちが考えるようになって、しかもそれを『否定されない』保証がついてきた!って」

まっすぐに職人の道をいってもいいし、新しいことに着手してもいい。

根底に、未知を楽しむ力のある会社だなと思う。

それを乘冨さんが率いているのは間違いないけど、多様な現場に合わせてオーダーメイドの水門をつくってきた職人さん、そのユーザーに合わせた提案をしてきた社員のみなさん、全体としてなんだろうな。

 

取材後、2階へあがると、前と雰囲気ががらりと変わっていた。

家具類は職人さんがつくり、DIYでオフィスをリニューアルしたそう。

ほかにも2年の間に、焚き火イベント「TOMARIGI」や、ものづくり企業を集めた「ツクルフェス」も、パワーアップして続いている。柳川観光協会からの依頼で、他業種のプロと協働して水上ステージ「掘床」もつくった。

変化や広がりは、書ききれない。

人が人を呼び、あちこちで化学反応が起きる。広がっていく。

その会社に、ゼロから何でもつくっちゃう職人たちがいるって、なんて可能性のかたまりなんだろう。

帰りのバスに揺られながら、そんなことを思いました。

会社のSNSやホームページもぜひ見てみてください。社員総会もYoutubeで公開されています。

得意を活かしながら、柳川というまちで、「水と人」や「ものづくり」に関わっていく。

ピンと来たら、まずは一緒に焚き火を囲みに行ってみてはどうでしょう。

(2026/01/30 取材 渡邉雅子)

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