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光沢のある絹糸が巻かれたような、きめ細やかな細工が光るジュエリー。新鮮な質感に驚きつつ、時を刻んできたような懐かしさも感じられ、思わず触れてみたくなる。
そんなものづくりをするのは、ジュエリーブランド「AbHerï」。株式会社アルファが運営しています。
温めてきたコンセプトをもとに、デザイナーがイメージを描き、形に起こす。職人の手でつくられたジュエリーは、ディスプレイによってさらに輝きを増す。その魅力を、販売スタッフがお客さまへと伝えていく。
ものづくりから販売するところまで一貫して行っています。
だからこそ想いが積み重なり、モノは深みを帯びていくように感じました。
今回は、AbHerïのものづくりを支えるデザインチームスタッフと、商品をお客さまへ届ける販売スタッフを募集します。
まずは、AbHerïというブランドについて知ってほしいです。
馬喰町駅から徒歩5分。
古い建物とギャラリーやカフェが隣り合う街並みのなかに、AbHerï work×shop(アベリ ワークショップ)はありました。
繊維倉庫だった場所をリノベーションした空間で、店舗とアトリエを備えています。
アトリエスペースの隣で、まずは代表の黒瀬さんに話を伺いました。
ご縁があって、ジュエリー業界に足を踏み入れたという黒瀬さん。まずは卸売の仕事をはじめる。その後、独立してもう30年が経った。
「一から会社をつくって続けていくということが、原動力になりました。だんだん人材が集まってきて、その人たちの能力を活かすように新しいブランドを展開していこうと16年前にはじまりました」
「自分がいいと思うものをつくりながら、ビジネスとして成立していることは幸せなことだと思います」
どうせなら、自分がいいと思うものをつくりたいし、そういう仕事をしたい。けれども簡単なことではないと思います。
どうしてこの会社はそれができたのだろう。
「いちばんは、デザインやディスプレイなどクリエイティブ面が際立っていること。資金面や財務面よりも、なによりそれがブランドの根幹を支えているんです」
どんなデザインチームなのだろう?
チームを引っ張るのが、チーフデザイナーの宮澤さん。
未経験だけど、ジュエリーの仕事に就きたいと考えていたとき、AbHerïに出会う。15年前のこと。
「最初に商品を目にしたとき、使う素材もアプローチの仕方も、それまで見てきたジュエリーとは全く違っていて衝撃を受けました。身につけるだけでなく、置かれている佇まいも美しく、作品を観ているようで」
AbHerïのようなものづくりをしたい。販売員を募集していたけれど、つくり手として修行させてくださいと、黒瀬さんに思いを伝えた。
とはいえ、経験がないところからのスタート。さらにAbHerïのデザイナーは職人も兼ねていて、商品のデザインだけでなく原型もつくるのが基本。
「デザイナーが原型もつくるからこそ、イメージしているものが忠実に再現されます。ただ、紙の上にデザインするのと立体に起こすのとでは、ギャップが出てくるんです。イメージを形にできるようになるまでは、ものすごく大変でした」
週末には職人さんのところに通い、仕事を終えてからも練習を重ねる日々。そうして技術を身につけていった。
はじめて自分でつくったのは、一点ものの指輪。
「バラの花束をイメージしてつくったもので。サンゴを彫って表現したバラの花と、そのまわりに葉っぱの形をしたエメラルドの石をはめ、ブーケのように石座を組み合わせました」
「自分でディスプレイも担当して、『こう置いたらこの子の嫁入り先が決まるかな』と愛情を込めて並べて」
そんな宮澤さんの姿を、当時の販売員の方がちゃんと見ていてくれた。
「『今日お嫁に行きましたよ!』と、購入された方のことを電話で事細かに教えてくださったんです。いまでも鮮明に覚えていて、そのときの思いが私の原点にあります」
AbHerïのデザインチームは、商品デザインだけでなく、ディスプレイやプレス、ノベルティの企画など、ヴィジュアル面に関わるすべてを担当する。
展示空間に合わせて形状や材質を考え、手作業でつくられる什器。宝石は、AbHerïのジュエリーに合うものを自分たちで仕入れに行く。
「あらゆる角度から、まじめに真摯にものづくりを行うこと。そこがうちの強みだと思っています」
幅広い仕事を大変に思う人もいるかもしれない。一方で、そこに仕事の面白さを感じる人もいる。
デザイナーの柿本さん(写真中央)は後者でした。
「デザインに限らず、雰囲気をつくり上げるような仕事にやりがいを感じます」
モノそのものだけでなく、ストーリーや背景を想像させてくれるアンティークジュエリーに惹かれ、大学では彫金を学んだ。
AbHerïがつくる世界観に心を動かされ、在学中に面接を受けたそう。
ただ、そのときは採用されなかった。
卒業後にもう一度トライして、アシスタントスタッフから経験を積んでいくことに。
それから4年半。今ではデザイナーとして、商品デザインやディスプレイ、プレス窓口などを担当している。
「どんな仕事でも心がけているのは、AbHerïの雰囲気を壊さず、さらに良くしていくことです。たとえば、普段の生活から『あ、いいな』と思うものを心にとめておけば、仕事に取り入れることもできます」
デザインの企画では、たくさんのパターンの中から商品になる一つが決まっていく。
柿本さんは、「こういうものもあったら美しいんじゃないか」と毎回新しいアイデアを少しずつ入れているとか。
「最初はAbHerïらしさから少し離れたものになってしまうこともありました。今でも『これはちょっとふさわしくないかな』って言われることもあります(笑)」
「でも、やってみてはじめて自分で判断できるようになる。チャレンジしては相談したり、アシスタントとしていろんな仕事を経験するなかで、色のニュアンスや微妙なデザインのラインなどを理解していきました」
コミュニケーションを通して、AbHerïらしさを共有しながら進化していける。
技術面でも、最新の技術を取り入れています。
写真は、リングのサイズ直しをしているところ。
まずはリングをカットする。カットした部分と、リングと同じ地金でできた金属線との接点に、ピンポイントでレーザーを当てて溶接していく。
ロウ材を火で溶かしてくっつけるのが一般的なのに対して、不純物が入らないし、石座に留まっている宝石を傷つけずに直すことができる。
「職人の伝統技術を受け継ぎつつ、最新機器も使うことで、今まで不可能だった細工ができるようになり、デザインの幅も広げていけるんです」
デザインチームに加わると、まずはアシスタントの仕事からスタート。一人で仕事ができるようになったらデザイナーとして活躍していくことになる。
華やかに見えて勉強すべきことは多く、壁にぶつかる場面もあるかもしれない。
「ただ、いろんな仕事を経験していくことが、最終的にAbHerïの世界観をつくることにつながっていきます。このブランドが好きで、その一員となって働くことによろこびを感じる方がいいのかなと思いますね」と柿本さん。
宮澤さんはどんな人が向いていると思いますか。
「みんな、美しいものを仕上げるということを、ずっと守ってやってきています。そのためにハードな仕事になってしまうこともある。それでも、めげずに頑張っていくバイタリティと、健康で体力のある方がいいと思います」
想いを込めてつくられたものをお客さまへと届けるのが、販売スタッフの仕事。
ジュエリーアドバイザーの清水さんにも話を伺いました。
「ジュエリーって生活に必要不可欠なものではありません。けれども人から人へ大切に受け継がれたり、技術をつないで人の手でつくられていくことが素敵だなって。AbHerïは、つくるところから売るところまで一貫しているのが魅力的でした」
「AbHerïのデザインは、新しいものでありながら、つけるとスッと馴染むような懐かしさもそなえていて。幅広い層の方から受け入れられていますね」
サイズ直しをしてお母さまから娘さんにリングを譲る方もいれば、娘さんが身につけているのを見るうちに、ピアスホールを開けてまで自分も愛用したいというお母さまもいるとか。
そして、強いこだわりをもった方も多いよう。
「自分だけのものがほしいという方もときどきいらっしゃって。でも、たとえば淡い色味のリングに強い色味の宝石を用いたら、リング全体のデザインが変わってしまう。AbHerïのジュエリーでなくなってしまうと思ったら、カスタマイズできない理由をお客さまと話し合います」
「お客さまの理想に添いたいという思いと、AbHerïとしてつくったものを受け止めてもらいたい気持ちがあります。間に立って、ちょうどいいところに着地させることには苦労があったりしますね」
そうした悩みも、お客さまの要望に応えていく柔軟な姿勢と、デザイナーの意図を大切に汲みとる気持ちがあるからこそ生まれるのだと思います。
どんな人に来てほしいですか?
「AbHerïを好きな人ですね。ジュエリーってそれなりの値段がするものなので、ただ紹介すれば売れるというわけではありません。自分でどんどん好きなところを見つけて、表面では伝わらないことまでお客さまに伝えたいという気持ちが大切だと思います」
ふたたび代表の黒瀬さんにも伺いました。
一人ひとり、思いが強いですね。
「そうですね。思いの強い人が集まって、パワーを増す。それがうちの特徴だと思います」
「人生のなかで仕事をする時間は最も長い。どうせやるならとことん打ち込める仕事がいいと思う。いい仕事をしていれば、給料は後から上がっていく。そんな気概のある人だといいですね」
現在5つの直営店舗を運営していて、2017年4月には銀座にオープンする「GINZA SIX」に出店する。
それも、空間を十分につかって世界観を表現するため。今後も店舗を構えていくほか、海外への展開も視野に入れている。
これから入る販売員の方は、その人の環境に合わせて相談のうえ、勤務地が決まっていくそうです。
取材後に、アトリエを見せてもらいました。
職人さんが、制作中に削り粉を吸い込まないようと集塵機をつくってくれたこと。柿本さんがデザインを描くスペースを広くとれるようにデスクを手づくりしたことなど、エピソードを聞かせてくれました。
ここで働く人たちからは、AbHerïのことを大切に思う気持ちが伝わってきます。
想いが集まって、ブランドの輝きが増していく。
強く惹かれるものがあったら、ぜひ、AbHerïをつくる一員になってほしいと思います。
(2016/12/16 後藤響子)