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何かのイベントを計画して実施するとき。その過程には、“やるべきこと”がいろいろと出てきます。
友だちの誕生日パーティーを開くにしても、プレゼントや会場設営の予算にスケジュールの確認、サプライズの段取りまで考える。それにケーキの手配や、メッセージ動画の撮影・編集。当日になっても、予期せぬことが起きてドタバタと。あっという間にパーティーは終わり、待っていたのは後片付け。
小規模なら勢いでなんとか乗り切れるかもしれないけれど、これが大規模のイベントとなれば、話は別。
全体を俯瞰して、うまく調整してくれる人が必要になってきます。
株式会社サンプラックスは、そんな役割を担う潤滑油のような会社です。
ただ、調整することだけがサンプラックスの仕事ではありません。
会社設立当初から関わりのある「丸の内朝大学」では、自分たちで講座を立ち上げたり、受講生同士がつながる場を設けたり。新たな広がりを生むような仕掛けや仕組みづくりも得意としています。
イベントのトータルプロデュースを手がけるこの会社で、企画制作に関わる仲間を募集します。
訪ねたのは、東京・神田淡路町にあるサンプラックスの事務所。
現在、ここでは10名のスタッフが働いている。
パッと目に止まるのは、みなさんの机に置かれた卓上カレンダー。ひとりに一つ、いつでも見られる場所に配置してあるのがすぐにわかった。
こんなところからも、スケジュール管理に対する意識の高さが垣間見える。
けれども、代表の齊藤さんは想像と違い、とても穏やかな空気をまとった方だった。
空間デザインの仕事やイベント制作会社での勤務を経て、独立したのは8年前。
「最初は事務局から何から全部ひとりでやってましたけど、今スタッフはちょうど10人かな。社外で協力してもらっているスタッフも多数います。ひとりで仕事するってさびしいじゃないですか」
丸の内朝大学は、「my朝を、たのしもう」というコピーの通り、毎朝を充実させ、自分なりのmy朝に変えることで、日々の暮らしをもっと楽しむことを目的とした市民大学のこと。
大手町・丸の内・有楽町エリアをキャンパスに見立て、20~30クラスのなかから自分の好きな講座を選択。毎週月〜金曜日の7:15~8:15の1時間を使い、全8回の講座に取り組んでいく。
そのなかでサンプラックスが担うのは、事務局の統括。Webやコンテンツの制作、クラスの実施者や会場担当者との調整など、業務は多岐にわたる。
「今は春夏秋の3期制で、年間3000人以上が受講しています。年齢層は30~40代が多く、7割が女性ですね」
ソーシャルアクションや表現、食、からだなど合計10の学部があり、さらに細分化された歌舞伎探究やマネーコミュニケーションなどの多様なクラスが揃っている。講座によっては、土日に「フィールドワーク」を実施し、丸の内エリアを飛び出して温泉に入ったり、離島で遺跡の発掘現場を訪ねたりもする。
「期の終わりには終業式もあります。文化祭のようにみんなで発表や展示をして、1期あたりの締めをするんですね。そこにも200~300人のコミュニティができていて、お互いにつながるわけです」
「過去の受講生がクラスのファシリテーターを務めるクラス委員という制度もあって。授業の出席確認や事務局との連絡、終業式の企画などで盛り上げてくれています。とはいえ、みなさん普通にお仕事されている方なので、全部ボランティアなんですよ」
さらには、卒業後に活動が発展した例もある。チアダンスクラスの活動を通じてチーム「モーニングダイアモンズ」が生まれ、テレビクラスの卒業生有志からはインターネット放送局「朝大学テレビ」が誕生。いずれの活動も継続中とのこと。
共通のテーマに興味を持った人たちが集い、朝から一緒に学ぶ。つながることを目的にせずとも、自然とコミュニティが生まれ、続いていく場になっているようだ。
「今朝はありがとうございました!」「はい!また来週」というようなFacebookページ上のやりとりからも、朝の爽やかな空気を感じることができる。
この日の朝、担当の「お手軽 燻製クラス」があったという笠原さんにも話を聞く。
「基本的に7時前には会場に行って、会場の鍵開けや準備をします。常時10会場で動いていくので、どの会場にどのクラスを入れるかであったり、クラス間で連携をとることが大事。まるでテトリスみたいですよね。各クラス、ぴったりハマると面白いですよ」
既存のクラスの立会い担当もあれば、新規にクラスを立ち上げるときもある。その場合、クラス内容の企画から講師への依頼、会場の手配や当日運営に必要なことなどを順序立てて考えていく。食の講座では簡単な試食も出すため、その準備も加わってくるという。
「もともとはお惣菜のお店で店長をしていました。そのうち、ものを売るだけでなくつくる仕事をしたいと思い、フードコーディネーターを7年ほどやって。イベントに向けて何かをつくっていく過程や、準備をして当日に備える仕事が好きでした」
その後、人と直接関われる仕事を探していたときにサンプラックスと出会う。
「ここの面接を受けるときにも聞いたんです。人や食に関わることができるかどうか」
「その面接を経て、やるべきことをやっていれば、やりたいこともやらせてもらえそうな印象を受けました。実際にここでは提案したことが形になるので、過去の経験を活かせる環境かなと思います」
8年が経ち、朝大学のノウハウは蓄積され、安定して回せるようにはなってきた。
一方で、その安定感が課題にもなっている。
「以前と比べ、朝大学自体もだいぶ認知されてきて、一般的になってきました。リピーターの方も多い印象を受けます。これからは、新規の方をいかに取り込むかが課題ですね」
全8回の講座の受講料は、決して安くはない。経済的にも時間の制約的にも、20代が参加するには少しハードルが高いようにも思える。
とはいえ、価格を下げたり、朝の時間帯を外すのも違う。
講座をより魅力的にしたり、外部と連携した講座をより増やしていくことで、新規の受講生を増やしていきたいという。
朝大学の事務局全般を統括している山本さんが、今後の展開について話してくれた。
「朝大学は自己完結的な組織ではありません。大きなプロジェクトの一部として朝大学を利用することもできるので、朝をテーマにブランディングしたい企業や自治体からお話をいただくこともあります。いかに外部と連携し、朝大学全体の枠組みを発信していくかがこれから重要になってくると思います」
たとえば、2020年の東京五輪に向け、インバウンド促進のために、食や伝統のコンテンツで丸の内朝大学が活用できるケースも出てくる。
「外部との連携を強めていきたいのですが、現状ではすべて拾いきれていないんです。新たな提案があったときに、それを噛み砕いて現実の形に落とし込める人がいてくれるとありがたいですね」
経理担当の方もいるけれど、事務作業の多くは山本さんと笠原さんで担っている状況のため、ある程度社会経験を積んでいて、わからないことも予測を立てながら取り組めるような人が求められている。Webディレクションやコンテンツ制作の経験がある人なら、より可能性も広がっていきそうだ。
「経理・事務が得意な方ならお任せして、ぼくがもっと外に出ていくことも考えられます。ただ、イメージとしてはその方とふたりで出ていったほうがいろんなアイデアも出るのかなと。あとは応募された方の適正に応じてですね」
山本さんは、どんなときにやりがいを感じますか。
「調整の仕事と聞くと、地味な印象があるかもしれません。たしかに作業としては地味なことも多いですが、大きなプロジェクトにも関われますし、一流の方たちとも一緒にお仕事できるので。それが自分の興味あることなら、なおさら楽しいですよね」
規模がすべてではないけれど、大きなイベントほど、責任とともに終わった後の達成感を感じられるものだと思う。それがまた次の原動力となって、調整力を磨いていくことにもつながる。
ただし、イベントの直前には帰りが遅くなることもしばしば。波のある仕事だという認識は持っておいたほうがいいと思う。
最後に話を聞いたのは、企画制作ディレクターの玉田さん。朝大学担当の笠原さんや山本さんとは、少し異なる動き方をしている。
今回は、玉田さんのような役割を担う人も募集する。
「ぼくが担当するのは、主に企業の社内行事やイベントプロモーションです」
たとえば、企業の株主総会や記念式典、展示会の運営など。
既存のイベントや行事の裏側で、会場のキャパシティや時間などの制約を踏まえ、円滑に進むよう調整していくことが多いという。
「つい最近では、トラックの整備士コンテストに関わりました。ある自動車メーカーの主催で、世界中の大会で勝ち上がった整備士さんたちを集め、日本でコンテストを開いたんです」
コンテストが特殊なのは、観客から選手へのアドバイスがないように接点を断つこと。お客さんと選手の動線を分け、マニュアルをつくり、スタッフ向けに事前にレクチャーをしたり。別会場で行われる表彰式のためにバスを手配し、ブロックごとに分けて誘導したり。
「企画のフレームができているものに対して、中身を肉付けしていく仕事」と玉田さん。
ただ、将来的にはより全体をプロデュースする側に立っていきたいそう。
「実は、今の仕事に満足しているわけでもなくて。もっと企画を方向づけるような全体装飾や映像コンテンツの提案もしていきたいんです。そこに向けて、出来上がる過程を徹底的に知るのも意味があることですし、面白いんですけどね」
そんな玉田さんにとって、印象的だったイベントがある。それは、事務所からほど近い文化複合施設「ワテラス(WATERRAS)」の周年イベント「ジャズ・オーディトリア」だ。
「次の春で4回目になるんですけど、毎回ぼくが担当させてもらっていて。主催は大きな会社さんなので、担当者も変わるんですね。だから、ノウハウとしては正直ぼくのほうが詳しいこともあります」
「そのなかで、『玉田さんがいないと回らないので、次もお願いします』と言ってもらえると、またがんばろうと思えますよね。一業者とクライアントではなく、個人として認めてもらえているのかな、とうれしくなります」
調整という仕事は、何かを立ち上げたり、付加価値をつけるような足し算の考え方とは異なる。
けれども、それを継続的に根づかせていくためには必要不可欠な力だと思います。
いつかは自分で0からはじめたい人も、縁の下の力持ちになりたい人も。ここでぜひ力をつけませんか。
(2017/1/11 中川晃輔)