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せっかく働くならば、社会をより良くする仕事をしたい。ソーシャルビジネスに取り組むことやNPOで働くことは、だんだん特別なことではなくなってきたように感じます。

社会の課題を解決する取り組みでありながら、その仕組みはビジネスとしても成立しています。活動がはじまって10年目を迎える今、寄付金額が年間1億円を超えるほどの大きな動きとなりました。
今回はここで事業開発や営業をする人、組織の運営や事務的な側面を担う人を募集します。
自分の働く力を、世界をよくしていくことに使いたい。そう考えている人は、ぜひ読んでみてください。
乃木坂駅から歩いて3分ほど。東京ミッドタウンのすぐ近く、マンションの一室がTFTの事務所です。
窓一面の緑がまぶしい部屋で、事務局長をつとめる安東さんにお話を伺います。
「代表は2年ほど前からヨーロッパを拠点にしていて、日本のチームは私を含め3人います。1人が産休に入っているので、今は2人でもがいてるところですね」

高校生で弁護士を目指し法学部に進学、大手のシンクタンクに就職をした。けれど組織の中で、6000人分の1として働くことに違和感があった。
「もっと手ざわりのある仕事をしたいと思ったんです。そんなときに友人から、フランスのワインや食材を輸入している小さな会社を紹介されて。ぽろっと転職をしました」
大好きな食に関わる仕事。けれどまた、違和感を感じるようになる。
「料理を上品に食べているきれいな女性が体型を気にしてあとで吐き出しちゃうとか、嗜好品のワインは1杯だけ飲んで捨てられちゃうとか。飽食の世界を目の当たりにしたんです」
「いっぽうで個人的に寄付をしていた団体から届くニュースレターには、開発途上国の飢餓の現実が綴られていて。これっておかしいなって」
そんなことを考えているタイミングで出会ったのが、TFTを立ち上げようとしていた現代表の小暮さん。この仕組みなら今感じている違和感を解消することができると思い、参画することにした。

食べ過ぎが原因で肥満状態にあると言われる人が多い先進国では、このプロジェクトで用意された低カロリーで栄養バランスのとれた食事を食べることができる。
開発途上国の子どもたちは、寄付のおかげで栄養のある食事を口にすることができる。食べることは勉強する活力になり、給食は学校に通う理由になって教育が普及する。
過食と飢餓。同じ世界の中でおきている食の不均衡を解決するこの仕組みを、実際に動かしていく役割を担うことになったのが小暮さんと安東さんだった。
「立ち上げ当時はまったく先が見えませんでした。裏返せば、自分たちで好きにつくっていける。私はその状況がとても楽しかったんです」

現在は360社もの社員食堂で導入されるほかにも、レストランのメニューや大学の学食、スーパーの商品などにもTFTの仕組みが導入されている。
活動をはじめてから10年。とても順調に見えるけれど、立ち上げ当初、世間の風当たりは強かった。
「今でこそソーシャルビジネスが増えていますが、当時はNPOと言うだけで怪しいと思われることが多くて。話を聞いてもらうだけでも大変でした」
20円のうち2割は事務所の家賃や人件費など、プロジェクトを運営するために充てている。ちゃんと事業を続けるために必要なお金なのだけれど「寄付なんだから、活動はボランティアでやるべきだ」と言われることもあったんだとか。
信頼を得るために力を入れてきたのはオペレーションの仕組みづくり。ゆるい寄付団体と思われないよう、ちゃんとビジネスとしてやり取りができる体制を整えてきた。
スタッフの数が限られる中で、大きくなってきたこの仕組みを支えてくれているのは、さまざまな形で関わるサポーターの方々。

「スキル面や金銭面、それに精神的な面も。いろいろなかたちで関わってくれるみなさんのTFT愛に支えられています。この間の謝恩会ではTFTが紹介されたテレビ番組を、サポーターのみなさんと一緒に泣きながら見ました(笑)親戚の集まりみたいな関係ですね」
この話を横でうなずきながら聞いていたのが、スタッフの張さん。

張さんがスタッフになったのは3年前。「開発途上国の支援がしたい!」と思ってここに来たわけじゃないそうで、ちょっと意外だった。
「高校生のころ環境問題や食糧問題が話題になっていて、そこに携わる仕事がしたいと思い農学部に進みました。学生のころに、若い起業家さんをサポートする団体でインターンをしたことは今につながっていますね」
「自分の利益だけではなくて、社会の課題を解決することを目的に起業をしている大人にたくさん出会ったんです。そういう生き方もあるんだと知りました」
その後就職したのは大手の総合商社。総合職で4年間、文字どおりバリバリ働いた。
「今後の方向性を考えるタイミングで、数値目標を最優先に考えるよりもミッション型の組織で働きたいと思っていたんです。TFTなら自分のスキルを活かしながら、すごく成長できるって直感で決めました」
働いてみて、どうでしたか。
「意思決定のスピードが早いのは、大きい企業とは違うところでしたね。相談もしやすいし物事も進めやすいし。逆に言えば自分から進めないと進まない。最初の半年くらいは、てんやわんやしてましたよ」

「張はものすごく度胸があるんですよ」と安東さん。こんなエピソードを話してくれた。
「懇親会でたまたま全国規模の小売大手企業の役員の方にお会いする機会があって。チャンスだと思って、一緒にやらせてもらえませんかって1分くらいでアピールして。そしたら次の週に社長に会わせていただくことになって。今は無事、プロジェクトをご一緒させてもらっています」
「現地に行って子どもたちに会う機会もあります。でも普段はがっちりベンチャー企業の仕事なんです。緩やかな感じをイメージしてくると、大変かもしれませんね」
ここで、今はイタリアにいるという代表の小暮さんとスカイプをつなぎ、話を伺うことになりました。
「TFTの仕組みをアメリカでも6年ほど続けています。最近ようやく軌道にのりはじめてきたところで、ほかの国でも導入できる場所をさがしているんです」
まだまだ日本でのプロジェクトも成長の真っ最中。もっと日本でじっくり安定させることを優先する、というわけではないんですね。
「海外展開は我々もまだ成功の方程式が見つかってはいなくて。ただ、自分の国でもやりたいっていうオファーをいただくことがあるんですよ。せっかく声をかけてくれた人の気持ちを無駄にしたくないなって」
小暮さんは支援先の学校を定期的に訪れてプロジェクトの様子を確認したり、新たな支援先の開拓も行っている。
アフリカやアジアが対象となっているけれど、支援先はどうやって決めているんですか。
「最初はご縁があって広がってきました。現地では提携する団体に実施からモニタリングまで委ねるので、信用できる団体を選ぶために評価軸をつくっています」
この評価軸も最初からあったわけではなく、試行錯誤を繰り返しながらできてきたもの。
「当初、ウガンダでどうしても支援をしてほしいという話があって。フタをあけてみると自転車操業に近い状況で、我々が給食費として送っているものを、事業が回らないので水道光熱費に使ってもいいか、みたいな状況になってきちゃって」
「NOって言えば給食どころか、その学校自体を閉鎖せざるを得なくなる。でも違う目的に対して資金を使うっていうのはキリがないし、やっぱり承認できなくて。支援を必要としているところって、限りなくあるんです。その中で、僕らだからできることを判断するようになりました」

「我々の手から離れていくプロジェクトを増やしていきたいと思っています。でも貧困に苦しむ地域は、それなりの環境的な理由があって。簡単ではありませんが、目指すべきものに向かって一緒にやっていこうと思ってやっています」
「日本は少しずつ地盤ができてきたし、環境的にも活動を試しやすい。日本ではいろいろな挑戦を続けていきたいですね」
安藤さんと張さんは、どんなことを考えているんですか。
「カロリーオフセットというプロジェクトは、スポーツをすると寄付ができる仕組みになっています。オリンピックに向けて、いろいろ仕掛けていきたい」
「食で関わる範囲を増やして、たとえば生産者や自治体とコラボした企画もやってみたいよね」
2人はとてもたのしそうに、あたらしい事業のアイディアをどんどん話してくれる。
「1番のアイディアマンは小暮です。少年的な遊び心があって、突拍子もなくて、え?って思うこともあります(笑)でもあたらしいことに挑戦し続ける組織だからこそ、みなさん応援してくれていると思うんです」

スキルを活かしながら、自分の仕事に納得して働きたい人からのご連絡をお待ちしています。
(2017/3/3 中嶋希実)