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「イベントの仕事って、人に起因するんです」「イベントに必要なものや人を揃えるだけだったら、段取りのうまい人がいればいい。ぼくらの役割は、『あなたにいてもらってよかった』って言ってもらえるような、チームの中のそれぞれの人が仕事をしやすい環境をつくることなんです」
株式会社グリーンアップルは、社会や環境、防災、サステイナビリティなどをコンセプトにしたイベントを企画運営するイベント会社です。

そういった人たちをチーム編成して一緒にイベントをつくりあげ、打ち上げでワイワイおいしいお酒が飲めるまで。
今回は、一体感をもってイベントつくる人を募集します。
どうやったらそれぞれの人が気持ち良く動けるかを考えることは、きっと人と関わる様々なシーンで役に立つこと。
将来、人と何かをやっていきたいという人にとっても学ぶことの多い場所になるかもしれません。
秋晴れの気持ちいい日。
渋谷駅から宮下公園へ向かって10分ほど歩くと、静かな住宅街に入る。
グリーンアップルのオフィスは、マンション5階の一室にありました。

手がけるイベントは「100万人のキャンドルナイト」や「ロハスフェスタ」、「渋谷区総合防災訓練 SHIBUYA BOSAI FES 2016」、「GO OUT CAMP」など、環境にまつわるようなテーマをもったものが多いそう。
「そういうご縁をいただくことが多いんです」
「たぶん、イベントのプロも、環境のプロも沢山いる。でも、イベントと環境の両方をもっているプロはあんまりいないんですよね。ぼくらはそこを掛け合わせているんです」
そう話すのは、代表の中島悠さん。

陽が差す明るい部屋で、お話を聞いていきます。
「もともとぼくは高校時代、学園祭実行委員長をやっていたんです。そのとき、ごみがたくさん出て汚かったんですね。終わったあとに学園祭委員で片付けるのがすごく嫌だったので『大きいごみ箱を設置しよう』『たくさん設置すれば、分別やリサイクルもできるようになる』と考えたんです」
「ごみの分別」「リサイクル」で検索して出てきたのが「A SEED JAPAN」という団体でした。
「そこが当時、レゲエ・ジャパンスプラッシュとか当時の野外音楽イベントでごみの分別をしていたんです。そこにオファーして、ごみ箱をお借りしました」
そこからのご縁で、大学生になるとA SEED JAPANにボランティアで参加するように。
「ぼくが参加した1999年当時は、フジロックも苗場に会場を移したり、翌年以降、サマーソニック、ライジングサンロックフェスティバルがはじまったりと、ちょうど夏フェスが立ち上がる頃でした。同時にフェスのごみ問題やリサイクルについての取り組みもはじめる、その創世記に携わることができたんです」

こうして、環境とイベントが中島さんのライフワークになった。
その後は、市民がつくる日本最大級の環境イベント“アースデイ東京”の事務局長を5年ほどつとめたり、「不都合な真実」を書いたアルゴアの呼びかけで行われた地球温暖化防止を呼びかける世界同時音楽イベント「LIVE EARTH」に携わったり。
個人で仕事をすることからはじまり、2011年に株式会社グリーンアップルを設立します。
振り返れば、高校生のころからイベントをつくり続けてきた中島さん。
イベントは、来年も再来年も続くものになってこそ効果があるという。
「たとえ来場者数が多くても『ひとときの祭り』で終わってしまったら、イベントで伝えたかったメッセージも一過性のものになってしまうと思います」
「そうではなくて、イベントが終わったとき、運営スタッフから『来年もぜひスタッフをやりたい』という声があがり、『来年はもっとこうしよう!』というアイディアが活発に出てくる。そんな運営スタッフの満足度が高いイベントになれば、結果的に、主催者と来場者の期待に応える、効果の高いイベントとして息長く育っていくんです」

ここで、ディレクターの日野原さんにもお話しを聞いてみます。
日野原さんも、アースデイ東京の事務局でイベント運営をしていた方。そこでの活動で中島さんと知り合ったそう。

働こうと思ったきっかけはなんでしょう。
「イベントに関わっているメンバーが、面白い人ばかりだったんですよね。仕事の内容も好きだったし、何より一緒にやっていく仲間が面白そうだったから、ここで仕事したいなと思ったんです」
「趣味がそのまま仕事、という雰囲気があるかな。わたしは休みは休みでほしいタイプなので、イベントが終わったらまとめてとったり、うまく調整しています」
イベント会社というと勝手に男の人が多いイメージをしていたけれど、グリーンアップルで働くのはほとんどが女性。とはいえ、男性も大歓迎だそう。

「どんなイベントにしたいかによるんですけれど、まずは何が必要か洗い出すところから始まります。イベントをつくるにはいくつかのフェーズがあって、ひとつひとつ決めていくんです」
まずは規模、会場、日程。
日程も、会場が屋内なのか屋外なのかということとも連動してくる。
「屋外なら晴れが多くてきもちのいい、春や秋の季節がいいですよね」
大枠がきまったら、会場のレイアウト構成。
「出店数によって、たとえばテントを立てるならテントの施工会社、電気配線、水道会社というテクニカルなメンバーから、当日スタッフをまとめるディレクターなど、イベントの予算や規模感をもとにシミュレーションしながら決めていきます」
チームのメンバー編成と、必要なモノの手配。
全体を把握しながら、動きをイメージしていきます。
「段取りはイベントの回数をこなすことでうまくなりますよ。たとえば、前回はここに人を配置しなかったせいで流れがわるかったなとか、去年はあの備品があって助かったなとか。からだで覚えていくんですよね」

「体力的にけっこう大変な場面もあります。でも、そんなふうにいろんな人と関わってチームでやる感じがたのしいんですよね」
チームでやる感じ。
「ディレクターさん、施工会社さん、音響さん、スタッフさん…。一緒にやるチームの人たちと仲良くたのしくできるようにしたい。そんな雰囲気になるような、土壌づくりみたいなところが楽しいかな」
実はわたし、人見知りするほうなんです、と日野原さん。
「でも『こういうイベントをつくりたい』っていうテーマを共有しているからですかね。関わる人たちが、むしろ積極的に関わりたいと思わせる人たちが多くて」
「わざわざ土壌づくりをしようと思わなくても、じゃあ一緒にご飯いきましょうとか、当日来た人が自分が何をすればいいのか把握できるように事前に資料をつくっておこうとか。みんなと一緒にたのしくやりたいと思うと、自ずと動けるんですよね」
そんな雰囲気があることで、イベントを頼んだクライアントさんも安心するし、現場に来た人同士が仲良くなるということも。
きっと、日野原さんは、仕事をもらっているとか依頼しているといった立場をやわらかくして、ひとつのチームをつくっている感じなのかもしれない。
「以前、わたしが担当しているロハスフェスタで『今回のMVPは日野原さんだね』と言っていただいたんです。あれはうれしかったなぁ」

経験は必要なく、スキルもパソコンができればよいといいます。
ふたたび中島さん。
「イベントはチームプレイです。苦手なことろはフォローし合いながら、メンバーの得意なことを活かして一つのものを創りあげる。イベントを大成功させたいと思えるような気持ちと、それを実現するために段取りがしっかり組めるところが大事なんです」
ただ、全体を把握することは身につけていかないといけない部分だといいます。
「そこがたぶん、イベントを請けている責任なんですよね。たとえば、音響さんが当日突然来れなくなったとき。そうしたら、専門でなくてもぼくらがやんなきゃだめなんですよね。もしくは、代わりにできそうな人を手配できるとか」
「そういう意味でも、共にイベントをつくる仲間を増やしていくことってすごく大切なんです。ぼくらが仕事を頼む音響さんや施工会社の人たちも、仲間になるかもしれない」
すると、隣で頷く日野原さん。
「そうですね。イベントをするたびに友達が増える感じです(笑)」

イベントをつくるということは、すべてを把握してチームでつくりあげること。
責任もあるけれど、その楽しさは一度知ったらくせになりそうだなと思いました。
(2017/5/29 倉島友香)