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革新の糸口

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

長年にわたって多くの人々に愛されてきたもの。

そこには、伝統を守るだけでなく、時代の節目ごとに変革を繰り返し続けてきた老舗企業の努力があります。

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実家の裁縫箱や家庭科の授業で。このダルマのマークの家庭糸に馴染みがある人は多いと思う。

つくっているのは創業116年の横田という会社です。

35歳と若い代表を中心に、最近では新ブランドの立ち上げや海外展開など、伝統を守りながら新しい動きも生まれています。

今回募集するのは、次なる革新へ向けてそのきっかけづくりをしてくれる人。具体的な職種は、企画、生産、営業、そして管理です。まずは1ヶ月の研修のあとに話し合いながら決めることになります。

他業界で培ったスキルが活かせるかもしれないし、たとえ社会人経験がなくても強い気持ちと行動力があれば道が開けていくかもしれない。

先の見えない今の時代に、横田と一緒にチャレンジし続ける人を求めています。

 

大阪・中央区。地下鉄御堂筋線の本町駅から地上へ出ると、辺りはスーツ姿の人々で溢れている。

オフィス街なのかと思えば、たくさんの買い物客で賑わう大きな商店街もあったりして、なんだか楽しい街。

「この辺は船場(せんば)と呼ばれていて、大阪城下の中心地なんですね。昔から船場商人たちがここで商いをやってきたので繊維問屋街があるし、うちも戦前からずっとこの場所なんです」

そう話すのは、代表の横田宗樹(もとき)さん。

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横田は、宗樹さんのお祖父さんの、そのまたお祖父さんが立ち上げた会社です。

宗樹さんは不動産会社での営業職を経て、2008年に横田へ入社。以来、会社の改革を先頭に立って進めてきました。

「入ったころはたぶん、自分の居心地がよくなかったんだと思うんですよね」

居心地が?

「そうなんです。すべては過去の延長線上で行われていたというか。いいものはつくっているんだけど、新しい動きがまったく感じられなかったんです。毎年同じ時期に同じ場所で、同じような展示会やキャンペーンをずっと繰り返していた」

「ダルマの家庭糸はみなさんに知っていただいてましたけど、毛糸に関しては『おたくって毛糸もやってたの?』と言われるくらい。新商品をつくっても、同じテイストや価格帯のものの商品名を変えただけで、他のジャンルに攻め入るような企画もなかったんですね」

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また部署間での連携がうまくいっていないことも、宗樹さんは気になっていた。

横田は京都や滋賀に自社工場を持っているため、企画から製造、販売までを一貫して行えるのが大きな強み。一方で、宗樹さんがそれぞれの部署を巡って経験するうちに問題があることに気づいたという。

「営業からすれば、企画が頑張っていい商品をつくってくれないとものが売れない。逆に企画は、安い原料しか使えなくて面白いものがつくれない。生産は生産で、そんな凝ったものをつくったら在庫が残ってしまって赤字だよと言う」

「みんな良かれと思って頑張っているのだけど、お互いに自分たちが正しいと思う方向に引っ張り合って、絡まってしまっていた。それぞれの立場を理解しながら話を進められる人がいなかったんです」

改善すればうちの会社はもっとも面白くなるのに。このままでいたら時代に取り残されてしまう。

さまざまな思いを胸の内で温めながら、役員へと昇進した後、若い世代の社員の力を結集して一つひとつ改革に乗り出します。

DARUMA THREADというブランドも、その新しい動きのなかから生まれました。

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昔は服が破けたら家で縫うのが当たり前で、手芸は生活の一部にあった。だけど今や、手芸は趣味のひとつとして数えられる存在になっていると思う。

そこでもっと若い人にも馴染んでもらおうと、手芸店だけでなく雑貨店にも置けるブランドとして立ち上げたのがDARUMA THREADです。

縫い糸のパッケージを新たにデザインしたり、ダルマ型のピンや刺繍入りのTシャツ、靴下などもつくっている。

デザイナーさんの影響もあって、商品の撮影やWebサイトづくりまで自分たちでやっているのだそう。

「僕が入社したころは、写真なんか自分たちでやるもんじゃないって言われる感じでした。今はできそうだと思うことはまずやってみるという人がどんどん増えてきています」

たとえば、昨年、日本仕事百貨を通じて新卒入社した女性スタッフは、今年の5月にワークショップを企画。植栽を吊るすためのプラントハンガーをつくるというものだった。

これまで卸売が中心だったため、エンドユーザーと触れ合うことのできる貴重な機会になったそう。今は新たな社内イベントに向けて企画を進めているといいます。

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若いスタッフを巻き込みながら、ここ数年は「既存のものを壊す感じでずっとやってきた」という宗樹さん。

それこそ、みんなでネクタイをやめるなど、入社当時から変えたいと思っていたことを一つずつ変えてきた。

ただ、最近になってちょっと迷いが出てきたという。そういえば、取材のはじまりから、なんだか宗樹さんは歯切れのわるい感じだった。

何かあったんですか?

「自分が社長になってから変えたいと思っていたことを一通り変えてしまったので、今はちょうど間が空いたんですね。それで、さあ次は何をやろうか?と迷っていて」

「ひとつ言えるのは、たぶんできるだけ今までにないことをやりたいと思っているんです。新商品だって、今すぐ売れるものより、2〜3年後に売れるような新しいものをつくりたい。すぐ売れるものは他社さんに任せて、うちは横田にしかできない新しいことをやりたいと」

とはいえ、宗樹さんには、それが何かまだ見えないという。

糸を突き詰めることなのか、ほかの業界にチャレンジすることなのか。こうじゃなきゃいけない、というものもないそうです。

だからこそ、今回の募集もまだまだ具体的ではない。

「今はわりと自分ひとりがバタバタ動いているので、いろいろと任せられるスタッフがいたらいいなと思ったりするし、自分と同じように各部署の間に立ってバランスよく判断してくれる幹部候補がいたらいいのにとも思ったり。けど、どうだろうなぁとか」

「やっぱり種を先に植えておかないと花は咲かないと思うんです。『あなたなら一緒にこんなことできるかもしれないね』という出会いを求めてるのかもしれません」

新しい刺激を求めているとも言えるかもしれない。それは宗樹さん自身もそうだし、会社にとっても。

 

なぜ宗樹さんがこう考えているのかと言えば、ここ数年で入ってきた若い人たちによって、会社にいい影響が出ていると感じるから。

そのひとりが昨年の春に新卒入社した営業担当の丹羽慎之介(にわしんのすけ)さん。

「自分には全然力がないけど、横田ならいろんなことをやらせてもらえるかもしれない。日本仕事百貨での募集を見たときにそう思って、実際に入社してからも自分のやりたいことができたり、チャンスを与えてくれる会社だと感じています」

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丹羽さんは代表の宗樹さんとともにアメリカに向けた商品展開を進めています。

大学では英語を学んでいたり、バックパックでさまざまな国を旅した経験もあって、面接のときに宗樹さんに話した「海外で展示会をしたい」という想いが実現したのだという。

普段は営業担当として小売店への営業活動を行いながら、アメリカでの展示会に向けて主催者とのやり取りから展示のセッティングまで、丹羽さんが調整を進めてきました。

「売り込む商品もいまある商品を海外仕様に変更したものにしています。この『GENMOU』という商品はもともと『原毛に近いメリノウール』という既存の商品を変えたものなんです。企画や生産と連携をとって、アメリカの規格に合わせてグラム数を増やしたり、パッケージも変えています」

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海外での展示は会社初の取り組み。

ワクワクと不安を抱えながら開催された展示会は、実績が少ないためにブースを訪れる人は少なかったものの、アメリカをはじめロンドンの有名店などが気に入ってくれ、実際にオーダーも入ったのだそう。

今後の海外展開のきっかけとして、上々のスタートを切ることができた。

「今も国内の代理店さんを通して海外へ販売することはあるんですけど、これからは自分たちで直接、アメリカだけじゃなく世界中の人に向けて商品やサービスを提供できるような会社にしていきたいと思っています」

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海外展開のほかに、丹羽さんは自分の趣味を活かしてチャレンジしたいことがあるのだという。

実は丹羽さん、ファッションや服が本当に大好きで、いまはコートの分割払いに苦しんでいるほどなんだとか。

「手芸業界って70歳くらいの方が未だに現役で働いていたりするんですね。これから横田を考えたときに、どうしても遅れがちな手芸業界の中だけでは活躍するのが難しい。僕はファッションとして手芸を楽しむようなことができると思っているので、自分が好きなことも活かしてチャレンジしていきたいです」

そう話しながらも「正直、不安もありますよ」と丹羽さん。

年齢や経験に関係なく大きな仕事を任されることがあるため、プレッシャーも大きいのだそう。

また横田では業務マニュアルがないのが特徴。基本は、先輩の仕事を見て盗んで覚える。

丹羽さんも最初のうちは先輩の営業の同行を繰り返したという。

「最初はマニュアルがないので結構戸惑いました。けど、やっていくうちに、自分のやり方にアレンジできることがすごく合っていると気づいた。分からないことがあれば必ず答えてくれる人がいる環境なので、聞きながら、試しながらという感じで日々働いていますね」

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丹羽さんは、どんな人に来てほしいですか?

「何かひとつのことにこだわりがある人。というのも、めちゃくちゃこだわりの強い人って他人から興味を持たれやすいと思うんです。手芸でなくても、横田とちょっとでも関連がありそうなことだったら、その人を起点に新しいことができるかもしれない」

「専門性を兼ね備えていながら、幅広く世の中を見ているような感じの人と一緒に働きたいなと思います」

年齢も学歴も国籍も一切問わないといいます。経験がなく、たとえ無知でも、がむしゃらになれる人のほうがいいと、代表の宗樹さんも話していました。

ほかにも直営店の話や経営についての話など、ここでは伝えきれないほどたくさんの話を宗樹さんとしました。

横田で働くことは、いろんな可能性があると思います。働いてみないとどういう役割になるかわからない、という不安はあると思いますが、ぜひ面談でいろんなことを話してみてください。

それが、横田の行く先を決める大きな起点となるかもしれません。

(2017/6/28 森田曜光)