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よく耳にするようになった「まちづくり」という言葉。きっといいことなんだろうけど、どこかフワっとしたニュアンスに疑問を感じることがある。
何のために、誰に向けたものなのか。やった結果、どんないいことがあったのか。
その点、PODはとことん追求し、真の成果を生み出すまちづくりを手がけています。
代表の神河さんはこう話します。
「『まちづくり』って言葉は玉虫色なんですよね。人それぞれによって捉え方が違うから、結果うまくいかないことのほうが圧倒的に多い。みんなで一生懸命に話し合って民主主義的に進めるのもいいけど、実際は全員から合意を得るなんて無理だったりするじゃないですか」
「それより、通りにいいお店がどんどん増えたほうが、地域にとってはよかったりするし、そのスピードは断然早い。我々はちゃんと先に目的・目標をはっきりさせ、まずできるところからはじめる。そして、やるからには成果の計測をきちんとするんです」

まちづくり事業において、ここまで一貫して手掛け、確実に成果を上げている会社は全国でもそういない。
今回募集するのは、PODで新たにはじまる都内プロジェクトの担当者になる人と、行政をはじめとしたまちづくり業務のアシスタントです。
どちらも、ゆくゆくは開発からマネジメントまで一貫して担うプロデューサーを目指すことができます。
「まちづくり」という言葉に不慣れでも、建築や不動産の経験がなくても大丈夫。
暮らす人たちが元気になったり、いいお店ができたりするとうれしくなるという人。魅力的なまちを増やしたいという気持ちのある人なら、この仕事は面白いと思います。
東京・神田。
小川町駅や淡路町駅から徒歩5分ほどで、古いビルの8・9階にあるシェアオフィス「REN BASE」に到着する。

REN BASEは会員専用ブースのほかに、ルーフガーデンやキッチンバー、和室といった共用空間も充実させ、地域の人たちが利用できるようになっている。
ここをプロデュースしたのは、POD共同代表の橘さん。アフタヌーンソサエティに在籍中の2002年から、空きビル問題が深刻化していた神田エリアのまちづくりに携わってきた方です。

「いまは全国で現代版家守をやろうとする人が増えつつあるけど、実は私が第1号なんです。家守っていうのは、江戸時代に長屋を地主に代わって管理・維持していた人のことで、単に不動産の管理をするだけじゃなく、借家人の面倒を見たり、地域を支えたりしていたんです」
家守は借家人の悩み事の相談を受けたり、井戸などの共用部を管理したり、地域の面倒を見る、いわば小規模のタウンマネージャーのような仕事だったそう。
町人の30人に1人、つまり江戸のまちでは約2万人もの人たちが家守をしていたといわれ、結果的にエリアの価値を守り高める役割を果たしていました。
そんな家守の役割は、現代社会においても応用できるんじゃないか。
店子の商売や地域活動を積極的に手伝うことで、結果的にビルやエリアの価値を高めていく。橘さんが神田で実践したのは「現代版家守」による新しいまちづくりでした。
「あとから橘に言われて気づきましたけど、自分も森ビルでは家守をやっていたんですよね。店子やエリアの面倒を見て、結果的に不動産価値を守る。森ビルでやってたのはエリアのでかい家守業だって」
そう話すのは、POD代表の神河さん。

森ビルに勤めていたころは史上最年少で開発プロジェクトマネージャーに任命され、六本木ヒルズの立ち上げにも大きく関わったそう。
一方で橘さんは、神田のほかにも、吉本興業の東京本部事業を歌舞伎町の廃校に誘致することで地域のイメージ転換を図った「歌舞伎町版家守事業」や、福島県三島町で老朽化によって閉鎖した温泉街で年間8万人の集客を実現した「早戸温泉つるの湯復興プロジェクト」など、さまざまなエリア活性化をプロデュースしてきた。
お互いに積み上げてきたノウハウは異なるけれど、「家守業」でつながる2人が合わされば、もっと面白いことができるはず。
そうしてはじまったPODには、この2人にしかお願いできないという依頼がやってきます。
たとえば、東京・中野のオフィスビル「中野セントラルパーク」も、そのひとつ。

中野の地域活性化のため、デベロッパーは単にビルをつくるだけでなく、行政との約束によって地域との連携も図らなくてはならなかったそう。そこでPODに相談がやってきた。
「最初に我々は『行政から言われたからというだけで地域と何かやるのは、やめたほうがいいですよ』とお伝えしました」と神河さん。
「地域を巻き込んだイベントをやるにしたって、これだけ大きな施設だと運営にお金がかかり過ぎる。それならむしろ、地域連携をオフィスビルの資産価値に変えていけるような運営をしたらいいと、提案させていただいたんです」
たとえば、地域の人たちに向けて新製品をPRできる場がオフィスにあり、さらにその企画・運営を手伝ってくれる「家守」までいたら、それは企業にとって入居したい大きな魅力となる。
PODは工事の途中段階からプロジェクトに加わり、ソフトとハードの両面で計画を強化。
オフィスビル前の大きなスペースに100本のパラソルをさせるようにしたり、イベントや取材対応のルールづくり、Webサイトといったインフラも整えました。
こうした家守による運営を軸にしたPODのプロデュースもあって、キリングループ本社など日本を代表する企業が入居しています。

担当するのは、4年前に行政関連の環境コンサルタント会社から転職してきた、岩崎さんです。

「開発のフェーズに比べると、運営でやっていることは割と地道ですね。まちづくりっていうと何か大きなことをやるようなイメージがありますけど、私たちは最初から大きなことをしようと思っていなくて」
「特徴としては、今できることをやる。たとえば、中野区で観光協会ができたときも、まずは『やりたい』という地元のお店を集めてマルシェをはじめようって。無理のない形でスタートして、続けることが大事なんです」
続けることでイベントのクオリティは徐々に磨かれ、最初は見守っていた地域の人たちも徐々に輪の中に加わっていってくれる。
だんだんとお店の数が増え、テナントの企業も関わり、いつしかイベントは毎月行われる地域の定番イベントにまで成長したといいます。
「それをさらに大きく育てようと、ゴールデンウィークには『キッズフリマ』という子どものフリーマーケットを組み合わせました。そしたらテレビ取材が入って、中野セントラルパークが広まるひとつのきっかけにもなったんですね」

時間はかかるかもしれないけど、着実にまちは魅力的になっていく。
岩崎さんは、地域の人やクライアントのさまざまな声を拾いあげるために、飲み会にも参加したりと、日々の関係づくりも重要だといいます。

「入社したばかりのころは、広報のリリースの書き方も分からなかった。けど、神河が前につくったものを参考にしたり、クライアントとの会議に参加して議事録を取ったりすることからはじめられて、一つずつやりながら学んでステップアップできる。それが、すごくよかったです」
今は神河さんの仕事に同行することで、徐々にプロデューサーの仕事を覚えているのだという。
そんな岩崎さんのように、今回の募集では家守となってゆくゆくはプロデューサーになるような人を求めています。
これから東京駅の東側、日本橋・八重洲・京橋を略した「日八京エリア」を舞台に大きな再開発が進むそう。先に竣工している施設の運営や地域連携を行いながら、エリア全体の価値を上げるための運営を、今回加わる人が担当します。
岩崎さんは、どんな人が家守の仕事に合っていると思いますか?
「まちづくりだけじゃなく、ビジネスとか経営とかに興味がある人もいいというか、むしろぴったりだと思うんです。独立とか社会貢献をしたくても、ビジネスが分からないからなかなか踏み出せないという人。ボランティアじゃなく、お金がしっかり回る仕組みを知りたいっていう人もいいと思いますよ」

さいたま市や横浜市など、行政とのプロジェクトに携わる橘さんと共に行動し、はじめは橘さんの仕事を中心に覚えていきます。
スキルを身に付けるまでに時間はかかるかもしれないけど、日本でも有数のまちづくりプロデューサーになれるチャンスだと思う。

「まちで遊ぶのが好きな人がいいかな。それから魅力的なまちを増やしたいとか、そこに生活している人をちゃんと幸せにしたいって思える人。まちづくりをやったって、結局目の前にいる人の役に立てなかったら、僕は恥ずかしいんです」
「早戸温泉つるの湯復興プロジェクトは強烈でしたよ。健康をテーマに仕掛けてみたら、山奥の集落にある温泉に初年度から8万人もやってきて、ちゃんと利益も出た。地域のじいちゃん・ばあちゃんは目の色変えちゃって、自分たちでも商売をはじめると言い出した。やっぱり自分が幸せにしたいなって思った人たちが笑顔になると、うれしいよね」
PODの活躍は年々広がりを見せ、千葉・あびこではじまったショッピングセンターと地域連携を組み合わせたプロジェクトなど、全国で誰もやっていないような領域の仕事も増えている。
これから加わる人にとっても、職能をどんどん広げていける伸びしろのある会社だと思います。
最後に、代表の神河さんから。
「我々は建物の“維持管理”より、“価値を上げること”をターゲットにしてるので、今後やることは別に建物じゃないことだってありえると思っています。これから面白くなるのは都市型産業です」
「都市間競争において、ビルをいっぱいつくれば勝ち残れるかというと、そうじゃない。むしろ中に入る、GoogleやAmazonのような新しい都市型産業たちが鍵を握っていて、その人たちが世の中をつくっていくことにみんな興味を持っているんですね。そこに対して我々は早めに仕掛けているので、こういったこともゼロから一生懸命勉強したい人なら、うちはいいと思いますよ」
(2017/07/14 森田曜光)