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自分にとって天職だと感じられるような仕事に就いている人は、一体どれくらいいるだろう。まだやりたいことが見つからない、もっと自分の可能性を探ってみたいという人も、きっと多いんじゃないかなと思います。
だけど、知らない世界に一歩踏み出すのは不安だって大きい。それなら、ここにいる人たちと一緒にはじめてみるのはどうでしょう。
世の中の常識にとらわれず、自由な発想で旅館「つるや」を運営してきた株式会社エスアールケイが、新たな挑戦をはじめています。

今回は、ここで一緒に働く仲間を募集します。
前回四万温泉を訪れたのは、約1年前につるやを取材したときのこと。
その時はまだ構想段階だったShimaBlueが、もうオープンして運営を開始している。本当に、この会社のスピード感の早さには驚かされます。
「こんにちは!」と元気に声をかけてくれた代表の関さんが、つるやとこの宿の仕掛け人。

このままではつるやは潰れてしまう。経営を助けてほしいとの要請を受けて、東京の旅行会社で働いていた関さんは四万温泉に戻ってくることになった。
「ここで一体何ができるんだろうと悩みましたが、考えていたのは既にあるものを見直して、常識にとらわれず別の角度から光を当ててみようということでした」
山の斜面にある露天風呂の前をカモシカが通ったことにインスピレーションを受けて、「鹿覗きの湯」と名前を変えてアピール。チェックアウト時間を遅らせたり、お風呂を貸切で使えるサービスもはじめた。
気づけば年商は30倍、“奇跡の旅館”と呼ばれるまでにつるやを再建した。
その後、四万温泉の温泉協会長にも就任した関さん。つるやだけでなく、町全体のブランディングを考えてきた。
「たとえば、“一山一家プロジェクト”ではつるやだけでなく、四万温泉にあるさまざまな旅館のスタッフを一堂に集めて、四万温泉を満喫するプランを考えるグループワークやBBQ大会を開催しました」

そこで生まれたのが、ShimaBlueだった。
「四万に既存であるものといえば、温泉と自然。だけどつるやを含めて、それを本当に活かした施設ができているのか。もっと自然を身近に感じられることをやろうと思って、はじめました」
「そのためには、従来の温泉宿のあり方に縛られなくてもいいんじゃないかなと。老舗の旅館も新しい形態の宿もある。そうやって新旧がうまく融合すれば、四万温泉全体がもっとリゾート地として楽しんでもらえる場所になると思ったんです」
それぞれ独立した7つの宿泊棟では、キャンプを楽しんでもらいながら、各棟にはそれぞれ渓流に面した天然温泉も完備されている。

だからこそ、ハンモックで本を読んだり、夜にはBBQを楽しみながら星を眺めたり。四万の自然を最大限に生かして、ゆっくりと自分の時間を楽しんでもらえる施設になった。
「この前はつるやに泊まったお客さんが、食事はShimaBlueで食べるということもありました。そういう使い方もありだと思うんですよね」
「各館いろんな特徴を持って、もっと自由に旅を設計できるようになれば、四万にはさらに賑わいを生むことができると思います」

「もちろん、僕にもそういう気持ちはありますよ。ShimaBlueも、最初はお客さんが全然こなくて。今は順調に増えていますが、当初は『無理だ、無謀だ』っていう声もありました」
それでも諦めなかったんですね。
「うん。若い人たちに自分にもできるかもしれないって感じてほしいから」
「僕自身、経営学を学んだわけでもパソコンができるわけでもないんです。そんな僕でもチャレンジを楽しんでいるんだから、怖がらずに一緒にやってみてほしい。一人で始めるのが不安なら、僕たちとこの会社を使って始めてもいいんですよ」
まずは一緒にやってみようよ、と背中を押してくれる関さん。その言葉に惹かれて働き始めた人もいます。
石瀬さんは、前回の日本仕事百貨の記事を読んで入社を決めました。

ふらふら、というと?
「新卒で入った会社は4ヶ月で辞めてしまって。そのあとは大手のコーヒーチェーンでアルバイトをして。地元の富山から出たことはありませんでした」
「別の地域で働きたいという思いもあって日本仕事百貨を見ていたけど、どれも敷居が高いイメージがあったんです。明確にやりたいことや、情熱がある人が入るのかなって」
自分には、スキルも明確な目標もない。やりたいことを聞かれてもうまく答えられなくて、不採用になることもあったという。
「でも関社長と面接をしたときに『ここで一緒に、いろいろやってみればいいんじゃない』って言われて。それでもいいんだって思えたんです」
実際に働きはじめても、最初に受けた印象は変わっていない。
「関社長も仕事中に『自分が運ぶよ』って気さくに声をかけてくれたりとか。押し付けるんじゃなく、一緒に頑張ってくれる。社長に段ボール運ばせていいのって逆に戸惑うくらいです(笑)」
仕事では、何か印象に残っている出来事ってありますか。
「宿泊後に書いていただくアンケートがあるんですけど。僕がご案内した方に、接客が良くないと書かれていてすごくへこみましたね。一応今まで接客をしてきて、できるもんだと思っていたんですけど。自分がやってきた接客はなんだったんだろうって」
マニュアルや研修はないから、すべて現場で覚えていく。そのぶん、自分の仕事への反応がダイレクトに返ってくるので苦しいこともあった。
「でも、ここで逃げたくないなと思ったんです」
自分の接客を振り返ってみると、知識が少なく宿の魅力を伝えきれていなかった。そこで各部屋のデザインや、食事には地元群馬の上州牛を使っていること、料金プランについても勉強して、説明できるようになった。

接客、清掃などを体験し、現在は調理をメインに担当しているそう。どんどん新しい経験をするって大変じゃないですか?
「うーん…それが、自分の原動力になっているというか」
原動力。
「前職では、ずっと同じ仕事をやっていて、なんとなく先が想像できていたんです。このくらいの稼ぎで、この生活が続くんだろうなって。でもここは、来年自分が何をやっているかわからない。だからその先を見てみたいっていうのはありますね」
「だから一緒に、そんな働き方を楽しめるような人にきてほしいです」
最後に、ShimaBlueの支配人である京野さんにもお話を聞いてみます。

ShimaBlueでは、一人のスタッフが接客・清掃・調理といろんな仕事を体験しているんですね。
「そうですね。普通は分業なんでしょうけど、なんでもできるスタッフに育ってほしいと思っています。だからうち、調理専門のスタッフを雇っていなくて」
え!宿泊業なのに、それは意外です。なぜ、そういう仕組みをはじめたのでしょう。
「つるやでも、お客さんから様々な要望があったんです。たとえば当日急に人数が増えたとか、コースにはないアラカルトの料理をつくってほしいとか」
だけど食べ始める時間も、コースの料理内容も事前に決まっている旅館では、それぞれに合わせて細やかに対応することは難しい。
「旅館だから、という垣根はなくしたかった。それなら、同じような考えの調理人を探すより、自分たちでつくっちゃったほうが早いんじゃないのって」
食事は、部屋でBBQをするか、カフェ棟で食べるか選ぶこともできる。BBQの場合、17時以降なら自分たちのタイミングに合わせて、好きなものを食べることができる。

京野さん自身、もともとは建設業にいた方。まったく経験がない中で、接客業に飛び込んだ。
「自分も体験しているからこそ思うんですけど、自分がやりたいことと向いていることって、必ずしも一致しないことがあるじゃないですか」
「だから掃除も接客も調理も一通り経験して、ここを起点に自分のやりたい仕事、できる仕事を見つけていくのもいいんじゃないかなと思うんです」
何事も、まずはやってみなくちゃわからない。様々な仕事を体験するだけでなく、新しいアイディアを試してみる環境もあります。
たとえば季節ごとのスイーツをスタッフが考えたり、みんなで小さな菜園もはじめました。

「僕らもビジネスですから、出たアイディアに対して本当に実現できるのか、シビアに話す時もあります」
「だけどそれはやるなという意味ではないんです。より良くするにはどうすればいいか、へこたれずに考えてくれるといいですね。もちろん実現できるように、フォローしていきます」
経験がないのだから、失敗することもうまくいかないこともあると思う。だけど、それでもいいんだと、京野さん。
「ちょっとした失敗を怖がってひっこんじゃう人もいると思うんです。でも、僕だって盛り付けでよく注意されたりしますからね(笑)考えて、変えていけばいいんです」
最後に、関さんがこんなことを言っていました。
「大きな夢ですけど、将来ここからリゾートクリエイターを輩出したいんです。宿から地域を一緒に盛り上げるような、そんな存在に自分もなりたい。まずはここを軌道に乗せるのが一番ですけど、一緒に挑戦してくれるといいですね」

ここで自分もワクワクしながら働きたいと感じたら、ぜひ応募してみてください。
(2017/7/28 取材 並木仁美)