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ともに良くなるデザイン

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

自分たちの仕事に誇りを持って、いつも心から楽しんでいる。そうやって働く人たちのまわりには、健やかで明るい空気が流れているように思う。

社会福祉法人トゥムヌイ福祉会(以下トゥムヌイ)を取材しながら、そんなことを考えました。

トゥムヌイは障害のある方に向けた就労支援や、療育を必要としている子どもに福祉サービスを届けている団体。

利用者たちは、焼肉屋さんで接客や調理をしたり、まちなかでパンを売ったり、最近では自分たちでつくった銀細工アクセサリーの販売もしています。

障害を持つ人が働く就労支援施設と聞くと、まちのどこにあるのか、何をしているのか見えにくいイメージがあったけれど、トゥムヌイが運営する施設はとてもオープン。

支援する側、される側という垣根を超えて、みなさんが楽しそうに活動している姿が印象的でした。

今回は、ここで、紙、web、空間などあらゆるアウトプットをデザインする人を募集します。


那覇空港から車にのって20分、国道沿いに白い建物が見えた。

焼肉屋さんとカフェを併設したこの建物は、トゥムヌイの運営する就労支援施設イノー。

同じ敷地内には糸満の野菜や海産物が売られている道の駅がある。どうりで観光客や地元の人がたくさん行き来しているわけだ。

ところで、こんなに開けたところに福祉施設があるのが不思議な気がする。さっそく理事長の喜納さんに思ったことを伝えてみた。

「福祉施設というと、どこで何をしてるかわからないってイメージがありますよね。でも、僕らはふつうの会社と変わらないつもりでやっているんです」

ラグビー強豪校の選手だったという喜納さんは、すらりと背が高い。物腰やわらかで、洗練された雰囲気がある。

トゥムヌイの就労支援施設では、仕事がうまくまわる仕組みづくりをすることで、一見難しく見える業態にもチャレンジしてきた。

焼肉屋さんを例にするなら、調理や配膳の工程を細分化して、1人ひとりの適正に合わせて細かく担当を割りふり、支援員はそのサポートをするといった感じ。急な変化が苦手な利用者たちのために、お店は完全予約制のブッフェ形式にしている。

いつか支援施設で働くことや社会に出るときのことを見据えて、子どもたちの成長に合わせる、より実践的な療育システムも整備してきた。

こうした仕組みのおかげで、沖縄県の就労支援施設のなかではトップレベルの給与を実現しているのだそう。

そんな喜納さんが障害者向けの福祉に関心を持ったきっかけは、新卒で入社したゼネコン時代にある。飛行場整備のために、キリバス共和国クリスマス島に派遣されたときのことを話してくれた。

「当時はバブルのころで、僕らゼネコンの人間は接待とかばっかりだった。そんなときに、自然以外何もない南の島に赴任することになったんです」

あるオフの日に、一緒に働いていた現地のワーカーの家に遊びに行った喜納さん。そこでの出会いが人生を変える。

「彼の家族に小頭症という障害を持った方がいたんです。障害者に対しての支援が何もない島のなかで、その人は家族の保護がなければ生きていけないと知って。ショックでした」

彼らが生きる意味って何なのだろう。日本の障害者たちはどうやって生きているのだろう。それまで考えたこともなかった、たくさんの疑問が湧いた。

「遊んでいる場合じゃないやって思って。会社を辞めて、就労支援施設に就職しました」

転職先は、関東にあった就労支援施設。

障害者がちゃんと稼ぐ方法を考えるところにまで手がまわせていない現場に、モヤモヤは膨らむばかりだった。

「ひとつのボールペンを組み立てたら何十銭かもらえる。そんな作業ばっかりじゃお給料が高くなるわけないんです。障害のある人が大変なだけじゃないですか」

そんなとき、奥さまの父親が、沖縄で障害者向けの小規模作業所を立ち上げることになった。

新しい作業所なら、利用者の自立に近づく支援ができるかもしれない。流れに身をまかせるように、立ち上げに参加することを決めた。

以来、きちんと稼ぎを生む支援の仕組みを考え続けている。

喜納さんの考え方は本質をついているし共感できる。とはいえ、障害があるということは、ビジネス的には不利なんじゃないだろうか。正直に喜納さんに伝えてみた。

「そうかなあ。逆に強みだったりもするんですよ」

強み?

「彼らがやっている、ということ自体がサブストーリーになるんです。たとえばこの携帯電話を、健常者と言われる人がつくったって言うのと、彼らがつくったと言うのだったら、彼らがつくったほうが価値を感じられませんか?」

たしかに同じクオリティだったら、後者のほうを選ぶかもしれません。

「そうですよね。今後はクオリティをきちんと保証しながら、それをちゃんとブランディングして外に発信したいんです」

これから募集する人は、喜納さんと一緒に法人自体のブランディングも考えていくことになる。

そのとき、喜納さんが大事にしたいと思っているのは“格好よく”見せること。

見せ方にこだわった一例が、銀細工アクセサリーの“琉翼(りゅうい)”。

ホームページやポスターは、あえて障害者がつくったことを前面に出さない、商品そのものの良さを伝えるつくりになっている。

アウトプットの格好よさに惹かれて、次にその中身にも惹かれる。その流れをつくりたい。もちろん、表面的に格好よければいい、というわけじゃない。

「僕は僕の仕事を、格好いいと思っているんですよ」

どういうことでしょう。

「僕らの仕事は、誰かのためにみんなで世の中を良くしていこうという仕事。それって格好よくないですか?」

「福祉というビジネスモデルが格好いいんだよっていうのを発信して、もっといろんな人に僕らの取り組みを知ってもらいたい。ほかの事業所でも僕らの仕組みを実践してもらうことで、障害者のお給料の底上げになっていくといいな」

軽やかな口調で、しっかりとした言葉を伝えてくれる喜納さん。新しく入る人は、まず何をすることになるか聞いてみた。

「何をしたい?って逆に聞いてみたいですね。ひとつ決まっているのは法人スローガンの入ったスタッフTシャツをつくることくらい。簡単でしょう?(笑)」

現在アウトプットは外部に委託しているものの、今後は一貫したブランディングをするために内製化してきたいところ。

まずは紙のデザインといった簡単なものから、いずれはカフェなど場所のリニューアルにも関わっていってほしいそう。「成長できるなら、はじめはそこまで高いスキルは求めていない」とのこと。


すでにアウトプットづくりに挑戦している人もいる。採用されて3年半になる瀬底さんだ。

いつもは焼肉屋さんでの支援と経理事務の仕事をしている。

「福祉事業団体の就職フェアがあったときに、説明に使える資料が何もなかったんです。つくるべきって喜納さんに提案したら『じゃあつくっといて』って言われて。つくったのがこれです(笑)」

そう言って法人説明の資料とポスターを見せてくれた。

「提案したら『じゃあやってみたら?』って。喜納さんは頭ごなしに否定しない人だから、自分のやりたいことを結構やらせてもらえていると思います」

喜納さんの部屋と、スタッフの部屋の間に仕切りはあるものの、いつも開け放されているそうだ。お話をしている間も利用者の方が行き来して雑談をしている。風通しの良さが感じられた。

今は瀬底さんの提案で、WEBサイトのリニューアルがはじまったところなんだとか。

「ポスターや紙媒体しかり、自分では全然いい出来だと思ってなくて」

「もっと格好よく見せられるはずなんです。私にはその技術がないので、技術を持った人に来てほしいと思っています」

じつは瀬底さんは、喜納さんに仕事を任されるまで、デザインソフトは触ったことがなかったのだそう。もともとは、経営を学ぶ学生インターンとして入ったのだと教えてくれた。

「障害を持っている人が働くということ自体、イメージが湧かなかったですね。飲食店?パン屋?いろんなことをやってておもしろいなって思っていました」

インターン終了後は、どうして残ることを決めたのですか?

「けっこう楽しくて。こんなに楽しんで働いて良いんだってことが印象的だったんです」

楽しい。

「利用者さんたちが『今日はお客さんいっぱい来るから稼げるぞ!』『みんなで頑張るぞ、オー!』って言ったりしてて。みんな喜んで一生懸命働いてるんです」

「思っている以上にふつうってことが新鮮でした。みんな明るく自信を持って働いてる、それが楽しいんだと思います」

たしかに、就労支援施設イノーには明るい雰囲気がある気がする。利用者はもちろん、トゥムヌイスタッフ自身が仕事を楽しんでいる感じが伝わってくるからかもしれない。

「一緒に働く私たちが幸せじゃなかったら、彼らを幸せにすることはできないと思う。みんなで共有しているのは、“してあげる”という奉仕の心というより、“みんなで良くなろう”ということだと思います」


だからこそ、バランス感覚が求められることもある。隣で聞いていた徳里さんも、話に加わってくれた。

「福祉っぽくないけど、あくまでも福祉法人。それまでの経験を押しつけて、やりたいデザインだけしかやらないというのはダメですよね」

徳里さんは、10年近くトゥムヌイで働いているベテラン支援員。明るくて気さくな方だ。今は焼肉屋さんの支援員だけれど、最近までトゥムヌイの児童向け施設で働いていた。

「トゥムヌイで働いていると、自分の持っているもので何ができるんだろうって、常に考えるようになる気がします」

それは児童向けサービスであろうが、就労支援であろうが同じことなのだそう。最近は障害者福祉だけでなく、貧困家庭の子どもたちにも何かできないかと考えることもある。

新しい人も、今の自分のスキルで彼らのために何ができるか、幅広い視野を持って考えられるといいのかもしれない。そして、それを考えること自体を楽しめる人が向いているんじゃないかな。

最後に徳里さんがこんなことを話してくれました。

「産休や育休もしっかり取ることができたし、喜納さんはちょっとしたことも相談しやすいです。わからないことがあれば、研修に行かせてもらえることも。今までこの仕事にデメリットを感じたことないんです」

「私たちがちゃんと楽しい。そういう雰囲気だから利用者さんも楽しめる。みんなでハッピーになろうよっていうことは、これからも変わらないと思いますね」

(2017/10/20 取材 遠藤沙紀)

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