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自分ごとのデザイン

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

他人ごとの反対で、自分ごとという言葉があります。

そのものごとに自分が関わっているという意識を持って、主体的に動くこと。

仕事となると、そんなふうに考えられないときもあります。好きになれない商品を売ったり、プロジェクトの一部だけしか関われなかったり。

仕事だからしょうがないと思うかもしれない。

けれど、仕事だからこそ、自分ごとで捉えられたらいいんだろうな。そう思える取材でした。

今回紹介するD-BROS (ディーブロス)は、ものを生み出すところから売るところまで、すべて自分たちでおこないます。

ものをつくる人と売る人の距離が近いから、社内にいい循環も生まれる。そんなD-BROSで働く人たちはどこか楽しそうだし、自分たちの商品に誇りを持っているのが伝わってくる。

今回、その魅力を広めていく営業スタッフと、GINZA SIXにある直営店での販売スタッフを募集します。

自分ごとで働くとはどういうことなのか。ぜひ読んで、感じてみてください。

 
再開発中の渋谷駅東口から15分ほど恵比寿方面へ歩いていく。気がつくと、駅前のにぎやかさもすっかり落ち着いて、なんだか別の街のよう。

大通りから脇道に入ると、一見住宅のような株式会社ドラフトの事務所に到着した。

ドラフトは、グラフィックデザインをベースに、長年ブランディングや広告制作を手がけてきた。

ドラフトのデザイナーたちがプロダクトを開発し、その販売まで社内で一貫しておこなうのが、オリジナルブランドのD-BROS。今年で立ち上げて23年になる。

なぜ自社で製品をつくることにしたのだろう。

事務所の中に入って、代表の宮田さんに聞いてみました。

「自分がほしいと思えるものが日本になかったんですよ。これが最初のきっかけ」

そのころ日本では、ほとんどのプロダクトデザイナーが企業に所属していた。デザイナーの個性は見えないし、面白いと思えるものもあまりない。そんな日本のデザイン業界を変えたいと思ったそう。

「あとは、自分たちでものをつくって、自分たちで売ってみようと思ったこと」

「企業と組んでプロジェクトを進めていても、向こうの事情で急に打ち切りになることがあるんです。そうなると僕らはいらなくなっちゃう。自分たちで仕事を起こして、自分たちでやり遂げられないのはけっこう辛い」

納得いくまで仕事を続けられないもどかしさ。好きな仕事をずっと続けていくために、自分たちが主体になりたいと思った。

それに実際にやってみると、仕事全体の流れがよくわかった。

「流通とか原価計算とか、ものをつくったらどういう動きがあるのか、あまりわからなかったし、どういう人がつくっているのか想像するしかなかった」

「自分で売る場所を見つけて、自分で買う人の気持ちを知ろうと思ったんです」

長年、企業と組んでデザインに関わってきたからこそ、見つかった課題。

自分たちがいいなと思えるものをつくり、自分たちで売っていく。もしくは、同じように好きだと言ってくれる卸先を自分たちで見つけてくる。

そうやって最初から最後まで自分たちでやることで、真摯にものづくりと向き合い続けてきた。

 
D-BROSは昨年、GINZA SIXに新店舗をオープンした。伝統工芸をテーマとしたこの店舗から、新たなテーマでものづくりを進めている。

「銀座に置く商品を考えたときに、もっと日本の心に寄ろうと思ったんです。日本の食生活とか文化とか、日本の国土が我々をつくっていることを見つめ直そうと」

宮田さんが例として教えてくださったのは、二十四節気。

二十四節気では、1年を24等分し、季節の移り変わりを表す。現在でもよく耳にする「立春」や「夏至」などもその呼び名のひとつ。

「季節の変わり目に、人は体調が優れなくなるんです。そういう時期に節句とかお祭りとかの行事を行うことを、日本人は長い間大切にしてきた」

そのいつもとは違う特別な日のことを「ハレの日」と呼ぶ。

昔から日本人は、ハレの日には特別な服を着て、特別なお酒や料理を神社に奉納していた。普段の生活にはない特別な時間を過ごすことで英気を養ってきたそう。

「ハレの日っていうのは、特別なことをして、また毎日を頑張るためのケジメの日だったんですよ。季節の変わり目の落ち込んだ心と体を、この日を起点にしてまたピンと持ち直すというわけ」

「D-BROSもそんな感じのものをつくりたいんですよ」

これからD-BROSが取り組もうとしているのは、日本人が忘れつつある季節の変遷を思い出させるようなもの。そして、ハレの日のように日常をパッと明るくしてくれるもの。

「伝えるのは難しいと思う。でも、ちょっとでも気にしてくれる人が増えたら楽しそうでしょう。今日はわたしにとって特別な日ですよってニコニコできる、そのきっかけになるようなものをつくっていくことができたら」

D-BROSは「デザインはたのしい」というコンセプトをずっと掲げてきた。今ある商品も、使っていてちょっと特別な、良い気分になるようなものが多いように感じる。

これからつくる商品にも、そういう思いは共通している。その上で、自分たちがデザインでできることも考え続ける。

そんな商品を売っていくのはどんな人なんだろう。

D-BROSのチームリーダーで、営業担当の李さんにお話を聞いてみた。

パッと周囲を明るくするような笑顔が印象的な李さんは、ドラフトに入社して3年ほど。5月から産休に入るそうで、後任となる人を探している。

「仕事内容としては、基本的には国内外へのBtoBの営業です。ミュージアムショップなどからオーダーがくるので、それを倉庫に発注したり。海外からは月に4、5件くらい問い合わせがあります。あとは、新規開拓の営業もします」

現在、営業は李さん1人。少数精鋭の組織の中、やることも多岐に渡っている。

「新商品が出るときにはカタログや発注書をつくったり。それを卸先に発送するところまでやります。どういうものをつくったら伝わりやすいかっていうのをいつも考えていて。そういう中でやってみようと思ったことは、すぐに試せる環境ではありますね」

お話を聞くと、後任が努められるのか不安になってしまいそう。

「全然心配する必要ないですよ。日々の仕事は一般的な営業がメインなので。『こういうことをしてみたい』っていう気持ちのほうが大事だと思います」

「わたし自身もD-BROSのデザインが大好きで。とにかくいろんなところに好きなものを置きたいっていう気持ちでやってました」

大好きなものを広めたい。より多くの人に知ってもらって、使ってもらいたい。

自分が思い入れのあるものだから、それを届けるためにやるべき仕事を、自分でどんどん見つけていける。D-BROSの営業のベースになる部分は、そういう気持ちなんだと思う。

昨年ソラマチで行った催事のことを教えてくれた。

「最初、ホームページのお問い合わせフォームから営業をかけたんです。返事なんて来るわけないと思っていたので、しばらく経って連絡が来たときは忘れちゃっていて。話しているうちに思い出して」

思わぬところからはじまった仕事。そのときは、パネルの設営から、販売員の教育まで、すべての仕事をほぼ1人でやったそう。売上も良く、大成功に終わった。

「意外と体育会系なところもあるんで、動き回るのが好きな人は向いていると思います。その場その場で、必要な仕事を判断する瞬発力と柔軟性が大切です」

社内の新たな動きとして、店舗からデザインの案を出すことも検討しているそう。

「お店の人たちは直にお客さんと接しているので、デザイナーとはまた違う、お客さんに寄り添った目線でアイデアが出てきますね」

例えば、年始にあったミーティングのときのこと。D-BROSの今後について話し合っているときに、店舗スタッフからブローチをつくってほしいという案が出た。

「ブローチってありふれたものだから、デザイナーからそういうアイデアが出てくることはあまりないんです。好きなアイテムを身につけているだけで元気が出るっていう、普通のことなんだけど、たしかにそういうのでみんな元気になったりするんだよなあって」

これからは、そんな現場の声が取り入れられた商品も生まれていくはず。手に取る人の顔がよりリアルに思い浮かぶと、デザイナーからもまた新しいアイデアが生まれるかもしれない。

そんなお客さんの声を拾い上げるのが、店舗スタッフ。入社してもうすぐ7年という倉持さんは、銀座店の店長を務める。

入社前からD-BROSの商品のファンだったという倉持さん。

「もともとお店でフラワーベースを見かけて面白いなと思っていました。他にも絵本とかビルの広告とか、いいなって思うものの共通点を探してみたら、ドラフトやD-BROSの名前が出てきて興味を持ちました」

お店の業務は主に接客。他にも発注や納品など、お店を運営するためのさまざまな業務がある。

周囲にセレクトショップが多い中、D-BROSは自分たちと関わりのある商品だけを売っている。売れるものを置くのではないというのが、D-BROSの考え方。

倉持さんが入社して面白いと思ったのは、デザインが生まれてから商品になるまでの過程を、近くで見られるところなんだとか。

「1個1個の商品ができるまでに、自分が思っていた以上にすごく時間がかかることを知って。その商品が出来る過程を教えてもらうと、より興味が湧きました」

例えば、先日発売した新しいフラワーベースの柄。絵の具が垂れているようなデザインが特徴なんだそう。

絵の具が垂れる様子と聞いて、しずく型をイメージしていたけれど、実際は直線で描かれていた。

「あえてリアルに描かないのがデザイナーさんのこだわりらしくて。わたしとは違う、デザイナーさんならではの視点を知れるのが面白いなと感じました」

倉持さんと話していると、D-BROSの商品に自分自身がワクワクしているのが伝わってくる。つくる過程を近くで見ているからこそ、より愛着が湧くのかもしれないし、そういう店員さんから商品を買えたら素敵だなと思う。

 
最初から最後まで、自分たちでやるのがD-BROSの働き方。

そこで働く人たちに共通しているのは、自分たちのつくるものが好きで、大切に思う気持ち。

自分ごとで仕事ができる原点は、そこにあるのかもしれないなと思いました。

(2018/3/1取材 増田早紀)

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