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オーダー家具に憧れたことのある人は、少なくないと思います。キッチンに木目調の食器棚があったらぴったりだ。壁一面の収納棚にテレビを吊るしたら見栄えもいい。
でもやっぱり、オーダーメイドって高いなぁ。
そんな常識を覆そうとしている会社があります。
オーダー家具の製造支援システムを開発する、ドゥーマンズ株式会社です。

このシステムは社内のみならず、大手メーカーを中心にカスタマイズライセンスしており、ディベロッパーとのコラボも進んでいます。
現在は追い風に乗って、株式上場に向けた組織体制の構築や新システムの開発など、事業が活発化しているところ。まさに第二創業期です。
今回は、そんなドゥーマンズの発展に欠かせない主力となるメンバーを募集します。
具体的には、システム開発アシスタント、デザイナー、経理会計スタッフの3職種。
目指すは、誰もが住みよい未来。まだ世の中にない市場を、自分たちの手で拓いていくチャンスだと思います。
初台駅から歩いて10分ほど。ドゥーマンズの入るビルは、甲州街道と首都高速が交差する通りに面している。
扉を開けた先で待ってくれていたのは、代表の二宮さんだ。

「技術移転といって、ある産業ですでに特許化された高い技術を、別の産業の企業にライセンス、即ち使用許諾することを事業にしていてね」
「その先で新たな市場が出来て、産業が発展して人々の生活が豊かになる。そんなことを目指していました」
転機となったのは30歳のころ。日系アメリカ人の奥さまとの結婚を機に購入した中古住宅のリフォームで、衝撃を受ける。
いざ収納家具を選ぼうとすると、メーカーの分厚いカタログから探さなければならなかった上に、欲しいと思えるものが一つもなかったのだ。
「たとえば玄関収納。犬用グッズがしまえるスペースや、ちょっとした足洗い場が欲しいと思っても『ここにないものはつくれない』と言われて」
「ならばとオーダーメイドで見積りを取ると、百数十万円ものお金と長い時間がかかることがわかった。仕方がなく自分たちで探すことにしたんだ」
ところが1年以上経っても、理想の品は見つからない。
探しあぐねていたある日、無理を承知で近所にある小さな木工所を訪ねたところ、その足で採寸に来てもらえることに。
さらに耳にかけていた鉛筆で簡単な下駄箱のスケッチを描いてもらい、「だいたい30万円ぐらい」という見積りも暗算で出してもらった。
不安な気持ちを抱えながらも、その場で注文。2週間ほどで完成の連絡を受けた。
「職人さんが玄関で取付施工している間、ワイフも最初はすごく不安そうだったけど、完成が近づくにつれてどんどん笑顔になって」
「最初は不安だったけど、自分たちで考えた家具をつくるというのはこんなに幸せになれることなんだって、今まで経験したことのない喜びを味わった」
同時に湧きあがったのが、目の前のお客さんの声をもとにプランニングした家具データを入力すれば、イメージ図面や見積りがすぐに提示されるようなシステム技術はないのだろうかという疑問。
ところが、技術調査のプロである二宮さんがいくら探してもそのような技術や特許は見つからなかった。
「それなら特許からつくろうって。そうして広くライセンスすることで新しい市場が出来る。誰もが自由にオーダー家具をつくる喜びを知れる未来があるって考えたんだ」
「家を買ったりリフォームしたりするときぐらい、もっと自由で、自分仕様でいい。収納くらい既製品の中から妥協して選ぶんじゃなくて、誰でも自分のライフスタイルに合わせて自由設計できるようになったら絶対いい」

お客さんのニーズをもとに描いたスケッチを図面に起こし、見積りを作成。注文後は家具職人がつきっきりで製作する。
そのすべてが手作業のため膨大な手間がかかり、工場で大量生産する既製品と比べてぐっと高くなる。
「ならば僕たちは、技術力でこれらの問題を解決しようと。量産工場で既製品を製造するかのようにオーダー家具をつくれるような技術、そしてその特許をつくりあげようと考えた」
まずはオーダー家具の業界を知るため建具組合の学校に入り、第一号の特許を開発。この特許は、日本で初めてのソフトウェア特許となる。
そうして2000年の創業以来、国内外に80近くもの特許を取得。同時に、この技術を実現するためのシステム開発も進めた。
その結晶が『FurnitureMaker(ファニチャーメーカーシステム)』だ。

商品イメージはCADなどで一から描き起こすのではなく、システム上であらかじめ登録したユニットを組み合わせ、色や素材、寸法を自由に指定する。
完成した家具データは、顧客用の見積書や図面、工場の製造データなどに瞬時に自動生成され、これまで人力に頼っていた作業をすべてを自動化することに成功。
圧倒的な低価格とスピードで、オーダー家具を製作できるようになった。
現在このシステムは、大手収納家具メーカーや住宅設備メーカーにも採用され、リノベーション会社やディベロッパーとコラボするなど領域を拡大しているところ。
オーダー家具を望む声が日増しに増える中、完全な追い風だ。
「ただ…」と苦い顔をする二宮さん。
「20年近く取り組み続けているけれど、まだまだなんです。もっとより多くの人がオーダー家具をつくれるようにしないと。力が足りないんだ」
事実、現在はシステム人員の不足から、新規の開発依頼は受注や納期を遅らせてもらっているのだそう。
「外注さんに丸投げしてシステム開発をすることもあるのかもしれないけど、ドゥーマンズはそれはしない。僕はシステム開発もデザインも、享受作業ではなく創作活動だと思っている」
「クリエイティブであり夢の創造だよね。だから外注ではなく、一緒に夢を見れる仲間が欲しいんだ」
そんなドゥーマンズの開発の要が、CTOの横山さん。

「まずは、その特許技術に感化されました。シンプルだけどものすごく画期的で。知れば知るほどよく考えられた技術なんですよね」
「この特許技術を使ったシステムが広がれば、既成家具を『しょうがない、仕方がない』と妥協で選ぶ住まいの世界を変えられる。そんな確信があって入社を決めました」
一方で、中に入って見えてきたものもある。
「これだけの確固たる技術やビジョンがあるのに、それを実現する開発体制や実装方法の部分はまだまだ。正直な話、もったいないんです」
「こうした見直すべき部分を、入社後の半年間かけて改善して。やっとこうして人を増やせるところまで前進できました。今後はエンジニアの開発環境改善など、業務効率化も進めていきます」

ただ、開発・カスタマイズ費に数千万の初期費用がかかってしまうため、顧客は大手企業に限られるのが現状だ。
「でも、大手企業が製造業に占める割合はたったの数十%なんです。本当の意味で業界を変えるためには、小さな会社や工場にこそ使ってもらえるようにしなければ。ギャップが生まれてしまっているんです」
そこで現在、基本システムをベースに開発を進めているのが、クラウド上で動くサービス。
個別エンジンではなくクラウド上でサービスを展開して広くライセンスすることで費用を抑え、下請け仕事が中心の小さな工場でもエンドユーザーと直接つながり、オーダー家具を販売できるようになる。
つくったものを売るのではなく、欲しいものをつくれる未来は、すぐそこにあるはず。
そんな青写真の実現のために必要なことが、あと一つだけある。
「やっぱり人なんです。このシステムが完成すれば、本当に常識が変わる。そのために一緒に知恵をしぼり汗をかいてくれる人に仲間に加わって欲しい」

今回募集するシステム開発アシスタントは、主力製品開発の足元を支えるポジション。開発・事務作業の両面からエンジニアの業務を支えながら開発メンバーの一員としてシステム開発に携わっていく。
スキルとしては、ExcelのVLOOKUP程度のマクロを扱えれば問題ないとのこと。さらに本人の希望があれば、より高いスキルを身に着けられるよう教育サポートも行う。
デザイナーはドゥーマンズのアートディレクターだ。
新システムやアプリ開発のUI/UXはもちろん、自社ウェブページのGUIデザイン、さらに紙のカタログまで。オーダー家具サービスやドゥーマンズを、デザインで表現してくれる人を探している。
どちらも「アシスタント」「デザイナー」などでは説明しきれない大きな枠の仕事。
今は何が足りないか、この先は何をしたらいいかを自分の頭で考え、手を動かす必要がありそうだ。
「ただいちばん必要としているのは『自分ならこうやって関わりたい』という想いをもっている方。もし今は技術がまったくないとしても、想いさえあれば全力で教えます」
「この会社と一緒に住の世界で輝きたいと思ってくれた人ならば、その期待に応えられる会社だと思いますね」
そんなドゥーマンズの持つ可能性は、様々な人を惹きつけている。
今年2月に入社した弓桁さんもその一人だ。

「この業界には素人で入ったんです。日本中の工場で設計士が図面を書き、さらに機械の前で図面を見ながらプログラムを書いて、と何重もの作業を手作業で行っているのを見たとき、なんて非効率なんだと驚いてしまって」
そこで知ったのが、ドゥーマンズだった。
「住宅収納設備はCADを使わないとつくれない、というのが世界の大前提となっているんです。でもその中で、人の頭の中に入っている設計ルールをデジタル化して図面を自動生成する、というのにドンッと衝撃を受けて」
「そうして一緒に仕事をするうちに、自分も中に入って仕事をしたいと思うようになってしまったんですね(笑)」
実はドゥーマンズのメンバーは取引先から転職した人が多いのだそう。
中には前職、パナソニックで水回り事業部長や関連会社の代表取締役としてシステムキッチンや収納を開発してきた方もいる。
それだけ、可能性のある会社なのだと思う。
「やることはいっぱいあるんですよ。お客さまのために自分は何をするべきかを自分で考えて仕事をつくり、苦労するのがこの仕事です(笑)すべては、これからの世界をつくっていくことに繋がるんです」
最後に、代表の二宮さんから。
「家具を自分でつくる喜びは、まだほとんどの人が知らない。本当に住みよい家をつくるためには、誰かが仕切り直さないといけないんだ。それが自分たちだったらすごく面白いと思わない?」
(2018/02/03 取材 遠藤真利奈)