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洋服が好き。その言葉に反応する人はたくさんいると思う。
好きだからこそ、自分のこだわりや好みもある。
株式会社Focus Ragで働く人たちも、私服の好みはそれぞれに違うようですが、洋服の話題になると場の空気が温まるような一体感があります。
バイヤーや縫製・経理といった社内の役割を超えて共有されている洋服への関心。

今回は、このFocus Ragでアメリカから輸入した古着を日本の小売店のバイヤーに販売するスタッフを募集します。
お客さんは主に、古着屋を経営するプロの目利き。
洋服が好きな人ならきっと成長できる仕事だと思います。
東京・世田谷
下北沢駅から15分ほど歩くと、あたりは戸建ての多い住宅街へ。
公立中学から道路を挟んで向かい側、Focus Ragの事務所があるはずの住所には車がずらりと並んだ車検場が見える。

倉庫のような入り口には梱包された箱やラック。
ガラス越しに見える室内はきれいに改装されていて、ワンフロア丸ごと事務所になっている。
外観とのギャップが隠れ家のようで、ちょっとワクワクする。
「わかりにくかったでしょう。」
と、迎えてくれたのはFocus Rag代表の河又さん。

下北沢と三軒茶屋、都内でも特に古着屋が多い2つのエリアが徒歩圏内にあり、街を歩く人を見てもユーザーの多さを実感できる。
洋服を卸しているお客さんのお店も多く、お互い行き来もしやすくなったという。
近々、下北沢に直営店もできる。
以前使っていた新木場の事務所は、ヴィンテージのデザイナーズブランドのみを扱うBAY Apt.というショップ兼アトリエとして使われるようになった。
「うちは卸売業が核ではあるけど、新しくオープンする下北沢のお店や、BAY Apt.を通じて、エンドユーザーやデザイナーとも接点ができるといいなと思っています」

以前勤めていた会社で古着の買い付けを経験したのがきっかけだった。
「僕たちの世代は中学に入って自分で服を買うとき、だいたい最初は古着だったんですよ。だから古着はずっと好きだったけど、まさか自分が古着のバイヤーになれるとは、思ってもみなかった」
河又さんは、代表として仕入先の開拓を進める一方で、現役のバイヤーとして買い付けにも携わる。
スタッフは縫製や経理の担当以外は、ほとんどがバイヤーだ。
複数のバイヤーが常に交代で買い付けに行っているので、新しい商品が入ってくるペースがはやい。
だから、出張した翌月には商品がお客さんのお店に並んでいることもある。
「今回入ってもらう人にも適性があれば買い付けに行ってもらいたい。ただ、バイヤーになることだけが古着屋としてのゴールじゃないと思うんです」
海外での買い付けと、日本での顧客対応、どちらもバランスよくできなければ古着屋はなりたたない。
河又さんは、バイヤーと同じくらい顧客対応が果たす役割も大きいと考えている。

1日で複数のアポイントを受けることもあって、スケジュールがタイトになることもある。
「買ってきた人が売るのがいちばんの営業になる。ただ、今のままだとバイヤーの負担が大きすぎるし、僕らが現地に行っている間に、日本でいい動きをしてくれる人がいると、会社としてもっと可能性が広がると思うんです」
いい動き?
「バイヤーは現地にいる間、お客さんと直接話はできない。だから、日本でお客さんの要望を聞いて現地に共有ができれば、新しいものの探し方ができるのかなと思います」
その日のお客さんとの話が、すぐに仕入れのヒントになる。
たしかに聞くことと探すことが同時進行できれば、お客さんの満足にもつながりそう。
「うちは、スタッフの自主性を大切にしているので、商品に関する提案なら特に、立場に関係なく新しいアイデアはどんどん話してほしい」
「リスクがあっても、一人ひとりがベストだと考えるチャレンジであれば尊重したい」と河又さんは話す。
実際に、バイヤーでありつつ顧客対応も担当する駒井さんにも、話を聞いてみた。

あの人が好きそうだな、と思って用意した商品が売れるとホッとする。
お客さんも、自分の好みがわかってもらえるから、信頼関係も生まれる。
「Focus Ragで買ったものがよく売れる」というリアクションが、駒井さんたちの励みになっている。
「うちに来てくださるお客さんはプロだから、営業といっても余計な接客は必要ないんです。それより、選んでもらったものについていろんな質問をして、そこから次に買ってくるものを考えています」
駒井さんたちは買い付けのため、1年の3分の1は出張で海外にいる。
1回につき約3週間かけて、いろいろな場所を移動しながら洋服を仕入れていく。
古着の集まるラグという体育館のような場所や、現地の家族連れが行くリサイクルショップまで、そのときいる場所によって買えるものも変わる。
今、何を買うべきか。
判断のタイミングが遅れると、チャンスを逃してしまう。
だから、海外との時差を気にせずに連絡をくれる日本のスタッフが頼りになる。
「写真を撮って、『いま、こういうのが売れてるんで、数積んでください!』とか、連絡しあってます」
やりとりは言葉より写真がメイン。
お客さんが何を選んだか、リアルタイムで共有できる。
「言葉より感覚が大切なんです」
洋服に対して同じ感覚が共有できれば、ほかのバイヤーが選んできたものでも、自信を持ってお客さんに営業できる。
出張で仕入れた大量の服は、スタッフみんなで一緒に荷解きをする。
ほかのバイヤーがどんなものを買ってきたのか見るのは何より楽しみだという。
そこで話を聞きながら商品の情報を共有することもあれば、使われている生地やパーツによってヴィンテージの商品の年代を判断することもある。
「ファスナーがついてるものは特にわかりやすいですよ」と、見せてもらったのはリーバイスのデニム。
今のファスナーとは形も違って、頑丈で滑りもいい。

「私たちより詳しいお客さんはたくさんいるから、決めつけや知ったかぶりはしません」
それに、大切なのは正確な年代を当てることではなく、もの良さを感覚で理解していること。
洋服を裏返したり、離して眺めたり。
駒井さんたちのさりげない手つきや視線を追うと、服の魅力がどこに隠れているかわかる気がする。
「わからないことがあったら自分で調べたり、人に聞いたり。お客さんのことが知りたければお店に行ってみたり。ネットで調べて満足するんじゃなくて、実際に見て確かめようという意識も大切です」
休みの日にお店に行ったり、街を行き交う人の服装を眺めたり、SNSで写真を見たり。好きでやっている事が仕事にもつながっている。

それでも仕事を楽しいと感じるのは、やっぱり服が好きだから。
採用条件としてスタッフが口を揃えるのは、とにかく服が好きだということ。
服が好きな人ならなおさら、仕事としてどんな服を扱うかということも気になるところ。
Focus Ragでは、年代にして1900年代〜2000年代のものまで、古着の定義も幅広い。
年代というより、今の流行を意識したものを選ぶことも方針のひとつに据えている。
流行を意識した古着。
今、流行っているデザインと、昔着られていた古着。
その二つが両立する服って、どんなものなんだろう。
メンズバイヤーの川田さんが、最近買ってきたという服を一着紹介してもらった。

こういう”チルデンニット”と呼ばれるアイテムが今、ちょっとしたトレンドなのだそう。
形としては流行に近いところもありつつ、質感やダメージは古着ならでは。
さらに、今は使われていないGAPのタグが付いていることも、いわゆる”オールドギャップ”として、ファンの心をくすぐるポイントでもある。
川田さんが洋服を下げて見せると、他のスタッフもすかさず立ち上がって触ってみたり、「サイズ感もいいね」との声が。
どこがいい、という説明的な言葉は少ないけど、視線や表情から「いいね」という感覚がたしかにその場で共有されている。
ただ、話しているスタッフたちの服装の好みはバラバラ。それぞれ自分の好みがある一方で、お互いのスタイルや流行も理解している感じ。
「僕はもともと、アメカジやヴィンテージのようなものが好きだったので、普段自分が着ないようなデザインや、流行を意識するのは難しかったんです」
もともと自分が好きな服と、仕事で扱う服。
最初はそのギャップに悩む人も少なくないという。
川田さんが、それを感覚で理解できるようになったのは、先輩や取引先の影響が大きい。
ビジネスとして貴重な経験にもなる、取引先の社長やオーナーさんとの出会い。
古いものの良さもわかったうえで、流行にも敏感で、若い子にもリスペクトされるような取引先のバイヤーさんたち。
そんな、一言でいうと “かっこいい人”たちの着こなしから、服の魅力を学ぶ機会も多い。

実際には、英語の勉強より先にFocus Ragで働きはじめることになった。
「今でもそんなに英語は流暢じゃないし、アメリカでやりとりする相手も移民だったりして、お互いカタコト。それでも通じ合えるのは洋服の話だからだと思います。洋服が共通言語みたいなものなんです」
服のことなら感覚で話せる。
通じ合えることもあるし、もしかしたら足りない部分は、お互いに汲み取ろうとし合っているのかもしれない。
そうやって、もっと知りたいと思えるのは、やっぱり服が好きだから。
最後に、代表の河又さんがこれから応募を考えている人にこんな言葉を寄せてくれました。
「一人ひとりが会社で新しいチャレンジをするために、服に対する情熱をいつも持っていてほしい。僕は何かを”拓く”って気持ちを持った人と一緒に働きたいですね。”拓く”とは難しいけれど、仕入先や顧客の開拓、可能性があるなら別事業へのチャレンジでもなんにでも可能性はありますね」
その人の姿から「かっこいい」を教えてくれる取引先のお客さん。
それぞれに服が好きだという情熱を持った同僚や上司。
ここで働く人たちの間には、言葉以上に分かり合える服好きならではの感覚が共有されている。
服が好きならきっと自分のやりがいを見つけられる仕事だと思います。
(2018/3/2 取材 高橋佑香子)