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まだ知られていない村を

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

ドライブをしていると、ふと寄りたくなるのが道の駅。調べてみると、全国に1100以上もあるそうです。

最近では、地域の特産品や新鮮な野菜、それに雑貨などをセンス良く並べているところも。見たこともない道の駅を見つけると、ワクワクします。

そんな道の駅を、地域の人たちと一緒につくってみませんか。

今回の舞台は、群馬県片品村

尾瀬国立公園の麓、日光の隣という自然と歴史に恵まれたこの村にも、この夏、新たに道の駅がオープンします。

駅の名前は、「道の駅 尾瀬かたしな」。

今回は、この道の駅の立ち上げから運営までを担う人、あわせて地元のNPO職員として働く人を募集します。

片品村は、群馬県の北、新潟・栃木・福島に隣接した場所にある。

東京からは車で2時間半と、ドライブにちょうどいい距離。関東随一と言われる積雪地帯のため、冬になると多くのスキー客が訪れる観光の村でもある。

村に入ったことを知らせる標識を過ぎたあたりで、目の前の景色が開けた。思わず窓を開けて空気を吸い込みたくなるほど、気持ちのいい場所。

中心部にはスキー場や民宿、個人商店の看板が並んでいて、小さいながらも活気を感じる。

ほどなく到着した村役場の目の前では、道の駅が工事の真っ最中だ。

その様子を眺めていると、「こんにちは!」という声とともにヘルメットを持って駆けつけてくる人影が。

道の駅を運営する振興公社の支配人、星野さんだ。

優しい目元が印象的な星野さんは、これまでも行政と地域おこし協力隊の橋渡しを担ってきた方。新たに入る人も、星野さんと一緒に道の駅の運営に携わることになる。

まずは建設現場を案内してもらいながら、道の駅についてうかがうことに。

「はじまりは、およそ7年前にさかのぼります。村計画をつくるために住民アンケートをとったところ、道の駅や農産物の直売所を要望する声が数多くあって」

村で採れる野菜は、甘くみずみずしいため人気が高い。そのため小さな露店販売所や直売所があったものの、高齢化などで店じまいをする人が増えていたのだそう。

「さらに村の外に目を向けても、スキー客以外のお客さんをうまく呼び込めていなくて。峠を越えたらすぐ日光があるけれど、気軽に休めるような場所がない。日光を訪れるほぼすべての人は片品に寄ることなく、東北道で帰ってしまいます」

村の人にも、観光客にも憩いの場となるような場所をつくりたい。

そんな考えから道の駅の建設が村計画に加わるも、実現には大掛かりな予算と時間が必要になる。

そこでまずはできることからはじめようと、5年前に未活用の建物を改修し、直売所とレストランの機能を持たせた小さなお店をオープンさせた。

村内外から好評だったこの取り組み。少しずつノウハウを溜めるなか、およそ3年前に予算の目処がついた。

そうして一昨年から工事がはじまり、いよいよこの3月末に完成する。

新たな道の駅には、駐車場やレストラン、直売所といった基本的な機能のほかにも、足湯に入りながら、尾瀬のアヤメ平を眺望できるテラスや、子どもたちが駆け回れる芝生の広場、観光名所や地元の美味しいお店を伝える観光案内所などを詰め込んだ。

現在は星野さんが中心となって思案を重ねているところで、いよいよ4月から本格的に準備がはじまる。

オープン前は、どのような仕事をすることになるだろう。

「備品や書類の用意といった細かなところから、レストランで提供するメニューの考案、そしてインターネットを通じた道の駅の情報発信などをお任せしたいと思っています」

「とくに情報発信は、村全体としてもまだまだで。僕たちが当然に思って素通りしてしまうようなものも、はじめて来る人にとっては面白く映るかもしれない。そんな新鮮な視点で、片品という場所をPRしてほしいです」

もちろん、レストランや直売所運営のノウハウなど、これまで経験を積んでいることもある。ただ、実際に動いていくと、予想もしていなかった仕事も生まれるはず。7月のオープンまでは慌ただしくなると思う。

「当然、新しく入る人に丸投げすることはありません。僕をはじめ振興公社のスタッフと協力しながら進めていきたいなと思っています」

オープンすると、星野さんの右腕であり、道の駅のマネージャーのような役割になるそう。

星野さんと一緒に直売所やレストランを管理したり、SNSを使って情報発信をしたり。あとはお客さんへの対応やイベントの企画運営なども。

もちろん、一人で抱え込む必要はなく、ほかのスタッフに任せることができる部分も多そうだ。

「僕たちも『こんなことをやりたい』というおぼろげなイメージは持っているんですけど、実際に動かすためには人のパワーが必要で。この施設を面白いものにするためのアイデアを、一緒に考えていきたいなって思っています」

すでに面白いアイデアがひとつあるという。それが『村民キッチン』。

構内に用意した小さなキッチンの運営を村のお母さん方に任せて、道の駅を訪れる人たちに自由に料理を振る舞ってもらおうというもの。

「村のお母さん方は、皆いい腕を持っているんですよ。せっかくだからその腕をふるってもらいたいと思って。どこにも先例がないので、どうなるかは分からないんですけど(笑)」

それに片品では、トマトや豆、リンゴなどの特産品をはじめ、新鮮な野菜がたくさん採れる。

こうした片品の素材を活かして、新しく入る人と一緒に商品開発もしてみたいと星野さんは考えている。

どのような取り組みも、目指すのは「片品らしさを打ち出す」ということ。そのなかで、大切にしたいことが見えてきたという。

「実は、この道の駅に村のすべてを集約しようとは思っていないんです。ここは、片品を知るきっかけの場でありたいなって」

きっかけの場。

「はい。たとえば、もっとゆっくりされたいならこんなお店がありますよ、こんな面白い人がいますよ、と村の生の情報をご案内するような役割でありたいなって。ご飯や休憩を提供するだけの場じゃなくて、村のモノや情報の入り口になれたらと思っています」

だからこそ、新しく入る人にはまずこの村の生活を楽しみながら知ってもらいたいという。

「実は僕自身も、Uターンしてきた一人なんです。外で生活していて、隣人の顔すら知らない生活に驚いてしまって。この村の当たり前は、外では当たり前じゃないんだなって」

「当然いろんな不便はあるし、田舎ならではの行事や人付き合いもある。でもこの村の皆は、『これ持ってきな、これも食べな』と気にかけてくれる。心の豊かさがあるんですよね」

まずは、自分から村に溶け込むことが必要になってくると思う。

裏を返せば、自分が村に溶け込めば溶け込むだけ、生活も仕事も充実していくということかもしれない。

「道の駅も移住も、建てておしまい、来ておしまいじゃない。そこからすべてはじまるんです。僕は、この村に一緒に命を吹き込んでくれる人と出会えるのがとても楽しみなんですよ」

ちょうどお昼時となったため、道の駅をあとにして村内のお店に向かう。

ここで待ってくれていたのが、NPO法人『武尊根(ほたかね)BASE』代表の小石さん。

武尊根BASEは、2年前に閉校した村内の“旧武尊根小学校”の校舎を活用するため、1年半前に生まれたNPO。

今回募集する人のうち、NPO職員となる人はこの武尊根BASEに所属することになる。

「寒いからコタツにどうぞ」という小石さんの言葉に甘えて、お茶を飲みながら話を聞く。

「僕は片品の出身ではなくて。およそ30年前に、ペンションをオープンするために訪れたのがご縁のはじまりなんです」

現在、ペンションや大規模サッカーグラウンドのオーナーを勤める小石さんは、その行動力と顔の広さから地域の人たちに頼りにされている。

実は武尊根小学校も、廃校直後は取り壊し案まで出ていたそう。そこで「もったいない、うまく使えるはず」とNPOを立ち上げたのも小石さんだった。

「よくこの建物の前を通っていて、ずっと好きだったんですよね。ここで様々なものを生み出して、小さな子どもからお年寄りまでいろんな人が来たくなるような場にしたら面白いだろうなって」

その言葉のとおり、小石さんたちNPOの手によって校舎は新たな交流拠点として生まれ変わった。

現在は希望があれば施設の貸出しをしたり、地域の方々の交流拠点として活用しているところ。

春の武尊根さくら祭りの会場や、村内外の子どもを対象とした自然保育「森のようちえん」の園舎となったり、片品の魅力発信基地としてさまざまな形で利用されている。

さらに4月からは、校庭にキャンプ・グランピングサイトを建設することが決定している。新たに入る人は、こうした新しい業務を担当してもらう予定だ。

まずは雪解けとともに遊具を撤去して、テントやデッキをつくる。備品を揃えたのち、バーベキューやキャンプ客の受け入れをはじめる。

お客さんには、村の食事処や温泉を案内したり、村の人がつくる美味しい野菜やパン、ハーブを提供することで、村そのものを楽しんでもらいたい。

「ただ、全部僕が思うように動いてほしいわけではなくて。こうしたいという絵はある程度イメージしているけど、その過程はもう自由でいいんです。だから思ったことはどんどんやってもらいたい」

そうしたトライアンドエラーを自分自身も楽しみながら、新たな事業や村内外の人たちとの交流を生み出していきたいと小石さんは考えている。

「やりたいことも、その取っ掛かりもあるんですが、まだ夢物語なんです。この村や取り組みを面白いと思ってくれたなら、それを形にするには君らの力が必要だよ!って呼びかけたいですね」

最後に、どんな人と働きたいか尋ねてみた。

「時間や出会いを大切にできる人かな。ただ漠然と過ごして、任期が終わってから『寒い村だったな』としか思い出せないのではもったいない。たくさんの人に会って、いろんな経験を一緒にしたい」

「ただ、知らない土地に来て、いきなり村民と一緒の気持ちになって頑張れ!というのも酷というのも分かっています。だからまずは、自分なりに興味のあることやできることから村に溶け込んでみてほしい。その挑戦のぶんだけ面白くなると思います」

道の駅もNPOも、地域にある人や資源を発掘し、片品にしかないものを提供していく。

そうすることで多くの人が訪れる場所になっていくのだろうし、地域も元気になっていく。そんな循環の中で働くということは面白いことだと思います。

気になった方は、まずはこの片品の空気を感じてもらいたいです。ちょうど雪解けのころ、春の芽吹きを感じさせてくれますよ。

(2018/02/27 取材 遠藤真利奈)

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