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公園で結わえる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

鹿児島市喜入一倉町(きいれひとくらちょう)にある観光農業公園『グリーンファーム』。

毎年200種類以上の体験や様々なイベントを開催し、年間19万人ものお客さんがやってくる人気の場所です。

これからもっと多くの人に利用してもらうために、この公園で何ができるかを考え企画する、地域おこし協力隊員を募集することになりました。

地元との連携や市民参加の強化など様々な計画が進んでいるものの、具体的なことはまだまだ。自身の経験などを活かし、商品開発やイベントの企画などの分野に興味があり、取り組んでくれる人を求めています。

鹿児島への移住や生業づくりを考えていた人にとっては、人脈や縁をつくるいいきっかけになると思います。



鹿児島中央駅から車に乗って約1時間。

海沿いを南下して、市の最南端にある喜入地域へ向かう。

グリーンファームは喜入地域の山側にある。

41ha以上の広大な敷地にあるのは、農産物直売館や農園レストラン、交流体験館、体験用農地、自然遊歩道、キャンプ場、滞在型市民農園など。

施設を利用したり、通年で開催されている様々な体験プログラムに参加することで、農業・食・環境の体験や学習ができる市営の公園だ。

そんなグリーンファームが生まれたのは2012年のこと。きっかけは平成の大合併だったそう。

その経緯を話してくれたのは、鹿児島市グリーンツーリズム推進課・主査の宮園さん。

「当初、鹿児島市は都会的で、周辺地域は自然環境豊かで農産物の一大産地でした。それが市町村合併によって一緒になったんですね」

「そういったこともあって、安らぎや癒しを求めて農村地域を訪れたいという都市部の人のニーズが高まり、都市と農村を結ぶ観光農業公園としてグリーンファームが設立されました」

宮園さんも市職員のひとりとして、オープンして間もないころから運営に携わっている。

当初、職員たちには経験やノウハウがとくにあったわけではなかったそう。イベント一つを企画にするにしても、手探りのスタートだった。

「たとえば野菜の収穫体験。大きい大根やカボチャを収穫するのは楽しいですが、そういう野菜って1個採ってしまえば終わってしまうし、カボチャを5個や6個採ってもひとつの家庭では使い切れないですよね」

「だから収穫できる数が多く、色や大きさを選びながら収穫できる楽しみもあるトマトやスナップエンドウを育てるようにしました。ピザ釜も見よう見まねで手づくりしたり、本当に一つひとつ試行錯誤しながら、楽しんでもらえる公園づくりをしてきました」

味噌づくりや牛乳パックのランプシェードづくり、草木染め、親子の食育体験、リラックスヨガ...

多種多様な体験を次々と開発し、今や年間を通じて200種類以上を提供している。子どもでも家族と一緒に楽しめるような体験を心がけているそう。

このほかにも季節に合わせたイベントを開催することで、毎年約19万人ものお客さんが訪れるようになっている。

「オープンしてからこれまでの間はノウハウを積み上げてきた期間でして、内容も充実して、リピーターのお客さまも順調に増えてきました」

「ただ、基礎が固まってきた今、これからはもっと磨き上げていかなければなりません」

というのも、ここ最近は来園者数が伸び悩んでいるからだ。

鹿児島にはグリーンファームを知らない人が、まだたくさんいるという。

「もっとうまくPRしたり、魅力的な体験をつくったり、やれることはたくさんあると思うんです。けど、我々だけではなかなか新しい発想が生まれません」

「そこで地域おこし協力隊員の方に来ていただいて、外からの目線を活かして一緒にいろんなことを企画していきたいと思っています」



体験やイベントの企画、直売所の商品開発、園全体のPRなど、協力隊員の業務は幅広い。範囲を制限しないことで、自由な発想で柔軟に動いてもらいたい、という考えなのだそう。

すべてに満遍なく取り組むというよりは、伸びしろのありそうなところや、自らの経験を活かせそうなところからはじめてもらいたいという。

たとえば法人営業の経験があれば、グリーンファームには宿泊施設があるので企業研修の場として売り込むことができるかもしれないし、教育に関心があれば、保育園や幼稚園と一緒に食育のイベントを企画してもいいかもしれない。

もしイベントに携わることになれば、主事の追立(おいたて)さんと一緒に企画していくことになる。

「お客さまは親子連れが多くて、私のような20代が少ないんですね。これからはそういう若い人たちも遊びに来たくなるイベントや仕組みをつくれたらなと思っています」

追立さんは主にイベントを担当し、外部の委託業者と共に様々な企画をしている。

今年のこどもの日に開催した「こどもまつり」では、過去最高の来場者数を記録したそう。

「子どもたちにワクワク楽しんでもらえるように、今回は『ふわふわ妖怪迷路』という送風で膨らませる遊具とか流行りのボルダリングを導入したり、普段やっているロールケーキづくりを、こどもの日にちなんでこいのぼり型にしてみたり」

「毎年同じことはしないようにしています。少しずつでも、その時々の話題性やニーズに合わせて毎回考え直しています」

今年の6月には新たなチャレンジとして、園内の自然遊歩道を活用したトレイルランの大会を開催。

「私は以前、市の福祉関係の仕事をしていたんですけど、ここは自分でイベントを企画して、お客さまはそれを楽しみに来てくれます。この前、ヤングコーンの皮剥き大会をしたときは私が司会もやって、すごく楽しんでもらえて」

「また来たい!って言ってもらえるのは、すごくやりがいです。ただ、今のイベントが完成形だとは思っていないので、どうしたらもっと良くなるのか、一緒に可能性を探っていきたいです」



今後の大きな目標として、グリーンファームは“開かれた公園”を目指していくそう。

現在、グリーンファームではサポーター制度を導入していて、イベントや栽培の補助をしてくれている市民の方々がいる。

これからは、体験やイベントを市民の方々に自主開催してもらえるような取組みができればと考えている。

ふたたび、主査の宮園さんに話を伺う。

「今ここで体験を提供してくれているのは、工作教室とかネイチャーゲームをする数団体だけです」

「市民の方にここをもっと利用していただいて、その人たちのネットワークによって活性化されていく。市民協働の公園づくりというか。そういったところも目指していきたいと思っています」

開かれた公園にするためには、地元の喜入地域とも連携していくことになる。

これまでも喜入の農家さんに協力してもらうことはあったけれど、農家さんの畑で野菜の収穫体験を行うだけにとどまっている。

今後は喜入の様々な地域資源を掘り起こして、地域の人たちと連携しながら体験やイベントの企画を進めていきたいという。

「たとえば喜入には、藩政時代の武家門などが残る町並みもあります。そういった歴史的な資源や農村ののどかな原風景を楽しんでもらい、地域の人たちと交流する散策イベントを、今年から開催する予定でして」

「まだまだ喜入には眠っている資源があると思います。農家さんにしてもお茶やマンゴーなど、いろんなものを育てている方々がいますから、まだ知り合えていない人たちとつながって、一緒に何ができるかを考えていきたいですね」

宮園さんは、協力隊員の人には積極的に地域へ出てネットワークを広げる役割を期待したいという。

そのため園内だけでなく、喜入をはじめとした鹿児島市内外の各地へ飛び出て仕事をする場面もあると思う。

「公園の仕事は連休が全部出勤だったり、やることはすべて自分たちで考えて決めなきゃいけなかったり、ちょっと大変なこともあるんですけど。反対に自分の考えが公園の様々なところに反映できる余地があるということなので、そういう意味ではすごく面白味のある仕事だと思っています」

「協力隊員としての任期を終えた後は、ここで培った経験や人脈を生かして、自ら生業をつくって鹿児島でぜひ活躍していただきたいです」

宮園さんは、どんな人に来てもらいたいですか?

「公園はチームで運営していくものですし、これからは地域の方々との関係づくりもしていくので、コミュニケーション能力が求められると思います。明るくて社交的な方だといいですね」



最後に宮園さんが、喜入に来たらぜひこの人を頼ってほしいと、中道さんを紹介してくれた。

喜入の一倉地域でコミュニティ協議会の会長を務め、地域の誰もが知っているような方だ。

「私はね、神戸で船乗りをずっとやってて、このまちに帰ってきたのは昭和50年くらい。生まれはここじゃないんですけど、嫁がこっちなもんだから移ってきたんですよ」

「地元にいた人たちはみんな外に出て行ったりしたからね。だから私が帰ってくるとPTA会長させられたり、公民館の体育部長もさせられて(笑)それでこの仕事もしてるんですよ」

一倉地域は喜入の中で唯一海に面していない山間の地域で、グリーンファームもこの中にある。

人口は約400人ととても小さなまちで、昔から地域の人たちが協力し合いながら生活してきたそう。

たとえば、地域にある小学校の生徒数はたった10名という状況だけど、住民全員で運動会や行事を盛り上げてきた。

「子どものいない人もPTAの会員になってバックアップしたりね。子どもは宝っちゅうことですわ」

これからはグリーンファームと連携することで、まちも一緒に盛り上げていけないかと期待しているという。

「せっかくグリーンファームが一倉にできたのだから、一緒に何かやれないかと思っていて。手助けしてくれとか、我々にもいろいろ注文してほしいんですよ」

グリーンファームがオープンした当初、一倉地域はワークショップに参加し、どんなことが一緒にできるのか意見を出しながら様々な提案をしたそう。

ただ、そのころグリーンファームは日々の運営に手一杯だったので、受け入れることができなかった。

「これから協力隊員の人が来るってことで、遊歩道を整備して花を植えたりとか、ツリーハウスをつくったりとか、一緒にいろいろやりたいね」

ツリーハウス?

「ええ、みんなに呼びかけてて、大工をやってた人もいるものだからね。そのために木も用意しているんですよ。林のあの木とあの木は残しておこうって(笑)」

積極的に協力してくれようとしている中道さんや地域の方を見ていると、この人たちこそ地域の資源だなと感じました。

遠くから訪れてきたお客さんが喜入の人たちと触れ合うことで、生まれるものもあると思います。

まずは誰もが気軽に主体的に参加できる土壌を目指すといいかもしれません。年齢も職業も様々な人が自然と集まり醸成されていく場は、とても魅力的なものです。

(2018/5/10 取材 森田曜光)

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