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霧島の「食」を世界へ
地域を丸ごと味わい、
人と人をつなぐ

地方へ行くと、こんなに美味しいものがあったのか、と驚くことがあります。

反対に地方の人からは、いいものはあるのにうまく伝えられない、という声も聞きます。

その両者をつなげるのが、今回募集する仕事です。

鹿児島県・霧島市。

食材の宝庫でありながら、その良さがまだ世の中に知られていません。

そこで、地域に眠った地産品のPRや販売を手がける地域商社『霧島商社』が、昨年誕生しました。

ここで地域おこし協力隊として働く人を募集します。

募集職種は3つ。デザインプランナーと情報発信プランナー、そしてシェフと生産者をつなげる食マッチングプランナーです。

 

飛行機に乗って、霧島市内にある鹿児島空港へ。

霧島商社の理事長さんとは、1階の到着ロビーで待ち合わせる約束をしている。

電話をかけると、ちょうど目の前にいる金髪の人がスマートフォンを取り出した。周りには霧島市役所の職員らしきスーツを着た人たちがいる。

もしかして、この人が理事長の大山さんだろうか?

「あっ、はじめまして!今日はよろしくね。早速だけど、向こうでお茶しましょう」

「お茶?」と思いながら連れられた先は、空港の案内所のお隣。6席ほどのカウンターでは霧島産のお茶が振舞われている。

さっそく席についてお茶をいただくと、とても美味しくて驚いた。普段飲むお茶とはまったくの別物と言っていいほど、甘みがあって香り高い。

聞けば、霧島連山の麓で寒暖差を活かしたお茶づくりをしている『香輝園製茶』のお茶を1時間水出ししたものだという。

「霧島の各地域の生産者さんがお茶を直接提供してくれていて、ここでは週替わりでいろんなお茶が飲めるの。せっかく霧島はお茶所なのだからPRしようってことで」

そうか、霧島はお茶が有名だったのか。

「ほら、よくさ、九州だったら八女茶とか、鹿児島だったら知覧茶とか聞くでしょ?けど霧島のお茶は全国の品評会で日本一に3回も輝いてるの。それってあまり知られていなくて、実は地元でも知らない人が多いのよ」

地元ではあまり飲まれないのですか?

「いや、飲む飲む。昔から霧島にはお茶があるから」

「ずっと昔はね、それぞれの家庭で自家栽培していたの。焼酎も同じで、昔は町のいたるところに酒蔵がいっぱいあったんです。お味噌や醤油だってそう」

美味しいものを手づくりする。

それは霧島では当たり前すぎて、声を大にしてPRしたり、高付加価値商品として販売することが少なかったという。

まだ知られていない魅力的な“食”が、霧島にはたくさん眠っている。

「そういったものをどのような形でPRし、全国や海外へ売っていくのか。それを考え、担うのが霧島商社なんですよ」

 

お茶をいただいたあと、今度は車で霧島商社の事務所へと向かう。

25分ほどの道のりの間に、霧島商社が生まれたきっかけについて聞いてみる。

「そもそもはね、去年産学官連携で立ち上がった霧島ガストロノミー推進協議会がはじまりなの」

「霧島の食にまつわるいろんな分野を融合させながら食文化を活かして、地域経済の活性化や交流人口の拡大を目指す。それが協議会の大きな目的なんだよね」

具体的には、3つの事業が計画されている。

ひとつが、ブランド認定制度。

食材や加工品に限らず、霧島の食にまつわる魅力的なもの・サービス・活動・伝統文化などを『ゲンセン霧島』という霧島独自のブランドとして認定していく。

「たとえば工芸品だと、錫器(すずき)があってね」

「気密性がすごくよくて、このあたりでは昔から茶筒として使われてきた。逸話があって、大久保利通が愛用していた茶筒が発見されたとき、中に入っていた100年以上前のお茶が、まだ香っていたんですって」

ブランドの認定審査を行うのは、東京農業大学教授やフレンチシェフなど、霧島市外出身の専門家たち8名。

2つ目の事業としてご当地メニューの開発が行われ、3つ目の事業としては霧島産品のマッチングが行われる。

マッチングでは、国内外のシェフと霧島市の生産者をつなげ、継続的な取引関係を築くことで、霧島産品のPRや利用を広げていく。

このマッチング事業を任されているのが、霧島商社。

このほかにも、地域商社として独自に地域資源の発掘・デザイン・販売・発信なども行っていく。

 

しばらくして、霧島商社の事務所に到着した。

このあたりは「国分(こくぶ)」という地域で、大山さんの地元でもある。

それにしても大山さんは一体何者なのだろう。はじめて会ったときはびっくりしたけど、とてもフレンドリーで優しさが滲み出ている方だ。

「僕はね、もともと市内でサラリーマンをやってたの」

「商店街がつくった組合の事務局員をしていて。そこで商売人や街の人たちが抱える悩みや実情を知るわけ。このままじゃ霧島はいかんなと思って、10年くらい前に『きりしまミクス』っていうまちづくり会社を立ち上げたの」

その会社では地域行事やイベントの企画・運営、地域活性を担う人材育成のための講師派遣、地域情報誌の発刊など、地域を盛り上げるため、様々なことに取り組んできた。

「まちゼミっていうのも鹿児島県ではじめてやりましたよ」

まちゼミ、ですか?

「商店街でお店をやっている人を講師に呼んで、6人くらいに向けてお店の中でレクチャーしてもらうんです。お寿司屋さんが簡単にできる巻き寿司を教えてくれたりしてね」

それは楽しそう。どうしてまちゼミを霧島でやろうと?

「いま言ってくれたのと同じよ。楽しそうだなって。町の人たちもすごく楽しんでくれて」

「ラジオ局をつくったときも同じようなことだったの。合併したのに、昔のまま隣町が何やっているのか分からないようじゃつまらない。霧島市に対する思いを醸成させたいなと思って、周りの方々に声をかけてお金を集めて、FMきりしまをつくったんです」

きりしまミクスのホームページを見てみると、大山さんは様々な団体で委員や理事を務めている。

関わったプロジェクトや仕掛けた企画も、挙げるときりがないくらい。

「どこの地域もそうだけど、バカになるやつがいないと地域おこしなんてできないじゃん。他人任せにしてたって絶対にできないわけ」

「僕はこの街に生まれ育った人間なので、変な話、地域のしがらみのことまで知っている。よく地方ではしがらみがあってできないって言うけど、僕はしがらみを知ってるからこそ、うまく活かしてできることがあるんじゃない?って思う」

大山さんの仕事の基本は、人と人をつなぐこと。

何よりも出会いとご縁を大切にし、そこで何ができるかを企画してきた。

大山さんは地域にとっても欠かせない存在なのだと思う。霧島商社の理事として声がかかったのも、納得がいく。

「霧島商社はすでにマッチングをはじめているけれど、まだまだなところもある。地域おこし協力隊に来てもらうことで、できることが何倍にも膨らんでいくと思うんだ」

国内外のシェフと霧島の生産者をつなげるマッチング事業。

具体的にはどのようにつなげているのだろう?

「たとえば、首都圏でシェフを集めて霧島の食材をPRする場をつくったり、シェフに霧島へ来てもらって生産者さんを巡るツアーを企画したり。できればシェフと生産者さんの直接的な関係性を築いていきたいから、畑にシェフを連れて行くのよ」

霧島市にはいい食材を探しているシェフからよく問い合わせがあるそう。それに対し霧島商社が連絡を入れ、ツアーを企画する。

1人の生産者さんを訪ねる時間は、1時間もかからないという。

短い時間でシェフと生産者の関係性を築くためには、どうしたらいいのだろう。

「まず僕らが生産者を知らなきゃダメよね。足繁く通って勉強させてもらうなり、一緒にお酒を飲むなりして、その人のことをよく知る」

「なぜかって、田舎の生産者さんは恥ずかしがり屋さんなのよ。自分からは絶対に言わない。だから僕らがその人のことをよく知って、すごい人なんです!ってシェフに伝えないと」

たとえば、サツマイモをつくる久木田(くきた)農園さん。

「知り合いの紹介で訪ねてみたんです。有機栽培で頑張ってるって話のあとに、ちなみに何種類つくってるの?って聞いたら、35種類だって(笑)」

「久木田くんはもう真面目で研究熱心なのよ。たくさんつくろうとしたっていうよりは、いろいろやっているうちに種類が増えていた、という感じなんだろうね」

山の中でサーモンと鰻を完全無投薬で育てている人もいる。

もともと親の代から鮎の養殖をしていた。ただ、鮎は養殖だと死にやすく、そのため投薬することが多かった。そこに疑問を抱き、新たな養殖に挑戦したのだという。

「サツマイモを育てる久木田くんがどんな子か、サーモンと鰻を養殖する田代くんがどんな人間か。もの以上に、人を知ってほしいのよ」

「だから僕らは、ただものを売るだけではないの」

マッチングのほかにも、霧島商社は多岐に事業を広げていく。

たとえば商品開発や通信販売など。錫器の茶筒とお茶を組み合わせて、贈答用の商品として販売してもいいかもしれない。

大山さんは、地域が元気になるためには地域の人が稼ぐことが大事と話していた。

「商社によって霧島で農業が儲かるようになれば、跡を継ぎたいという人や新しく農業をはじめたいという人も出てくると思う」

そうしたら求人サイトを立ち上げてもいいかも。

「そうそう。やれることはいっぱいあると思う。今まで地域ができなかったことをお手伝いする会社でありたいな。そこに協力隊としてきてくれる人の目線を大事にしたいんだよね」

人と人をつなぎ、様々な仕事を形にしていく。

地域に溶け込み、企画力を磨いていける環境だと思うし、ここで働く人も大山さんのように地域にとってかけがえのない存在になっていける気がする。

ただ、そのためには地味なこともたくさん。

大山さんは休みの日も集まりに参加するし、飲み会のために買い出しに行くことだってある。

「イベントでひたすらハイボールをつくることだってあるかもしれない。基本的に僕らは裏方なので、何でこんなことしなきゃいけないの?って思う人は難しいかもしれないな」

大山さんはどんな人に来てほしいですか?

「べつに完璧な人間は求めてなくて。ちゃんと人の意見を聞き入れられて、自分の意見を言える人かな」

霧島商社の活躍によって、霧島は今後大きく変わっていくかもしれない。

責任も期待も大きな仕事だと思います。

(2018/8/13 取材 森田曜光)

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