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上流から下流まで
コーヒーの川が流れるように

コーヒーが好きです。

正直、前まではコーヒーの違いがよくわからなかったけれど、日本仕事百貨のオフィスがある清澄白河にはいろんなコーヒー屋さんがあるので、自然と口にする頻度が増えました。

さらに、自分で豆を挽いて淹れるようになってからは、産地や淹れ方によってこんなにも味が変わるのか!と驚き、コーヒーに対する見方もちょっと変わったような気がします。

今回は、そんなコーヒーの魅力を伝える広報担当の募集です。

一緒に働くことになるのは、1990年創業のスペシャルティコーヒー専門店「堀口珈琲」のみなさん。

海外の生産者から生豆を仕入れ、焙煎し、最高の一杯を提供する。

そのことに全力を注いできたみなさんは、手間暇かけて本当においしいコーヒーを世に出しているものの、コーヒーにあまり親しみのない人に向けては、なかなかその魅力を発信してこれなかったそう。

橋渡し役となるような人が加わることで、コーヒーの魅力に気づく人がもっともっと増えるかもしれない。そんな予感を感じさせてくれる会社だと思います。

 

向かったのは、東京・千歳船橋駅から歩いてすぐのところにある、堀口珈琲・世田谷店。

1階が店舗で2階が事務所になっている。

今から28年前、創業者である堀口俊英さんが脱サラしてお店をはじめたのもこの場所だった。

代表取締役の伊藤亮太さんは、穏やかな方。ただ、コーヒーのことを語るうちに次から次へと言葉があふれ出してきて、静かな情熱みたいなものも感じさせる。

「高品質でおいしいコーヒーを提供したい。そんな創業の精神は、28年経った今もスタッフ一人ひとりに受け継がれています」

創業時の1990年代といえば、まだ日本におけるコーヒー文化が閉鎖的だった時代。創業者の堀口さんは、海外の展示会へと足を運ぶなかで生産者と出会い、生産地へと直接足を運ぶことで、顔の見える仕入れ先を増やしていった。

2000年代に入ると、日本でもスペシャルティコーヒーのムーブメントが起こる。スペシャルティコーヒーとは、原料の生産から加工、流通や焙煎、抽出に至るまで品質管理の行き届いたコーヒーのこと。

堀口珈琲は、10年近くそんな流れを先取っていたことになる。

「わたし自身、海外の生産地へと出向いて生豆を仕入れる仕事をしてきましたが、そこで重要なのはパートナーシップです」

「生産者は、自分たちのつくったものが日本でどんなふうに加工され、楽しまれているかを知らないんですよね。だから、たまに商品を持っていって一緒に飲んだりすると、自分たちがつくった生豆はこんなにおいしいコーヒーになるのかと驚き、誇りに感じて喜んでくれる。川上から川下まで、一本の絆でつながる瞬間がわたしはうれしいですね」

自社Webサイトでは、世界各国の産地の様子を写真と文章で詳しく紹介しているほか、店頭にも生産地の写真を配置したコーナーがある。お客さんから質問された際に、わかりやすく伝えるためだという。

コーヒーの原点である生産地やつくり手を大事に思っていることが、端々から伝わってくる。

そして、生豆を仕入れたあとの工程にも一つひとつこだわりがある。

中規模の焙煎機で、豆ごとの個性が活きるよう設定を変えながら焙煎。機械で状況をモニターしつつも、傍らには常に焙煎担当者がついており、目で見て、爆ぜる音に耳をすませ、香りを嗅ぐ。

五感をフル活用することで、常に豆の状態を常に確認している。

焼きあがった豆は、色差選別機にかけることで状態のよいものだけを選別。そのうえでさらに、手作業で不良豆の除去も行う。

「ここまでやっているところはほとんどない」とのこと。たしかに、ものすごい手のかけようだなと思う。

それほど丁寧につくったコーヒーって、どんな味がするのだろう…。

「ぜひ飲んでみてください」とのお言葉に甘えて、いただくことに。

選んだのは、今の季節にぴったりなハッピーホリデーブレンド。

深煎りの香ばしくどっしりした味のなかにも、フルーティーな軽やかさが感じられて、おいしい。

「深煎りってすごく難しいんですね。下手をすると豆の個性が失われて、ただ苦いだけのコーヒーになってしまう。絶妙なバランスを見ながら、果実のような甘みや柔らかな苦味、まろやかな口当たりが共存するコーヒーをつくりたいと思っています」

コーヒーは浅煎りか深煎りかの二択ではないし、当然味わいも、苦いか酸っぱいかだけにはとどまらない。

産地ごとの個性が際立って感じられるシングルオリジンはもちろん、複数の豆を組み合わせることでまったく新しい個性が生まれるブレンドにも積極的に取り組む堀口珈琲。

広報担当にも専門的な知識が求められるかと思いきや、「必ずしもコーヒーに関する深い知識は持っていなくていい」と伊藤さん。

「コーヒーの知識は我々がインプットすることもできますし、PRのコンサルタントを外部に雇っているので、メディア対応やPRの知識・技術面でもサポートを受けられると思います」

「むしろ広報担当の人には、消費者に近いところにいてほしいという思いがあって」

消費者に近いところ。

「我々が“おいしいコーヒーを”と思ってのめり込むほどに、一般の人の感覚から離れていく部分があると思います。でも、本当に喜ばせたいのはコーヒーの専門家ではありません。消費者の視点から魅力を伝えていくことが必要です」

「実は我々、あまりそういうところが得意ではないので。一緒に取り組んでもらえたらと思っています」

 

具体的には、どんな人を求めているのだろう。

国内外のカフェやレストランへの卸売の担当で、焙煎所の統括もしている小野塚裕之さんに話を聞いた。

「こういう人でないと、っていうほど我々のなかでも固まっていなくて。その人のやり方で、“堀口珈琲の魅力を伝える”っていう目的がなされればいいと思っているんです」

たとえばイベントの企画・運営が得意な人であれば、試飲会やセミナーのような場をつくることで伝えていくのもひとつの方法。

それもただ行って終わりにせず、イベントレポートという形で世に出したり、日常的に自社WebサイトやSNSを通じて発信したり。堀口珈琲の窓口となるような役割になる。

また、プレスリリースの作成・配信やメディアリストの管理、堀口珈琲が取り上げられた記事のクリッピングなど、一般的な広報の業務は外部のPRコンサルタントの知見を得ながら取り組んでいけると思う。

「広報専任のスタッフを雇うというのは、我々にとっても新しい取り組みです。暗中模索の道のりも含めて楽しめる方。失敗を恐れずに、どんどんトライしていこうと前向きに捉えられる方に来てほしい」

デスクは世田谷店2階の事務所に構えるものの、社外のイベントに出たり、メディアの関係者とつながりをつくったり、外に出る機会も多そうだ。

それに加えてもうひとつ、大事な役割がある。

「2019年の春に、焙煎工場を横浜に移転します。もともと海外から仕入れた生豆は横浜の倉庫で保管していたんですが、運搬時の温度変化や雨に濡れるリスクを極力減らすため、倉庫の近くに工場を持とうという話になりまして」

「そこは焙煎・加工の拠点としてだけでなく、コーヒーができるまでの工程を見学していただけるような工場にしていきたい。実際に見学者通路もつくる予定です。その見学者のアテンドも担ってもらえたらと思っています」

大手の焙煎業者で工場見学を行っている企業はあるものの、大規模なプラントを見ても一連の製造工程をイメージすることが難しい。とはいえ小さな焙煎所だと、工程が見やすく整備されているところはなかなかない。

丁寧な仕事に加え、上流から下流まで触れることができる規模感は、堀口珈琲ならでは。この環境を活かすことで、コーヒー好きにはより深くにアプローチし、あまり親しみのない人にもコーヒーの奥深い世界を知ってもらうきっかけづくりができるかもしれない。

 

最後に話を聞いたのは、オンラインストアのバナーや店頭のポップ、メニューなどのデザインワークを担当している小出夕加さん。

お客さんとの接点をつくる仕事とも言えるので、今回募集する広報担当と関わる機会も多い方だと思う。

もともとお父さんがコーヒー好きで、毎朝淹れているコーヒーを少しもらったり、高校受験で遅くまで勉強した日に差し入れてもらったりしていた小出さん。

前職のデザインの仕事をしていたときに作業の合間に飲むことも多く、次第にコーヒーとの接点が増えていったそう。

仕事として志すきっかけになったのは、東日本大震災だった。

「被災地のコーヒー屋さんが、避難された方に直接コーヒーを手渡して安らぎを与えていたことに、すごく心が動いたんですよね。デザインの仕事も好きでしたけど、もう少し、直接人に手渡しできるようなものがつくりたいなと思ったんです」

そんなふうに思っていたところ、堀口珈琲に出会う。

それまでカフェオレなどのアレンジコーヒーを飲むことが多かった小出さんは、堀口珈琲のコーヒーに衝撃を受けたという。

「お砂糖を入れなくても飲みやすいし、こんなにいろんな味がするんだ!って驚いて。コーヒーの多様性に気づいてのめり込んでいったのは、この会社のコーヒーがきっかけでしたね」

ロースターとして焙煎を経験したあと、前職のスキルを活かしてデザインを担当するように。

今回募集する人も、まずは3〜6ヶ月の研修期間に各現場の仕事を経験しつつ、広報の仕事へと幅を広げていくことになる。

小出さんはどんな人と働きたいですか。

「なんでも面白がって楽しめる人。こつこつ真面目にやることって根本的に大事だと思うんですけど、今の堀口珈琲にはない発想をして、実現できる範囲で手繰り寄せて。面白い方向に舵をきっていける人が来てくれるといいですね」

春には焙煎工場がオープンするし、2020年は創業から30周年を迎える。会社の歴史から見ても、この1〜2年は大きな転機になる。

コーヒーをひとつのブームで終わらせずに、文化として根づかせていきたい。多様なコーヒーの楽しみ方を、もっと多くの人に知ってほしい。

そんな想いに共感して、一緒に伝えていける人を求めています。

 

最後に、代表の伊藤さんがこんな話をしてくれました。

「最近、あるお客さまからコメントをいただいて。その方はご病気のせいで外出もままならないそうですが、うちで取り扱っているさまざまなコーヒーを飲むことで、世界を旅しているような気分になれるんです、と」

「我々が取り扱うのはモノとしてのコーヒーだけど、それを通じて人はいろんなことを体感できる。そんなきっかけを与えられたと思うと、本当に望外の喜びというか。最近で一番うれしかったことですね」

一杯のコーヒーから、いろんな可能性が広がっていくと思います。

(2018/12/10 取材 中川晃輔)

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