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農に触れながら
自分でつくる
わたしの“半X”

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「この町には仕事もそんなにないし、有名な観光地もない。何があるかを考えたときに、農地や里山ならいっぱいあるなと思いました。自然のなかで暮らしてみたいという人になら、魅力に感じるものがあると思ったんです」

そう話すのは、福岡県香春町役場の坪根さん。

春が香ると書いて香春(かわら)。

そんな素敵な名前を持つまちで、“半農半X”な暮らしを実践する、地域おこし協力隊を募集します。

具体的な仕事のひとつは、役場が主催する農業塾の運営のサポート。自身も楽しんで農に触れながら、塾に集う人たちと関わり、コミュニティを育てていくような仕事です。

そのかたわら、協力隊に行ってほしいのは“半X”として、自分のスキルや特技を生かした生業を見つけること。

半農半Xのなかで自分らしい暮らしを実現し、イベントやSNSで発信をすることで、地域に人を呼び込んでほしいと考えています。

シンプルに書くのがちょっと難しい、香春町の協力隊。どんな人たちが活動しているのか、実際にまちを訪ねてみました。



北九州空港から車で40分ほど。トンネルを抜けて香春町に入ると、あたりは田んぼや民家がある里山の雰囲気に。

一日アテンドをしてくれるのは、香春町役場のまちづくり課で働く坪根さん。

地域おこし協力隊の拠点である、JR採銅所駅をまず案内してくれた。

「この付近は昔、銅の採掘をしていたので採銅所という地名なんです。協力隊員とアイデアを出し合いながら、大正時代からある駅舎をリノベーションして。2年前に、香春町の移住・交流の拠点として“採銅所駅舎内第二待合室”をオープンしました」

列車を待つための従来の待合室に対する、もう一つの待合室。「移住という新しい暮らしへの乗り換えのために、さまざまな人や情報が待ち合わせる」という意味を込めて名付けられた。

第二待合室には、誰でも自由に訪れることができる。協力隊はここに常駐し、訪れる人たちと交流したり、移住の相談に乗ったり、イベントを開催したりしている。

「香春町の協力隊全員に共通するミッションは、“新しい人の流れをつくること”なんです」

新しい人の流れをつくること。

SNSでの発信やお試し滞在、イベントや空き家バンク事業など、協力隊の取り組みのすべてはこのミッションにつながっている。

「僕は、面白い人がいれば、地域に人が集まってくると思うんです。まちのなかで楽しそうに活動している人を見て、この人のところに行ってみたい、近くで暮らしてみたいという気持ちになる。協力隊にはそのきっかけになってほしいんです」

「今も、協力隊たちが日々の暮らしを発信することで、遠くから知り合いが遊びに来てくれたり、地域の若い人たちが彼らのもとに集まったりしています」

新しく入る協力隊にも、人の流れをつくり出す存在となってほしい。さらに今回は、“半農半X”の生活のなかで、それを実現してほしいと考えている。

「3年前、協力隊を最初に迎えるときに考えた町の魅力は“農のある暮らし”でした。ただ、初代の協力隊には、活動拠点の立ち上げから運営を軌道に乗せるまでをやってもらって、農業を活動のメインにする人はいなかった。協力隊の体制も整って、地域との関係も築かれてきたなかで、今回は農という原点に返ることになりました」

農作業は未経験でも大丈夫。これから入る協力隊には、役場が運営する農業塾の仕事を手伝いながら、自分なりに農との関わり方を見つけていってほしい。

「農業で生計を立てることを目的にするのではなくて、暮らしのなかに農を取り入れてほしいということなんです。プランターでパセリを育てるでも、山から薪を取ってくるでもいい。もちろん、塾を手伝うなかでもっと深めたいと思ったら、本格的に就農に進んでもいい」

もう一方の“半X”は、地域に関わるものであれば自由に考えて、実現していいそう。

「たとえば今の協力隊だと、キャンプや登山のイベントをやっているアウトドア好きな人や、地域の材料で染め物をしている人がいる。それって、自分らしい暮らしができているってことだと思うんです」

自分らしい暮らし。

「協力隊をやってみたいと思う人は、自分らしい暮らしの種をみんな持っているんじゃないかな。今までとは違うライフスタイルを選びたい、やりたいことを実現したいっていう思いが根底にあるような気がしています」

協力隊が半農半Xの暮らしを自ら実践し、発信していくことで、「自分も香春町でそんな暮らしがしてみたい」と思う人が増えていくかもしれない。



次に、“半農”として関わる農業塾の話を教えてもらう。農業塾が開催される畑を案内してくれたのが、香春町役場産業振興課の矢野さん。

矢野さんが担当している“かわら農業塾”には、町内外から15名ほどが集まる。年間を通して、町内の農家さんを先生に迎え、農業の基礎を学んでいる。

「農業を仕事のひとつとして考える人を増やしたいと、2年前にはじまりました。最初は、新規就農者をターゲットにしていたんですけど、20代から80代までさまざまな人から応募があって。間口を広げてみんなを受け入れてみたんです」

兼業農家として生計を立てている地元のおじいさん、これから香春町で就農する予定の若い女性、自分でつくった野菜を子どもに食べさせたいというお母さんなど。畑の近所に住んでいる人もいれば、町外からわざわざ通ってくる人もいる。

「慣れている人は、先生の話をあんまり聞かずに自分のやり方ではじめたり、『足悪いけん畑には入れんけど、収穫したものだけはもらう』っておばあちゃんが、ずっと椅子に座って待ってたり(笑)。ほのぼのと楽しくやっていますね」

ゆるやかな雰囲気とはいえ、教わる内容は土づくりや安全な農薬の使い方など、本格的に農業をはじめる人に向けたもの。

見栄えやサイズの良い、商品にできるような野菜をつくり、実際に道の駅にも出荷している。協力隊自身も、塾の運営を手伝いながら農業の一連の流れを学ぶことができると思う。

「1年目は運営のサポートをやってもらいます。参加者の方に先生の話を伝えたり、塾のない日に交代で畑の当番をするので、そこに加わってもらったり。収穫イベントとかも企画してもらえるといいかな。ゆくゆくは私がやっている農家さんとの事前打ち合わせとか、農機具の手配なども中心となってやってもらえればと思います」



農業塾の参加者であり、現在運営を手伝っているのが、協力隊の村井さん。

次年度も運営に関わる予定なので、これから入る協力隊は村井さんと一緒に動くことが多くなると思う。

「農業塾は、ひとつのコミュニティなんですよね。共通の話題があるから話も盛り上がるし、できたものはみんなで分け合うし。農業塾の外でも、自分の畑で使う農機具を貸し借りしたり、新規就農者が地域の農家さんにアドバイスもらったりと、輪が広がっています」

この日、畑にいたメンバーにはわざわざ北九州市の門司から来たという人も。

農業仲間のおうちに寄って、かぼすをもらって帰るんだそう。ここから広がるコミュニティの一端を見たようで、温かい気持ちになった。

協力隊として2年半、活動してきた村井さん。実施してきたイベントは町内の休耕田でのキャンプなど、30以上にのぼるそう。

「イベントのいいところは、外部から人を呼ぶのはもちろん、地域の人との関係づくりにもなっていて。お昼ご飯を地域のレストランに頼んだり、竹林を管理されてる方に竹を使ったワークショップをご指導いただいたり、協力してもらうことで関係ができています」

「ほかにも地域の行事にはなるべく参加していて。集会や消防団で顔見知りになった人もいるし、近所の若い人とはチームを組んで草刈りを一緒にやっています」

協力隊が、一つひとつ築いてきた地域とのつながり。これから来る人も、先輩の協力隊員からいろいろな人を紹介してもらって、地域との関係をつくっていくことになる。

村井さんの任期はあと半年。その後はどう過ごしていくんですか?

「自分でつくれた仕事はまだなくて。来年度は町から、移住相談とお試し滞在、農業塾の運営から報告までの仕事を委託でいただく予定です。もう少しチャレンジさせていただきながら、香春町での可能性を探っていきたいなと思っています」

村井さんたち初代の協力隊3人全員が、任期後も香春町に住み続けていく。町としては、長く住み続けてほしいと考えているので、できるだけ仕事のサポートなどは行なっていくそう。



半農半Xの“X”の部分には、どんなことが考えられるだろう。

再び採銅所駅に戻り、協力隊1年目の村上さんにお話を聞く。採銅所駅の運営は協力隊全員が協力して行うので、これから入る人とは連携することが多くなると思う。

テキスタイルを学び、デザイナーとして働いてきた村上さんは、隣の町の出身。東京からUターンしてきたときに、大好きだった布にまつわる仕事で何かできないかと考えた。

「自然がたくさんある地域なので、植物染めをしたいなと思って。そこで香春町のことを思い出しました。干し柿が有名な香春町には、広い渋柿畑があるんです」

「その渋柿を原料とした、“柿渋染め”をやろうと思いました」

“柿渋”は染料の一種。渋柿を粉砕、圧搾したものを数年熟成させてつくられる。

香春町産の柿渋は現在熟成中とのことで、過去の柿渋染めの作品を見せてくれた。

「最初は、自分のやりたい柿渋染めが、協力隊の任務にどう結びつくのか悩みました」

「でも考えるうちに、まちのなかで捨てられてしまうものや眠っているものを掘り起こして、魅力的に生まれ変わらせたらいいのかなって。それを活動のテーマのひとつにしようと思いました」

柿渋染めでは、成長過程で間引きされた柿や、台風で落ちてしまった柿を利用している。

染め物以外にも、地域の養蜂場の蜜蝋を使ってハンドクリームづくりのワークショップも実施するなど、地元で採れるものの魅力を掘り起こして活用してきた。

「地域の人には、地元のものがこんなふうに変わるんだって発見になるし、町外の人には香春町って面白いと思ってもらえる。わたしのやりたいことが、そのまま協力隊のミッションにも合っているのかなと思います」

自分の好きなことを通じて、ここでの生業を見つけた村上さん。

彼女のように、すぐに仕事に直結するものでなくても、その種になるような趣味や特技、やりたいことを持っている人が、このまちの協力隊には合っていると思う。



香春町の協力隊の2人は、自分のやりたいことを大切に、ここでの暮らしを楽しんでいるように感じました。

これから入る協力隊が、どんなふうに暮らしていくのかは、3年かけて自分自身で決めること。

自分なら、香春町でどんな半Xをつくることができるのか。ぜひ考えてみてください。

(2018/11/30取材 増田早紀)

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