求人 NEW

自分で考え
自由に発信する
地域の編集者

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

これから先、どんな仕事が求められていくのだろう。

取材を通して、いろいろな人や仕事に出会いながら、ふとそんなことを考えます。

人と人をつなぐコミュニケーションはなくならないもの。そして距離を飛び越えて、人や地域をつなぐ情報発信も大切なもの。

今は、一般の人でも自由に発信できるツールがたくさんあるし、webやフリーペーパーなどのオウンドメディアも気軽に立ち上げられる。だから、編集など“伝える”仕事は、マスコミなど限られた業種の人たちのものではなくなりつつあります。

今回、募集するのはまさにそんな仕事。地域の魅力を編み直し、発信していく人を探しています。

まずは地域おこし協力隊として活動をスタート。その後は、サポートを受けながら起業することもできるし、活動を通して魅力的な企業に出会ったらそこに就職してもいいかもしれません。

舞台となるのは、岩手県北上市。

半導体や金属加工、食品製造、服飾メーカーなどさまざまな企業が集まるものづくりの街です。

地域のものづくりについて知り、伝えたいという人、編集という仕事を生業にしていきたい人に、ぜひ知ってほしい仕事です。


北上市までは、東京から東北新幹線で3時間ほど。

約93,000人が暮らす街並みには、マンションやビジネスホテルなども見える。ただ、駅を降りるとしんと冷たい空気に思わず背筋がのびた。

取材を受けてくださるみなさんとは、北上オフィスプラザで待ち合わせ。

北上オフィスプラザは、国・県・市が共同で設置した産業支援施設。地域の企業支援や研究開発支援、起業者育成の支援、オフィススペースの貸し出しなど、地域の産業を支えるさまざまな活動を行っている。

今回募集する人は、市と雇用契約を結ぶのではなく、株式会社北上オフィスプラザが受け入れ団体となって活動をサポートしていくことになる。

まずは市の職員である奥山さんに、この街のことを教えてもらう。

「北上市は、昭和初期から企業誘致を積極的に進めてきて、これまで約230社の誘致を実現しています」

さまざまな産業が豊かに育ち、市内外から多くの人が働きに来ている。

「大手の企業だけでなく、高い技術を持っている地元の企業さんもいて。だけど、素晴らしいことをやっていても市内外の人たちに知られていない。とてももったいないなというのが、課題としてあったんです」

「たとえば、今ではホームページがあるかどうかが信用度を測る一つの基準になっていますよね。ホームページがない宿って、泊まりにくかったりするでしょう?」

確かに、少し不安を感じるかもしれません。

「とはいえ、企業さん側もなかなか手が回らない。そこで代わりに、仕事のことや働いている人のことをしっかりと発信してくれる方を募集することにしたんです」

その結果、ゆくゆくは地元企業の販路や取引の拡大、働き手の確保のきっかけになれば、と奥山さんたちは考えている。

発信の仕方は、やってくる人のスキルに合わせて、どんな方法でも構わない。たとえば写真と文章で冊子にまとめてもいいし、動画でものづくりの様子を伝えてもいいそう。

「だから自分ならどんなことをやりたいか、イメージを持って来てもらえるといいですね。協力隊としての3年間を漠然と過ごすのではなく、生業をつくっていくためにいろいろなことを試したり、チャレンジする機会にしてもらえたらと思っています」


一足先に、この街で活動を始めている人もいる。地域おこし協力隊の小澤さんです。

東京でコピーライターとして働いていた方。雑誌や新聞の広告、企業の会社案内などさまざまな案件を手がけてきた。

「出身は岩手県です。倉本聰のファンで、もとはシナリオライターになりたかった。倉本さんは、地方から素敵なドラマをつくっているので、かっこいいなと思ってて。自分もある程度経験を積んだら、地元に帰って働きたいと考えていました」

ところがいざ仕事を探し始めると、なかなか自分の経験を生かせる仕事が見つからなかった。そこで起業も視野に入れながら、協力隊の募集に応募したそう。

採用が決まると、まずは市に活動の企画書を提出する。小澤さんが選んだのは、地元で頑張る事業者さんたちを取材し、webサイトで紹介するというもの。

「職種ごとの紹介では、読み手も自分の趣味嗜好で読むものを選ぶと思うので。働く人にフォーカスすれば、より多くの人が親近感を持ってサイトを見てくれるんじゃないかと考えました」

岩手県出身とはいえ、北上市に縁もゆかりもない小澤さん。取材先はどうやって見つけていったのでしょうか。

「北上オフィスプラザには、さまざまな企業からの相談が舞い込みます。なので面白そうな企業を紹介してもらったり、事業者さんが集まる飲み会やイベントに誘ってもらったりして。少しずつネットワークを広げているところです」

こうして立ち上げたのが「きたかみ仕事人図鑑」というサイト。働く人にフォーカスした記事のほか、街で開催されるイベントの紹介や箸休めコラムも載っていて、月に6〜7本は新しい記事を掲載しているそう。

「別に誰かにやれと言われたわけじゃないんです。自分の使命としてやっている感じかな。まだオープンしたばかりだからどんどんコンテンツを増やしていきたいですし、このサイト自体が僕の名刺みたいなもので」

名刺みたいなもの。

「はい。僕がどんな人間か、サイトからなんとなく感じてもらえるだろうし、こんなことができますっていうプレゼンテーションの場でもある。だから更新は頑張りたいなと思っています」

取材のセッティングや事前打ち合わせ、記事の執筆や入稿後の調整など。すべてを一人で担っているので、毎日があっという間に過ぎていく。

「実際にやってみると、思っていたよりも記事の内容確認に時間がかかったし、決まった活動費をどう使っていくか、そういう現実的なことも考えていかないといけません」

すべてを一人でやるのは大変だけど、柔軟に仕事をつくっていけるし、自分でやってみて気づくことが、いい経験になっているそう。

小澤さんはこの活動を通して、この街を大切に想い、街に貢献していきたいと考えている人が多いことに気がついたという。

「たとえば石戸谷さんという方は、産後、赤ちゃんと入れる飲食店がなくて困ったという自身の経験がきっかけで、赤ちゃんとママさんが気軽に入れるように“CAFE WILLOWS”という場所をつくったんですよ」

ほかにも高校時代にラグビーをやっていたときの経験から、不調の原因と治療の内容をきちんと説明できる整骨院を地元で開業したいと、東京からUターンしてはり灸整骨院を開いた人も。

「毎回、取材のたびに背筋がのびる想いです。誰かの力になろうっていうまなざしは、僕にはなかったなと思って。自分本位に突き進んできてしまったので…(笑)。新しい考えや人との出会いが楽しいですね」

3年間の任期が明けたあとも、小澤さんはこの仕事を続けていきたいと考えている。とはいえ、まだまだ事業として安定はしていない。

「メディアでの紹介が会社にとってメリットになるという実感が、地域の事業者さんたちには少ないように感じていて。まずはこのサイトがもっと注目されれば、意識も変わってくるのかなと思います」

企業さん側から取材の依頼をもらったり、「期待していますよ」と声をかけてもらったり。少しずつ、応援してくれる人も増えてきているそうだ。


実際に北上市の企業を取材するとしたら、どんな場所に行けるだろう。工房を訪ね、私もものづくりの様子を見せてもらうことに。

最高級カシミヤのニットを製造するUTOさん。市内にある自社工場で、ニットの編立から仕上げまで、すべての工程を行っているそう。

ガシャン、ガシャンと機械の音が響くなか手作業でひとつずつタグを縫い付け、アイロンをかける。多くの人が心を砕いて、ようやく一枚のニットが出来上がっている。

「価格や速さだけで比べられたら、海外の工場には敵いません。私たちにできるのは、それぞれのお客様に合わせて着丈や袖丈を調整するなど、ニーズに応えながらなるべく長く着てもらえるいいものをつくることだと思っています」

「うちのカシミヤは3年4年と使ってもらうと、着心地がもっとふわふわ、とろとろになっていきます。ほころんできたらお直しもしますから、長く育てていってもらえたら嬉しいですね」

日本の優れた技術で紡績された糸を使い、丁寧で品質の高いものづくりを守り続けている。

こんなふうにものづくりの過程を知ることも面白いし、その背景にはまだまだ伝えきれていない想いがある。

ものづくりの過程を動画に撮ったり、写真展を開いたりしてもいいかもしれない。日本の精密で丁寧なものづくりは海外からも注目されているから、海外の人に向けて他言語で発信することも大歓迎だ。

あらためて、いろいろな方法で生業をつくっていくことができるように思いました。



「一人で始めるには心細いこともあるでしょうから。私たちがサポートしていきますよ」

そう話してくれたのは、北上オフィスプラザの中嶋さん。

3年間の任期を終えて、個人事業主として活動していくことを目指すとしたら、北上オフィスプラザでは専門的なサポートを受けることができる。

「たとえば創業支援塾では、事業計画のつくり方や資金繰りについて学んでいただけます。開業後も、帳簿のつけ方や新しい販路開拓などの相談に乗りますよ。ときには市や県、大学の研究施設など、外部の人や機関とも連携しながら、悩みごとを解消していきます」

自分で仕事をつくっていきたい人にとって、中嶋さんたちの存在はとても心強いと思う。協力隊でいる間は、同じオフィスで席を並べて働いているから、気軽に相談もできるはず。

「今は小澤さんが取材先で私たちのことを紹介してくれたり、逆にこちらが企業さんに取材を受けてみませんかと声をかけたり。協力隊の方と相互でPRをしながら、地域を盛り上げていけたらいいですね」

中嶋さんは、どんな人と一緒に働きたいですか。

「たとえば自身も製造業の経験がある人だと、より業務の中身が理解して深い話が聞きやすいかもしれません。または動画制作やweb制作ができる人だと、オフィスプラザからも仕事の依頼ができるのでフリーになったあとも働きやすいと思います」


地域で、さまざまな物語に出会い、感じて、考える。そんな3年間になると思います。

なんだか面白そうだと感じたら、まずは1/25(金)に開催するしごとバーに足を運んでみてください。

一緒に地域で働くこと、ライターとして生きていくことなど、ざっくばらんにお話しましょう。

(2018/11/19 取材 並木仁美)

※1/25(金)に予定していたしごとバーは、ゲストの都合により開催見合わせとなりました。(2019/1/18)

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