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【西粟倉10の生き方:その1】
土木工事から
おばあちゃんの頼みごとまで

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

そんなこともできるの!?

人の意外な一面を知ったとき、うれしい驚きを感じる。

岡山・西粟倉に50年続く土木会社「小松組」のみなさんと出会えば、きっと何度もこの感覚を味わうことになると思います。

公共工事のほか、庭木の剪定や網戸の張替え、「うちの猫を病院に連れていってほしい」というようなことまで。

個人の小さな困りごとにも、一つひとつ応えている会社です。

今回は、こうした個人からの困りごとを受け、一緒に解決していく営業・企画スタッフを募集します。経験は問いません。

いろんな依頼が舞い込む、小松組の日常を覗いてきました。

 

岡山県西粟倉村。

山間の集落をくねくねと、車で進んでいく。

役場や駅がある村の中心部から10分ほどで、黄色い看板が見えてきた。

「地域の頼れる土建屋さん」

そんなコピーに、ポップなイラストが添えられている。

昭和43年に創業した小松組は、“土建屋さん”として高度経済成長期の好景気とともに成長を遂げてきた。ピーク時には一億円以上の規模の公共工事を請け負うこともあったという。

ところが平成に入ったあたりから公共工事の数は減っていき、事業の幅を広げないと、このままでは食べていけないという状況に。

そこではじめたのが、村内の小さな困りごとを解消する仕事だった。

「庭木の剪定や畑の土運び、個人宅の雪かきや空き家の管理…。基本的にはなんでもやります」

そう話すのは、3代目社長の小松隆人さん。

「都会のマンション生活と違って、田舎の住宅には畑や山がついてくるので。その分だけ困りごとも発生しやすいんですよ」

ふるさと納税の返礼として、お墓の清掃や空き家の見回りなどを行うことも。

専門知識や技術が求められる案件は、十数社の提携企業に適宜アウトソーシングすることで対応。

最近は「困ったら小松組に頼もう」というような、地域の困りごとの総合窓口になりつつあるという。

とはいえ端的な言い方をすると、それってあまり稼ぎにならないのでは?

「そうですね。正直なところ、大きな利益を出せる仕事ではないと思います」

「なぜやっているかといえば、地域のためですよね。今すごくIターンの方も多いんですけど、同時に高齢化も進んでいて。左官屋さんや屋根屋さんといった地元の職人さんも減っています」

長年頼っていた職人さんがいなくなり、どこに頼めばいいのやら…といった相談も増えている。

それに加え、昨年は西日本豪雨をはじめとした自然災害が多く発生。

公共工事にとどまらない、個人レベルでの復旧や補修を必要とする人もたくさんいるという。

そこまで語ったあと、「まあ…」と言葉を続ける小松さん。

「単純にうれしいんです。これは仕事内外においてですけど、人から頼られたことに応えてきたから今の自分がいると思っていて」

「自分を形づくってくれた地域のために、やっぱり何か返したい。利益も見ながら、事業という形で継続的に地域を守っていきたいんですよね」

個人の仕事と公共工事の割合は今のところ半々ぐらい。

今回募集する営業・企画スタッフは、個人の困りごとに応えていく現場で主に働くことになる。また同時に、さまざまな現場の施工に携わる多能工職人、公共工事の施工管理者も募集中。

小松さんはどんな人に来てほしいですか。

「経験はなくてもいいです。それよりも大事なのは、人間らしいこと。人を思いやれる人でないと、仕事を見ていてもうれしくないですよね。そのあたりの能力、というよりは本能が備わっている人だといいなと思います」

 

「彼みたいな人に来てほしい」と太鼓判を押されたのは、隣で話を聞いていた森本真志さん。

移住者のなかでもかなりディープに地域へと入り込んでいるうちのひとりだという。

「たしかに、初対面の人に『西粟倉出身です』と言ってもバレない自信はありますね(笑)」

奈良県の明日香村出身で、7年間銀行に勤めていたそう。

ふとした出会いをきっかけに、2016年の3月から地域おこし協力隊として西粟倉へ。

ここに来てもうすぐ3年が経つというけれど、当初はギャップなどなかったのだろうか。

「土木の経験はまったくなかったので、一から身につけていきました。トンカチひとつとってもいろんな呼び方があるし、方言によっても変わるんです。3年経っても、現場ではまだまだ半人前ですね」

「ただ、もともと銀行員だったので、財務やお金に関することでは経験を活かせているかなと思います。西粟倉の協力隊は個人事業主なので、決算書の見方や確定申告の方法を教えるとか。ここでチャレンジしてみたいという人なら、どんな経験でも活かせると思いますよ」

この日は川の底にコンクリートを打ち込む作業をしていたという。

あるときはパソコンに向き合って書類をつくり、またあるときは凍った水道管の修理に向かう。

最近は、日当たりの悪い土地ときれいな水を活かしてワサビを育てはじめた。

「シカ除けのネットとか仰々しく張ったものの、下からちっちゃいエビが出てきて全部食われて(笑)。まあ、細く長く続けていきます」

「副業をたくさんしている感覚ですよね。『どんな仕事してるの?』と聞かれたときに、一言で答えられないほうが面白いかなって。西粟倉には自分で仕事をつくっている人も多いですし、こういう働き方は実現しやすいと思います」

協力隊としての任期が終わる3月以降も西粟倉に関わりつつ、地元・奈良など、場所を問わずに働いていきたいという森本さん。

「トライ&エラーし続ける姿を、村に対して見せていくことが大事だと思うんです」と話していました。

小松組が地域から頼られる理由が、少しわかったような気がします。

(2019/2/6 取材  中川晃輔)

※小松組も参加する、西粟倉村内の企業の合同説明会「小さな村のしごとフェス」が3/21に、大阪・心斎橋のW CAFEで開催されます。

日本仕事百貨では、イベントに参加する9つの企業を紹介しています。いろんな仕事があるので、西粟倉のことが気になったら、まずは読んでみてください。

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