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大きな会社×小さな町で
廃校から町の未来を

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地域に賑わいを取り戻す。

それは多くの地域で求められていることであり、同時に苦戦していることでもあると思います。

中心となって活動を引っ張り続ける熱量も、時間もお金も必要になる。そこに、求人情報でおなじみの株式会社マイナビが手を挙げました。

マイナビは、就職や転職、アルバイトなどの求人情報に加え、結婚式、賃貸、トラベル、ニュースなどさまざまな情報サービスを提供している会社です。

そんなマイナビが遊休施設を活用し、地域活性や雇用創出を目指す挑戦を始めるために、新しく会社を立ち上げることになりました。

今回募集するのは、その第1号として千葉県長南町に誕生した宿泊施設「ちょうなん西小」の運営スタッフです。

個人での応募はもちろん、ご夫婦やパートナーと一緒に働くことも大歓迎とのこと。

地域やそこに暮らす人たちを元気にしていく仕事に関わりたい、賑わいを生む場づくりに興味があるなど、きっかけを探していた人には大きなチャンスだと思います。


東京から高速バスに乗車し約1時間。車窓から海を眺めていたら、あっという間に市原鶴舞バスターミナルに到着する。ちょうなん西小まではそこからさらに車で15分ほど。

どんどん緑が深くなっていき自然の中に入り込んでいく感じが、ちょっぴり不安でもあり、なんだかワクワクする。

到着すると、目に入るのは広い校庭と大きな校舎。まわりは山に囲まれて、静かな場所だ。

迎えてくれたのは、この施設の立ち上げから担当してきた荒井さん。

新しく入る人の上司にあたる方で、東京から週に数日ちょうなん西小に通っている。3人のお子さんを持つお父さんでもあり、気さくな方。

まずは校内を案内してもらう。

ちょうなん西小は、マイナビ初となる廃校を利用した事業。1日1組限定で最大84人が宿泊できる団体宿泊施設だ。宿泊者は、体育館、多目的スペース、図書館、音楽室など2万1千平米以上の広大な敷地を自由に使うことができる。

「昔の学校」という非日常感を味わってもらうために、校内は必要以上に手を加えていない。

「ゼミやサークルのような学生さんの合宿、企業の研修、団体旅行などいろいろなグループでご利用いただいています。和室でかるた部が練習をしたり、演劇のグループが泊まり込みで合宿をしたりしたこともありましたね」

夏のピーク時には、月に700人が泊まりにきたことも。昨年7月のオープンから、すでに土日は数ヶ月先まで予約で埋まっている状態なのだとか。

町に人を呼び込む一方で、地域に暮らす人の拠点としても開かれている。

「子育て中のお母さんたちに、日常的に使ってほしいと思っていて。キッズルームやカフェなど、女性が使いやすいように工夫しています」

「いつでも気軽に集まれる場所があれば、そこにコミュニティが生まれていく。だからここで、子育ての情報や町の雰囲気を掴んでもらえるようにしたいんです」

人口約8,000人が暮らす長南町は、千葉県で2番目に人口が少ない。目立った観光資源もなく、廃校の存在は少子化や過疎化という地域の課題を浮き彫りにした。

そんな町で、なぜマイナビは地域活性に取り組むことにしたのだろう。

「長南町は千葉県のほぼ中央に位置しているので、今後この場所をハブとして県内の他の地域にも賑わいを広げていきたいと考えています。都心からのアクセスも良く、人の流れを生んでいけそうな点も魅力的でした」

人材情報を扱う会社として、都市部だけでなく地域での雇用も生み出さないと日本全体が厳しい状態に陥るという危機感は常に持っていたという。

「マイナビと聞くと、大きなオフィスにたくさんの営業マンがいるっていうイメージを持つ人が多いかもしれませんが、実は地域に密着してさまざまな事業をやってきた経験もあるんですよ」

たとえば、地域へのUIターンを促進するために、地元の企業と連携して説明会を開催したり、自治体と協力してバスツアーを企画したり。

そのなかで感じたのは、地域に賑わいを取り戻す活動を維持していくことの難しさだった。

「地域活性とか地域創生というテーマは、ある意味体力のある会社がやっていかないと、なかなか継続しづらいのかなと。長く時間がかかるものだし、結局何をどうすればいいのか、明確な正解があるものでもないんですよね」

「僕らは、ただ地域に人が増えるだけでなく、働く場所をつくって、小さくとも経済を生むことを目指しています。そして、それをビジネスとして継続させていくことが町にとっては重要なことですよね」

大きな会社で、人材やリソースが整っているからこそ、見据えているのはただの宿泊施設運営ではない。

「町と連携するための手段として、この場所をつくったという感覚が強いです」

町と連携、ですか。

「たとえば、長南町にはコミュニティバスがあって。今はバス停が雨ざらしの場所にあるんですけど、それを西小の中につくることで、待っている人が快適に過ごせるようにしようと自治体に提案しています。この施設を通じて、町全体のことを役場の人、町の人と一緒に考えていくようなイメージです」

「ちょうなん西小」があることで、大きな視点で地域に関われることはメリットだと思う。

とはいえ、立ち上げ当初は手探りで進めていくことばかりで、苦労の連続だったと荒井さんは振り返る。

意外にも、施設運営メンバー全員が飲食業や宿泊業の経験はほぼゼロ。荒井さんはキャリアカウンセラーをしていたというから、その転身ぶりに驚いた。

新しい環境に飛び込むことに、不安はなかったですか。

「戸惑いはありましたけど、『無理です』と尻込みするよりまずやってみようと思っていました。会社としても新しいテーマに挑もうとしていて、何か大きなことに関われるんじゃないかっていう期待感もありましたね」

錆びついて高さもバラバラだった机はすべて自分たちで磨き、壁の塗装などもできるところはDIY。

空間も運営の仕組みも、できる限り手づくりで形にしていった。たとえば、食事提供の仕組みもゼロからつくり上げていったことのひとつ。

「ホテルや旅館の食事って、予めバイキングとかが用意されているじゃないですか。僕らもそれをやってみたけれど、数人で運営するから思っていたよりもすごく大変だったんです」

60~70人分もの食事を温めるタイミングや、食器や料理の配置など。シミュレーションはしていたものの、いざお客さんが来るとおたまやしゃもじが足りなくなったり、提供のタイミングがうまくはかれなかったりと想定外のこともたくさん起きた。

「このままではいけないと思って。すべてこちらで用意してきちんとしたサービスをしないといけないという考えから、この場所をお客さんにいかに楽しんでもらえるかというふうに発想を転換したんです」

具体的には、給食スタイルで厨房に食事を取りにきてもらい、配膳も宿泊者自身が行うように。お揃いの給食割烹着を着て食事を楽しんでもらいながら、少ない人数でも運営できるようになった。

「ルールや仕組みづくりは、今も試行錯誤を続けているところです。まずは自分たちなりに仮説を立てて、うまくいかなければ形を変えながらアップデートしていく。すぐにはうまくいかないことも多いけれど、そういう過程も楽しみながら一緒にやってもらえたらうれしいですね」


今まさに、頭も身体も使いながら奮闘しているのが、現場のリーダーとして働く上野さん。

出身は広島県。地元の地域プロモーションに興味を持ち、前職では大手広告会社に入社した。地域のブランディングや、まちづくりの観点でも仕事をしてみたいと思っていたそう。

そんなときに見つけたのが、ちょうなん西小のスタッフ募集だった。

「ベンチャー企業でもこういった地域の取り組みをしている会社はあると思うんです。もしかしたらそっちのほうが柔軟に、フットワーク軽く動けるんじゃないかとも思ったんですけど、それは後からでもできるなと思って」

「まずは大きな会社で経験を積んでみたいし、大きな会社だからこそ安定して地域に関わり続けることができると思って。飲食は学生時代ずっとバイトでやっていましたが、宿泊業は初めての経験でしたね」

実際に働いてみてどうですか?

「アイデアを形にしていく難しさは、今すごく感じていますね。イベントを企画するときにも、合理的かどうか、施設のテーマに沿っているか、採算は取れるのかということは社内で厳しくチェックされます」

ボランティアではなくビジネスの目線を持ち、公共性の高いことを仕事にしていく。それがこの事業の面白いところであり、難しいところだと思う。

この場所の統括者として、施設の方向性決めやアイデア出しを行っているのはマイナビの理事を務めてきた横尾さん。これまで様々な企業や新規サービスの立ち上げに従事してきた経験を持つ方だ。

だからこそ、仕事を進めていくときのスピード感もかなり早い。

1つの案をつくり込んでから提案するのではなく、まずは5個、10個とアイデアをどんどん投げてみることが求められる。

何かをやると決まったら、次の日には具体的な見積りを出したり、一緒にやってくれそうな人に声をかけたり、何か動き出しているくらいなのだとか。

以前、ハロウィンパーティを企画運営した上野さん。

「田舎は子連れで行けるイベントも少ないので、親子で楽しんでもらうことを目指しました。的あてゲームをつくったり、フェイスペインターさんを呼んだり」

「広報は自治体の人も手伝ってくれました。町のために何か面白いことをやりたいという気持ちの人が多いんですよね」

結果的に、会場には200人もの人が集まり大盛況だったそう。

毎日の施設運営だけでなく、こういったイベントの企画や広報、視察への対応。ちょうなん西小のことを知ってもらうための地道な営業活動も、皆で行っているのだとか。

まずは施設の清掃や、予約の受付など基本的な運営の仕組みからしっかり学んでいってほしい。そしていずれは、マルチタスクが必須になってくると思う。

大変なぶん、地域内で事業を展開していくためのスキルや経験など、身につくものも大きくなるはず。

「お客さんに『すごくいい体験だった』と直接声をかけてもらえるのも励みになりますね。あとは町の商店さんとも付き合いができて。この前はご近所の方から、お年玉代わりにコーヒーをもらいました(笑)」

スタッフは3名、アルバイトが7名と少数だから、まだまだ運営で手一杯な部分が多い。けれど、仲間が増えたら今後はもっと積極的に地域に出ていきたいと考えている。

最後に、上野さんからメッセージを。

「始まったばかりなので、これからこの場所が良くなるかどうかは、僕らや入ってきてくれる人次第です。正解が決まりきっていない仕事をみんなで楽しんでいきたいですね」

ノウハウがなくても大丈夫。町の未来を変えていく可能性に満ちた、ちょうなん西小が気になった人は、話を聞きにいってみてください。

(2019/1/21 取材 並木仁美)
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