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生きると学ぶが
つながる
瀬戸内の離島

「ここで学びたい」と思ってもらえる高校づくりを目指す「高校魅力化プロジェクト」。

現在、全国でおよそ150の地域に広がっています。

そのなかで先駆的な存在として知られているのが、瀬戸内海に浮かぶ広島の離島、大崎上島(おおさきかみじま)にある「大崎海星高校」です。

11年前、生徒数の減少により廃校の危機にあった大崎海星高校。

全国に先がけてプロジェクトが立ち上がり、今では日本中から生徒が集まる、教育やまちづくりの先進事例になりました。

生徒のために、そして島の未来のために。次なる挑戦として、より地域にひらかれた高校を目指しています。

そんな未来をともにつくる、公営塾のスタッフと教育寮のハウスマスターを募集します。

経験は問いません。一方的に何かを教えるのではなく、生徒と一緒に学び、成長していきたい。そんな人にぴったりの仕事です。

 

広島空港から大崎上島までは、約1時間。

乗合タクシーで竹原港へ向かい、大崎上島行きのフェリーに乗り換えて島へ渡る。

デッキに出ると、海風が心地よい。次第に緑に包まれた島々が見えてくる。

島に着くと、役場の方が迎えにきてくれた。車に乗ってまちなかへと向かう。

道中では、スーパー、ドラッグストア、病院が目に入る。島と聞いていたけど、生活に必要なものは揃っていて暮らしやすそう。

大崎海星高校のとなりにあるカフェで、地域と高校をつなぐコーディネーターを務める円光(えんこう)さんに話を聞く。

大崎上島出身で、高校魅力化プロジェクトの立ち上げから関わってきた方。

大崎海星高校の魅力化プロジェクトの柱は大きく3つ。

島を教材に課題解決に取り組む授業「大崎上島学」、学習支援とキャリア教育をおこなう公営塾「神峰学舎(かんのみねがくしゃ)」、そして島外からの生徒を受け入れる教育寮「コンパス」。

学校生活から日々の暮らしまで、島をあげて生徒を支えている。

「はじめは67人だった生徒数も、今では100名を超えました。大崎上島学を通じて、生徒たちが地域に出ることで、予期せぬ出会いが生まれて」

「それがきっかけとなり、生徒たち主導で、島に新しい取り組みが生まれることもあるんですよ」

大崎上島学では、1年次は島で働く大人へのインタビューや、伝統行事の和船『櫂伝馬(かいでんま)』漕ぎなどに参加して、地域への理解を深める。

その後は、自分でテーマを設定してプロジェクトに取り組んでいく。

たとえば、と教えてくれたのが、島で愛されていたおでんの復活プロジェクト。

大崎上島に住む人にとって、思い出の味のひとつだった、地域のおばあちゃんたちがつくるおでん。つくり手の高齢化から継続が難しくなり、販売が終了になった。

「その状況を知った一人の生徒が、『島の味を受け継ぎたい』と言ってくれて。島のおばあちゃんからレシピを学び、イベントで振る舞ってくれたんです」

「その後は地域行事でもつくるようになり。最終的には、思い出の味と記憶をつなげることが、その子の探究テーマになりました」

ほかにも、子どもたちに釣りの楽しさを伝える体験会を開いたり、パン好きのレモン農家さんと一緒にレモンカレーパンを開発したり。生徒たちの活動が、少しずつ島のなかに広がってきた。

「はじめは、やりたいことを伝えてまず形にすることが目標でしたが、今ではそれが当たり前になって。活動を続けたことで、生徒たちのマインドも少しずつ変化してきましたね」

「この流れをさらに広げていきたい。単発ではなく定番のイベントにしたり、島の人や子どもたちと関わる機会を増やしたり。新しい人は、そこも担ってもらえるとうれしいですね」

たとえば、地元の小中学校に高校生が出向いて、授業をする時間をつくってもいいかもしれない。

高校生が地域に出て、プロジェクトを生み出すことは、生徒たちの成長にもつながるし、島全体がゆたかになるきっかけにもなると思う。

「経験がなくても、元気と勇気とガッツがあれば大歓迎です。活動を続けているぶん、島には先輩や協力者も多い。未経験でも飛び込めるのはうちの強みだと思いますよ」

「生徒たちと触れ合うなかで、島の魅力も感じられるはず。少しでも気になったら、まずは気軽に遊びに来てほしいですね」

 

カフェを後にして、大崎海星高校に向かう。

校舎に入ると、ガラス張りで明るく、木材のぬくもりを感じる空間。

チャイムが鳴ると、生徒たちがぞくぞくと教室から出てきた。会話が飛び交い、終始にぎやかな雰囲気で楽しそう。

生徒たちが放課後に学ぶ公営塾「神峰学舎」は、校舎に入ってすぐ目の前にある。

教室のなかで話を聞いたのは、スタッフを務めて3年目の澤口さん。

丁寧な語り口が印象的で、生徒とのやりとりから慕われていることが伝わってくる。

「生徒と一緒に数学のプリントを解いて、仕事帰りにカフェに寄ったら、その子が店員としてコーヒーを出してくれる。そんな大崎上島での暮らしが、とても気に入っています」

もともとは大手予備校のスタッフとして、札幌で働いていた澤口さん。

担当した生徒たちが希望の大学に合格し、喜ぶ姿にやりがいを感じながら、少しモヤモヤした気持ちがあったそう。

「前職もいい仕事でした。ただ、自分が関わった生徒たちが社会に出て、地域や社会、世界をどう変えていくのか。その先がずっと気になっていて」

調べて見つけたのが、大崎上島の高校魅力化プロジェクト。

「地域の課題に、高校と行政が一緒になって取り組む。それが形になっている大崎上島なら、自分の思った教育ができるんじゃないかと思って、ここに来ました」

神峰学舎には、現在3名のスタッフが勤務。教科ごとに担当を持ち、日々の自律学習をサポートしている。

ほかにも週1回、塾独自のキャリア講座「夢☆ラボ」や、総合的な探究の時間の授業も担当。生徒の興味関心を広げ、挑戦する機会をつくるコーディネートも、公営塾の役割。

「建築に興味があるけれど、本当に自分に向いているか分からない、と悩んでいる子がいて。その子のために、何かできないかなと思っていて」

そんなとき、通っているカレー屋の店員さんが、使われていない倉庫を簡易的な滞在施設にリノベーションするという計画を聞く。

「改修作業には東京の大学院生や先生が来ると知って『うちの生徒も混ぜてもらえませんか?』と相談して。公営塾としてプロジェクトに参加できることになったんです」

持ち主の方と建物の内装を考えたり、壁や床の施工作業を手伝ったり。約3ヶ月かけて完成。

作業を通じて大学院生たちと交流するなかで、生徒の関心が高まり、大学では建築を学びたいと話すようになった。

「勉強を教えるだけなら、予備校のほうが良いと思います。公営塾の面白さは、その一歩手前の生徒が勉強したいと思うきっかけをつくるところにあるんです」

勉強が好きな生徒には勉強の話を。そうではない生徒でも、地域の出来事がきっかけで学びの意欲が生まれるかもしれない。

「今週はこういう面白いイベントがあるよ、っていろんなボールを投げ続ける感じです。そのなかで、ひとつでもひっかかるものがあればいいなって」

話を聞いているうちに、公営塾に生徒たちがやってくる。勉強にとりかかる前に、少し話を聞かせてもらった。

澤口さんってどんな人ですか?

「澤口さんはいい人ですよ。ときには厳しいことも言われますけど(笑)。でも、それも私のことを思ってくれているんだなって感じます」

「本当はいつまでも世話をしたいけど、高校を卒業した後、私は一緒にはいられないからね」と隣で澤口さん。

生徒のために厳しく、と言いながら、生徒と話す澤口さんは終始楽しそう。

「ここに来て、日曜の夜に『明日から仕事か』ってしんどさを感じたことが一度もないんです。そんな生活を送らせてもらって、すごく幸せだなと思っています」

 

学校を後にして教育寮「コンパス」に向かう。

迎えてくれたのは、ハウスマスターを務める伊奈さん。生徒たちにとってなんでも話せるお姉さんのような存在。

「15歳で自分の将来を決断してここに来るって、本当にすごいなと思って。そんな子たちと一緒に青春を過ごす日々です」

寮では各学年10人ずつ、合計30名の生徒が共同生活を送っている。

ハウスマスターは現在3名。朝に生徒を送り出し、夜には帰ってきた生徒たちを迎えて話を聞く。

掃除や洗濯といった共同生活で起こるトラブルから、日々の悩み相談まで、生徒の日常をそば支えるのが役割だ。

ほかにも、地域の方とコミュニケーションをとったり、生徒たちと一緒に行事に参加したりと、生徒と地域をつなげる役割も担っている。

「勉強と違って、寮は生徒たちの成長が見えやすいんです。最近うれしかったのは、1年生のときは部屋でずっとゲームをしていた子が、ある友達との出会いをきっかけに、急に外にではじめたことで」

寮生のお誕生日会を自分で企画したり、ハウスマスターが考えたイベントにまっさきに手をあげたり。

「こんなことがやりたい」と積極的に話をしてくれるようになった。

「生徒たちの成長を間近でみられることがうれしくて、みんなにも自慢したいです(笑)」

来年の3月で地域おこし協力隊の任期が満了となる伊奈さん。4月からは、島の食堂をつくろうと考えている。

「島には、高校生や地元の人があつまれる場所が少なくて。食事をしながら情報交換するなかで、思いがけない新たな挑戦が生まれる場所になればと思っています」

「この島でお店を出すことをイメージすると、来てほしい人の顔がたくさん思い浮かぶ。この3年でできた人間関係をもっと厚くして、生徒たちとも関わり続けたいですね」

これまで積み上げてきた歴史を大切に、魅力化プロジェクトの次の一歩を踏み出している、大崎海星高校。

その挑戦の根っこにあるのは、この島で生徒たちと一緒に暮らす日々。

ともに生きているからこそ、生まれる学びや喜びがあるのだと思いました。

親でも先生でもない、第三の存在として、この島に新しい風を吹かせてみてください。

(2025/09/12 取材 櫻井上総)

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