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【西粟倉10の生き方:その4】
二拠点デザイン事務所は
アイデアの遊び場

「デザイン」のよさは何で決まるんだろう。

かっこよさの基準は人それぞれだし、トレンドは普遍的じゃない。

大切なのは、たぶん納得感なんだと思います。

デザイナーとクライアントがお互いに「言い切った!」と思えるデザイン。そんな当事者意識をもって仕事ができるのは、小さなチームならではの楽しさかもしれません。

nottuo(ノッツォ)株式会社は、個人や中小企業を中心にブランディングを手がけるデザイン事務所。

デザイナーの鈴木さんは岡山県・西粟倉と東京の二拠点で活動しています。

今回は鈴木さんと一緒に働くデザイナーを募集します。

まずは東京事務所で働くことを想定していますが、西粟倉への移住やノマドワーク、業務委託などいろんな関わり方も相談できるとのこと。



話を聞くために訪ねたのは、西粟倉の中でも特に小さな集落。日当たりのいい高台に鈴木さんの仕事場がある。

田んぼ付きで借り受けたという古民家に暮らしながら、そばに建つ小屋を事務所にしている。

鈴木さんは、大学在学中からフリーランスでプロダクトやウェブ、グラフィックなどのデザインに関わってきた。

いつもは一人で作業をしている部屋なので、「人が集まると狭いな」と笑っている。

「ここに来るとき、まわりから『田舎に仕事ないでしょ』みたいに言われて。いや、絶対あるし!と思って来たんですけど、やっぱり最初はなかった(笑)」

もともとは地元の宮城にUターンするつもりだったという。2011年の東日本大震災で計画を断念したころ、知人のtwitterを通じて出会ったのが西粟倉だった。

村の人の紹介で少しずつデザインの仕事を受けるようになり、そのお客さんからの紹介、さらにそのお客さんから…というふうに少しずつ仕事が増えた。今は東京にいたころより、忙しいほど。

クライアントは県内の企業と、東京やそのほかの地域の企業がだいたい半々。ほとんどが個人や中小企業だという。

「デザイナーとしてマス広告のような業界に関わりたいなら、東京にいたほうがいいと思う。ただ、僕は東京で大手代理店の下請けをしていたときよりも、こっちに来てからのほうがデザインの価値を感じるようになりました」

鈴木さんが仕事としているのは、ウェブやパッケージなど特定の分野だけでなく、企業に必要なものすべてをデザインするブランディングデザイン。

現場の“担当者を通して”ではなく、会社の代表者と直接話をしながら方向性を考えていく。

「はじめから明確にビジョンが見えている人はあんまりいない。だから、ヒアリングをしながら一緒にイメージを固めていくんです」

たとえば、と鈴木さんが見せてくれたのはお酒のサンプルボトル。よく見ると底に本物の蜂が漬けられている。

「これは僕の友達がつくったお酒。彼はすごい蜂が好きで、蜂を前面に出したデザインをしてほしいって持ってきたんです。でもまあ、蜂ってちょっと気持ち悪いじゃないですか。そのままデザインしたら絶対売れないと思った」

最初は少し商品の見せ方にズレを感じながら、話を聞いていた鈴木さん。

蜂について熱を持って話す友人の視点に、だんだん興味が湧いてきたという。

「彼は、『これは女王蜂で、顔がかわいいんだよ!』とか言うんですよ。そこまで言うなら、いっそ女王というイメージをヒントに、エレガントなデザインにしようという話になって」

つくり手が愛情をかけた蜂の姿を、六角形の穴からそっと覗き見る仕掛け。常飲用ではなく、ギフトなど特別なシチュエーションを想定して、ギフトボックスとセットのデザインが完成した。

「僕が考えたかっこよさを押し付けるのでは意味がない。クライアント自身も納得して好きだなと思えるデザインじゃないと。『これ、かっこいいでしょ』ってクライアントが自信を持って売りにいけるようなものをつくりたいですよね」

「デザインの仕事って、広報や費用対効果の話になりがちですけど、それより大切なのは、依頼者本人のモチベーションが変わること。長い目で見たら、そっちのほうが業績に貢献できると思うんです」

数字では計れない、デザインの価値。

だからこそ、当事者同士で話をして納得しながら進められる距離感を大切にしたいと鈴木さんは言う。

分業ではなく一対一の関係で、その会社に必要なデザインを考えていくので、デザイナーもグラフィックやウェブだけという専門家ではいられない。

商品のパッケージから、ウェブや名刺のロゴ、必要であればユニフォームや空間、サービスも一緒に考えていく。

「この会社で一緒に仕事をするなら、“なんでも屋”みたいな状況をおもしろがれる人がいい。今度スタッフが入ったら、drill制度っていうのをやってみたくて」

鈴木さんが考えている「drill制度」というのは、クライアントワーク以外にもスタッフが自分の興味のあることを仕事にしてみる実験のようなもの。

ケータリングやオリジナルプロダクトのデザインなど、個人ではなかなか踏み出せないようなことに挑戦できるよう、会社として補助ができる制度に整えたいという。

「製造や流通の難しさを知ることは、クライアントワークにも役立つんです。僕自身も、これから試してみたいことがたくさんあるし、nottuoっていう会社をいろんな発信ができる遊び場みたいにしたいんですよね」

取材が終わり、鈴木さんは「ちょっと休憩」と表に煙草を吸いに出る。

窓からは豊かな森が見える小さな仕事場。この環境に憧れる人は多いだろうな…。

「もし村で働きたいなら、いきなり移住じゃなくて、まずはノマドワークからでもいいんじゃないかな。街で美術館に行ったり、映画をみたり、デザインの仕事をしていく上では、そういうインプットも必要だから」

「僕は仙台の農家出身だから田舎特有の文化に慣れているけど、休みの日に全村で草刈りとかあるし。そんなにスローライフじゃないからね(笑)」

仕事も暮らしも、自分で考えて形にしていく。

興味がわいたら、まずは鈴木さんと話をしながら、自分の働き方を考えてみるといいかもしれません。

(2019/2/5 取材 高橋佑香子)

※鈴木さんも参加する、西粟倉村内の企業の合同説明会「小さな村のしごとフェス」が3/21に、大阪・心斎橋のW CAFEで開催されます。

日本仕事百貨では、イベントに参加する9つの企業を紹介しています。いろんな仕事があるので、西粟倉のことが気になったら、まずは読んでみてください。

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