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しなやかに、のびやかに
ゼネラリストだからできる
日常空間のデザイン

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

なんらかの秀でた能力を持つスペシャリストに対して、幅広い知識や技能を持つ人をゼネラリストと呼ぶことがあります。

幼いころから好きなことを追求していたり、どこかのタイミングで熱中できるものを見つけたり。そうしてスペシャリストになった人の姿は、なんだかまぶしく見える。

一方のゼネラリストはというと、さまざまな場面で頼りにされるものの、自分の専門を見つけられなかった寂しさのようなものをどこか抱えている人も結構多い気がします。

「ゼネラリストであることを、もっと前向きにとらえていいと思うんです」

そう話すのは、株式会社スペースの髙津さん。

スペースは、大型ショッピングモールや小売店・飲食店をはじめとする空間づくりの会社。ハードの設計・施工だけでなく、その空間に人が集まるような仕組みづくりや企画などソフトの側面からもアプローチする、総合的な「商空間プロデュース企業」です。

空間の設計・施工やディスプレイ業の会社としては、乃村工藝社、丹青社に次ぐ業界3位の規模でありながら、その組織体制は異色。事前の打ち合わせから引き渡しまで、商空間における営業・設計・制作管理を一貫して担う「総合職」としてスタッフを採用し、経験を積むなかで立ち現れてくるそれぞれの適性に応じてキャリアプランを形成していくそう。

つまり、濃淡の差はあれど、空間づくりにまつわる仕事を全スタッフが一通り経験することになる環境です。

「ゼネラリストという言葉はどこか“平均点的”に伝わりがちですが、さまざまな要望に柔軟に対応し、お客さまと一緒に空間をつくっていけるという意味では、とても現代的な働き方だと思います」

「目の前のお客さまに対して、どこまで向き合えるか? そんな問いに対するひとつの答えが、我々スペースの組織体系に表れていると思っています」

今回はそんなスペースの総合職スタッフを幅広く募集します。

それと同時に、なんらかの秀でたスキルや経験を持ちつつ、より俯瞰した視点から空間づくりに関わりたいという、ゼネラリスト志向のスペシャリストも募集中。

それぞれの持ち味を活かして、空間の持つ可能性を追求する人たちがそこにはいました。

 

東京・中央区。

地下鉄の人形町駅の出口をでて、下町風情が時折漂う通りを歩くこと2分ほど。

9階建てのスペースの東京本社ビルが見えてきた。

空間プロデュースを得意とする会社だけあって、カフェのようなラウンジスペースやエントランスなど、社内の空間づくりにも力を入れている。

まず話を聞いたのは、人事企画本部長の松尾信幸さん。物腰柔らかに話をしてくれる。

「もともとスペースは、明治時代の中ごろに名古屋で創業したガラス商だったんです。学校などの施設の窓ガラスを切ってはめるような仕事ですね」

なるほど、ガラスを専門に扱う会社だったんですね。

そこからどうして空間づくりの会社に?

「戦後復興の時代、商店街にいろいろなお店が増えていくなかで、さまざまな要望が舞い込むようになったんです」

「たとえば『ガラスをはめ込むだけじゃなくて什器のショーケースもつくってよ』とか、『看板をつくってほしい』『壁紙も貼ってほしい』というように。そういった声に一つひとつ応えていきました」

そうしてお客さんからの要望に応えるうちに、店舗の設計・施工を幅広く請け負えるだけのノウハウが蓄積されていったそう。

やがてアメリカからスーパーマーケットの概念が輸入され、全国へと展開。さらに2000年に大型商業施設の規制を緩和する法律が制定されると、郊外型のショッピングセンターが急速に増え、その勢いに乗るようにしてスペースも急成長を果たす。

2012年には東証一部に上場。現在は東京、名古屋、大阪の3都市に本部を置くほか、北海道から沖縄まで全国各地に12の事業所を設置し、上海や香港にも拠点を構えている。

ガラス商にはじまり、店舗の設計・施工へと業務の幅を広げてきたスペース。

今は、そこからさらに一歩進んだ「商空間プロデュース企業」への転換を図っているところだという。

「2018年には商業コンサルティング専門の会社と資本業務提携を果たして、空間のハード面だけでなく、ソフト面も含めたプロデュースができる体制を整えてきました」

「同業他社には芸術家肌のスペシャリストが揃っている企業もありますが、スペースが大事にしてきたことは少し違っていて。何かと言うと、それはお客さまと一緒につくることなんです」

お客さんと一緒につくる。

「専門家集団でかっこいい空間をつくる!というわけではないんですね。お客さまが本当に必要としている等身大の空間を、お客さまと一緒につくっていく」

たとえば、2018年にオープンした奈良・大和高田の大型ショッピングモール「tonarie(トナリエ)大和高田」。“ライフ・デベロッパー”を掲げる株式会社日本エスコンからの依頼で、プロジェクトマネジメントや設計・施工、サイン計画やリーシングなどを行った。

周辺にパブリックスペースが少ないことから、商業施設としての機能性だけでなく、まちの人に愛される公園のような公共性を両立した設計に。入居テナントにも、全国的に名の知られた有名店だけでなく、地域に根付いた店舗を積極的に誘致した。

また、建築家やグラフィックデザイナーなど、社外のスペシャリストを巻き込んだチームを編成。「地域密着型のショッピングモールにしたい」というデベロッパーの想いをもとに、ゆったりとした屋外のテラススペース、リズミカルなサイン計画や内装設計によって、買いものが目的でなくても足を運びたくなるような空間をつくりあげていった。

その空間単体で完結するというよりは、公共と商業、空間の内と外といった境界をゆるやかに橋渡しするような空間づくり。

そんなスタンスと、打ち合わせから引き渡しまで担当者が一気通貫で関わるゼネラリスト的な働き方は、きっと無関係ではないと思う。

 

「これからは掛け合わせの時代だと思うんです」と言葉をつないだのは、人事企画本部の髙津康裕さん。

「わざわざお店まで足を運ばなくても、買いものはできますよね。それでもお店という空間がなくならないのは、やっぱりそこに価値や可能性があるから。掛け算することで、空間の可能性はまだまだ無限に広げられるんですよ」

たとえば、静岡県の複合型商業施設「新静岡セノバ」ではじまった「起業のつばさプロジェクト」は、地域の起業家の新規出店から運営までをサポートするインキュベーション事業。

新しく事業を広げていこうとする起業家にとって、まだ広く知られていない商品や世界観をどう伝えていくかは課題のひとつとなる。

地道な口コミで広げていくのもいいけれど、商業施設に出店することで多様な客層にいち早く届けることができるし、対面だからこそ伝えられる雰囲気もある。お客さんとしても、そこでの買いものが地域でチャレンジする起業家を応援することにつながる。

このプロジェクトを通じて2018年に出店したクッキーチーズサンド専門店「チーズピゲ」は瞬く間に人気店となり、ほかのデベロッパーからも出店のオファーが舞い込んでいるそうだ。

大型商業施設の進出によって、郊外の風景が同質化していくという声を耳にすることもある。でも、空間の活かし方次第でまだまだ新しい価値をつくっていけるんじゃないか。

単純にものを売るだけでなく、そこで体験やストーリーを提供する。

その体験やストーリーを誰かと共有したくなったお客さんが、知り合いを連れて再びお店を訪れる。

さらにショッピングモール全体、まち全体をひとつの空間ととらえれば、できることの幅は広がっていく。

「従来“内装と建設と広告と…”と分かれていた役割を、横断してプロデュースできる会社が必要になってきています。その意味では、一人ひとりがゼネラリストとして目の前のお客さまと向き合いながら空間をつくってきた我々だからこそ、実現できることがあると思います」

京都駅前地下街「ポルタ」のリニューアルや、群馬県の赤城高原サービスエリアのリノベーション、静岡県の複合型商業施設で働くスタッフのために設置された「セノバ保育園」の開設など。

スペースに舞い込む空間づくりの案件も、大型商業施設にとどまらず広がってきている。

空間のあり方が多様化してきているというのは、面白い流れだと思う。

一方で、一人ひとりが企画・デザインもすれば現場の監理やディレクションも行うゼネラリスト的な働き方を続けるのは、難しくなってきませんか?

分業化しない限り、一人あたりの負担がどんどん増えていくというか。

「たしかに、すべてのスキルや経験を平均点的に上げていく考え方では無理があると思います。ひと昔前までは、お客さまのためにとにかく働いた結果報われるというような体育会気質なところもありましたけど、東証一部上場を経て、企業としてのシステム化の必要性を感じる場面も増えてきました」

入り口は総合職でも、経験を積むうちに各々の強み・弱みが見えてくる。

そこで、新人事制度を導入。空間創造をディレクションするマネージャー職、デザイナーやプランナーとして付加価値を生むプロフェッショナル職、エンジニアや制作管理士として現場を支える技術職というように、ゼネラリストの土台を持ちながらそれぞれの強みを活かしていくようなキャリアプランを設定している。

「もちろんこれは型ではなく、あくまでガイドラインなので、近しい領域の仕事をしていながら異なる肩書きの社員もいます。広い間口から、自分なりのキャリアプランを描いていける環境だと思いますね」

打ち合わせから引き渡しまで、全社員がすべての工程を一度は経験しているおかげで、あらゆることを自分ごととしてコミュニケーションできる。

その上で、自分の強みを活かしたり、足りない部分は社外のプロフェッショナルをチームに巻き込んだりしながら、空間をつくっていく。

スペースという会社がここまで拡大してきた背景には、お客さんの声に応える対応力や空間へのこだわりはもちろん、組織としての柔軟さがあるのかもしれません。

 

最後に、髙津さんはこんなことを言っていました。

「わたしたちは『明日が、笑顔になる空間を。』というスローガンを掲げています。日常に寄り添った空間をつくることで笑顔を増やしていきたい。その想いは、これからも変わらないんじゃないかと思いますね」

まずは、広く空間づくりに関わりたいという人も、なんらかの専門分野から空間づくりに関わってきたものの、もう少し視野を広げたいという人も。

この会社での経験がきっと糧になると思います。

(2019/3/4 取材 中川晃輔)

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