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未来から今を見る
森のエネルギーの活かし方

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スイッチを押せば点く電気、つまみをひねれば使える火。

これらのインフラは、おおもとを辿れば石油やガスといった自然資源に支えられています。ただ、普段からその存在を意識する機会はなかなかありません。

今のところ生活していくうえで困ることはないけれど、本当にそれでいいんだろうか?ふと立ち止まって、孫や子の世代、地球の未来まで考えを巡らせると、有限な自然資源を無自覚に使い続けるのは、なんだかまずいことなんじゃないかと思えてきます。

森のエネルギー研究所は、日本の国土のおよそ3分の2を占める森林を持続可能な資源として活用していくため、さまざまな取り組みを展開してきた会社。今回は、その一員として未来のエネルギーのあり方を一緒に考え、形づくっていく人を募集します。

とくに求めているのは、設備設計の実務経験がある人。木質バイオマスボイラーや発電プラントなどの機器の導入にあたって、的確なアドバイスや設備図面の作成、工事監理などを行える人を必要としています。

眉間にしわを寄せて課題に向き合うのではなく、木の持つ可能性にワクワクしながら、未来のエネルギーをつくっている人たちだと思います。

 

森のエネルギー研究所のオフィスがある東京・羽村市の小作駅までは、新宿駅からだと中央線に乗っておよそ1時間。そこから歩いて3分ほどで到着する。

Googleマップを開いてみると、現在地は奥多摩の山々と関東平野のちょうど境目のあたり。西へと向かうにつれて、緑はどんどん深くなっていく。

そんな山道を、森のエネルギー研究所の代表・大場龍夫さんとともに車で走る。

向かう先は奥多摩町にある「もえぎの湯」という温浴施設。バイオマスボイラーの導入にあたって、森のエネルギー研究所がコンサルティングや設計の支援などで関わった場所だという。

道すがら、まずはこの会社を立ち上げるまでの経緯を聞かせてもらう。

「もともとはバイアブル・テクノロジーって会社を仲間と立ち上げて。太陽光発電を普及したり、風車を海外から輸入して取り入れたり、エネルギーに関わる全般を仕事にしていたんです」

「そのなかで、森林資源の活用には手が回っていなかった。じゃあ、わたしがやる!と飛び出してつくったのが、この会社でした」

国土のおよそ3分の2が森林に覆われている日本。にもかかわらず、海外から輸入した化石燃料や原子力発電に頼っているのはなぜだろう?もっと森林資源を活用できるんじゃないか。

そんな想いから、日本初の木質エネルギー専門コンサルティング会社として18年前にスタートを切った森のエネルギー研究所。

とはいえ、当初は「誰からも見向きもされなかった」という。

「役所や林野庁に行っても、『木質エネルギー?それが何?』みたいな状態で。薪とか炭とか、みんな過去のものって感覚なんですよ。どこか古臭いイメージがあるというかね」

一方で北欧やヨーロッパの国々では、豊富な森林資源を活用したビジネスを営んでいる企業も存在する。

森のエネルギー研究所は、木質エネルギー導入にあたっての調査・コンサルティングや、バイオマス機器の研究開発、国や地方自治体への政策提言など、さまざまな角度からの働きかけを通じて道を切り拓いてきた。

近年では自然エネルギーの活用が国の政策に組み込まれ、バイオマス発電所も各地に設置されはじめている。広大な国有林の管理に予算をつけて、民間に委ねていこうという流れもあるそう。

「戦後一挙に植えられた木が育ってきて、活用するフェーズに入っています。森林面積だけでいったら、わたしたちが視察で学びに行っているドイツの約2倍ですから。世界一の林業会社ができてもおかしくない環境なんです」

やるべきことはたくさんある。

たとえば、細かく分断された山の所有権をいかに集約するか。山の手入れをどのように進めていくか。伐り出した木をどう加工し、暮らしのなかで活用していくか。

バラバラになっている山の資源やニーズをつなぎ、活用できるよう仕組みづくりやお膳立てをしていく。それこそが森のエネルギー研究所の役割だと、大場さんは話す。

「木の活用方法ってさまざまで。大きな木は建材になるし、端材はチップにしたり、繊維から紙をつくれたりする。分子レベルまで分解すればバイオプラスチックもつくれます」

「そうそう、燃料として燃やした後に出る灰も活用できるんですよ。今は産業廃棄物みたいな扱いだけど、ミネラルが含まれているから、畑の肥料や洗剤にもなる。我が家ではペレットストーブの灰をお風呂に入れています」

そんな使い方もできるんですか。

「そうなんですよ。古臭く見えるかもしれないけど、価値を再発見できる余地があるというか。エネルギー資源という側面から考えても、燃やして熱を生むだけじゃなく、電気やガスをつくることもできます」

木材の活用というと、燃料やものづくりといった言葉がまず頭に浮かぶ。でも実は、森林資源にはまだまだいろんな活かし方の可能性があるのかもしれない。

 

そんな話をしているうちに、もえぎの湯に到着。森のエネルギー研究所が導入に関わったボイラーを見学させてもらうことに。

「300キロワットの生チップ焚きボイラーです。スイスのシュミットという会社から輸入して。お客さまの現状の設備や運用のしかた、予算などをヒアリングし、加味しながら設計していく。そんな仕事です」

バイオマスボイラーを主力に据えつつ、もとからあった化石燃料ボイラーもバックアップとして使える仕組みを構築したり。燃料となるチップの加工や供給の段取りを組んだり。

ソフト面のコンサルティングやアドバイスだけでなく、ハード面の設備設計や工事監理まで、社内で一気通貫して行える体制をつくっている。

「はじめから最後までつながっている状態をつくりたいんですよね。一貫しているからこそ、過去の経験を次の計画にすばやくフィードバックしていくことができるので」

今回はとくに、ハード面の設備設計の実務経験がある人を募集したい。メーカーや工場で設備の設計、工事や維持管理に携わっていた人なら、その経験を活かせると思う。

自然エネルギーの分野は、まだまだ発展途上にある。導入実績の少ない技術や設備を取り入れることもあるだろうし、自身のスキルや経験を掛け合わせて新しいことに挑戦していく柔軟性も必要になってくる。

「人間の脳って、どうしても過去の延長線上でイメージする仕組みになっていて。だけど、本当は未来から今を見ないとダメだと思うんです」

未来から今を見る。

「このまま環境破壊が進んだら、地球はどうなっちゃうの?って視点を持つ。森林を活用して何かしようとしているのは人間だから、結局は人間の問題ですよね。それも頭で考えるばかりじゃなく、自然に触れて、産業にも取り入れながら、人と自然のつなぎ直しをしていかないといけない」

森のエネルギー研究所のオフィスには、地球儀が吊るしてある。

自分たちはどこに暮らしているのか、見失わないようにするためだという。

「目の前のことにいっぱいいっぱいだと、わかんなくなっちゃう。なんのために仕事してるの?って」

「山がなかったら、街は成り立たない。地球がなかったら日本は成り立たない。宇宙がなかったら地球は成り立たない。ちゃんと全部つながっているんですよね」

過去に何度か、森林に関わる仕事を取材したことがある。そこでみなさん口を揃えて話すのは、俯瞰した視点を持つことの大切さ。

木は数十年という時間をかけて成長していく。自分の代で植えた木が活用できるようになるのは、孫の代だ。しかも、手入れし続けなければ森は荒れてしまう。

森が荒れると、さまざまな環境問題や自然災害の原因にもなる。それは都市部の生活者にとっても無関係ではない。

ちょっと大げさに聞こえるかもしれないけれど、森林資源の持続可能な活用について考えることは、地球の未来を考えることでもあるのだと思う。これから入社する人も、そんな感覚を共有できる人だといい。

 

熱を込めて語る大場さんに対して、落ち着いた語り口が印象的なエンジニアリング課課長の小川聡志さん。今回募集する人の上司にあたる方だ。

「コンサルタントは15名、我々設計のチームは4名ですね。理学部工学部系の人間は、ぼくともうひとり。ひとりは生物系出身、もうひとりは森林や農業が専門で。いろんなバックグラウンドのメンバーがいます」

木質エネルギーの可能性が広く認知されるにつれて、関わる領域はより幅広く、かつより深い専門的な知識や技術も求められるようになってきた。

「バイオマスボイラーの導入ひとつとっても、単純なようでなかなか定式化はできなくて。その都度お客さんに合わせて仕組みを考えていくので、自発性やクリエイティブさは必要かなと思います」

クライアントの6〜7割を占めるのは地方自治体。熊本県や青森県、北海道にも営業所がある。

この日、オフィスにはあまり人がいなかった。

「全然いませんね(笑)。みんな出張に出ていて。ぼくも今は2週間に1回ぐらい、群馬に通っています。役場庁舎にバイオマスボイラーを導入する計画があって」

「うちの取締役は、青森県の人口1000人ぐらいの村で会社を立ち上げたんですよ。薪の地産地消をしましょうと提案したところ、担える事業者が地域にいなくて。役場や地元企業と共同出資してはじめて、もう3年目になるかな」

全国各地でプロジェクトが進んでいるんですね。

「そうですね。別の取締役は回遊魚のように動き回っているし、熊本の営業所も、ひとりのスタッフの強い希望から立ち上がって。一枚岩というよりは、個性豊かな人間が集まって動いている会社という感じです」

裁量労働制を採用しているため、働く時間や場所も柔軟に調整可能とのこと。週に一度は全国の営業所と画面を共有して、定例のミーティングも行っている。

「人が大事なんですよね」と、代表の大場さん。

「これをやりたいんだ!っていう想いとか、世の中をこう変えていかないといけないっていう、変化への意志とか。それもひとつのエネルギーですよね」

「好奇心を持ってどんどんチャレンジしていく人には、めちゃくちゃ面白い業界ですね。なぜなら、課題だらけだから。解決し放題ですよ。そんな状況を面白がれる人に来てほしいですね」

18年前、誰にも見向きもされないような状況からスタートして、一つひとつ実績を積み重ねてきた森のエネルギー研究所。まだまだできること、やるべきことはたくさんあります。

自分のエネルギーをどこに注ぐかということも、未来のためにできる大事な選択のひとつかもしれません。

(2019/7/4 取材 中川晃輔)

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