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人にやさしい食品を求めて
もずくの力を、伝える仕事

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「僕らがつくっている商品って、説明が必要な商品なんですよ。ただのもずくじゃなくて、素材や品質管理にこだわっているぶん、伝えることが多い」

「おいしいもずくとは?って聞かれたときに、自信を持って『これがうまいもずくです』って言える人はなかなかいないと思う。だから当社はこだわりの沢山詰まったもずくを、たくさんの人に食べてもらいたいんです」

そう話してくれたのは、「株式会社海産物のきむらや」の木村美樹雄さん。



海産物のきむらやは、鳥取県境港市でもずくを中心とした海産物の加工・販売や、もずくなどの海藻に含まれる健康成分「フコイダン」の研究開発を行なっている会社。

沖縄産の素材にこだわったもずく製品と、最先端の研究施設で生み出される「フコイダン」。地方の食品加工会社のなかでも、特徴的な事業の広がりを見せている会社です。

今回募集するのは、WEBサイトやフコイダンを使った健康食品の通信販売を管理する運営担当者と、加工品の検査などを行う品質管理担当、機械設備の設計や保全に関わるエンジニアの3職種。

食を通して“人にやさしい”ものを提供する。そのことに真摯に取り組んできた人たちの想いを、ぜひ知ってほしいです。


羽田空港から、飛行機で鳥取県の米子鬼太郎空港へ。きむらやの本社がある場所までは、空港から車で10分ほど。

「こんにちは!今日はよろしくお願いします」と空港で迎えてくれたのが、木村美樹雄さん。3月まで東京の会社で働いたのち、4月にきむらやへ入社した。



きむらやの歴史は、45年前に木村さんの父である現社長が地元で獲れたもずくを塩漬けしたものを袋に詰めて行商したことから始まった。木村さんも小さいころから、そのあとを継ぐことを意識してきたそう。

「小学校の卒業式のときに壇上でひとりずつ夢を語るというのがあったんですが、そのときに『俺は父親を超える!』って言ったらしいんですよ(笑)。言った本人は覚えてないんですけどね」

高校卒業後は東京の大学に進学し、農山漁村の景観保全や都市計画を専攻した。

「大学で学んでいると、地域の景観はそこに住む人たちの生活や社会システムの上に成り立っているものなんだとわかるようになってきて。僕の実家であるきむらやは、まさに地域の生活や雇用を下支えするものなんじゃないかと思うようになったんです」

「研究室の先生にも、『学術の世界に来るより実家に帰ったほうがいい』みたいなことを言われていましたね」

地域の未来と実家の仕事。そこに結びつきを感じるようになった木村さんは、大学を出てまず都会でまちづくりの仕事を経験しようと、不動産デベロッパーに就職。東京・大阪駅前の大規模な開発プロジェクトに関わった。

「9年間まちづくりの仕事をしていくなかで、やっぱり地元である境港に帰ってチャレンジしてみたいという気持ちが強くなってきて。大きなプロジェクトがちょうど一区切りしたこともあって、地元に帰ってきたんですよ」

そんなふうに話しているうちに、きむらやの本社に到着。



本社は海産物加工の工場と、フコイダンの研究開発施設が一緒になっている。まずは工場を案内してもらうことに。

キャップとマスク、白衣を着て、手を消毒。ちょっとドキドキしながら、木村さんのあとに続く。



ドアを開けると、見たこともないような機械が並んでいる。

これは、もずくに含まれるフコイダンという成分を抽出するための機械だそう。



フコイダンは、もずくのぬめりに含まれている成分。研究を始めたきっかけは、1996年に大腸菌O157による食中毒が流行したときに、自社製品の安全性を確認するため、もずく製品にO157を混入する実験をしたことだったという。

実験の結果、O157は製品内で有毒なベロ毒素を出さずに死滅。もずくに含まれる特定の成分が、O157に対しさまざまな効果をもたらすことがわかった。さらに研究を進め、その有用成分がフコイダンと呼ばれる成分であることをつきとめた。

現在は、いくつかの大学との共同研究も継続し、フコイダンのさまざまな効能の解明が進められている。

さまざまなフコイダンが市場にあるなか、きむらやではできるだけ自然に近い状態の高分子フコイダンを健康食品として販売しているそう。高分子であるほど粘性が高く、抽出するのが技術的に困難になるフコイダンを、きむらやでは独自の技術で抽出している。



「商品の安心、安全への追及からフコイダンと出会うことができました。さまざまな研究を経て、その効能をさらに解明していきたいと思っているんです」

「通販担当になる人には、ビジネスとしてただ扱うのではなく、購入希望者と対話をしながら大切な商品を届けてほしいという想いがあって。もずく製品でもフコイダンでも同じですが、『人にやさしい食品を求めて』ということを大事に、一緒に商品と向き合っていきたい」

今回通販事業担当として入社する人は、そのフコイダンを消費者に届ける役割を担うことになる。ECサイトの管理・運営や、Webマーケティングにも力を入れていきたいそう。

「特に私たちみたいな地方の企業は、Webの部分でしっかり戦略を持って取り組んでいかないと置いていかれてしまうという危機感もあります。現状をさらに改善していこうという気概をもった人と一緒に働きたいですね」



ECサイトの管理・運営は、作業としては難しいものではないという。まずは既存のツールを生かしてデータを分析し、具体的な戦略を考えていく。

たとえばホームページのフォームから、Q&Aに記載してある内容について質問されたとき。Q&Aを見てもわからなくて質問をされた場合には、Q&Aの書き方を改善する必要があるし、そもそもQ&Aを見ないまま質問された場合は、サイト内の導線設計を見直さなければならない。

ツールを使うことであらかじめユーザーの動きを把握できれば、適切な解決策をすぐに導き出すことができるし、質問の意図を推測して回答することで、お客さんとの心地良いコミュニケーションにもつながる。



販売やマーケティングに関わったことのある人なら、その視点を存分に活かせる仕事だと思う。

「ECサイトの運営に限らず、Web関係の仕事をしていたとか、趣味で勉強していたとか。なにかしらの土台があって、これから学んでいきたいという気持ちがある人であれば、ぜひ一緒にやっていきたいですね」

「健康食品って特に、ちょっとしたやりとりのなかでの心遣いとかやさしさが見られているんですよ。コミュニケーションの細部に宿るものを大切にして、人にやさしいことを考えられる人には合っている仕事だと思います」


やさしさが宿るコミュニケーションって、どんなものなんだろう。

続いて話を聞いた品質管理担当の川本さんの話は、そのヒントになるかもしれない。丁寧な話し方と柔らかな笑顔が印象的な方。



入社してからは、もずくの成分についての基礎研究を主に行っていたという。研究を進めるなかで、もっと実務に関わりたいと思い、6年前から品質管理の仕事を担当するようになった。

「調べて原因を探るという点では、基礎研究と共通しているんです。そのうえで、品質管理にとって特に大事なのは、人とのコミュニケーションの部分なんですよ」

コミュニケーション、ですか。

「お客さまがおいしいと感じるか、安心して食べてもらうために何を伝えるべきか、ということって、数値や研究結果という事実だけではわからない。お客さまの気持ちを汲むことが必要なんです」

「お客さまの声に耳を傾けることはもちろん、特に商品に関するクレームを受けたときは、どうやってお客さまに対して説明するかということに気を遣いますね」



たとえば、もずくのパックに白いなにかが入っていたという連絡が来たとき。

「返却されたものを調べてみると、白いものはもずくの根っこだったんです。『もずくだから食べられます』と、事実だけ言ってしまえばそれまでなんですが、そうじゃないと思っていて」

「ちゃんと『白いものは、もずくがサンゴに根を張った跡なんです。不快に思われないように取り除いているんですが、見逃して取れず、申し訳ございません』っていうような説明をすると、わかってもらえる。不安を感じているお客さまの気持ちを汲んで、誠意を込めて伝えることで、商品や会社への信頼にもつながっていくんだと思います」



きむらやのもずくは、全国の生協との取引が大部分を占めている。生協の求めるきびしい品質に応えるため、メーカー側も通常より高いレベルでの品質管理が求められる。

消費者の高い期待に応えるためには、品質の良さに加えて、届け手のコミュニケーションに対する意識が欠かせないのかもしれない。

ほかにも川本さんたちの仕事は、原材料や製造工程を記した仕様書のチェックや、新商品の賞味期限を設定するための実験など幅広い。

会社の信頼を維持するための、「守りの要」みたいなポジションなんですね。

「守りの要素はたしかに大きいんですけど、これからは攻めの品質管理というのが重要になると思っていて」

攻めの品質管理?

「たとえば、わたしたちはHACCPやFSSC22000っていう第三者機関が評価する衛生管理の認証を取っています。社会的にも認められているレベルの衛生管理に取り組んでいることをアピールしていけたら、売り上げの向上にもつなげることができるかもしれない」



「実は品質管理って、いろいろな細かい注意をする仕事でもあるので、他部署から煙たがられることが多いんですよ(笑)。でも、営業の人と連携をはかれるとお客さまへの説明もより細やかにできる。そういった形で協力していけたら、品質管理という裏方から会社全体をより良くしていけるんじゃないかと思っていて」

きむらやは今、次のステップに踏み出そうとしているところ。

現状維持よりも、一緒に新しいことに挑戦できる人と働きたいと川本さんは言う。

その話をとなりで聞いていた木村さんも、これからのことについて話してくれました。

「まだまだ東京から戻ってきたばかりなので、ゆっくりとチャレンジしていきたいなと思っているんです。同期のような感覚で、一緒に会社を大きく成長させていけるような、そんな人が来てくれたらいいなあと思います」




取材の終わりに、きむらやのもずくを試食させてもらいました。

いわゆる普通のもずくよりも、ぬめりがあって柔らかい。味付けも濃すぎず、やさしい味わいがする。

もずくを通して、ここで働く人たちのやさしさも伝わってくるような気がしました。

(2019/7/30 取材 稲本琢仙)
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