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看護師だからわかること
看護しながらでは
できなかった挑戦

看護の世界で一番有名な人。ナイチンゲールといえば、ランプを持って負傷兵に寄り添う絵のイメージが強いですが、実際に従軍看護婦として働いたのはわずか2年ほど。

帰国後は、現場の衛生などの問題点を数値化・可視化して、広く伝えることで、新しい看護の仕組みづくりに打ち込みました。

今回募集する人の役割も、それに近いものがあると思います。

募集するのは「看護師」です。といっても、仕事に看護業務は含まれていません。看護師として働いた経験をもとに、看護の現場をよりよくするための企画を考え、形にしていく仕事です。

仲間を探しているのは、平成医療福祉グループ。東京や関西など、幅広い地域で病院や福祉施設の運営に携わる団体です。最近は在宅診療など、病気とともにある“生き方”にフォーカスした取り組みにも力を入れています。

新しく入る人は、東京、横浜、千葉、大阪、兵庫のいずれかの地域にある病院に所属し、その地域をフィールドとして活動します。

ただ、この募集はグループ内でも新しい働き方なので、まだ職種に名前もなく、具体的な業務も決まっていません。看護師として働いた経験は必要ですが、いわゆる看護部長のような管理職ではなく、若手でもチャレンジできる枠組みにしたいとのこと。

現時点で想定されている仕事内容は2通りあります。

1つは、すでに現場から上がっている課題を整理して、教育や環境整備など既存の取り組みを加速させていく役割。もう1つは、自分で新しいプロジェクトを立ち上げて実践していくこと。一般企業なら、プロジェクトマネージャーと呼ばれるような役回り。

どちらも、現場で看護業務をしながらではなかなか難しいことだと思います。看護師として感じていた疑問や、見て見ぬふりせざるを得なかった違和感について、一度立ち止まって根本から考えてみたい。そんな熱意を秘めている人に、ぜひ挑戦してほしい仕事です。

 

訪れたのは、東京・代々木にあるグループのバックオフィス。代表で医師の武久さんとは、オンラインで話をすることに。画面の奥、窓越しには山と軽トラのようなものが見える。

「今、徳島県の神山町にいます。3年前からこっちに住んでいて。さっきまで、片道30分かかるところまで、往診に行っていたんです」

武久さんが神山町で取り組んでいるのは、在宅医療のプロジェクト。人口5000人ほどの地域に来てみると、都市部ではわかりづらい地域医療の本質の部分が見えてくるという。

それにしても、全国に拠点を持つほど大きなグループの代表が、みずから往診に行くって、ちょっと意外。

「いや、行っている場合じゃないんですけどね(笑)。そもそも、神山町のような地域で在宅医療をやると、経営的には赤字なんですが、僕が行くことで人件費の問題をクリアできるというか」

「儲けにならない取り組みでも、意味があることならやってみようっていうのが、我々のグループのカラーでもあると思います」

もともと、平成医療福祉グループは武久さんのお父さんが40年ほど前に立ち上げた団体。武久さんは2010年に入職して以来、医療や福祉のあり方を見直す取り組みを進めてきた。

「医療の役割は、病気というものをどう捉えるかによって変わってきます。たとえば、誤嚥性肺炎の患者さんがいたとして。医師は、薬を使って症状を抑えることはできますが、その人が肺炎になりやすい状況を変えることはできません」

「病気が、治るか、治らないかではなく、病気になりやすい、治りきらない状態の人が、できるだけ幸せに生きていくためにはどうすればいいか。リハビリや看護だけでなく、医師もケアの視点を持って、チームで医療を形にしていくことが大切なんだと思います」

武久さんが目指す理想は、最近一般にも知られるようになった「総合診療医」という制度に近い。

患者の病気だけではなく、体質や生活習慣、家族、地域とのつながり、仕事など、さまざまな要素を同列に考えながら、最適な治療やケアを提案していく。

その実現のために重要なのが、看護のあり方を見直すことだと武久さんは言う。

「看護の世界って、もともとすごく真面目できちんとした人が多いと思います。それ自体はすごく良いことなんですが、既存の制度や病院内のヒエラルキーに従順であることが、場合によっては『患者さんのために一番いいことは何か』という問いと矛盾することもある」

「今回募集したいのは、そういう現状に何か疑問を持って、自分なりにどうにかしてみたいという思いがある人です」

看護業界の当たり前を疑う。あり方を変える。

かなり壮大なミッションという感じがしてしまうけれど、必要なのは、小さな事例を積み重ねていくこと。「こんなこともできるんだ」「やっていいんだ」という実感を、現場に広げていくことだ。

たとえば、どんなことができるでしょう。

「アイデアはたくさんあります。セラピードッグやコミュニティナースのような取り組みをいろんな地域で導入してみるとか。その人の課題意識やアイデアによって、プロジェクトのあり方も変えていいと思います」

「新しい取り組みなので、もちろん失敗もあるだろうし、成果を数値ではかるつもりもありません。ただ、どんなプロジェクトでもグループの内外でいろんな折衝が必要です。アイデアだけじゃなく、事態に対処する力や、ロジカルさ、人としての柔軟性を兼ね備えていることも重要ですよね」

 

今回は数名の採用を予定している。ゼロベースで企画する人だけでなく、1を10にするのが得意なタイプが活躍できる場面もあるという。

「看護部でも、業務改善に関する意見はいろいろ出ています。ただ、それを整理して、形にするところまではなかなか手が回らなくて。話し合いをもとに、具体的な計画としてつくり込んでくれる人がいると、すごく助かりますね」

そう話すのは、グループの看護部長を務める加藤さん。現在は、徳島の病院を拠点に、月に2回ほどのペースで関東と行き来する生活を続けている。

グループ内には現在26の病院があり、それぞれに看護部長がいる。加藤さんは、その全体をまとめる役割。

部長クラスの話し合いでは、どんな課題があがっているのでしょう。

「私たちの理想を表すキーワードとして“優しい看護師”というものがあります。ただ、実際の現場では、患者さんに“優しくない”関わり方が見受けられたりするんですよね。相手への関心が薄いというか…」

「たとえば、体温や血圧を測るときも、『この人は今、右腕が痛いから反対側にしよう』とか、ケアの視点があるかないかで関わり方が変わってくる。そういう看護師を育てるために、行動指針をどう言語化すればいいか、みたいな話を、ちょうど今日の午後の会議でする予定です」

現場で “優しくない”行動をとってしまう人にも、何か理由があるのかもしれない。忙しさや、人間関係、あるいは設備や環境の問題、ほかには何が考えられるだろう。

仕組みをつくる前の調査や準備に時間をかけられるのも、看護に関わらない看護師だからできること。また、役職者ではないからこそ、同じ目線で拾い上げられる声があるかもしれない。

 

今回の募集で入る人は、3つのエリアから本人の希望を加味して勤務地を決めることができる。横浜で働く場合、一番身近なチームメイトになるのが、グループの看護部副部長で関東エリア部長を兼任する榎並(えなみ)さん。

この新しい働き方や、現場への関わり方、ほかの看護師さんたちからはどう見られると思いますか。

「2パターンあるんじゃないかな。新しい取り組みに興味を持つ人と、今のやり方を変えられるのは面倒で嫌だなっていう人と。もともと、現状を変えるのを諦めているスタッフもいるような気がしますね。言っても変わらないっていう意識が染み付いてしまっていて」

平成医療福祉グループが、武久さんの語るようなケアの思想に基づいたあり方に舵を切り始めたのは、ここ10年ほどのこと。まだその過渡期にある。

新しい理念を浸透させるために、グループの中ではさまざまな取り組みが進められている。職種による制服の違いをなくしたり、徳島でキャンプ合宿をして拠点間の交流をはかったり。

「病院は全国いろんな地域にあって、物理的には離れているんですけど、グループ内のスタッフの心理的な距離は近づいてきている気がします。これから入る人は、看護師だけじゃなくて、医師や管理業務に関わる人など、いろんな立場の人と協力しあえる関係をつくることが大事なんじゃないかと思います」

 

最後に紹介するのは、人事部で働く中下さん。今回の募集とは少し役割が違うけれど、看護師の経験を活かして、違う仕事に挑戦している仲間として共感する部分があると思う。

榎並さんからは、「もう何年も働いているみたい」と仕事ぶりを評価されているものの、入職してまだ半年なのだそう。

「もともと臨床で3年半、美容医療の師長を3年半やって、30歳になるときにこのグループに入職しました」

「自分がこの先歳を重ねたときに、現場でいち看護師として働いている姿が想像できなくて。師長として働く中で身につけた“数字を見る感覚”を活かして、違う働き方に挑戦してみたいと思っていたときに、人事の仕事をやってみないかと声をかけてもらったんです」

今は、グループの看護師採用を担当している中下さん。

求人サイトでの動向を分析して、求人広告の打ち出し方を見直したり、地方の求職者のためにオンライン説明会を開催したり。根拠があれば、新しい提案も受け入れてもらいやすい雰囲気があるという。

「仕事を始めた当初、このグループの求人は給与や勤務時間の条件がすごくいいのに、全然サイトでアピールできていないのがもったいないと思って。ただ、募集動画をつくるとき、上長からは『もっとグループの理念やカラーを前面に出して』っていうリクエストがありました」

「応募を考えている学生はまず、職場の雰囲気とか、条件面を知りたいんじゃないかなという思いもあるし、そのバランスが難しいなと思いながら試行錯誤しています」

中下さんが「数字を見る感覚」を活かして、看護師採用の仕事をしているように、今回募集する職種は、看護の経験とそれ以外の分野での興味や強みを組み合わせた働き方。

スペシャリストを目指すより、経験を活かしていろんな仕事に関わってみたいという人に向いている仕事だと思います。

ちなみに、先に紹介した部長の加藤さんも、自分を「飽き性なところがある」と分析しています。新しいことへの好奇心も、前例のないプロジェクトを形にしていく上では強みになります。

「決まっていないこと」を恐れず、進んで挑戦できる人を待っています。

(2025/10/30 取材 高橋佑香子)

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