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はじめる人が集まる町で
自分のお店を持とう

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

徳島県美波町にある、日和佐(ひわさ)地区。

ウミガメの産卵地として知られる美しい海岸と、お遍路さんで賑わう四国八十八ケ所霊場の薬王寺を中心に盛えてきた地域です。

そんな日和佐の西側、山の中腹にある薬王寺から、海へとまっすぐ続く商店街「桜町通り」が今回の舞台です。

かつては参拝客や地元の人たちで賑わったものの、多くのお店が閉店し、人通りが少なくなっていたこの通り。

実はここ数年で移住してきた人たちが新しいお店を開きはじめ、少しずつ人の流れが戻っています。

今回募集するのは、桜町通りにある古民家で新しくお店を開く人。

個人、法人は問いません。耐震や水まわりなどの基本的な工事は完了しているので、自分の事業に合わせて内装工事をすれば、短期間でオープンできるようです。

田舎で自分のお店を開くことに興味がある人は、ぜひ読み進めてみてください。



美波町までは、徳島駅から2両編成のローカル電車に乗って1時間半。いくつものトンネルを抜け、海が見えてきた。

最寄りの日和佐駅から目的地の古民家までは、駅から歩いて10分もかからない。

待っていてくれたのは、神奈川大学教授の曽我部さん。美波町役場と協働でまちづくりに取り組んでいる。

「ここが今回入居者を募集する『桜屋』です。もともとはお遍路さん向けの宿だったんですよ」

大学教授を務めるかたわら、建築設計事務所も運営する曽我部さん。いまはゼミ生と共に、この桜町通りの古民家活用と景観づくりをサポートしている。

「このあたりは、昭和のはじめに薬王寺の参拝客向けに整備された、日和佐のなかでも比較的新しい地域です。通りには当時建てられた建物が今も残っているんですよ」

四国霊場二十三番札所として、今も多くのお遍路さんが訪れる薬王寺。健康や薬にまつわるお寺として知られている。

厄除け寺としても有名で、年間70万人以上の参拝客が訪れる。この地域の賑わいの中心とも言える場所。

「まちづくりに関わることになったとき、まったく新しいものをつくるのではなくて、もともとある価値を活かすべきだと思いました。それが薬王寺であり、昭和初期に建てられた古民家です」

「この桜屋は、長い間空き家になっていて。持ち主の方が取り壊しを検討されていたんですが、歴史ある建物だから残しておきたいと交渉して、役場と協力してリノベーションを行いました」

中に入ると、1階には大小の和室が2つ。

内装はシンプルな状態にしてあるから、これから自由にアレンジできるという。

「住居も兼ねることができるようにと、キッチンやお風呂も新しいものを設置しました。2階には板間が3部屋。1階に比べて潤沢な広さがあるので、商品の在庫や材料を置くこともできるし、暮らすにも問題ないと思いますよ」

もともとの家の風合いは残しながらも、きれいに改装されている。快適に過ごすことができそうだ。

ところで、今回の募集は「飲食店以外の事業」が条件とのこと。

何か理由があるのでしょうか?

「一つは、飲食店はすでに一定数あること。今あるお店と競い合う状況は避けたいと思っています。実はここ数年の間に、桜町通りには3軒のお店がオープンしたんですよ」

「今回と同じように公募で選ばれたラーメン屋さん、地域おこし協力隊出身のご夫婦が開いたカフェ、クリエイター3人組が運営するコーヒーとアパレルのお店。新しいお店ができたことで、この通りに観光客が立ち寄るきっかけになりました」

数年前まで、お正月やお祭りのとき以外は閑散としていた桜町通り。最近はお遍路さんや観光客が少しずつ増えてきた。

これからはそれぞれの店舗をより密接に結びつけて、人の動きを活性化していきたいという。

「飲食店だと、どうしても一箇所に長く滞在することになる。これからはご飯を食べて、買い物をして、お茶をしてというようにいくつかのお店を巡ってもらって、活動に膨らみを持たせられたらと思っています。工房を兼ねたお店や地域のいいものを扱うセレクトショップなどもいいかもしれませんね」

とはいえ飲食でも、テイクアウトできるものならいいそう。外国人のお遍路さん向けのベジタリアンフードや、薬王寺にちなんだ薬膳のお惣菜など、地域性を活かせるといいかもしれない。

「自分の店のことにかかりきりになるのではなく、この通り全体に視野を広げて、どんなふうに盛り上げていけるかを一緒に考えてくれる方だと嬉しいですね」



続いて話を聞いたのは、曽我部さんと共に桜町通りの活性化に取り組んできた、役場の外礒(とのいそ)さん。

「通りには新しいお店が何十年もできていませんでした。でも実際に若い人たちがつくったお店は、彼らがすごく頑張ってくれたこともあり人気店になっています」

「地元の僕らが考える当たり前が絶対じゃない、ということを移住者の人たちが示してくれた。新しくチャレンジできそうな空気感が通りに生まれたのは、すごくありがたいことなんです」

昔から町に住んでいる人のなかには、新しい取り組みによって通りの姿が変わっていくことに戸惑いを感じている人もいるという。

ただ、この先も地域を維持していくためには、変わらなければいけないと外礒さんは話す。

「町の人口はどうしても減っていくから、住人だけで賑わいをつくるのはもう難しいんですよね。新しくできたお店は、外からうまく人を呼び込めているように感じます」

「昔の姿を取り戻すんじゃなくて、現代の新しいニーズにあったやり方で町を活気づけていけたらいいなと思っています」

桜町通りでは、地域の人が手づくりした雑貨やお菓子などを販売するマルシェも定期的に開催している。これも数年前まではなかったもの。

新しいことに取り組んでいこうとする姿勢が、地域にいい流れを生み出しているように感じた。



そんな通りに1年ほど前にできたのが、今回募集する桜屋の向かいにある“at Teramae(アット テラマエ)”。

2階がデザイン事務所、1階はアパレルショップとコーヒースタンド、ギャラリーになっている複合施設で、3人のクリエイターが運営している。

話を聞いたのは、コーヒースタンドを主に運営するアーティストの磯中太志さん(写真左)と、カメラマンでアパレルブランドも展開する山崎一平さん(写真右)。二人とも、サーフィンが趣味なのだそう。

ここ日和佐は、一平さんの地元。大学時代から8年ほど大阪で暮らしたのち、地元企業への転職を機に帰ってきた。

太志さんは、以前友人の紹介でこの町を訪れた際に、一平さんともう一人のメンバーのセイヤさんと知り合った。

「3人共通の軸がデザインで、共用の事務所をつくろうとしていたんです。事務所は2階だけで足りるから1階をどう使うか考えたときに、お店にして地域に開放できたらいいなって。1年くらいかけてリノベーションしました」

地元が好きで、いつか帰ることは決めていたという一平さん。

日和佐の魅力はどんなところですか?

「やっぱり祭りです。地元に戻ろうと思っていたのも、ここの祭りが大好きだから。子どものころから毎回参加しているんです」

毎年10月の秋祭りでは、“ちょうさ”と呼ばれる太鼓屋台が日和佐の8地区それぞれから出る。町内を練り歩き、最後は大浜海岸から海に入るのだとか。

「祭りの何がいいって、人とつながれることなんです。小中高生が太鼓を叩いて、ちょうさを担ぐのは20代から50代、周りで60、70代が世話をする。子ども御輿もあるし、女の人たちも裏方をやったりご飯をつくったり。町のみんなが一堂に会するんです」

「地区ごとに飲み会もあるし、普段なら関わらない世代と会えるから、縦のつながりが生まれる。この祭りは単にかっこいいだけじゃなくて、何百年も守ってきたすごく大事なものなんです」

伝統的なお祭りではあるけれど、外から来た人にもオープン。移住者である太志さんも、引っ越してきてすぐにお祭りの集まりに誘われて、それをきっかけに近所の人と親しくなったそう。

at Teramaeをオープンして1年。なにか変化はありましたか?

「はじめは『何屋さんかわからない』『入りにくい』って地元の人には思われていたみたいで。最近はコーヒー飲みにきてくれる人もいますね。平日は地元の人ばっかりです」

イベントや週末は観光客の人がいるけれど、そうでないときはまだまだ賑わいが足りないと感じている。

「この通りが、いつも人が歩いているような場所になったらいいなとは常々思います。遊びに来て、昼ごはんを食べて、夜は飲んで泊まる。そういう循環が当たり前になったら、日和佐のなかでお金もまわるし、町に動きが生まれるんじゃないかなと思います」

実は今、at Teramaeのメンバーを中心に、セルフビルドで桜町通りに新しいゲストハウスをつくっているところ。外から人を呼ぶには泊まれる場所を増やす必要があると考え、動きはじめた。

町にまた一つ、新たな価値を生む場になりそう。

「やりたいと思ったらすぐはじめるから、計画性がない」と笑う二人からは、自然体で日和佐暮らしを楽しみ、新しいものを生み出していくパワーを感じた。



最後に話を聞いたのは、ボーデさん。桜町の隣の地区で宿を運営している。

フランス人の父と日本人の母を持ち、幼少期に家族で日和佐に住んでいたボーデさん。子育てのために、東京から移り住んできた。

移住者が地域に受け入れられるかどうかは、すべてその人の努力次第だという。

「日和佐は小さいコミュニティだから、馴染むのに努力が必要なのは当たり前だと思います。ここに来ても、朝から晩まで人と接する機会がなかったら、東京と変わらないですよね」

自分から積極的に挨拶をしたり、お祭りなどの行事に参加したり。自分から行動することができれば、ここでの暮らしを楽しむことができるはず。

「私が移住してきてよかったなと思うのは、夕方に近所の人と立ち話をしたり、知り合いの子どもがうちで宿題していったりするとき。単なる隣人ではなく、そこに交流が生まれるのは田舎ならではの良さだと思います」

「新しく来る人の勢いが町をもっと力づけてくれたらうれしいですね。at Teramaeのような取り組みを見て、『なんだか面白いことができる地域かもしれない』と思って来てくれたらいいなと思います」



今ある地域の価値を大切にしながらも、新しい動きが生まれつつある日和佐。

新しくお店をつくるには、きっとチャレンジしやすい空気感があると思います。

自分のやりたいことが実現できそうだと感じたなら、一つの選択肢として、ここでの暮らしを考えてみてください。

(2019/7/21,22取材 増田早紀)

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