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人が集まり混ざり合う
カフェの形をした
実験の場、その翻訳者になる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

“いいコミュニティ”とは何か?

この問いにはさまざまな答え方ができそうですが、ひとつは「いろんな視点が入り混じっていること」が大事なように思います。それでいて居心地がよく、いつでも出入りできるような場所。

多様な人が関わりながら、心地いいコミュニティを築いていく。そのための“翻訳者”となっているのが、FabCafeで働くみなさんだと思います。

FabCafeは、店内に置かれた3Dプリンターやレーザーカッターなどの機器を誰でも自由に使うことができるカフェ。7年前に渋谷で発足して以来、バルセロナやバンコク、メキシコなど世界7カ国10拠点に展開するグローバルコミュニティへと成長してきました。

今回は、東京と新しく誕生する名古屋のFabCafeでカフェマネージャーとコミュニティマネージャーを募集します。

 

東京・渋谷。

再開発まっただ中の駅前から出発して、道玄坂をのぼっていく。このあたりは昼夜関係なく、たくさんの人が行き交っている。

10分ほど歩くと、首都高と道玄坂に挟まれた三角形の土地に、壁にネジが刺さったような不思議な形のビルが見えてきた。ここの1階にFabCafe Tokyoがある。

入ってすぐ目の前のカウンターでドリンクやフードを注文し、好きな席へ。空間の中央には3Dプリンターやレーザーカッターなどの機器が置かれていて、誰でも自由に使うことができる。

その一角で待っていてくれたのは、FabCafe COOの川井敏昌さん。次のステップに進むため、9月末で退職予定だけれども、立ち上げからFabCafeをよく知る方ということで話を聞かせてもらうことに。

COOでありながら、現役のバリスタとして店頭にも立ってきた川井さん。

「前にシンガポールで働いてたときに飲んでいたアイスラテがおいしくて。バリスタになったのは、あれを自分でつくりたいと思ったのがきっかけなんです」

FabCafeのコーヒーは、厳選したシングルオリジンの豆を丁寧に焙煎して淹れている。国内のバリスタチャンピオンシップでは優勝者も輩出しているそうだ。

ほかにも、ヘルシーなフードや専属のパティシエによる手づくりスイーツなど、メニューにはおいしそうなものがずらり。

ただ、ここは単に食事を楽しむカフェを目指しているのではないという。

「食やコーヒーはもちろんベースにあります。それ以上に、FabCafeはコミュニティの活動拠点でありたいと思っていて」

コミュニティの活動拠点?

「建築、ファッション、バイオテクノロジー、ロボティクス、SDGs、ドローン…。さまざまな分野のコミュニティが、ここを起点に生まれています」

このビルの2階には、「FabCafe MTRL(マテリアル)」というスペースがある。木材や金属、布や最先端のセンサーなどの“素材”を切り口に、メーカーやクリエイターが日々集まり、新たなプロダクトやサービスを共創する場となっている。

「FabCafeスタッフにとって、コミュニティの立ち上げや成長を支援していくのも大事な役割です。おいしいものや楽しいイベント、魅力的な人。一つひとつのコンテンツを磨いて、人が集まる場をつくっていってほしい」

それって具体的にどういうことだろう。もう少しよく知りたいです。

そう伝えると、川井さんが関わっている「FAB RACERS」というコミュニティについて教えてくれた。

「もともと、トヨタやホンダのデザイナーとつながりがあって。あるとき『大人が楽しめるミニ四駆大会をやろう』って、軽いノリで企画したんです」

すると初回から150人もの人が集まった。

しかも集まったのは、プロのカーデザイナーやエンジニアたち。ミニ四駆というツールを介してものづくりの情熱がぶつかり合うイベントになった。

「一緒に来ている子どもたちも、大人が真剣に遊んでいる様子を目にするわけです。その光景もすごくよくて。1回限りのつもりが、毎年続いています」

大会に合わせて、プロから習うカースケッチや3Dモデリングのワークショップも開催。

参加者のなかには、ワークショップがきっかけで3Dプリンターを購入し、ソフトウェア開発会社へと転職した人もいるらしい。

こうしたイベントやワークショップの企画・運営、情報発信や企業と連携したサービス開発などが、今回募集するコミュニティマネージャーの仕事。この場所で育まれていくコミュニティの運営全般に関わることになる。

また、カフェのメニュー開発やシフト組み、スタッフ育成など、店舗運営全般を担うカフェマネージャーもあわせて募集する。こちらは、飲食に関わる経験や知識がある程度求められると思う。

カフェとデジタルファブリケーション、多様なコミュニティ。いろんな要素が混ざり合うFabCafe。

そのネットワークは、今や世界7カ国10拠点にまで広がっている。

今回スタッフを募集する3つの拠点のうち、名古屋は新しくFabCafeが誕生する場所。立地はなんと、公園のなかだそう。

「久屋大通公園という、名古屋では誰もが知っている公園の再開発計画の一貫に位置付けられていて。FabCafeの前には、広い芝生が広がります」

「たとえばスポーツやヘルスケア、モビリティなど、広々としたスペースを活かせるコミュニティづくりには向いているかもしれません。東京や京都の中間地点として、各地のコミュニティが集まる場所にもなり得ます」

 

ただ、名古屋駅からは少し離れた場所にできるとのこと。

FabCafe Kyotoのマネージャーを務める木下浩佑さんは、そんな“ほどよいアクセスの悪さ”は、コミュニティづくりにとって面白い要素だという。

「京都のFabCafeもそうなんですが、クリエイティブに関心があって寺社や建築を見て回っている方や、インスピレーションの湧く作業場所を探しているノマドワーカーの方がわざわざ来てくれる。アクセスが悪いからこそ自然とフィルタリングされて、面白い出会いにつながりやすいんです」

言われてみれば、東京のFabCafeも駅から少し離れたところにある。これがもし駅前の目抜き通りにあったら、お客さんは増えたとしても、クリエイティブな発想を生む空気感が失われてしまうかもしれない。

ふらっと訪ねる人、そこをめがけてくる人。研究者や学生、エンジニアや地場産業の職人。

いろんな人が自由に関われる“ほどよい余白”をつくることも、マネージャーのひとつの役割のように感じる。

ところで、コミュニティはどのように生まれるのだろう?

ただ人を集めるだけでは、うまく育っていかない気がする。

木下さんは、FabCafe Kyotoの立ち上げ時からある取り組みを続けているそうだ。

「月に一度のミートアップは、ルールとして課しましたね。いろんなバックグラウンドの人たちを集めて、その人たちを混ぜようっていうことを当初からすごく考えていました」

お酒を飲みながら、各自のアイデアやプロジェクトについてゆるやかにシェアするこのイベント。

はじめのうちは毎月4、5人のプレゼンターを立てるだけでも必死だったものの、次第に知り合いが増えていき、トークテーマのバリエーションも豊かになっていった。

「あるとき、プレゼンターの金彩家の方と、たまたま来ていた大学の先生がミートアップで出会って。金彩は和装を彩る手法のひとつなんですが、材料の金や銀には導電性があるんですね。その特性を活かして、一緒にIoTのプロダクトをつくれないかって話がはじまって」

和弓職人に弟子入りし、しなる竹の性質を活かしてバイクをつくっている人がいたり。プレゼンターが連れてきたコーヒー焙煎士の方と意気投合し、FabCafeのメニューに取り入れることになったり。

スタッフとお客さんだけでなく、お客さん同士でも話が盛り上がり、自然と新しいプロジェクトが生まれるような流れができていったそう。

「この人とこの人合うだろうなっていう感覚って、バリスタとかバーテンダーに必要なものですよね。そういったお仕事をされてきた方は、きっと経験を活かせると思います」

カフェとコミュニティ、両方のマネージャーを兼任しているような状態の木下さん。そんな働き方だからこそ、いい場づくりができているとも言える。

「FabCafeの面白いところは、フラットに関われる環境があること。『お名刺交換させてください』じゃなくて、気づいたら仲良くなっていた人が実績のあるスタートアッパーだったり、すごい研究者だったり」

「出会いを糧にしていくためにも、やっぱり学び続ける必要はありますけど、知識はあとからいくらでも伸ばせるので。知的好奇心が大事だと思いますね」

 

最後に話を聞いたのは、FabCafe Tokyoのマネージャーでバリスタのケルシー・スチュワートさん。

フロリダの大学で日本の宗教を学んでいたケルシーさんは、当時アルバイトをしていたコーヒーショップのボスから教わり、FabCafeへ。

現在は海外拠点の立ち上げや連携を担う、インターナショナルコミュニケーションコーディネーターとしても働いている。

「FabCafeは組織としてすごくフラットですね。上司やほかの人にアドバイスを求めても、とにかくやってみようよっていう感じで」

形にしてみて、ダメだったらやり方を変えようというのがFabCafeのスタイル。フードやドリンクの価格を変更する機会も多い。

「メニューも変えました。これが最近のわたしの大きなチャレンジで」

どんなふうに変わったんですか。

「以前は小さい本のような形のメニューでした。今回は一目でわかりやすいように、カテゴリーごとに分けて、ビジュアルも大きくして」

「品数も減らしたんです。そうすると、オペレーションも変わる。コンセプトを決めるために、『FABってそもそもなんだっけ?』というところから考えて。メニューを変えることは、いろいろなことを同時に変えることなんですよね」

そうした変化を、お客さんもよく理解してくれているという。

「あまり“お客さん”という感じではないですね。オープンコラボレーションを通じて、一緒にこのコミュニティをつくっていく仲間というか」

FabCafeは世界中に10の拠点があり、それぞれに多様なコミュニティが存在している。

このFabCafeという場自体が、日々新しいコミュニティやプロジェクトを生み出す“大きなコミュニティ”であり、訪れる人もその実験のような場づくりに関わることを楽しみにしているのだと思う。

「自分ひとりの力でなんとかしようとするよりも、みんなのスキルを借りながら何かに取り組む。だからこそ、つながる意味がある」

「ファッション、アート、ビジネス、テクノロジー…。たとえばFabCafeの世界が海だとしたら、広く浅く、いろんな海を泳げたほうがいい。そしてときどき、専門的で複雑な深ーい海にも潜っていけるような。いろんな世界に興味を持てる人がいいですね」

肩書きや立場に関係なく、一人ひとりがもっとも活きる働き方を追求している。

みなさんと話していて感じる風通しのよさや心地よさは、そんな仕事との向き合い方からきているのかもしれません。

(2019/7/18 取材 中川晃輔)

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