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歴史ある古民家を宿に
人とまちをつなぐ
串間の案内人

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

宮崎県の最南端に位置する串間(くしま)市。

人口2万人ほどの小さなまちですが、日本在来馬として天然記念物に指定されている御崎馬(みさきうま)が生息する都井(とい)岬など、美しい景色を見に訪れる人も多い。

そんな串間では今、90年以上前からまちに残る大きなお屋敷を改修してホテルをつくるプロジェクトが進んでいます。今回募集するのは、そのホテルの開業準備から関わることになるマネージャー。

プロジェクトは、地元串間市でまちづくり活動をしてきた人たちが立ち上げた合同会社セカンドと、これまで多くの地域で古民家再生を手がけてきた株式会社NOTEが共同で進めていて、来年の夏には施設でお客さんを迎える予定。

ホテルという場所の中だけでなく、まちを盛り上げようとするいろんな人と一緒に串間の魅力を届ける仕事だと思います。

宿泊事業に関する経験は不要です。気になったらぜひ、続けて読んでみてください。



羽田空港から飛行機に乗り宮崎空港へ。到着ロビーを抜けると、南国らしい果物を使ったジューススタンドから爽やかな香りが漂ってきた。

空港から串間市へは、車で1時間半ほど。

最初に、改修して古民家ホテルとして営業する予定の建物を見せてもらうことに。案内してくれたのは、セカンドの西村悟さん。

宿となる予定の古民家は、串間駅から車で5分ほどの場所。

「ここなんですよ」と、案内してもらった建物は想像以上に大きく、その雰囲気に思わず「すごい…」と声が漏れ出てしまう。

「ここは神戸邸と呼ばれていた家なんです。僕が子どものころはこの家の前でキャッチボールをして、よくボールを放り込んで怒られたりしてました(笑)」

およそ築90年の建物で、昔は港町の中心的な存在だったそう。10年ほど前までは人が住んでいたものの現在は空き家で、庭には草木が縦横無尽に生い茂っている。

建物のなかに入ると、昔の生活用品が残っていて、ここで営まれてきた暮らしのあとがじんわり伝わってくる。

今年10月から、この古民家の改修が始まる。

建物が積み重ねてきた歴史を活かした場所にしたいという想いから、柱や梁など、多少の汚れがあっても強度的に問題ないものはできるだけそのまま使う予定。

たとえば梁の部分のつくりを見てみると、他ではあまり見られない変わった工法が用いられている。

こういう、現代とは違うところを見つけながら過ごす時間も、宿泊客にとっては楽しいだろうな。

改修が終わり古民家ホテルとしてオープンしたら、今回募集する運営マネージャーが中心となって運営していく。

日々の予約や清掃などの業務はもちろん、串間のまちを舞台にしたアクティビティや体験活動の企画運営にも関わってほしいそう。

海が近いので、釣り好きな人をターゲットにした企画を考えてもいいし、昔の港町の雰囲気を感じながらまち歩きをするコースを開拓してみるのもいいかもしれない。

「自転車ツーリングや、天然記念物である御崎馬をめぐるエコツーリズムなど、まちの資源を活かした取り組みがすでに始まっていて。僕たちが関わって運営しているものもあるので、一緒に新しいプランも考えていけたらと思っています」

「串間で2泊3日過ごすとしたら、どんなコースがあって、どんなことができたら楽しいか。そんな想像から考えてみるのがいいかもしれないですね」

宿のマスターでありながら、串間の案内人でもあるようなイメージ。

とはいえ、新しい宿の運営とプログラムづくりを並行して進めるのは少し大変かもしれない。

「来られる方も不安でしょうから、いきなり両方やって欲しいということではありません。まずはここで暮らしながら串間の良さを知ってもらって、そこから僕らと一緒に新しいことをできたらいいなと。うん、やっぱり好きになってもらうことが一番やな」



建物を案内してもらったあとは、セカンドの事務所であらためて話を聞くことに。到着した場所にあったのは、一台のレトロな電車の車両。

この車両がセカンドの事務所らしい。さらに中では串間市の観光協会が間借りする形で、観光案内所も運営している。

「すごいでしょう。この電車はまちづくり活動のなかで持ってきたんですよ」

そう教えてくれたのが、合同会社セカンドの代表・喜多祥一さん。今、新しくできる古民家ホテル事業では、代表として法人を運営していく予定だ。

喜多さんがまちづくりに関わり始めたのは、5年ほど前のこと。

以来、駅周辺の整備計画に加わったり、子ども向けイベントを企画したり。より暮らしやすいまちを自分たちの手でつくろうと幅広い活動をしてきた。

その一環で取り組んでいたのが、重要文化財に指定されている「旧吉松家住宅」という建物周辺の地域づくりの活動。

今回ホテルに生まれ変わることになった建物に出会ったのも、その活動の最中だった。

「旧吉松家住宅と同じくらい歴史的に重要な建物なのに、空き家になって放置されていたのが神戸邸だったんですよ。解体される方向で進んでいたのを、どうにか残して活用できないかと考え始めて」

悩んでいた喜多さんたちが出会ったのが、株式会社NOTE。今回のプロジェクトではセカンドと一緒に法人を立ち上げて、ホテルの運営を担っていく。

兵庫・丹波篠山市に拠点を置くNOTEは、古民家などの地元資源を活かした地域再生を数多く手がけている。

再生・保存だけでもコストがかかってしまう古民家。建物として改修するだけでなく、宿やレストランなど持続可能なビジネスとして活用できる仕組みごとつくってきた。

「NOTEの取り組みを知って新鮮だったのは、古民家の良さを「そのまま活かす」っていうことですね」

たとえば、空き家となっていた古民家を改修してオープンさせた、丹波篠山市の“篠山城下町ホテルNIPPONIA”。

経年で色が不均一に変化した土壁や天井板。傷のある柱。そこで暮らした人が貼った柱のシールや落書き。NOTEは建物の歴史をそのまま感じさせる客室を生み出した。

さらに周辺施設や飲食店と連携して、城下町ならではのまち歩きアクティビティも開発。

地域の暮らし文化を体験できる、新しいスタイルの宿泊施設となっている。

「NOTEさんの取り組みを聞いて、これならドンピシャだなって思ったんです。僕らは最初移築するとか、解体して建材だけ利用するというようなかたちでの活用を考えていたんですが、そうではない方法があるんだなって気づかされて」

「空間の雰囲気を生かして、本来の姿のまま保存される。そのうえ産業として活用されてお金を生むという、一番良い方法で残すことができる」

年配の人にとっては、建物や空間になつかしさを感じるものに。若い人にとっては、昔にタイムスリップしたような非日常的体験ができるものに。

まちの歴史や昔の木造建築に興味がある人にとっても、魅力的な場所になりそうだ。

喜多さんたちは今、NOTEから資金調達などのノウハウについてアドバイスをもらいながら、自分たちの手で古民家改修を進めようとしている。

このプロジェクトをきっかけに、将来的には、現在空き家となっている複数の古民家を改修し、宿として営業していきたいという目標もある。

まちづくりに関わっていたとはいえ、ホテル運営や古民家再生など新しい挑戦も多い。決して半端な気持ちではできないと思う。その思いはどこからきているのだろう。

「もともと子どもたちを笑顔にしたいという思いから、15年前にピエロの活動を始めたことがきっかけなんです」

えっ、ピエロですか?

「そうそう(笑) 続けていくうちにいろいろなつながりができて、県内のいろんなNPO団体をつなげる活動をしたり、地域のイベントを企画したり、徐々に活動の幅が広がっていって」

「一番にあるのは、子どもたちが笑顔になってくれて、串間が楽しいところだっていう思い出を大人になったときも持ってほしいってこと。その思いでやってきたことが、ちょっとずつ広がってまちづくりにつながっている感じですね」

串間に根を張り、まちのことを本気で考えてきた西村さんや喜多さん。外からの考えも柔軟に受け入れてきたからこそ、今回のプロジェクトも生まれたのだと思う。本格的に始動したら、まちづくりを大きく一歩前進させるきっかけになるかもしれない。



最後に、今回新しく入る人の「同僚」ではないけれど、一緒にこのプロジェクトを盛り上げることになるメンバーも紹介します。

PLUS-Dというウェブ制作会社で働く、小松正彦さんと木原愛さん。

以前は喜多さんたちと一緒にまちづくりの仕事をしていた木原さんと、NOTEとつながりがあった小松さん。

PLUS-Dに入社して同僚となった二人が串間のまちづくりについて相談しているうちに、お互いを引き合わせてみようという話になった。

そこで始まったのが、今回のプロジェクトだ。

「会社としても地方再生に関わる事業は進めていきたいし、僕個人としてもNOTEのように具体的な事業を引っ張ってくれる存在と、喜多さんたちのように地方でがんばっている人の間を取り持つようなマネジメントができれば、地域にとっては良いんじゃないかと思っていて」

現在は、NOTEと喜多さんたちをつなぐマネージャーのような役割をしているそう。たとえば、必要なデータのやりとりをするためのパソコンを用意して環境を整えたり、行政に提出するための書類の準備をしたり。

いわば、事業内容を考えるより手前の、土壌の準備。小松さんたちはそのサポートを買って出ている。

古民家ホテルが開業するのは来年の夏。それまでに、宿のオペレーションづくりやウェブサイトの準備、体験プログラムの企画など、やるべきことはさまざま。

特にウェブサイトの準備については、小松さんたちと一緒に取り組むことも多くなると思う。

「ピエロの活動とか、喜多さんたちがやってきたことってポテンシャルがあるんですよ。ただ、今の時代に追いついていないものもあって。それをNOTEさんや僕らがうまく補完できれば、地域がより良くなると思うんです」

今回の募集では、プロジェクトの核となるメンバーを迎え入れることになる。みなさんはどんな人と一緒に働きたいだろう。

まずは、喜多さんたちのこともよく知っている木原さん、どうですか。

「いろんなことをおもしろいって言ってくれる人がいいなって思います。ある日突然電車買うよって言われても、『おもしろいですね!買いましょう』って言っちゃうような(笑)」

それを聞いた、会長の喜多さんも続く。

「逆に、それつまらないですよっていう意見も歓迎です。僕らなんでも受け入れるので(笑)。新しい風を持ってきてくれるくらいの気持ちで来てもらえたら」

「あとは、おじいちゃんおばあちゃんとか、世代や生活習慣の違う家にひとりで行けるような人。そういうコミュニケーションができる人だったら、この地域で事業を進めることも、僕らと一緒にやっていくことも、両方を楽しむことができるんじゃないかな」

古いもの、新しい人、豊かな自然。このまちにあるものを使って、何をしよう。

喜多さんの明るい顔を見ていると、つられてワクワクしてくるような気がします。

(2019/8/10 取材 稲本琢仙)

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