求人 NEW

農業で食べていく
田んぼと畑の
守り手

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

農業に関わりたい。

そう考えたとき、どんな選択肢があるだろう。

一念発起して新規就農する。まずは農家さんのお手伝いをはじめる。はたまたJAなど、農家さんをサポートする会社に勤める。

そんな選択肢の一つに、この会社を加えてもいいかもしれません。

岐阜県・東白川村。

お米とお茶が実るこの小さな村で3年前に立ち上がったのが、みのりの郷東白川株式会社です。

高齢の農家さんの作業をサポートしたり、耕作放棄地を活用して新しい仕事を生んだり。農業を地域に残すため、さまざまな仕組みづくりに取り組んでいます。

今回はこの会社で働く人を募集します。まずは地域おこし協力隊として3年間、その後継続的に働くこともできるそうです。



名古屋駅から岐阜駅までは、JR東海道本線の新快速で20分ほど。高山本線に乗り換えて、1時間半ほどかけてゆっくりと進む。

降り立った白川口駅で周りを見渡すと、すっかり高い山々に囲まれていた。

駅前でバスに乗り、一級河川・白川に寄り添うように進んでいく。山の斜面にお茶畑や水田が見えてきたころ、村に着いたことを知らせるアナウンスが聞こえてきた。

バスを降りて、まず向かったのは村役場。

村長であり、みのりの郷の社長も務める今井さんが迎えてくれた。

東白川村は人口2300人の小さな村。村の面積の9割を占める森林から湧き出した水と、豊かな土壌で育ったお茶とお米が、この村の二大農作物だ。

高級ブランド・白川茶やAランクのコシヒカリなど、お米もお茶も全国から高い評価を得ている。

そんな村で3年前に立ち上がったのが、みのりの郷。

背景には、村の農業を取りまく厳しい状況があったという。

「今、農業の主な担い手は年金をもらっている方々です。高齢化と人口減少がすすんで、次の担い手がいない。これは全国どこも一緒やろうね」

「それに、米もお茶も売値がどんどん下がってきている。こんなにおいしい作物をつくっても、損をしてしまうんですよ。おかしな話なんやけどね」

このままでは農業の担い手がいなくなり、農地もなくなってしまう。

「農家のみなさんを支えながら、次の担い手もつくっていく。そんな想いからみのりの郷は生まれたんです」

具体的にはどんなことに取り組んでいるのでしょう。

「軸となっているのが、水稲の受託作業です。米農家のみなさんから委託を受けて、田おこしから田植え、稲刈り、乾燥調整までを丸々引き受けているんですよ」

トラクターやコンバインといった大型機械は、みのりの郷が購入したものを使用。作業は会社から派遣される機械オペレーターが行なうので、農家さんの負担をぐっと減らすことができる。

「トラクターもコンバインも、農家さんが個人で買うにはあまりにも高いわけです。それなら会社が買ってみんなで使えばいい。農家さんには、日々の草取りと水の管理だけお願いしています」

「交付金を入れることで、委託料の負担をできるだけ小さくしてあげて。とにかく損をしないでいい米をつくれるように、ってことやね」

今では、村のほとんどの水田で農作業を担うようになったみのりの郷。

最近は生産者がいなくなった茶畑を譲り受けて、白川茶の栽培も始めているそう。

「ここは典型的な中山間地域。農業をするには不利な土地です。でも、東白川なりの農業の守り方があると思うんですよ」



みのりの郷では、日々どんな仕事をしているんだろう。もう少し詳しく話を聞くために事務所を訪ねた。

迎えてくれたのは、支配人の安江さん。

「ここに来るまでの水田、見ましたか。黄金色になっとったでしょう」

はい、あたり一面きれいな金色でした。

「それがお米を刈り取る合図です。私らの仕事は、稲の状態を見てどんな作業をするか決めること。そして機械オペレーターの派遣元として、しっかり彼らをフォローすることです」

オペレーターには、農業を含め複数の生業で生計を立てている人たちが登録しており、空いた時間を使って作業に取り組んでいる。

安江さんたちは、オペレーターのシフト作成のほか、機械が壊れたら手直ししたり、人手が足りないときは機械作業を手伝ったり。オペレーターに伴走するパートナーのような役割を担っている。

ときには農家さんから寄せられたクレームに応えることもあるそう。

「農作業にはトラクターやコンバインを使いますのでね、どうしても道路が汚くなる。オペレーターも掃除してから戻ってくるんやけど、農家さんから『汚いぞ!』って言われることもあるわけです」

「そこで長年ここに住んどる私が、農家さんに話しに行くんですね。ごめんねって謝ったり、ときには断ったりするんです」

なかなか大変そうな役回り。それでも安江さんは、冗談をまじえながらほがらかに話す。聞けば、もともと地元のJAに勤めていたのだそう。

取材中も水田で作業中のオペレーターさんから電話がかかってきたり、農家さんが訪ねてきたり。きっと村の人から深く慕われているんだろうな。

「コミュニケーションが一番の仕事やね。一番難しいんやけど、ここができてこその仕事やと、常々思っとるんですよ」

みのりの郷に勤めるのは、安江さん含めて3人。ますます人手が必要となる将来のために、新しい仲間を募集したい。

安江さんは、どんな人と働きたいですか?

「性別も年齢も関係ないです。今は力仕事がそこまでなくなっとるもんで、男女関係なく農業ができるんですよ。うちにも女性のオペレーターがいて、トラクターにもコンバインにも乗ります」

「ただやっぱり健康があっての仕事ですのでね。気持ちも体も健康な人でないと続かないかもしれない。ちょうど今は稲刈りのシーズンですから、私らも8月下旬から10月上旬の雨の日以外は、ずっと働いていますよ」

なんと、それは忙しそうです。

「ただ弊社も、農地を守ると言っているばかりじゃいけない。ここ東白川村でしかできない攻めの農業がないかと、ない知恵を絞っております」

みのりの郷では、社員のアイデアをきっかけに新たな事業のタネも生まれている。その一つが「しめ縄」。

実は東白川村、日本で唯一お寺が一つもない「神道の村」。村の家々は一年中しめ縄をかけているのだそう。

「せっかくなら原料からしめ縄をつくって販売したらどうかって。さっそく注文も入り始めているんですよ」

この村ならではの新しいブランドですね。

「東白川は田んぼと茶畑しかないもんで。でもやっぱり、ここでしかできない農業もあると思うんです。この場所で、私たちと一緒にやってもいいって思ってくれる人がいたら非常にうれしいですね」



今回募集する人は、地域おこし協力隊として働くことになる。

今、安江さんのもとで働いているスタッフ二人も協力隊。3年の任期を終えたあともここで仕事を続けるという。

その一人、犬飼さんは社員となることを決めた方。写真は遠慮されたけれど、考えていることをしっかりと話してくれる男性です。

「15年くらい東京のIT関連の会社にいて。でも歳をとったからかなあ、40半ばを過ぎてちょっと価値観が変わってきて。人生の後半は、誰かに寄り添った仕事に就きたいと思うようになりました」

そう思っていたところで見つけたのが、みのりの郷の求人だった。

「もともと農業にはちょっと興味があったんです。でも経験なんてまったくないし、新規就農はリスクが高い。ここだったら、給与をもらいながら農業に携わって、知識も蓄えられるのがいいなと思いました」

そうして見ず知らずの土地に移住することを決めた犬飼さん。

ただ、不安は「かなりあった」という。

「全然知らない土地だし、知り合いもいない。そんななか、早い段階から村長をはじめとした村のキーマン、とくに農業で頑張っている人たちと触れ合うことができて」

担い手のいなくなった茶畑を引き取り、より美味しいお茶づくりを目指す人。何十年もの間、野菜を苗から育てて村の農業を盛り立ててきた人。

「みなさんすごいこだわりが強いんです。素人の僕らへの要求も高かった。こんなに頑張っている人たちがいるのかって、驚きました。この人たちと働きたいって気持ちが、自分の支えになったのかな」

まずはオペレーターに機械の操縦方法を教えてもらった犬飼さん。

ただ、一筋縄ではいかなかったそう。

「みなさん我流で操縦方法を覚えてきた人たちなんですよね。だから教え方がわからないし、教えるのもうまくない(笑)。最初は機械も転倒させたし、破損させたりもしました」

「そうは言っても、基本作業を知らないとオペレーターのフォローができないので、なんとか覚えていって。大型特殊とかフォークリフトとか、働きながらいろんな資格を取得できるのは魅力の一つです」

今は事務仕事を担いながら、ライスセンターも管理できるまでになった。

「今回募集する人も、事務仕事やオペレーターのサポートなど基本的な仕事を確実に覚えたうえで、トラクターやコンバインに乗ってガンガン作業をやるっていう身の振り方でも全然OKです」

また、興味があれば新しい事業にもチャレンジできる環境だという。

犬飼さんは、野菜の苗づくりに取り組んでいるところ。

「苗づくりといえばこの人、という方が村にいて。ただ高齢で、その方が辞めたら村では苗をつくれなくなってしまう」

「その技術をみのりの郷で継承していけたらって。今は業務時間のなかで、一緒に苗や野菜をつくっています。もともと興味があったし、いろいろ実験しながら取り組めるのはすごく楽しいですね」

これからの課題は、苗づくりを事業として軌道に乗せる方法を考えることだそう。

もうすぐ協力隊の任期が終わり、社員となる犬飼さん。

この3年間、働いていてどうでしたか?

「僕が一番いいなと思っていたのは、すごくメリハリがつくことなんですね。日中は体を動かして、日が暮れたら仕事を終える。稲刈りの1ヶ月半はほとんど休めないけど、1月から2月は忙しい仕事がないからまるっと休めます」

「ただ、これだけメリハリがあるとのんびり田舎暮らしはできないですよ(笑)。そこは覚悟しておいてほしいです」

みのりの郷で働くのは少人数のスタッフ。それでも地域に暮らす農家さんやオペレーターたちを巻き込みながら、広くこの村の農業に向き合っています。

この小さな村をフィールドにどんな農業ができるだろう。

前向きに考えられる人なら、この仕事を楽しめるように感じました。

(2019/09/09 取材 遠藤 真利奈)

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