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大勢じゃなくてもかまわない
あなたに届けるまくら

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「80%の人が『いいね』といいそうなものより、20%だけでもいいから、本当に必要としてくれる人がいるもの。そんな商品づくりを目指しています」

寝転びながら本を読むときに使用する読書用枕「HONTO(ホント)」や、農作物の有機廃棄物からつくられた環境に優しい枕「MEGUMI(めぐみ)」、寝返りしやすさをとことん追求した枕「SEESAW(シーソー)」など。

株式会社ジスクリエーションは、悩みを持った方や探していた人にはたまらない、視点がちょっと面白いオリジナルの枕やクッションを数多く生み出しているクッション・ピローメーカーです。

企画デザインから製造、販売までのすべての工程やデザインを一貫して社内でおこない、こだわりのものづくりを続けてきました。

今回募集するのは、オリジナル商品のコンセプト立案から製造工程の管理まで幅広く担う企画職と、パッケージなどを担当するグラフィックデザイナー。

デザインワークを円滑に進めるために、どちらの仕事もIllustratorやPhotoshopを使った経験があると活かすことができそう。得意ではない人でも、やりながら学ぶことができるそうです。
世の中のほんの小さな悩みや、あったらいいなをカタチにするために、答えをじっくり考えていく仕事だと思います。



名古屋駅から地下鉄東山線で一駅の伏見駅。

オフィス街を歩くこと5分ほどで、ジスクリエーションの入るビルに到着した。

8階にあるオフィスの扉を開けると、部屋一面にたくさんの枕やクッションが並んでいる。

「ここにあるのは一例で。ほかにも、100種類以上のオリジナル商品があるんですよ」

そう教えてくれたのは、代表の中濱さん。会社を立ち上げて、今年で16年目を迎えるそう。

「もともと僕は、別の寝具会社で企画やデザイナーとして働いていたんです。そこは、いいものをつくるというよりも、多くの人に手頃な値段で買ってもらえることを目指している会社で」

商品を安くつくることがもっとも重要だったため、素材や品質、使い心地の面で妥協をしなくてはいけないことも多かった。働いているなかで、次第に違和感を覚えるようになったそう。

「そもそも、自社製品を自分では使っていなかったんです。自宅で使っていた寝具は、質もデザインもいい他社の商品。それってどうなんだろうと感じていて」

「僕がやりたいのは、自分たちが本当に使いたいと思える、出会えたときに感動してもらえるような寝具をつくることだと思ったんです。そのために、自分で会社を立ち上げることにしました」

創業2年目のとき、大手寝具メーカーから依頼を受けて、枕の企画から製造までをすべて担当することに。

企画の段階から枕をつくるのは、このときがはじめて。まずコンセプトを考えてみた。

「当時世の中にはまだ、コンセプトのある枕はなかった。『低反発枕』や『抗菌枕』みたいな、素材や機能の違いしかなかったんです」

そこで中濱さんが考え出したのが「愛情まくら」。

コンセプトは、「幼いころ母親に抱きしめてもらったときのような愛情を感じるまくら」。

それを中に詰める素材の柔らかさや生地の触り心地、形状、商品パッケージなどで表現した。

すると店頭販売は好調で、依頼先から新しい依頼も増えたそう。

「枕やクッションのようなありきたりなものでも、まだまだいろいろなことができる可能性があるんだと気がついて。コンセプトからものをつくる、このやり方を生かして『あなたのために枕をつくる』会社にしようと決めたんです」

今やジスクリエーションの定番商品にもなっている「relaxiaシリーズ」は、じつは愛情まくらをもとにつくられたクッションなんだとか。

カラフルな色使いが可愛い…! 手前にあるピンクのクッションは、なんの形ですか?

「これは、ゾウをイメージしていて。ほかにも、ウサギやリス、カタツムリなどをモチーフにしたクッションもあるんですよ。ちょっと変わった形ですけど、実は見た目の可愛さだけでなく、体にフィットする機能性を両立したデザインなんです」

ゾウの鼻の部分を首にかけて抱いてもいいし、顔の部分を枕にするのもいい。そのときの気分に合わせて、いろいろな楽しみ方ができそう。

「観葉植物を家で愛でたり、ペットに癒されたりするように、クッションを使ってないときも楽しんでもらえたらうれしいです」

触らせてもらうと、しっとりやわらかく適度に弾力があって、人肌のような感触が気持ちいい。

「安心感がありますよね。これは、マイクロファイバーという素材を使用していて。髪の毛の10分の1という細さのわたなんですよ。これを大量に詰めることで、柔らかすぎずもちっとした感触になるんです」

「わたを詰める生地にもすごくこだわって。これだ!と思う布に出会うまで、いろいろな工場や展示会を見て回りました」

人肌のようなぬくもりを感じられる柔らかい素材を探し続け、ようやく見つけたのは、女性の下着用として使われていた特殊なニット生地だったそう。

「触ったときの直感で、これしかないと思いました。薄くて伸びのよい生地なので、わたの柔らかさをダイレクトに伝えることができるんです」

「ただ、この生地を濃い色で染めてしまうと、洗濯したときに色落ちすることがわかって。試作品を10回以上つくって、3年がかりでようやく完成しました」

現在relaxiaシリーズは、有名百貨店やファッションビルなどでリミテッドショップを展開しており、もっと愛着が湧くような商品をめざして新たな開発も進んでいる。

ほかにも、睡眠の質を向上したい人へ向けた「寝返りがしやすい枕」や、「寝姿勢が安定する枕」など。

生産性を考えると大変さはあるものの、手間がかかっても細かい部分にこだわった商品をつくっていくうちに、お客さんが値段以上の価値を感じてくれていることに気がついた、と中濱さんは言う。

「あったらいいなと思っていたけれど、世の中には存在していなかった。そんな商品に出会えたときに、お客さんは感動してくれる。小さなニーズでも恐れずに、それを本当に必要としている方の願いに気づいて届けていくことが、結果として感動につながっていくんだと思いました」

ジスクリエーションでは、ターゲットを絞った商品開発を心がけているそう。

たとえば「HONTO(ホント)」は、ベッドで寝転びながら本を読むときに使うための枕。

本を読みながら横向きで寝ていても、首や肩、耳が痛くならないようにフィットする形をしている。普段使っている枕の上に置くことで、本を読むのにちょうどいい高さになるんだとか。

私もよくベッドでごろごろしながら本を読むので、これはすごくほしいです…!

「読書好きな人にはたまらないですよね。一定の層には絶対に響く、そういうコンセプトを考えるようにしているんです」

ターゲットを広げるとありふれた商品になってしまうし、ニーズを読み間違えると、売れないリスクもある。

「コンセプトを決めることが、一番大切で難しいですね。日常のちょっとしたシーンや会話から、そこに潜んでいる悩みや困りごとをキャッチするようにしています」

HONTOを思いついたのも、奥さんが本を読むときに、古い枕を2個重ねて使っているのを見かけたことがきっかけだったそう。

どんなものがあったら喜んでもらえるだろう。そんな視点が商品企画においては大切になるのだと思う。

14人いる社員のうち、商品企画やグラフィックデザインを担当しているのは、中濱さんを入れて3人。

今回募集している商品企画の場合、まずは進行中の企画に参加し、コンセプトの立案から生産現場とのやりとり、製造工程の管理まで、商品ができるまでの流れを学んでいく。

経験を積んだ後は、企画チームのリーダーとして、商品づくり全体のディレクションを担当してほしいそう。

今回は、パッケージやカタログ、ブランドロゴなどのグラフィックデザインを担える人の応募も、期待しているとのこと。

「たとえばこれが、HONTOのパッケージです。読書好きに向けてつくった商品なので、カフェで本を読んでいる人たちが喜んでくれそうなデザインを意識しました」

白と黒がベースの、落ち着いた雰囲気の箱。HONTOと書かれたロゴは少しかすれていて、独特の風合いがある。

「これは、活版印刷をイメージしています。商品を横から取り出せるようになっているのも、辞書の外カバーをモチーフにしているんですよ」

パッケージの素材や形、ロゴのフォントや色はなにが適切なのか、デザイン一つひとつに意味が込められている。

「オリジナル商品をつくるときに、パッケージやロゴはすごく重要で。届けたいお客さんに届くように、商品のコンセプトをきちんと表現することを意識しています」

「納得するパッケージができるまで、デザインを何度もつくり直すこともあります。デザイナーには、そのデザインが何を意図しているのかをよく尋ねていて」

どうしてこの形にしたのか、このフォントを選んだ理由はなんなのか。

中濱さんから質問されることも多い。コンセプトと向き合って、デザインを追求していく姿勢が求められると思う。

「芸術性より、コンセプトを理解できる力が大切だと思っています。コンセプトに合ったデザインを、楽しみながら考えてくれる人に来てほしいですね」

眠りやインテリアに興味はあるけど、それほど詳しくないなという人でも大丈夫。

まずは、いろいろな商品を見てデザインの組み立て方を学んでほしいそう。化粧品でもキッチン用品でも、ヒントは街中にあるという。

「身近にある化粧品のパッケージなども、ターゲットにしている層やアピールしたい効果によってデザインに違いがあるので、注目して見比べてみると面白いと思います。いま、パッケージの形もどんどん変わってきているんです」

「箱や包装紙は、豪華で綺麗なものでも開けたらすぐに捨てることが多い。なんだかもったいないですよね。長く愛用してもらえるようなものにチェンジしていきたいなと思っていて」

HONTOも最近は、肩から掛けられるポケット付きのバッグに入れて販売するようになった。

従来の形にこだわらない、新しいパッケージを考案していく機会も多くなりそう。

グラフィックデザインにとどまらず、いろいろな分野のデザインに挑戦できると思う。

「ジスクリエーションにしかない商品をつくってきたことで、次の商品に対するお客さんの期待も高まっているんです。その期待に応え続けていけるように、新しく来てくれる方と一緒に頑張っていきたいですね」



あの人が喜んでくれる枕ってどんなものだろう。その魅力を伝えられるパッケージはどんなものだろう。

大勢の人のためではなく、あなたのために。届けたい人の顔を思い浮かべながら、商品やパッケージをつくっていく仕事なんだと思いました。

(2019/12/9 取材 鈴木花菜)
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