求人 NEW

microなアイデアを
社会に実装していく
好奇心まじわるレストラン

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「ここは“飲食店はこうでなきゃ”っていう壁を壊せる場所だと思うんです」

そう話すのは、東京・有楽町に昨年12月オープンしたばかりの「micro FOOD & IDEA MARKET」に立ち上げから関わっている、シェフの比嘉康洋さん。

大げさに聞こえるかもしれませんが、実際に訪ねてみて、なるほどたしかに、こんなお店は今まで出会ったことがないなと思いました。

たとえば、支払いは完全キャッシュレス。高速バスの貨物の空きスペースを活用した「産地直送あいのり便」というシステムを独自に採用し、全国から新鮮な食材を仕入れています。

さらに、株式会社EBILABの店舗経営ツール「TOUCH POINT BI」を導入することで、来客情報を細かく分析。その日の気象や季節に応じて来客予想を立て、仕入れや仕込みの無駄を最小限にとどめることにも努めています。

こうしたテクノロジーや仕組みの新しさだけでなく、料理のスタイルも自由です。キムチもあればハンバーグもあり、サワラのゆず味噌焼きもあれば、インドネシア・スマトラ島のお母さん直伝のカレーもある。

ジャンルにこだわることなく、食材のもっともおいしい調理法を考えて提供する。そんな比嘉さんのスタイルに学びながら、このお店を切り盛りしていくシェフと、キッチンとホールそれぞれのアルバイトスタッフを募集します。

シェフは調理の実務経験があったほうがいいものの、ジャンルや専門性は問いません。“当たり前”にとらわれず、新しい方法やアイデアをどんどん取り入れて力をつけたい!という、チャレンジ精神旺盛な人を求めています。

 

地下鉄有楽町駅の最寄り出口からmicro FOOD & IDEA MARKET(以下、micro)までは、歩いて1分ほど。

日比谷駅や銀座駅からも近く、少し歩けば皇居外苑も見える。まさに東京のど真ん中、というような立地だ。

メタリックな外装に描かれた「m」のロゴが目印。丸の内仲通り側には縁側のように佇めるベンチがあり、大きな窓からは中の様子がよく見える。

広々とした店内には、間仕切りがない。料理の注文カウンターのほかに、物販コーナーや特設の展示スペースもあって、全体がゆるやかにつながっている。

迎えてくれたのは、株式会社インターローカルパートナーズ(以下、ILP)代表の山本桂司さん。

ILPは、地域プロデューサーの育成とネットワークづくりをしてきた会社。その経験を活かして、microの立ち上げから運営を担ってきた。

「はじまりは有楽町のまちづくりなんです。東京はいろんな物事が集まるまちで、大きなシステムを導入していくのは得意。一方で、個々の人間が何を考え、どう生きてるかみたいなことって、なかなか顕在化しないじゃないですか」

わたしはこんなことがしたい!とか、こんな場があったらいいなとか。思うことはあっても、それを実際に形にするのは難しい。

たとえば東京で物件を借りて何かはじめようと思ったら、賃料は高いし、すでにプレイヤーはたくさんいる。じゃあやめておこうか、となると、生き残れるのは資金力のある大企業や有名ブランドだけで、なかなか新しい芽が出ない。

それは、このエリア一帯を長年開発してきた三菱地所にとっても課題だった。

「だったら、小さくてもおもしろい、microなアイデアを社会に実装していく実験場をつくろうじゃないかと。そこで三菱地所さんが主体となって立ち上げたのが、この場所です」

象徴的なのが、Micro IDEA Relationship Builderと題したインスタレーション。この有楽町エリアで新しくはじめたいプロジェクトを提案し、仲間を募るというものだ。

具体的には、けん玉パフォーマーの児玉健さんが発起人の「有楽町フューチャーけん玉部をつくりたい」といったプロジェクトもあれば、WIRED日本版編集長の松島倫明さんによる「ミラーワールドを出現させたい!」というプロジェクトなど、“どういうことだろう?”と一歩踏み込まないとわからないものも多く並んでいて、一つひとつのテーマ設定にも挑戦的な姿勢を感じる。

こうしたプロジェクトの情報は、microの店頭のデジタルサイネージに表示されるほか、三菱地所の所有する5つのビルでも掲示されていて、誰でもメンバーに加わることができる。また、提案者としてアイデアを発表することもできるそうだ。

ほかにも、Tokyo Art Book Fairとコラボレーションしたアートブックの自販機や、CAMPFIREによるクラウドファンディングの商品支援ブース、全国各地の食品や工芸品を集めたコーナーなどがあり、中央のスペースでは事前予約不要のイベントも度々開催している。

ふらっとご飯を食べにきた人がイベントに参加したり、思わぬ形でつながったり。ゆるやかにひとつの空間を共有することで、いろんな出会いが生まれていく。

「ここには“好奇心が交差する市場”っていうコンセプトがあって。『これめっちゃ好きなんやけど、みなさんどう思う?』って投げかけたら、刺さる人には刺さる、みたいな。社会実験の場のようなイメージで運営してますね」

それは、今回メインで募集する飲食部門にも言えることなんでしょうか?

「もちろん、基本は食材を発注して調理してお客さまに提供する仕事だし、利益を上げることも重要です。でもそこ一辺倒だと、普通の業態と一緒になってしまう。そのなかでどうおもしろくしていけるか、ってことは考えていますね」

たとえば、一部の調味料はストックの下に秤があって、量が減ると自動で発注するシステムになっている。

さらに、来客情報をビッグデータとして蓄積し、仕入れや仕込みの無駄を省いたり、支払いを完全にキャッシュレスにしたり。

表には見えない裏側の仕組みも含めて、新しいアイデアを積極的に取り入れている。

「レジ締めの概念がなくなったのは大きいと思います。掃除とか料理とか、本質的なことにそのぶんの時間を割けるので」

 

そうした工夫の積み重ねは、テクノロジーの面だけではない。

メニュー開発や食材の仕入れなど、飲食部門を監修しているシェフの比嘉康洋さんにも続けて話を聞いた。

「マニュアルづくりは徹底して行なっていますね。レシピも、レストランづくりのノウハウも、全部オープンにして。いつかスタッフが自分でお店を持ちたいと思ったときに、役立ててほしいんです」

キッチンには調理経験者も未経験者もいる。そんななかでも、オープンから1ヶ月ほどで仕込みから提供まで、ほとんど現場スタッフだけで回るようになっているという。

「わたしは怖く見られがちなんですが(笑)、まず怒ることはないですし、新しく入った方も食材にどんどん触ってもらいます。ほかのことを覚えたり、気を遣ったりするぐらいなら、料理に向き合ってもらいたいので」

料理人としての比嘉さんは、どんな経歴を辿ってきたのか。

キャリアのはじまりは、CHAYAマクロビフーズ。マクロビを取り入れたフランス料理に7年力を注いだ。

新店舗の立ち上げなどの経験も積んで、次に何かおもしろいことができないかと考えていたところ、出会ったのが六本木農園。“農家のライブハウス”をコンセプトに、顔の見える生産者のつくった野菜を料理して提供することにおもしろさを見出していった。

「そのうち全国から『うちの野菜が一番だ!』っていう若手の生産者が売り込みにくるようなお店になって。彼らが地域の農家さんのリーダーになって、またいろんな人を紹介してくれて。生産者さんとのネットワークはそこで一気に広がりましたね」

2015年に六本木農園が閉店すると、今度は“拠点を持たないシェフ”として動きはじめた比嘉さん。地域のレストランの立ち上げやメニュー開発、日本初のレストランバスのプロジェクトなど、食にまつわるさまざまな取り組みをプロデュースしてきた。

「自然交配で健康に育った短角牛、漁港から直送した魚、旬の野菜…。わたしは、生産者とのネットワークは日本一持っているんじゃないかと思っていて」

そのネットワークを最大限に活かすのが、「産地直送バスあいのり便」のシステム。

全国各地と東京を結ぶ高速バスの空きトランクに、野菜や肉、魚や乳製品などの食材を積み込んで運ぶ仕組みだ。

これによって、大手の流通には乗らない、希少で新鮮な食材を仕入れることができている。

「とにかくいろんな食材を大事に扱いたい人、そして料理が大好きな人に来てほしいですね。素材を活かせるなら、料理のジャンルにはこだわりません」

microのメニューは、その日の仕入れや季節によってどんどん変わっていく。

ベースは、好きなものを組み合わせて選べるデリスタイル。今年はオリンピックイヤーで、海外からのお客さんがさらに増えると予想されていることもあり、ビーガンにも対応しているとのこと。

「microということで、微生物を使ったプロバイオティクスフードなんかも取り入れています。ただ、健康志向を押し出すよりも、食べておいしいし、ここに来るとなんだか体調がいいっていう、ゆるやかな感じで楽しんでもらいたい」

「今回募集するシェフも、柔軟にいろんなことを吸収していってほしいですね。わたしも引き続き監修で関わるので、ひとりでやれるほど経験がなくても大丈夫。2番手でずっとやってきてスキルアップしたい人、自分でお店を持ちたいんだけど生産者とのつながりがなくて、って人もいいんじゃないかと思います」

microは実験的なプロジェクトのため、今回の募集はILPとの業務委託契約という形になる。

人によっては不安に感じるかもしれないけれど、見方を変えれば、雇用関係に縛られることなく経験を積める修行期間とも捉えられる。

 

「何か目標があって、そのためにここで経験を積みたいという人がいいと思います」と話すのは、店長の長谷川貴之さん。

ILPの主催するオーディションをきっかけに、“地域プロデューサーの卵”として採用された長谷川さん。

接客やマネジメントの仕事は未経験だったものの、店長に抜擢された。

いつか地元の栃木に戻って事業をはじめたいと考えていて、今はそのための修行期間ととらえているそうだ。

「ここには毎日いろんな人がやってきます。オープンから1ヶ月が経ちますが、日々出会いと新しい経験の連続ですね」

一方でそれは、大変なことでもある。

新しい取り組みやイベントについて、お客さんから聞かれることもあるし、オペレーションもどんどん変わっていく。ちょうど取材当日も、「東京ユアコイン」というサービスが新たにスタートしたという。

「それを楽しいと思えるかどうか、ですよね。いろんなチャレンジや失敗を恐れない人がいいなと思います」

4月にはスペインのバスク地方とコラボレーションした食のイベントが控えていたり、高輪ゲートウェイ駅でコンテナを使った出店計画があったり。これからますます、広がりが出てくるプロジェクトだと思います。

飲食業界の“当たり前”にとらわれない、新たな料理人としてのあり方をつくっていきたいという人にとって、ここでの経験はきっと糧になるはずです。

(2020/1/9 取材 中川晃輔)

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