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なんにもないけんど
ゆずとの暮らしが
ここにはある

「馬路村(うまじむら)では、村の半数以上の人がゆずをつくっていて。ゆずの収穫時期になると、村外で暮らしている家族や親戚もみんな帰省してきて、収穫を手伝うんです。これは、ここにしかないつながりだなって感じています」

そう話してくれたのは、馬路村農協で働く本澤さん。

馬路村は、高知県の東部に位置する山間の小さな村です。

人口約850人のうち半数以上の人々がゆずをつくる、「ゆずの村」として知られています。

「ぽん酢しょうゆ・ゆずの村」や「ごっくん馬路村」などのゆずを使った商品から、馬路村の名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。

これらすべての商品を手がけてきたのが、馬路村農協。

「自分たちの商品は、自分たちの手でつくりたい」との思いで、開発から製造まで農協でおこなっているんだとか。

今回は、そんな馬路村農協の一員として働く人を募集します。主に、新しい商品を企画開発する人を求めています。

まずは、ゆずとともに生きてきたこの村について知ってほしいです。


高知空港からタクシーに乗ること10分ほどで、のいち駅に到着。

海沿いを走る土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」に乗って1時間ほど揺られていると、村から最も近い安田駅に到着した。

馬路村は、ここから山へ向かって車で30分のところにある。

今回は農協の木下さんが駅まで迎えにきてくれた。

「遠かったろう。どんくらいかかった?」

助手席に乗った途端、気さくに話しかけてくれる木下さん。馬路村に到着するまでのあいだ、村のことをいろいろと教えてくれた。

「馬路村は村全体の96%が森林やき、村のほとんどの人が林業に携わっちょったんです。それが、時代とともに森林事業が衰退していって。こんな山奥の村でも何かないろうかと考えた結果、ゆずにたどりついた」

どうしてゆずだったんでしょうか?

「ゆずしかまともに育たんかったがやね。山間部やき日照時間も短かいき、みかんやびわもあったけど、すごく酸っぱくなってしまってね。ゆずやったら、皮が分厚くて香りのいいものをつくることができた」

「とはいえ、ゆずを育てちゅう地域は高知県内にも多い。馬路村のゆずをもっと知ってもらうため、また村のことをもっと知って好きになってもらいたい一心で、『ぽん酢しょうゆ・ゆずの村」や、はちみつと水だけを使ったゆずドリンク『ごっくん馬路村」が生まれました」

1988年に開催された「日本の101村展」でぽん酢しょうゆが大賞に選ばれたことをきっかけに、馬路村はだんだんとゆずの村として全国に知ってもらえるようになっていった。

「馬路村はゆずとともに生きてきた。生活に欠かせないものやね。ゆずの果汁をしぼった瓶やゆずを使った調味料が、食卓には必ず置かれているんです。あるのが当たり前だし、珍しいとも思わん」

「ステーキや刺身に果汁をかけたり、炭酸水やお酒で割ったりしても美味しい。スナック菓子にもゆずをかけるがよ」

馬路村の人たちにとって、毎日の食事に欠かせないゆず。

毎年10月末頃になると、収穫が始まる。

「うちの実家でもつくりよったき、小さいころから手伝わされよったね。秋になると『ゆずとらないかんね』って、村外に住んでいる親戚もみんな集合する」

「収穫の時期は、どこにおってもゆずの香りがしてくるんです。ゆずを乗せた田舎のオープンカーがあちこち走って、村中が賑やかになるがよ」

ゆずの収穫はほぼ毎日、朝から夕方まで続く。

1ヶ月かけて、一農家あたり4万個ほどを収穫していく。

「朝8時から始めて、お昼は畑で食べる。10時と15時には、おやつ休憩もあって。時には手づくりのお菓子をみんなで食べながら、いろいろ話をしたりするんです」

「夕方になると村唯一の温泉宿にみんなやってきて、温泉に入って疲れを癒し、宿にあるレストランで夕飯を食べて帰るんです。温泉は地元の人で毎日大繁盛やね。逆に、忙しすぎて行く暇もないきこの時期の診療所はガラガラ(笑)」

きっと温泉宿で食べる夕飯は、村のみんなが集まってすごく賑やかなんだろうなあ。村全体が大きな家族みたいな感覚にもなりそう。

そんな想像をしながら話を聞いていたら、あっという間に村へ到着した。

「家は川沿いに密集していて、ここから見えるあたりが主な中心地です。信号機もコンビニもないけれど、夏は子どもたちが川で遊んでいて、秋には村の運動会もある。村の人みんなが知り合いやね」

その言葉どおり、出会う人みんなに声をかけていく木下さん。

「取材に来てくれている人でね、今度農協で人を募集するがよ」そんなふうに私のことを紹介してもらうと、「そうながやねー!よろしくお願いします」と村のみなさんも笑顔で話しかけてくれる。これからやってくる人も、こんなふうに自然な流れで村の一員になっていくのかもしれない。

お昼を食べたあとに向かったのは、今回募集する人が働くことになる農協の加工場。

なかに入った瞬間、ゆずの甘くていい香りがふわっと広がった。

「村でとったゆずはここで加工しちゅうからね。農協の中に工場があって、商品の開発から製造、受注や出荷も自分たちでやっている。なかなか全国的にも珍しい取り組みながよ」

農協で働いている方は全体で90人ほど。小さな組織なので、どの部署の人とも関わりがあるそう。

農協にいる人たちはどんなふうに働いているんだろう。話を聞いたのは、新卒で入社して8年目になる本澤さん。

「もともと高知市の中心部に住んでいました。田舎暮らしに憧れがあって、馬路村で働くことにしたんです。実は馬路村の村民って、村外から来ている人も意外と多いんですよ」

入社以来、広報として馬路村農協の商品を広めることに取り組んできた本澤さん。担当部署以外の仕事も、みんなで助け合っておこなっているそう。

今回主に募集したい新商品の企画開発担当も、いろんな仕事に関わることになると思う。

「注文の電話をとったり、忙しい時期は出荷を手伝ったり。イベントに出てお客さんと話しながら商品を売ることもあります」

「農協の職員はもちろん、村の人みんなでつくっている商品だなって思います。小さい村なので、農家さんに対しても『普段の生活から関わっている村の人』という意識のほうが強いですね」

ゆずを通じて、村のみなさんが一つになっているようにも感じました。

「そうですね。それと同じぐらい、ここでつくっているゆず商品が、ほかの地域の人と村をつないでくれているとも思っていて。商品から馬路村のことを知って、この村へ遊びにきてくれる人も大勢いるんです」

馬路村の大雨被害がニュースになると、ゆずや村の様子を心配した人から、農協に電話がかかってくることも。

「商品に対する感想のお手紙が、1日に10通以上届く日もあります。農協で働くようになって、馬路村のファンでいてくれる人がたくさんいることを実感して。自然と『その人たちにもっと喜んでもらいたい』と思うようになりました」

農協でつくっているゆず商品は、現在70種類以上。

「これからも商品を増やしていきたくて」と本澤さんは話す。

「ゆずには、がんの抑制効果や抗メタボ効果があることも最近わかったんです。健康食品としても何か新しい商品をつくることができるかもしれない。ゆずのことを知れば知るほど、面白いなって。まだまだ研究できる素材だと思っています」

ゆずの可能性は広がる。

ここ10年ほど前からは、ゆずの種からとれるオイルを使用した化粧品に力を入れているんだそう。


現在、その化粧品の開発に携わっているのが、化粧品開発係の佐藤さん。

「ゆずって、一個の中に種が20個以上も入っていて。収穫したものを全部集めればすごい数になるのに、今までは使い道がほぼなかった。そこで、何かに活用できないかといろいろ調べてみたんです」

高知大学農学部や医学部との共同研究の結果、種からとれるオイルには、シミの原因となるメラニンを抑制する効果や、アトピー性皮膚炎のかゆみを抑える効果があることがわかった。

最近では、ゆずが熟す前の青ゆずの種子エキスに、エイジングケア効果があることも発見されたそう。

「それなら、ゆずの種を使った化粧品をつくろうということになって。ただ、ゆずって化粧品の原料とするにはかなり扱いづらいんです。ゆずをもとにした化粧品って、実はほとんどない。あったとしても香りづけでほんの少しエキスを入れているくらいで」

農協には、化粧品に関する知識や技術を持った人はいなかった。それでも10年以上にわたって試行錯誤を続け、2011年に馬路産のゆずの成分をふんだんに使用した化粧品「umaji」が誕生した。

専門の化粧品工場もつくられ、今では15種類以上のラインナップがある。

「僕が3年前に入社したときは、今ある商品をより良くしていこうという時期で。『クレンジングが目に入ってしみた』という声をいただいたので、クレンジングに含まれている20種類の成分一つひとつを実際に目に入れて、どの成分がしみるのか確かめたんです」

直接目に入れて調べたんですか!?

「そう(笑)。何個目かを試したときに、『うわーしみるー!これが原因かー!』って。その成分を使わないように改良して、しみなくなったって声をもらえたときは、本当にうれしかったですね」

「入社当時は、化粧品の知識なんてほとんどなかった。調べる方法もわからないから、必死だったんですよね」

化粧品に限らず、どの部署の人もみんな、未経験から試行錯誤しつつ仕事を進めることが多いそう。どの部署の担当になるとしても、自分で勉強しながら日々の仕事に向き合う姿勢が大切だと思う。

「今、化粧品の開発を担当しているのは僕だけ。月に一度来てくれるアドバイザーさんの力も借りつつ、毎日模索していますね。扱いづらいゆずに一生懸命向き合っていくうちに、いつの間にか愛着がわいていて」

「今は、最先端の技術を使った新しい化粧品づくりにもチャレンジしてみたくて。ゆずをつかって挑戦できることはまだたくさんあるので、今後が楽しみです」


取材後、木下さんの話に出てきた温泉宿で鍋をいただいた。鍋つゆは、ゆずのだし。香りづけにゆずの皮も置いてある。

農協のみなさんからいただいたお土産も、ゆず、ゆず、ゆず。

温泉にはゆずオイルのシャンプーやボディソープが置かれていて、まさにゆず尽くしの1日だった。

村のみなさんにとって、ゆずは日々の食卓に欠かせないもの。それだけではなくて、村の誇りにもなっているように感じました。

この素材を使って、何ができるだろう。そんなふうにゆずの可能性を楽しみながら広げていけるような人に来てほしいなと思います。

(2019/12/16 取材 鈴木花菜)

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