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パートナーとともに
“こうしたい!”未来を
つくり続ける

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「言われた通りに設計やデザインをするのではなくて。なぜつくるのか、そして何をどうつくるべきか、というところから僕たちは考えたい」

「その考え方は、建物だけじゃなくあらゆる場面やものに展開できると確信しています」

そう話すのは、upsetters architects(アップセッターズ アーキテクツ)を主宰する岡部さん。

upsetters が手がけるのは、建築やインテリアなどの設計・デザイン。それと並行して、伝統的な焼物のブランディングや老舗企業の事業リニューアルなど、さまざまなブランド・事業の構築にも携わっています。

今回は、upsettersの手がけるプロジェクトにおいて、「なぜ」「何を」「どうつくる」という戦略から考えるストラテジスタッフを募集します。



人で溢れかえる原宿駅前を抜けて、通りを一本中に入る。

表通りとは打って変わって、静かな雰囲気の住宅街。しばらく歩いた先にupsetters architectsの入るビルを見つけた。

明るい光が差し込む打ち合わせスペースで、代表の岡部さんに話を聞く。

upsetters architectsは、岡部さんが大学院で建築を学んでいたころに出会った仲間2人と、15年前に立ち上げた会社。

建築設計事務所でありながら、建築以外のブランドや事業開発も手がけていると事前に聞いていたものの、どんな会社なのかうまく想像がつかない。

そもそも、建物以外も手がける建築設計事務所ってどういうことだろう。

「そうですよね。建築設計事務所は建物を考え、デザインするところです」

「そうすると、当たり前ですがクライアントから依頼を受けて空間や環境をつくることがほとんどです。ただ僕は、クライアントの要件にそのまま従っていくだけでは、最適な答えが出せないんじゃないかとずっと思っていて」

最適な答え?

「何のために、何を、どうつくるか。つくる意味を考えたくて。たとえば建物をつくってほしいと依頼されても、本当の目的を辿ると、答えは建物じゃないことだってあると思うんです」

そう言って教えてくれたのは、おしぼり業界のクライアント。

関わるきっかけは、4年前にオフィス改装の相談を受けたこと。

ただ、現時点でオフィスの改装には着手していないという。

「計画が頓挫したわけではなくて。クライアントの事業を総合的にヒアリングするなかで、オフィスをつくるよりもっと大事なことがありそうだと思ったんです」

クライアントは、香り付きのアロマおしぼりや抗ウイルス・抗菌機能を備えたおしぼりなど独自商品を開発したり、ECサイトを展開したりと、積極的に取り組んできた老舗企業。

「おしぼりを一つの文化として、もっと可能性を広げていきたい。そんな想いを受け取りました」

「それならオフィスをつくるよりも、まずは会社の新しいメッセージを社内外に伝えていくことが必要なんじゃないか。そのメッセージを整理して、伝え方を一緒に考えることこそ、今求められていることなんじゃないかと思って」

そうして取り組むことになったのは、企業のブランド戦略。

社名のリニューアルに、コーポレイトアイデンティティの策定。多岐にわたっていた事業も分かりやすく分類して、表現も整理した。

さらに企業の目指すビジョンを社内外へ伝えるため、クリエイティブの視点で戦略を立てる。

そうして社内報や新商品の開発など、オフィス改修とは異なるプロジェクトが続いている。

「建築を学ぶとき、はじめに『前提条件を疑い続けなさい』と教わりました。長く必要とされるものをつくるために、当たり前を疑いながら、目的に向かって線を引いていく」

「そう考えると、建築の考えって建物をつくるだけじゃなくて、本当にあらゆるものに応用できるんじゃないか。そういう視点を持って取り組む仕事こそ、僕は面白いと思うんです」

クライアントとともにプロジェクトにかかわる様々な関係性をひもとき、本当に必要な目的を設定する。その目的を達成するため、なぜ、何を、どうつくるべきか考える。

いわば、デザインの前と後を考える専門チームが「ストラテジ」部門。

調査・分析を重ね、長期的な視点で戦略を立てる。グラフィックやコピーなどの具体的なアウトプットは、各分野の専門家とチームを組んでつくっていくという。

建築分野だけでなく、今治タオル専門店『伊織』のブランドリニューアルや照明ブランドのディレクションなど、さまざまなジャンルのプロジェクトを手がけている。

「ありがたいことに非常に多くのご相談をいただいています。業種などで線引きはしませんが、なんでも引き受けるわけでもありません。クライアントのモチベーションも含めて、このプロジェクトが本当に良くなったらいいな、と強く思えるものに取り組みたいと思っていて」

強く思えるもの、と言うと?

「主観ではありますが、まずは楽しいと思えること。僕は、自分たちの活動が社会にどういう意味をもつことができるかに興味があります」

「このプロジェクトに関わったら、社会も楽しく、より良くなるんじゃないか。そう思えるプロジェクトに、長期的に、かつ根本的に向き合っていきたいと思っています」

そんな思いで取り組んだプロジェクトが「10“TEN”」。ストラテジの最初期から、およそ5年にわたって関わってきたものだ。

「愛媛に旅行に来る人に、愛媛の魅力を伝える事業をつくりたい」という相談を受けたことがきっかけではじまったこのプロジェクト。

「愛媛=みかん、というのは誰でもイメージがつきます。ただ、お土産として選びたいものがほとんどなかった。これなら可能性があるかなと思いました」

調べていくと、いくつかあるみかんの産地のなかで、愛媛県は柑橘の種類が日本一と分かった。

それなら、それぞれの味の違いや、多くのレパートリーから選ぶ楽しさを提供したらどうだろう。

「市場にあるみかんの商品を網羅的に調べて、どうしたら手に取ってもらえる商品をつくれるか分析をしていきました。食への関心が高まっている今、栄養価が高くて、素材の味をそのまま楽しめるものがいい。ストレートジュースを中心に置こうと決めて」

最適な製法を探しに海外にも出張したそう。できるだけ柑橘の味を壊さないように、熱を加えず充填する方法を採用した。

同時に考えたのが、どんな柑橘を使うかということ。クライアントとともに農家さんを一戸ずつ訪ねて、減農薬・無農薬など、特にこだわってつくられた柑橘類を使うことに。

そうした戦略を踏まえて、最後にデザインを施す。

中身が美しく見えて、お土産にも選びやすいジュース瓶。商品がきれいに見えるように組まれた店舗デザイン。

こうしてTENは、今までになかった新しい柑橘ブランドになった。

「お店で楽しみながら買いものをしてもらって、利益もちゃんと上がる。それでも十分だと思うんですけど、僕たちのビジョンはそこだけではなくて」

「みかん農家さんにまで、ちゃんと利益が還元できるモデルをつくりたかったんです。産地の後継者不足、農薬や食の安全といった課題も同時に解決できるようなアプローチを考えたいと思いました」

TENのジュースは、1本720mlで約2000〜2500円。ともすればコンテナいっぱいに詰めて数十円という加工用みかんの買取価格を、少しでも上向きにしたいという想いがあった。

お店をはじめて、農家さんからはお礼の言葉が届いたそう。

「中途半端ではいけないなと思いました。どのプロジェクトも生半可な気持ちでは取り組めないし、できるだけ長く伴走したいと思っています」

クライアントと一緒に未来を見据えて形にしていく。責任を伴うぶん、自分ごとにもなっていくんだろうな。



「TEN」を発足当初から担当してきたのが益留(ますどめ)さん。設計スタッフでありながら、ストラテジ部門に関わってきた。

現場の一スタッフとしてどう形にしていったのでしょう。

「大きなビジョンに向けて、小さなゴールを設定していきました。リサーチと分析、戦略と実行を繰り返しながら、一歩ずつ前に進んでいく感覚でしたね」

まずは「柑橘でできることを知る」というゴールを設定。様々なジャンルの柑橘商品を一つひとつ調べてまとめていった。

同時に、お店の見せ方も考えていく。愛媛県内のお土産屋さんに足を運んだり、最近注目を浴びているショップも調べて特徴を分析したりと、考えるべきことを整理。

ブランドの方向性を決める打ち合わせに向けて、できるだけ多くの資料を集めていった。

「クライアントとは随時メールで連絡を取っていました。不安に思っていることや詳しく知りたいことを聞いて、新しい情報を伝えて。お互いにコミュニケーションしながら『こういうブランドにしよう』と解像度を上げていきました」

戦略とブランドの方針が決まったら、デザインの段階へ。

外部のグラフィックデザイナーとチームを組み、クライアントの希望も汲みながらディレクションしていく。同時に店舗設計も考えるなど、お店のオープン直前まで気が抜けなかったそう。

「オープン後も嬉しいというより、ひとまずホッとした感じで。その後も産地のことがわかるパンフレットをつくったらどうかとか、お中元を用意したいとか。根幹にある軸がブレないように、ブランドをより良い方向に進めるために、連絡を取りつつ考え続けていました」

クライアントと一緒に進める感覚なんですね。

「そうですね。自分ごとのように思っていたから気づけた部分もあると思うし、なんでもやるくらいの気持ちだったからできた仕事だと思います」

「ブランドを育てていけるかどうかって、結局は同じ方向をずっと見続けられるかどうかだと思うんです。だからこそ、難しさを感じることもあって」

難しさ、ですか。

「私はサポートする立場で、事業者ではありません。『こうしたらもっと良くなりますよ』と提案はできても、最終的なジャッジは事業者にあります。当たり前ですけど、どうしても踏み込めない領域は出てきます」

自分たちが良いと思うことに、より純粋に取り組んでいくにはどうしたらいいだろう。

そのひとつの答えとして、upsettersは一昨年、ストラテジ部門で取り組んでいたプロジェクトの一つをクライアントから買い取ることにした。

「事業性とビジョン、どちらも求めていく。この会社は本気なんだなって思いました」

年々増える相談に、より良い形で応えたい。見たことがないものをつくっていきたい。そんな想いもあり、今回はじめてストラテジ専属のスタッフを募集することになった。

建築を学んできた人でもいいだろうし、課題や魅力を引き出して方向性を決めていくという意味では、編集者やコピーライター、マネージメント、PRの仕事をしてきた人でも力を発揮できると思う。

ただ、スキルよりも大切なことがあると益留さん。

「この仕事って、やることは見えにくいと思います。でも、なぜやるかというビジョンに則っていれば何でも提案できちゃうんです」

「大変なこともたくさんありますけど、それも含めて楽しめる気持ちが一番ですね」

なぜ、何を、どうつくるか。常に問いかけ、考え続けていく仕事です。

本気で取り組むことができたら、きっと刺激的な日々が待っていると思います。

(2019/08/01 取材 遠藤 真利奈)

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