求人 NEW

自分の腕と名前で
仕事をしたい
夢追うものづくり工場

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「この工場には、特別な技術や機械はありません。でも自分で創意工夫する力があれば、個性的な作品もつくれるんです」

そう話すのは、マテリエ株式会社の大住さん。

マテリエは、スチールやステンレスをはじめとした金属を使って、階段や手すり、門扉、インテリア家具などを制作している会社です。

クライアントとの打ち合わせから製図、制作、取付まで。分業せずに、ひとりのスタッフがすべて行うことで、「空中に浮かんだような階段がほしい」「一筆書きをイメージした階段をつくりたい」など、さまざまな依頼に応えてきました。

これから自社ブランドや店舗をつくっていこうというタイミングで、新たに仲間を募集します。

ものづくりの経験は問いません。「自分の頭と手を動かして、ものを生み出したい」という人が集まった工場です。

(今回の取材はオンラインで行いました。写真は、ご提供いただいたものを使用しています。)


東京都大田区。

区内に3,500もの工場があり、その多くが金属加工を手がけているというものづくりの街だ。

マテリエも、この街に事務所兼工場をかまえている。

最初に話を伺ったのは、代表の大住さん。近くで金属を加工しているのか、キュイーンという高い音が聞こえてくる。

「音、大丈夫ですか?事務所のすぐ隣に工場があって。今、スタッフがそこで作業しているんですよ」

工場では、どんなものをつくっているんですか?

「スチールやステンレス、アルミを使ってつくれるものであれば、何でもつくりますよ。得意なのは階段やインテリア家具といった意匠金物ですが、頼まれれば、工事中にできた穴をふさぐ金属板なんかもつくります」

「僕も肩書きこそ代表ですけど、図面も引くし、溶接もするし、工場のゴミ出しもします。うちは社員4人の小さな会社ですから、全員がものづくりをできなきゃいけないんです」

もともとメーカーの管理部門で働いていた大住さん。「自分の手でものづくりがしたい」と、工場での修行を経てこの会社を立ち上げた。

創業して16年。ゼロからはじまった工場は少しずつ実績を積み重ね、今では建築設計事務所やゼネコン、工務店を中心に、幅広い相手から相談を受けている。

「うちにくる相談は、単純に作業すれば解決するものではなくって。『こんな雰囲気の階段がほしいんだけど、つくれる?』っていう抽象的な依頼もあれば、工事現場から緊急でお願いされるSOSまで、ああじゃない、こうじゃないと頭をひねる仕事が多いですね」

「この春も、すごくマニアックな螺旋階段をつくったんです」

そういって見せてくれたのは、とある階段を写した一枚。

「支柱を見てください。一般的な螺旋階段は、真ん中にまっすぐ支柱が立っていて、そこに段板がグルグルと巻きついています。でもこの階段は、天井と床をつなぐ支柱そのものがクネクネと曲がっていて、ポール一本で全体を支えているんですよ」

あっ、本当だ。あまり見ない形ですね。

「ぼくもほかでは見たことがないですね。ゼネコンさんから『こんな階段をつくりたい』と頼まれたんですけど、相談を受けた他社も難儀していたようで。最終的にうちに依頼がきました」

クオリティ、予算、納期。ゼネコンの設計士と打ち合わせをしながら、何パターンも図面を考えていく。

「図面を書くのは簡単なんですけど、美しさと安全性を保つためには、絶対にパイプが歪まない方法を考案しなければいけなくて。でも、軸となるパイプを上下で固定できる方法を編み出せれば、多様な形状が制作できるようになります。結果、今後の可能性が広がる案件になりました」

「うちでは、図面を書いたものは可能なかぎり自分で制作します。今回も、図面と実物の誤差を2ミリ以内に収めるために、慎重に溶接していきました」

とても繊細な仕事なんですね。

「現場に取り付けるまで、本当にこのやり方でいいのか?ってずっと不安ですよ。でも、誰でもつくれるものを仕事にしたってつまらないですよね。うちは特別な技術も機械もないですけど、各人の創意工夫で、どんなものでもつくってきました。それがマテリエの面白さだと思うんです」

「最近では、『デザインから製作まで任せるから、自由につくってほしい』と一任してもらえることもあって。この間は建築家からの依頼で、楕円形の螺旋階段と。モザイクタイルのテーブルを制作しました。自分たちでゼロから形にしていく仕事は、やっぱり面白いなと感じているところです」

言われたものを形にする仕事から、自分たちで創造する仕事へ。

ものづくりを続けて16年。会社として、次のステップに踏み出そうとしている。

「自分たちのブランドを持ちたいと思っているんです。お客さんに依頼されたものだけをつくるんじゃなくて、社員一人ひとりが本当につくりたいものをつくって、作品として、世に問う。個人の名前を前面に出したブランドを出してみたいと思っていて」

実はこの春、店舗物件の契約直前まで進んでいたそう。コロナ禍を受けて一旦白紙に戻し、現在はお店のあり方を見直しているところだという。

「単純にものを販売するだけじゃなく、ものづくりの楽しさを伝える場所をつくりたいと思っています。たとえばオリジナルのスツールを販売するんだけど、脚の部分はお客さんが工場で火花をガンガン散らして、僕たちと一緒につくるとかどうだろうって」

それは面白そう。大住さんたちつくり手にとっても、お客さんにとっても、お互いに発見が多そうですね。

「ものづくりをしながら、一緒にアイデアを持ち寄ってブランドをつくっていく仲間がほしいんです。違う土地で違う仕事をしてきた方でも、興味を持ってくれれば歓迎です。もちろん女性もね。ここには、重いものを持つのが得意な男が4人もいますから」


新しく仲間になる人は、未経験であれば、働きながらものづくりの基礎を習得していくことになる。先輩から教わる機会も多い。

入社13年目の佐藤さんは、そんな頼もしい先輩のひとり。

もともと現場監督として働いていた佐藤さん。自分もつくる側に回りたいと、マテリエに転職した。

「ここ2、3年は、『階段はマテリエさんで』と指名してもらったり、企画段階から数年単位でプロジェクトに関わったりするケースが増えてきました。責任は重いですけど、やりがいは大きくなったと思います」

担当者が、依頼主のヒアリングから製図、制作、取付まで一貫して担うのがマテリエ流。フットワークの軽さが強みになっている。

「ひとりで全体を見ているので、パーツの金額や制作に必要な時間がすぐにわかるんです。打ち合わせで実物を見てみたいと頼まれたらパッとつくるし、図面より立体で説明したほうがいいなと思ったときは、サンプルや実物の一片をトラックに積んでいって、そのまま荷台で打ち合わせをすることもあります」

製図や制作が順調に進んでも、図面と実物とで建物の寸法が違うなど、取り付け現場で不具合が生じることも多い。そんなときは、工場に戻ってパーツをつくり、再度現場に向かうこともよくあるのだとか。

求められたものを形にするため、試行錯誤していく。難しい仕事ほど、乗り越えた先に信頼関係が生まれ、次の仕事も指名してもらえることが多いそう。

あらためて、一人ひとりの力量が試される仕事だなと感じます。

「そうですね。ひと通り仕事を覚えることになりますし、店舗ができれば自分の名前で、自分が格好いいと思う商品をつくれるようにもなるはずです。将来独立するぞ、という意気込みがあってもいいかもしれません」

佐藤さんも独立を考えているんですか?

「うーん、独立したらいろんな事務やら手続きやらで大変かなって。だから僕は、この環境にいるのが一番いいなと思っています(笑)」


機械を扱う職人仕事とはいえ、依頼主はもちろん、協力工場や現場の職人など、さまざまな立場の人とコミュニケーションをとる機会も多い。

大住さんが「相談しやすい人柄なので、これからお客さんがついてくるんじゃないかな」と紹介してくれたのが、齋藤さん。

齋藤さんもまた、学生時代からものづくりが大好きだった一人。京都芸術大学で陶磁器を専攻し、卒業後は西陣の帯屋さんに営業担当として就職した。

「ものを売る仕事も楽しかったんですが、やっぱり自分の手でつくりたいという思いが強くなってきて。ものづくりの仕事を探すなかで偶然マテリエを見つけて、未経験可というので面接を申し込んでみました」

入社後は、先輩たちに機械の使い方を教えてもらったり、打ち合わせに同席したりするところからスタート。

「最初は苦労しました。打ち合わせでの提案の仕方や、工事現場での動き方、業界の習慣…何もわからなくて。当たり前ですけど、ものづくりを仕事にするのと、趣味でものづくりするのとは全然違うんだなって感じました」

依頼主の設計士は、一体どんな空間に見せたいのか。本当にこのデザインで合っているのか。実際に手を動かす段階よりも手前にある、相手の意図をくむコミュニケーションこそ大切だと知った。

「悩みながらも少しずつ前進していけたかなと。今回募集する人も、多少揉まれて鍛えられる時期があると思います。そこを乗り越えられたら、きっと自信もつきますよ」

今年で入社3年目。基本的な技術や知識を身につけて、今では一人で案件を担当するようになった。

「打ち合わせで相手の意図を聞いて、自分なりに設計士さんや現場主任に『こうつくってみませんか?』とか、『違う方法のほうがいいんじゃないですか?』って提案できるようになってきて。それで納得してもらえたら、よし!ってガッツポーズです」

「最近は、工事現場で一緒になる大工さんや左官屋さんの仕事も観察しています。去年も社員旅行で、バルセロナまでガウディを見に行って。これから自分がつくりたいものをつくるにあたって、建築やアートの知識が増えると、できることの幅が広がるんじゃないかって思っています」


最後に話を聞いたのは、入社して半年の國時さん。先輩方のもとで仕事を学んでいる真っ最中だ。

「今日は手が空いていたので、工場で使うクレーンをつくるための調べ物をしていました。クレーンを動かすためのレールにはどういう鉄鋼部材が必要か、どう取り付ければ有効に活用できるか…。小さいクレーンなんですけど、考えることはたくさんありますね」

前職はシステムエンジニア。自分のつくったものが形になることに惹かれて、マテリエにやってきた。

「今は初歩的な作業を担当させてもらっているんですけど、圧倒的に失敗が多くて。頭ではイメージできても、実際に機械を持つと全然思ったように体が動かないんです」

今はものづくりの面白さより、大変さを感じることのほうが多いと話す國時さん。それでも、手元で火花や光線を飛ばしながらものづくりをするのは刺激的だという。

「本当にたまに、うまく溶接できることがあるんです。やっぱりうれしいですよね。知識も技術も吸収して、とにかく早く一人前になりたいです」

出身も経歴も、キャラクターもバラバラの4人。共通点は、「学生時代、技術の授業がいちばん得意だった」ことだそうです。

大変なこともあるだろうけれど、ものづくりを仕事にしたい。そんな人であれば、きっと健やかに働けると思います。

(2020/08/18 取材 遠藤真利奈)

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