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副業・リモートで3ヶ月間
地域課題と向き合う
あたらしい関係人口のあり方

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

はじめましての状態から、オンラインで関係性を築いていくのはむずかしい気がする。どうしてもドライになってしまうというか、体温が感じられないというか。

でも案外、できないこともないんじゃないか。そんなふうに思わされる取材でした。

長野県塩尻市の課題解決をきっかけに、まちとの新しい関わりをつくる人を募集します。

どういうことなのか、詳しくはじっくり紹介していきますが、最初に伝えたい特徴が3つあります。3ヶ月間、副業限定、フルリモートの取り組みであるということです。

つまり、今の仕事や活動と並行するかたちで、拠点を移さないまま、地域課題の解決に向けて自身の経験やノウハウを活かすことができます。

課題は全部で5つ。たとえば、ワインの味わい可視化ツール「WaiNari」の活用方法を考えるプロジェクトや、木曽漆器の工房で働く職人さんの人財育成プロジェクトなど。興味のあるテーマを選んで応募することが可能です。

自由な移動や交流が困難な今だからこそ、何か新しいかたちで地域と関わるきっかけを掴みたい。そんな人に読んでほしいです。

(取材はオンラインで行いました。現地の写真は提供いただいたものを使用しています)

 

「関係人口」という言葉がある。

その土地に住んでいる定住人口でもなく、観光などで一時的に訪れる交流人口でもない、地域と多様な関わりを築いていく人のこと。

かつて江戸と京都を結んでいた中山道の真ん中に位置する塩尻は、古くから交通の要衝だった。さまざまな生業の人がやってきて、物資だけでなく情報やアイデアを交わして新しい何かを生む。今の言葉で言えば、まさにたくさんの関係人口を抱えるまちだった。

時代は移り、世の中の仕組みが大きく変わった今も、そのDNAは受け継がれているように感じる。

たとえば2016年1月にスタートした「MICHIKARA」は、首都圏の民間企業で働く人たちと塩尻の行政職員が一緒になって、地域の課題解決を目指す官民協働プログラム。子育て支援や空き家対策など、実際に予算がついて動き出すプロジェクトもあった。

さらに2018年の8月には、まちの中心地にシビックイノベーション拠点「スナバ」がオープン。

行政と民間、まちの内外といった垣根を超え、さまざまな立場の人が日常的に関わり合うなかで、自身のアイデアや想いをかたちにしていく。立ち上げから2年のあいだに、ここでの出会いがきっかけで事業や会社を起こした人もいるのだとか。

その延長ではじまろうとしているのが、今回の取り組みだ。

 

どんな内容なのか、まずはプロジェクト運営の中心を担っている横山さんに話を聞いた。人材大手のパーソルキャリアに勤めながら、塩尻の地域おこし協力隊としても活動している方。

「一言でいうと、3ヶ月間・副業限定・フルリモートでまちに関わってくださる方を募集したくて。MICHIKARAなどの取り組みを通じてためてきたノウハウを活かしつつ、地域課題解決と関係人口創出の新しいモデルをつくろうというのが概要です」

今回募集する人は、5つのテーマのなかから自分の興味関心に応じてエントリーすることができる。

たとえば、塩尻はおいしいワインの産地。その味わいを可視化するツールWaiNariが開発されているのだけど、使い方が明確に決まっているわけではない。これをどう活用していくか、であったり。

かつて交通の要衝だった塩尻には、今も長野県内の各方面に鉄道網が延びている。ただ、交通手段が多様化するなかで利用者数は減るばかり。どうしたら新しい鉄道の需要を生み出せるか、であったり。

テーマオーナーと呼ばれる、それぞれの課題の当事者に伴走するかたちで関わっていく。

自身も会社員と協力隊という二足のわらじを履いて活動している横山さん。副業で地域に関わることのよさを感じているという。

「地方の課題は複雑化していて、単一のスキルで解決できないものが多いです。今までやってきたことが簡単に通用しないフィールドで挑戦できるのは、関わる本人のキャリアにとってもすごく有益なことだと思いますね」

昨年末、塩尻では今回の募集と同じ3ヶ月間・副業限定・フルリモートという条件で、マーケティングと人事のスペシャリストである特任CMOとCHROを公募している。当時は103名の応募があり、そのうち2名が今年の1〜3月に着任。その後もまちのパートナーのようなかたちで関わってくれているそう。

さらにオンラインサロン「塩尻CxO Lab」を立ち上げて、塩尻に関わりたいという人たちと継続的につながるコミュニティづくりにも取り組んでいる。

コロナ禍を経てリモートワークが浸透してきた今、この取り組みは、人と地域の新しい関わり方のモデルになる。そんな仮説のもと、今年度は総務省の関係人口創出・拡大事業の一環として、さらなる仕組み化を目指しているところ。

 

具体的にはどんなテーマがあるのか。その一例として、木曽漆器のプロジェクトに関わっている山口さんに話を聞いた。

もともとグロービス経営大学院の有志活動として、地域活性化クラブを主宰してきた山口さん。縁あって塩尻を訪ねたとき、今回のテーマオーナーである大河内家具工房の大河内さんと出会ったという。

「伝統産業としての価値やプロダクトとしての魅力もさることながら、大河内さんの想いをお伺いするなかで、何かお役に立ちたいと思いまして」

大河内さんの想い。

「自分たちの工房だけではなくて、ひいては産業全体になんらかのヒントを残せればということで、オリジナルのブランドを立ち上げたり、外部人財を巻き込みながら職場環境を整えたり。伝統を受け継ぎながらも、未来に残すためのチャレンジをいろいろとされているんです」

山口さんたちは、今回の募集に先駆けて大河内家具工房の課題解決に伴走してきた。今はオリジナルブランド「NOKO」の認知をより広めるため、クラウドファンディングの準備中だそう。

これから募集する人に求めたいことはありますか。

「職人さんがやりがいをもって働けるよう、エンパワメントできる方に来ていただきたいんです。メンタリングやヒアリングを通して、職人さんのモチベーションの原点を知るところから、よりよいチームビルディングにつなげていってもらえたら」

過去、ライフステージが変化するタイミングでやめていく職人さんも多かった。

その一因は給与の低さで、販路開拓やプロモーションを通じて経営改善を図っていくことも必要だ。一方、職人という仕事に誇りを感じて働き続けられるような環境づくりも求められている。

「人事の経験やスキルが活かせることもあると思います。でもそれ以上に、自分ごととしてこの産業を残したい、職人さんを応援したいという想いで参画していただけるとうれしいですね」

課題やチャレンジしたいことはあるけれど、相談できる相手がいない。そんなふうに一人で悩んでいる経営者は、全国各地にもっといるはず。

じつは今回も、5テーマのうち2つは塩尻以外の地域でのプロジェクトが含まれている。

 

長野県辰野町ではじまるプロジェクトのテーマオーナー、北埜さんにも話を聞いた。

辰野は塩尻から車で15分ほどの隣町。もともと国内でも有数のホタルの棲息地として知られ、最近では子育て世代やクリエイターの移住者も増えているという。

生まれも育ちも東京の北埜さんは、Webメディアの編集や企業広告の仕事に携わったあと、学生時代の縁から地域おこし協力隊として活動をはじめた。

「辰野町って、ぼくも含めて何かしらの地域プロジェクトをきっかけに移住してくる人が多いんです。たとえば町おこしインターンシップであったり、空き家のDIYイベントや田植え体験イベントに参加したり。そういう『関わりしろ』となる地域プロジェクトをWeb上でまとめて見える化して、都市部の人とうまくマッチングできないかと思っています」

たとえば、川島という地区でつくっているそば。おいしいし、そば畑は地域の美しい景観づくりにも貢献しているのだけど、なかなか収益化には至っていない。そこで、このそばをブランド化していこうという動きが地域の農家さんの間で生まれているそうだ。

また、町内にある小学校では、学年混同の授業や地域の人が先生になって仕事や暮らしのことを教える授業を以前から行ってきた。図らずもこれがヨーロッパの最先端の教育モデルと似ているそうで、田舎から新しい学びの場をつくろうというプロジェクトも動きはじめている。

「個人的には、普通の田舎の風景をどう継承していくかが大事なテーマだと思っています。たとえば観光に来た人が畑を手伝うことで、景観も保全されていくし、畑仕事の合間におじいちゃんおばあちゃんと畦道でお茶飲みながら話して思い出ができるとか。そういう価値の交換、循環をつくっていきたいんです」

「教育や農業など、この地域の資源をコンテンツ化して、どう見せていくか。編集やマーケティングの視点を持った人が来てくれるといいかもしれません」

 

各プロジェクトには、今回募集する人とは別に伴走役がついている。辰野町に関わっているのは、塩尻市役所の三枝さん。

「辰野町のプロジェクトは、北埜くんともうひとりの協力隊の鈴木さん、奈良県川上村の職員と、埼玉の企業で働いている人とわたしっていう謎のメンバーで動いていて。先週も21時からオンラインで打ち合わせをしたんですけど、『なんでみんな会ったこともない人の課題に真剣に向き合ってるんですかね?』って話したんです」

たしかに、はじめましての状態からオンラインで関係性を築いていくのはむずかしい。なぜうまくいっているんでしょう?

「一番はテーマオーナーの情熱だと思うんですよ」

情熱。

「こういう取り組みって、成果を鑑みずに実績だけつくりたい、みたいなこともあると思うんですけど、北埜くんたちは事業化を目指して進めている。その気持ちが伝わってくるから、我々も応えたいと思ってより真剣になる。そういう化学反応が起きているんだと思います」

もちろん背景には、塩尻というまちがこれまで取り組んできたことの積み重ねや、うまく機能するための仕組みや制度設計といった基盤がある。

そのうえで、テーマオーナーの想いに共感できるかどうかという部分が、プロジェクトの行方を左右するのかもしれない。

最初に話を聞いた横山さんも、「コンサルじゃなくてパートナーがほしい」という言葉を紹介してくれた。

「上から目線でこういうふうにしたらいいですよとか、勝ちパターンを教えてくれるとかじゃなくて、失敗してもいいから想いをともにしながら取り組んでくれる人がいい。結果的にそれがお互いにとっていい出会いにつながると思っています」

新しい、挑戦的な取り組みでありながら、血の通ったプロジェクトだと思います。

それはみなさんの言葉からも伝わってきました。経験やスキル、スペックと言われるようなものではなく、想いをともにできるパートナーがほしい。

どんな人たちが進めているのか、話すうちに見えてくることもあると思うので、気になった人はまず連絡をとってみてください。

(2020/9/8 オンライン取材 中川晃輔)

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