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広島のアイデンティティって
なんなんじゃろ
変わり始めた街から、今

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

広島ってどんな街だろう。

宮島など、修学旅行の思い出と結びつく人は案外多いらしい。

広島市が地元の私は、いつも「都会すぎず、田舎すぎず、ちょうどいい街なんです」と曖昧なことを言ってしまう。

もちろん、個人的に好きな風景やおいしいもの、お店などは思い浮かぶのだけど、「広島とは」と語るにはどれもピンポイントすぎる。

いいものは点在しているものの、うまくまとめるのが難しい。

それは現在、再開発が進む広島の街が抱えている課題のひとつでもあります。

そんな広島で新しいまちづくりに取り組んでいるのが、一般社団法人地域価値共創センター(COC)のみなさんです。

広島の街のなかにある課題や可能性を見つけ出し、行政や企業、市民をつなぐことから解決の糸口を探っていくのがCOCの役割。今回はプロジェクトマネージャーとして働く人を募集します。

社会実験のようなプロジェクトをはじめ、エリアマネジメント団体やまちづくり協議会の事務局運営、行政から委託を受けるファシリテーション業務など仕事は多岐にわたる。コミュニケーションが好きな人であれば、いろんなバックグラウンドが活かせると思います。

今まさに街の中心部で再開発が進んでいる広島市。東京などの大都市ではなかなか入り込めないコアの部分から、まちづくりに携われる手応えがあるはずです。



新幹線で広島駅に着くと、そこから路面電車に乗り換える。出発した電車は大きなカーブを描いて、街のなかへ。

広島市の中心部は、瀬戸内海に注ぐ川が6つに分岐する三角州のなかにあり、街のあちこちに川辺の風景がある。

ひとつ、ふたつと橋を越え、続いて現れるのが元安川と本川の分岐点。ここにかかるT字の橋が、8月6日の原爆投下で目印とされた場所。今回はその少し手前で電車を降りる。

百貨店や県庁、オフィスビルが並ぶ通りを少し歩き、目的のビルに到着。

7階に、COCメンバーが使うコワーキングスペースがあるので、今日はそこで話を聞かせてもらう。

まずは、代表の荒谷さんとご挨拶。

「広島駅も数年前からリニューアル工事が進んで、きれいになっていたでしょう。2025年までには工事が終わって、周辺もだいぶ雰囲気が変わるはずですよ」

広島市では今、駅周辺の再開発のほか、サッカースタジアムの移転や、旧市民球場跡地の活用など、大規模なプロジェクトがいくつも進んでいる。

「どれも大きなプロジェクトですが、今はまだ横の連携が不十分なところもあって。それぞれが街のなかでどういう意味を持つのかを確認しあいながら、行政と民間企業と市民とをつないでいく。一緒にグランドデザインを描くためのハブのような組織が我々COCだと思います」

古いものを淘汰するのではなく、新しいものと共存しながらひとつの街になるように。

デベロッパーと街の人たちが“向き合う”だけでは、どちらかが受け身になってしまう。お互いに同じ方向を向くために、その調整役として勉強会や社会実験などの機会を生み出すのがCOCの仕事。

「今は、答えよりも課題を見つけることが大事だと思います。駅ビルの改修が終わる2025年というのはひとつの節目ですが、そこからさらに10年20年先に、どういう街をつくっていくか。いろんな人とコミュニケーションをとりながら考えを深めていきたいですね」

現在、COCの活動母体となっているのは、荒谷建設コンサルタントという土木の会社。道路建設や地質調査などの分野で100年以上の歴史があり、近年は災害復旧やエリアマネジメントの領域にも取り組んでいる。

「荒谷建設は父から受け継いだ会社なんですが、僕個人はもともと完全な文系で。東京の大学で図書館情報学を専攻して、そのあと銀行のシンクタンクでコンサルをしていました。土木の世界に入ったときは、完全にアウトローだったんです(笑)」

「一方COCは、人と人をつなぐのが仕事なので、たとえば僕が専攻していた図書館っていう領域も含めて、いろんな業界の経験を活かせると思います。新しく入る人についても条件を限定しすぎずに迎えたいですね」

現在COCで活動するメンバーは、荒谷さんも含め8人。新卒で入った人もいれば、カフェや編集の仕事をしていた人もいる。



続いて紹介するのは、COCの統括マネージャーを務める山中さん。

「僕は子どものころから都市計画に興味があったんですよ。きっかけは、家族旅行で福岡に行ったこと。街の様子を見てショックを受けたんです。同じ地方都市なのに、広島よりはるかに栄えている…!って(笑)」

他の都市に比べて大規模な再開発はゆるやかだったものの、川辺の景観を活かしたオープンカフェなど、独自の取り組みができる素地はある街。

いつかは地元のまちづくりに関わりたいという思いを持ちながら、東京の大学へ。その後エリアマネジメントや自治体の仕事を経験して、4年前にUターン。

大規模な再開発が進むタイミングで、広島の街と再び向き合うことになった。

「今取り組んでいるのは、街の人と一緒に未来の広島の姿をイメージしていくこと。『将来、街でこんな関わりが生まれたらいいよね』というビジョンを共有したくて、今年の春から場づくりの実験をしているんです」

そのひとつが、3月から5月にかけて開催された「カミハチキテル」というプロジェクト。

紙屋町と八丁堀という、ふたつの大きな商業エリアに接する大通り沿いに、ロングベンチを備えた巨大パークレットを設置。フードやドリンクを提供するコンテナ店舗を出店したり、音楽パフォーマンスを行なったり。行き交う人が足を止め、交流が生まれるようなさまざまな仕掛けを用意した。

山中さんたち事務局メンバーは、大学などの機関と連携をとりながら企画を立て、ブースの設営手配や出展者の調整などに奔走。

「一番大変だったのは、スポンサーとの交渉です。こういう社会実験って、公的資金で実施することも多いんですけど、カミハチキテルは95%を民間の出資でまかなっているんです」

「計画段階では、説明しても『なんなのそれ?』みたいなリアクションが多かったんですけど、伝え方とかコミュニケーションを工夫しながら、少しずつ協力してくれる人を見つけて。普段から交渉や調整は多い仕事ですね」

今はまだ10人足らずの小さな組織であるCOC。

まだまだうまれて間もない組織ではあるものの、今回の取り組みを通じて、既存の団体や組織の間をつなぐ役割に、信頼や期待感が高まっている。

地元の大企業や行政とも対等な立場で話を進めていくために、スケジュールの合間を縫った地道な勉強や情報収集の積み重ねが欠かせないという。



今は来年の春に向け、社会実験「#カミハチキテル」の第2弾を準備中。今回新しく入る人は、おそらくその渦中にも飛び込んでいくことになると思う。

昨年春に入社した今田さんは、ちょうどそんな形で、入った直後からイベント運営の中核を担ってきた。自分以外にも、新卒のスタッフが広報などをほぼ一人で担っていて、驚いたという。

はじめてのイベントをやってみて、どうでしたか?

「最初のころは正直、本当に街の人がベンチに座ってくれるのか不安もあったんですが、終わった後にはいろんな人が『カミハチキテル、実は俺も関わったんだよー』って発信してくれて。カミハチキテルを自分事として捉えてくれる人が何人もいて、あ、これはよかったなと」

カミハチキテルは集客というよりも、実施プロセスにこそ意味があるイベント。

たとえば文化祭の準備を通じてクラスメイトの隠れた特技を知るように、街のなかにいる事業者たちの主体性を引き出し「お互いに協力すると、何ができるか」という体験を、未来のまちづくりにつなげたい。

それにフードやドリンクなどのコンテンツは、若い人たちのチャレンジショップのような場にもなりそうですよね。

「まさに、そういうことが起き始めているんですよ。今回、普段は無店舗でハンバーガー屋さんをやっている人が出店してくれたんですが、彼はカミハチキテルがひとつのきっかけとなって、ほかのところでも出店するようになって。将来的には店舗を持つことも考え始めているようです」

もともと同じ街のなかにいた人たちが出会って、新しいことが生まれていく。

点と点を結ぶ仕掛けがうまく機能すれば、この街で何かやってみようという、小さな挑戦ももっと増えるはず。

1回目の手応えを感じつつ、現在準備を進めている2回目の社会実験「#カミハチキテル」は、場所を大通りから広場へ移す。

本来であれば、ここで大きなにぎわいをつくりたいところだが、長引くコロナ禍の心配もある。

そこで考えたのは、規模を小さくするのではなく、より広範囲に分散する仕掛け。

「今回は会場だけでなく周辺の施設にも呼びかけて“時差ランチ”を提案しようと思っています。もともと12:00からの1時間に飲食店が混雑するというのは、オフィスワーカー、飲食店の共通の悩みでもあったので、これを機にライフスタイルを変えるきっかけにならないかと思って」

たしかに、オフィスの休憩時間を変えるって、ひとつの会社だけでは取り組みにくいことだし、エリア全体で「やってみよう」という発信をしていくには、いい機会になりそう。

もしかしたら今後「カミハチキテル」は、ただのイベントではなく、発信基地としてメディアのような役割を担うかもしれないですね。

「そうなんです。社会実験のような何かがはじまると、そこで生まれた関係性や経験から、ああれもできるかも、これもできるかもって、いろんな事業の可能性が育ってくるんですよね」

そうなると、より多様なバックグラウンドが活かせるようになるはず。

広島出身である今田さんも、もともとは東京の大学を卒業後、国分寺にあるカフェで長く働いていた経験がある。

「カフェとまちづくりって別の業界のようにも思えるんですが、面接のときに代表から『これからは、そういう外の視点こそ大事になるから』って言ってもらえたのがすごくうれしくて、よく覚えています」

ものづくりやデザイン、景観、食、あるいは国際的なつながりなど、どの分野にもまだ伸び代がある。

まずは自分が得意な領域から、課題や可能性を探ってプロジェクトにつなげてみるといいんじゃないかと思う。

取材を終えて、平和公園まで足を伸ばしてみると、保存工事中の原爆ドームに、西日が差し込んでいた。

これから、街はどんなふうに変わっていくだろう。

いろんな人のつながりや挑戦が生まれたら、この街の名前にまたひとつ、新しい意味が加わるかもしれません。

(2020/12/1 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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