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川と森の自然公園を
本と温泉のリトリート施設に

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緑豊かな川沿いの道を歩き、テラスに腰掛けてコーヒーを飲みながら本を読む。一区切りついたところで、お腹を満たし、温泉に入ってほっと一息。

日常と少し距離を置いて寛ぎたい人にとっては、これ以上ない理想的な過ごし方かもしれません。

神奈川県湯河原町。

湯河原温泉で有名なこの地に、「湯河原惣湯 Books & Retreat」という施設がオープンします。

自然豊かな公園内に、カフェやコワーキングスペース、そして日帰り温泉施設を設置。本の貸し出しや購入もできるため、自然と温泉に癒されながら読書を楽しめます。

今回は、施設全体を管理するマネジメントスタッフと、温泉施設やカフェで働く接客・調理スタッフ、事務スタッフを募集します。

自然、温泉、食、本…いろいろな要素が詰まったこの施設で、湯河原という地域に入り込み、新しいチャレンジをはじめたい。そんな心意気のある人を求めています。



東京から新幹線で1時間ほど。湯河原は、小田原と熱海のあいだに位置している。

夏目漱石や島崎藤村といった文豪たちもよく訪れていたという、歴史あるまちだ。

温泉街があるのは、駅からバスで10分ほど山側へ向かった場所。川に沿うように温泉旅館が並ぶ景色は、ほかではあまり見たことがない。

今回新しくできる施設は工事中のため、温泉街にあるカフェでプロジェクト全体の話を聞くことに。

最初に話してくれたのは、様々な地域のまちづくり事業をサポートしてきた中西さん。7年ほど前から湯河原のまちづくりにもアドバイザーとして関わっているそう。

「湯河原って温泉の泉質もいいし、昔ながらの温泉旅館も残っていて、すごく魅力的な場所なんです。けれど、熱海や箱根みたいな、わかりやすい観光資源や施設があるわけじゃなくて。よくもわるくも、小規模な温泉旅館中心の静かな温泉街なんです」

たしかに歩いていても飲食店が少しあるくらいで、いわゆる観光地っぽいお土産屋さんなどはなかった気がする。

お客さんの層も、静かな雰囲気で温泉を味わいたいという中高年が中心で、若い世代や家族連れが少ないそう。近年は客足が減り、廃業する旅館も出てきているのだとか。

そこで湯河原では、6年ほど前から外部の専門家を巻き込んだまちづくり活動が行われてきた。

勉強会やワークショップを開いて地域の人の意見を聞いたり、町並みや景観のルールをつくったり。空き家や公共施設の活用にも取り組み、飲食店の誘致やまちづくりイベントの企画など、さまざまな活動をしてきた。

「今回のプロジェクトは、温泉場の玄関口にある万葉公園を活用できないか、という思いから始まりました」

「川沿いに500メートルほど遊歩道が続き、温泉の神様を祀る神社もある。自然豊かで魅力的な公園です。奥には20年くらい前につくられた足湯施設があったんですが、施設も古くなってしまっていて」

公園を管理していた町や地域の人と話し合い、湯河原温泉のまちづくりのテーマである「知の温泉場」を軸に、既存の温泉旅館とも共存できる新しい活用方法を検討することに。

民間の事業者から公募した結果、広大な公園全体を「温泉・食・本」のリトリート施設とする株式会社NOTEの案が採用された。

事業には香川県の仏生山温泉を設計・運営する設計事務所岡昇平と、地元のゼネコンである小野建設株式会社が加わり、設計と工事、そしてオープン後の運営管理を担当する。

「まちづくりの一環で始まった事業なので、湯河原のまちに興味を持ってくれる人がいいなと思うんです。地元の人の期待も高いので、一緒に地域の魅力を高めていきたいですね」



公園と温泉施設が一緒になった、日本でも珍しい施設。

具体的にどんな場所になっていくのか、全国で歴史建築や地域資源を活用したエリアマネジメントを手がけるNOTEの林さんにも話を聞かせてもらう。

「湯河原で新しい施設をつくるなら、既存の温泉旅館のお客さんを奪わずに、補完し合う関係性を築ける施設をつくらないといけないと思ったんです」

「旅館に宿泊した人が立ち寄れて、なおかつ首都圏の人がそこを目指して来てくれる、他にはない尖ったもの。そう考えて、『湯河原惣湯』というかたちを提案しました」

湯河原惣湯は、公園エリアと温泉施設の二つに分かれている。

公園の入り口から奥の温泉施設までは、誰でも無料で入ることができる。カフェや観光案内所、コワーキングスペースなどがあり、公園内に持ち込める本の貸し出しと販売も行う予定だ。

公園を進むと、緑豊かな川沿いの遊歩道が続き、座って本を読めるテラスが複数設置される。豊かな森に囲まれ、川の音や鳥のさえずりを聞きながら読書をしたり、園内のWi-Fiを利用して外の空気を吸いながら仕事もできる。

一番奥には、有料の日帰り温泉施設がある。

温泉に加え、身体に優しい和食を楽しめるダイニング、本に囲まれた図書館のような空間もあり、お客さんが4、5時間ほどゆっくり滞在できるような施設になる。料金は食事代も含め、税込みで5,500円。

ゆっくり滞在できるとはいえ、なかなかのお値段ですね。

「日本で一番入場料が高い日帰り温泉施設になるんじゃないかな。そのぶん、スタッフのホスピタリティを高め、美味しい食事とミニマルで洗練された空間で、お客さまが心身ともに寛げる場所にしたいと思ってます」

公園エリアは4月オープン、温泉施設は7月オープンを目指して、現在工事が進んでいるところ。

今回は、温泉施設とカフェの両方でフレキシブルに働けるオープニングスタッフを募集したい。

具体的には、マネジメントスタッフと、接客・調理などを行う運営スタッフ、事務スタッフを求めている。

「地元のホテルで働いていた女性がマネージャーとして入ってくれるので、一緒にマニュアルや体制づくりをしているところです。ただ、彼女には現場のことを仕切ってもらう予定なので、マネジメントスタッフには、経営に近い立場で施設全体の運営管理や数字面も含めて見てほしいと思っていて」

「お店を経営したことがある、という経験までは求めないですが、ある程度ビジネスの仕組みや数字の見方がわかっている人がいいなと思います」

マニュアルをつくっているとはいえ、実際にオープンしたら細かい部分は動きながら整えていくことになる。どの職種で働く人も、自分たちで仕組みからつくっていく過程も含めて楽しめる人がいいかもしれない。

運営スタッフには、湯河原惣湯全体を使ったイベントの企画もしてほしいそう。

「言ってしまうと、公園の敷地を全部自由に使えちゃうんですよ。たとえばマネージャーはDJとして今も音楽活動をしているので、施設内でクラブイベントみたいなものを開くのもいいなと思っていて。面白そうなことはどんどん企画してもらいたいですね」

たとえばWi-Fi環境を生かして、近隣の旅館と連携したワーケーションやテレワークのプランを考えてみるのも、時代のニーズにあっているかもしれない。

公園を飛び出して、地域のお店やまちづくりに関わる人たちと一緒に企画を立ててもいい。スタッフの発想次第で、いろいろなことができそうな場所だ。

「湯河原惣湯は、湯河原の魅力を引き立たせるためのスパイスっていう位置付けなんです。ただ施設に働きに来るっていう感覚じゃなく、自分たちが率先してまちづくりを主導していくんだっていうくらいの気持ちで来てもらえたらうれしいですね」



最後に話を聞いたのは、林さんの話にも登場したDJマネージャーの冨田さん。この日は山梨にある古民家ホテルで接客の研修を受けているとのことで、オンラインでつないでもらった。

よろしくお願いします!と、画面越しに元気な挨拶が飛んできた。

冨田さんの実家は、湯河原で旅館を営んでいたそう。小さいときからホスピタリティを感じながら過ごしてきた。

「正直、地元への愛着はあまりなかったんです。大学からハワイに行って、そのままハワイでハワイアンレゲエのDJとして活動していました。DJって聞くと激しい音楽を想像するかもしれませんが、ハワイアンレゲエってゆったりとしたリズムの音楽なので、大人も寛げる雰囲気なんですよ」

6年ほどハワイで過ごしたのち、地元の湯河原へ。

実家近くのホテルでアルバイトをしながら、カフェの一部のスペースを借りてDJイベントを開くなど、音楽活動も続けていた。

まちのイベントに出演するうちに、今回のプロジェクトに誘われたそう。

「湯河原惣湯の話を聞いて、自分がお客さんとして行きたい場所だなって、すごく思ったんです。誘ってもらったときは人生のなかで一番悩みましたね…(笑)。接客は経験あるけど、マネージャーなんて務まるのかなって」

「でも考えてるうちに、湯河原惣湯なら接客の仕事と音楽、両方を生かせるっていうのはすごく面白そうだなって思ったんです。それまで働いてる自分とDJの自分って別物だったけど、一緒になれるんじゃないかって。だから声をかけてもらったことを素直に喜ぼうって思いました」

現在は体制面を林さんと相談しつつ、マネージャーとして必要な知識を学んでいるところ。

「とくに温泉施設はしっかりとした料金をいただくので、ホスピタリティが一層大切になると思っています。目があったらマスク越しでも笑顔で挨拶するとか、困っている人がいたらちゃんと手を差し伸べるとか。細かいところですが、一つひとつの行動に気持ちを添える接客をしていきたいですね」

「スタッフも、役職とかじゃなく名前で呼び合うような関係性がつくれたらいいなと思っていて。マネージャーじゃなくて、みどりさんって呼んでもらえる関係性でいたいなと。フレンドリーな雰囲気で、楽しく働けたらいいなって思います」

マネージャーとはいえ、冨田さんも初めての経験が多くなる。役割の垣根を超えて、一緒により良いものをつくっていくという意識が大切なんだろうな。

冨田さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?

「施設だけで完結する仕事じゃないので、湯河原に興味があるとか、まちおこしに関わりたいって思ってくれる人がいいかなあ。あとはこんなイベントをしたいとか、本の選書を工夫するとか、自分の興味や特技を生かして企画力を発揮してくれる人だったらうれしいですね」

「働く人にとっても、お客さんにとっても、すごくワクワクする場所になると思うんです。まずは自分が面白がって、湯河原の魅力を一緒に高めていきたいなって思います」



川と森、そして温泉と本。それらをまるっと使って、新しくチャレンジする。

取材をしていて、面白そうだな、行ってみたいなと、素直にワクワクする場所だと思いました。

まずは飛び込んで、このフィールドを満喫する。楽しむなかで、アイデアを形にしていく。そのうち、湯河原のまちも元気になっていくのだと思います。

(2020/11/30 取材 稲本琢仙)

※撮影時にはマスクを外していただいております。

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